【特集】戦争の代償と歴史認識

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 日本では今、歴史修正主義の嵐が猛威をふるっている。安倍総理の「お友達」による、歴史認識についての問題発言が連発しているのだ。私人ならともかく、それらがいずれも公人によるものであるとなれば、捨て置くわけにはいかない。

 1月25日、新しくNHKの会長に就任した籾井(もみい)勝人氏(日本ユニシス前社長)は、就任会見で、旧日本軍の従軍慰安婦について、「戦争をしているどこの国にもあった」と発言した。重ねて、「なぜオランダにまだ飾り窓(売春街)があるんですか」などとも述べ、売春婦はどこにでも存在する例としてオランダを持ち出しながら、あたかも旧日本軍による従軍慰安婦の徴用に問題がなかったかのように発言した。

 同じくNHKの経営委員である作家の百田尚樹氏は、東京都知事選の応援演説で、自らの歴史観を披露。「1938年に蔣介石が日本が南京大虐殺をしたとやたら宣伝したが、世界の国は無視した。なぜか。そんなことはなかったからだ」「極東軍事裁判で亡霊のごとく南京大虐殺が出て来たのは、アメリカ軍が自分たちの罪を相殺するためだ」などと、持論を展開した。

 このように歴史修正主義的な発言が連発し、それに対して多くの若者が共感を寄せているという現状。こともあろうに安倍政権は、このような動向に対して、お墨付きを与えるような動きを見せている。

 2月28日、菅義偉官房長官は、第二次世界大戦中の慰安所が、「当時の軍当局の要請により設営された」ものであり、慰安婦の移送について「旧日本軍が直接あるいは間接に関与した」のものであることを認め、「お詫びと反省」を表明した「河野談話」について、検証を行う作業チームを作ると発言した。

 公人から歴史修正主義的な発言が相次ぐのはなぜなのか。日本のナショナリズムと歴史認識はどこへ向かうのか。岩上安身とIWJが取材した記事を、一挙ラインナップ。

目次

  1. 岩上安身インタビュー
  2. 注目記事ピックアップ
  3. メルマガ「岩上安身のIWJ特報!」
  4. メルマガIWJウィークリーより一部記事公開

岩上安身インタビュー

 2015年5月23日(土)、岩上安身は、杉田聡氏に2回目となるインタビューを行った。今回は主に、1894年の日清戦争から先立つこと10年、1884年に朝鮮で起こったクーデター・甲申政変に対する福沢諭吉の関与を中心に、話を聞いた。

 甲申政変とは、当時「親日派」として朝鮮王朝の転覆を狙っていた金玉均(キム・オッキュン)、朴泳孝(パク・ヨンヒョ)らによって起こされたクーデターである。朝鮮への進出を狙う日本は、彼らに接触し、クーデターを支援した。その支援者のうちの一人に、福沢諭吉が含まれていたというのである。

 時事新報の社主として、中国、朝鮮、台湾に対する日本の侵略を正当化する言説を数多く残してきた福沢諭吉。しかし、言論活動だけではなく、実際に刀や鉄砲を送るなど、朝鮮のクーデターを支援する行動を起こしていたのである。

 「天は人の上に人を造らず」――。福沢諭吉の『学問のすゝめ』に記されたこの一節は、「人間の平等を説いた」ものとして、あまりにも有名である。

 しかし、新刊『天は人の下に人を造る―「福沢諭吉神話」を超えて』(2014年12月、インパクト出版会)を発表した帯広畜産大学教授の杉田聡氏は、本書の中で、そのような平等主義者とは真逆の、差別主義者としての福沢諭吉像を提示している。

 杉田氏によれば、福沢が平等を説いたのは、あくまで中産階級に属する男性に限定してのことであって、農民や職工、さらに女性に対しては、徹底した差別主義者だったという。

 「櫻井よしこさんは、私への『捏造報道』というレッテル貼りを繰り返すことで、ネットで過激な言論を行う勢力を鼓舞している」──。

 2015年2月20日、元朝日新聞記者で北星学園大学非常勤講師の植村隆氏は、札幌市内で行われた岩上安身による2度目のインタビューで、櫻井よしこ氏についてこのように語り、「おそらく、櫻井さんは私が書いた記事を読んでいないのだろう。読んだ上で批判をしてください」と続けた。

 植村氏は、2015年1月、自身への誹謗中傷記事を書いた東京基督教大教授の西岡力氏と、それを掲載した『週刊文春』を名誉毀損で提訴。そして今回、2度目の提訴として、櫻井よしこ氏を名誉毀損で訴えるという。

 「私は間違った記事も、吉田証言にもとづく記事も書いてない」──。

 一部のメディアやインターネット上で、「韓国の従軍慰安婦について、捏造記事を書いた」と名指しで非難されている元朝日新聞記者の植村隆氏は、さまざまな事実を提示しながら、自分への攻撃の理不尽さを語っていった。

 2015年1月10日、東京都内で、岩上安身による北星学園大学非常勤講師で、元朝日新聞記者の植村隆氏へのインタビューが行なわれた。

 2014年の初頭、週刊文春で『“慰安婦捏造” 朝日新聞記者がお嬢様女子大教授に』と報じられた植村氏は、就任予定だった大学教授の職を失った。その大学に抗議が殺到したためだ。

 さらに、非常勤講師をしている札幌の北星学園大学が脅迫され、嫌がらせは家族にまで及んでいる。そのため、前日の1月9日、植村氏は週刊文春と当該記事を書いた西岡力氏(東京基督教大教授)を名誉毀損で提訴した。

 “稀代の悪法”と言われる特定秘密保護法の施行が、12月10日に迫っている。国民の知る権利を脅かすだけでなく、国家の中枢に、一般市民がアクセスできない空洞を作ってしまうこの法律は、軍国主義と国家総動員体制のもと、厳しい情報統制を敷いていた戦前の日本を連想させる。

 昭和史研究の大家である、数多くの著作を発表してきたノンフィクション作家の保阪正康氏は、近頃出版された半藤一利氏との共著『そして、メディアは日本を戦争に導いた』『日中韓を振り回すナショナリズムの正体』のなかで、現在の安倍政権による歴史修正主義的な動き、さらには集団的自衛権の行使容認や特定秘密保護法の施行といった「軍事国家化」の動きを、戦前・戦中の動きと重ねあわせて論じている。

 私たちは今、昭和史の教訓を、現在においていかに活かすべきか。そしてそれを、後世にどのようにして伝えていくべきか。岩上安身が話を聞いた。

 籾井勝人NHK会長。百田尚樹氏をはじめとするNHK経営委員の面々。そして安倍晋三総理——。NHKの周囲に目をやれば、「語るに落ちる人」たちが、引きも切らず舞台上に登場するように見えてしまうのはなぜか。

 11月12日(水)、岩上安身が永田浩三氏に二度目のインタビュー。永田氏は、番組プロデューサーとして長くNHKで活動。安倍総理と同学年でもある。永田氏の経験から日本のメディア史を語る作業は、安倍晋三という政治家の「21年の物語」を辿ることでもある。そこに浮かび上がるものはなにか。「説得する言葉を持たないけれど、権力は持っている」という一人の政治家の姿だった。

 その安倍氏が総理大臣としてある現在の日本。ここで始まりつつあるのは、「戦後作り上げてきたものを崩しかねないおおごと」と永田氏は見る。私たちが置かれているのは「言いっぱなしの嘘が力を持っているという世の中」なのか。永田氏は、「言葉の力を信じてこれからもやっていきます」と心を新たにする。

 「政府が右というのを左といえない」。メディアがこういう姿勢をとったらどうなるか。歴史には実例があふれている。

 籾井勝人NHK会長に対しては、「辞任」を求めるNHKの元職員から、1500を超える署名が集まっている。元NHKのプロデューサーで、現在は武蔵大学教授の永田浩三氏も署名した一人だ。

 永田氏は、NHK時代に『クローズアップ現代』などの番組を世に送り出してきたほか、2001年に起きた、政治権力による番組改変が起きた場面にも当事者として遭遇。近著『NHKと政治権力』(岩波書店, 2014)は、このNHK番組改変事件について詳細にまとめたものだ。

 「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」

 これは、よく知られているように、明治期最大の啓蒙思想家である福沢諭吉が、『学問のすすめ』の中に記した一節である。この言葉は一般に、人間はみな生まれながらにして平等であるという、「天賦人権説」を福沢が高らかに唱い上げたものであると理解されている。

しかし、『福沢諭吉のアジア認識』『福沢諭吉と丸山眞男』『福沢諭吉の教育論と女性論』など、福沢諭吉に関する数多くの研究書を発表している名古屋大学名誉教授の安川寿之輔氏は、このような理解は福沢を過剰に「美化」したものであり、実際の福沢は、大日本帝国による朝鮮・中国に対する侵略戦争を肯定するイデオローグだったと指摘する。

 9月3日、岩上安身が安川氏にインタビューを行い、福沢が残した文献をひとつひとつ繙きながら、侵略戦争のイデオローグであり、「ヘイトスピーチ」の元祖としての福沢諭吉の実像に迫った。

 ヘイトスピーチと戦い、集団的自衛権行使を容認する閣議決定に憤る泥憲和氏。泥氏は、従軍慰安婦問題にも関心を持ち、独自に史料を集め、練り上げた議論を自身のFacebookで発表してきた。

 9月10日、泥氏は岩上安身のインタビューに応え、「史料に基づいて出てくる単純な結論だけをネットに上げています」と自身の取り組みについて話した。単なる論駁に走らない泥氏は、慰安婦とされた女性たちが人身売買の犠牲者であったことを、史料を示して論証する。

※『九月、東京の路上で~1923年関東大震災 ジェノサイドの残響』著者、加藤直樹氏に岩上安身がインタビュー。関東大震災に際し、朝鮮人への虐殺が行われた東京各所でロケを敢行しました。
8月31日~9月2日 の19時~3夜連続、Ch1で配信しました。

■【IWJ追跡検証レポート】『九月、東京の路上で』~関東大震災・ジェノサイドの跡地を加藤直樹氏と歩く
[日時] 8月31日~9月2日の19時~ 3夜連続配信!各配信後48時間、会員以外の方にも公開しました。※ 公開終了
[配信] IWJ・Ch1

 旧日本軍による従軍慰安婦の「強制連行」を巡り、朝日新聞は8月5日付けの記事で、「済州島で慰安婦狩りをした」と証言した故・吉田清治氏を取り上げた記事について、「一部に事実関係の誤りがあった」と認める報道を行った。吉田氏の証言については、従来から「証拠がない」として疑問視する声があがっていた。

 この朝日新聞の報道を受け、読売新聞や産経新聞、さらには一部の保守系メディア・言論人からは、「朝日新聞の誤報により国益が損なわれた」との声があがった。終戦記念日である8月15日、従軍慰安婦や南京大虐殺など、歴史認識の問題に詳しい哲学者の能川元一氏に岩上安身がインタビュー。朝日新聞の「誤報」を攻撃する「右派メディア」の問題性について語った。

 3月26日、新大久保の「のりこえねっと」事務所で、同団体の共同代表である辛淑玉(シン・スゴ)氏に岩上安身がインタビューを行った。

 在日朝鮮人、原発事故避難民、被災地の自治体職員、アジアからのニューカマーの女性など、差別の対象としてされた人々に様々なかたちで寄り添ってきた辛氏。在日朝鮮人に対する排外差別デモやヘイトスピーチの高まりによって、コリアンタウンとして知られる新大久保は、朝鮮半島を南北に切り裂く「38度線になった」と辛氏は語る。

 インタビューでは、ヘイトスピーチ参加者と「一緒に生きていこう」とする辛氏の前向きな姿勢が語られ、辛氏から「食事会をしよう」という呼び掛けが行われた。

 ソ連崩壊後の1990年代のロシアでは、オリガルヒと呼ばれる新興財閥が誕生する。急速に資本主義化を押し進める過程で、多くの国有企業はかつての経営者層にそのまま受け継がれる形で民営化された。一躍大資本家となったこれらオリガルヒは、新聞やテレビなどのメディアも手中におさめ、エリツィン政権との癒着を強めていくこととなる。

 90年代後半に全盛を誇った「ビッグ・セブン」と呼ばれた7人の代表的オリガルヒのうち、6人までがユダヤ系だったと言われている。ただし赤尾氏は、「こう聞くと陰謀論的な話になりがち」と話し、「この人たちがみんなユダヤ人として動いていたわけではないし、個人的利害もある。自身のユダヤ人性を否定するような人も中にはいた」と続けた。

 18世紀末のポーランド分割をきっかけとして、ロシアは西側に支配地域を拡張する。それまでほとんどユダヤ人が居住していなかったロシアは、一気に数十万ものユダヤ人を抱え込み、ユダヤ人対策を迫られる。「そこで代々のツァーリたちは、色々と知恵を絞り、ユダヤ人をロシア帝国にとって有用な人民に鍛えあげようとする」。

 エカチェリーナ2世(1729-1796)は、「聖なるロシア」とも呼ばれる大ロシア地域へのユダヤ人の流入を食い止め、「ユダヤ人定住区域」へ封じ込めようとした。この区域は広大ではあったものの、ユダヤ人に対する差別的な扱いは増していき、「これまでポーランド貴族のもとで得ていた特権がなくなっていく」。

 「離散した民」というユダヤ人のアイデンティティ形成について赤尾氏は、「そもそもユダヤ人が自分たちをユダヤ人と意識をした時点で既にディアスポラ(離散)をしていたとも言える」と語った。

 紀元前11世紀頃に成立したと言われるユダヤの国(イスラエル王国)は、ソロモン王の死後に南北に分裂した。紀元前722年に北のイスラエル王国はアッシリアに攻められ滅亡。「(ユダヤ人が)北に散っていった流れ」が一つある。さらに南のユダ王国は紀元前586年にバビロニアに攻められ、バビロン捕囚を経験する。「バビロニアにとらわれの身になった。いわゆるディアスポラ、民族離散の歴史的起こりです」。

 能川氏は、問題の焦点となる慰安婦の証言の裏付け調査の有無に関して、たとえ裏付け調査がなくても直ちに虚偽とはならないと主張する。また、能川氏は、第一次安倍内閣当時、安倍氏の「強制性を裏付ける証拠はなかった、というのは事実だと思う」という政府見解について、河野談話の限定条件(93年8月4日までに見つかった資料に基づく)を無視した点を指摘し、さらにその後軍や官憲による慰安婦連行の強制性を裏付ける資料(東京裁判(極東国際軍事裁判)関係文書『A級極東国際軍事裁判記録』という資料)が発見されたことに言及した。

 先日の都知事選では他候補を「人間のクズ」と罵倒した百田氏について、能川氏は週刊誌に「NHK経営委員のベストセラー作家の素顔 百田尚樹のドンビキなウヨク度」という記事を掲載。膨大な歴史資料を研究した上で、ここ1年間の百田氏のツイートを読み返して、発言のひとつひとつを論破した。

 能川氏は、まず手始めに「意外に知られていないことだが、南京陥落当時の日本と中国は国際的に戦争状態ではなかった。だから当時の南京には欧米のジャーナリストやカメラマンが多数いた。もし何千人という虐殺が起こったりしたらその虐殺行為は世界に配信されていたはずだ。しかし実際にはそんな記事はどこにもない。」という百田氏のツイートを取り上げ、「よくひとつのツイートの中に、これだけの間違いを詰め込めたなと思います」と厳しく批判した。

 カナダのモントリオール大学教授(歴史学)で、『トーラーの名において』(平凡社)『イスラエルとは何か』(平凡社新書)などの著書で知られるヤコヴ・M・ラブキン氏が来日。ユダヤ教徒でありながら、パレスチナの地にユダヤ人の祖国建設を目指す「シオニズム」運動を批判するラブキン氏に、10月23日、岩上安身がインタビューした。通訳を務めたのは、東京理科大学教授の菅野賢治氏。

 ラブキン氏は、シオニズムを、宗教上のイデオロギーではなく、19世紀末に非宗教化したユダヤ人によって生み出された政治的イデオロギーであると説明する。

 「ユダヤ人は、伝統的ユダヤ教の教義から遠ざかりつつも、近代ヨーロッパで吹き荒れた反ユダヤ主義に対するフラストレーションから、ユダヤ人としてのアイデンティティを模索するようになりました。その延長線上で政治的に目指されたのが、イスラエル建国を志向する『シオニズム』でした」。

 中東一の軍事国家、イスラエル。ヨーロッパ各地に離散していたユダヤ人が、1948年、聖地エルサレムのあるパレスティナの土地に帰還してイスラエルを建国して以降、エジプト、イラン、シリアといったイスラム国と対立してきた。米国を中心とする西側諸国は、イスラエルに対して軍事援助を行い、核兵器の保有さえも黙認してきた。

 なぜ、イスラエルはこれほどまでの軍事大国になったのか。そして、ナチス・ドイツによるホロコーストやロシアによるポグロムといった惨劇を経験しながら、周囲のイスラム国に対して攻撃を仕掛けるのはなぜなのか。

 共著『The Untold History of the United States』(邦題:オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史:早川書房刊)で、搾取と抑圧を繰り返す「現代の帝国」としてのアメリカを描いて話題を呼んだ、オリバー・ストーン監督とピーター・カズニック教授。2人は、8月5日から15日の日程で来日し、被爆地の広島と長崎のほか、東京、さらには沖縄の在日米軍基地などを訪問した。

 今回、2人の来日をコーディネートして通訳も務めたのが、カナダのバンクーバーで活動する平和団体「ピース・フィロソフィー・センター」代表の乗松聡子氏である。2013年8月19日(月)、岩上安身のインタビューに応じた乗松氏は、日本滞在中のストーン監督とカズニック教授の様子を詳細に紹介。

 東京都港区のホテルアジア会館で、岩上安身によるフィリピン人元慰安婦エステリータ・デイさん、被害者、支援者の組織のコーディネーター レチルダ・エクストレマドゥラさんへのインタビューが行われた。

 「日本での戦略核配備は、反発が大きいと予想できるので、アメリカは考えていない。それよりも、沖縄など日本の米軍基地を拡大利用する方向なのではないか」とピーター・カズニック教授は語った──。 

 2013年8月11日(日)12時30分より、東京都内のホテルで、岩上安身によるピーター・カズニック教授へのインタビューが行われた。アメリカン大学で歴史学を教えるカズニック教授は、オリバー・ストーン監督の『もうひとつのアメリカ史』の共著者である。岩上は「アメリカは、日本に核を持たせようとしているのか。ヨーロッパのようなニュークリア・シェアリングを考えているのか」などと質問。また、安倍政権の評価についても意見を求めた。

 「気がつけば、左手は、肩から指先まで皮膚がべろりとはがれ、垂れ下がっていた」──。 

 長崎県内で岩上安身のインタビューに応じた谷口稜曄氏は、こう語った。1945年8月9日、米空軍が投下した原子爆弾の閃光と熱波を16歳の背中に浴びた直後の様子だ。谷口氏はこの日、自分の体が記憶する「被爆の怖さ」を伝え、さらにまた「原爆のみならず、原発にも反対する」と強調した。


 日本近代政治史専門の歴史学者で、北海道大学名誉教授の井上氏が、日清戦争が日本側の謀略によって引き起こされたものであることや、日本軍兵士の戦死が隠蔽された疑惑、さらに「東学党」と呼称すること自体への疑問など、様々な疑惑や疑問について、調査結果や関係者の証言などを織り交ぜながら、詳しく解説する。

 1974年に刊行された『ボクラ少国民』をはじめ、戦争をテーマとする児童文学を数多く執筆した山中氏は、インタビューの中で、憲法改正、「敵基地攻撃論」を盛り込んだ防衛大綱の改定、国防軍の創設など、右傾化が進む安倍政権を痛烈に批判。「戦場と戦争は違います」と語り、ナショナリズムの一時的な高揚を背景に戦争を始めかねない安倍政権の姿勢に懸念を示した。

 「勧告が気に食わないからといって、我々は国際条約には縛られないという言い訳をするのは、国際社会に対する挑戦状と捉えられても仕方がない行為だと思います」ーー。

 アムネスティ・インターナショナル副理事長の新津久美子氏が、人権感覚の希薄な日本政府を痛烈に批判した。

 戸塚氏は、国際人権法学者の立場からみた、日本の人権状況について、「人権途上国である」との認識を示した上で、人権被害者が最高裁で敗訴した場合に、国連に被害救済を訴えていくことができる「個人通報権条約」への日本の批准が、日本の人権状況を改善する上で必須であるとの見解を示した。

 特に、精神病院において患者への不当拘禁や虐待が蔓延している問題や、いわゆる代用監獄の問題、年間1万人が命を落とす過労死の問題、さらに、戦前の日本軍慰安婦問題について、「これまで別個の問題として解決に取り組んできたが、実は根がつながっている。全体が一体の構造的な問題と認識し、解決に取り組んでいく必要性を感じている」と述べた。

 「日本は、教育・メディア・文学も一体となって、朝鮮半島で行われた事実を歪めてきていないか」という岩上安身の問いに対し、中塚氏は、「『大本営発表』というと、満州事変以後のことと思っている人が多いが、実は、日清戦争の頃から行われていたこと」であり、江華島事件と王宮占領、東学党の乱などの例を挙げながら、日本軍による事実の隠蔽、公式戦史の偽造が行われたと明かす。

 また、「日清・日露戦争は、朝鮮を占領するための戦争だった。いっぽう、日本は『朝鮮は駄目な国』なので『我々が欧米列強から朝鮮を守る』という理由付けをし、歴史は次々に書き換えられてきた」と述べた。

 アニメなどの脚本家、推理小説家としても著名な辻真先氏に体験した戦前、戦時下の日本、そして、現在の政治や日本のいく末などをうかがった。辻氏は、時として、放送禁止用語も織り交ぜながら、忌憚なく語った。

 2011年2月10日、岩上安身が、自民党の新藤義孝衆議院議員にインタビューを行った。新藤議員は、歴史に残る硫黄島の戦闘を指揮した総司令官、栗林忠道陸軍大将の孫にあたる。自民党の国会議員として、長年、硫黄島での遺骨収集事業にも尽力してきた。

 インタビューの前半、新藤氏は遺族としての思いや、硫黄島の遺骨収集事業について語り、後半では民主党政権への評価や、日本の安全保障について触れ、「日本は、全面的な独立自尊はありえないだろう。外交と軍事力のバランスを取ること。しかし、軍事力は補完で、最終解決手段は外交だ」と力を込めた。

注目記事ピックアップ

 「私の慰安婦記事とは関係のない娘が、どうしてこんなことを書かれなければならないのか」

 元朝日新聞記者の植村隆氏による講演会が、2月17日、日本ジャーナリスト会議主催により東京都文京区民センターで開催された。

 講演会では植村氏の他、モンタナ州立大学准教授で文化人類学者の山口智美氏の講演も行われ、北海道新聞編集委員の往住嘉文(とこすみよしふみ)氏、日本新聞労働組合連合委員長の新崎盛吾氏も、この問題についての見解を述べた。

 2015年2月11日(水)、新潟市中央区の新潟ユニゾンプラザ大研修室にて、「新潟県平和運動センター 護憲フォーラムにいがた」主催による、「日本人の歴史認識を考える2.11にいがた平和集会『戦後70年 靖国参拝の何が問題か』」が開催され、『「戦後補償」を考える』『靖国参拝の何が問題か』の著者である弁護士の内田雅敏氏が講演を行った。

 「大逆事件とヘイトスピーチ」と題した講演会が1月26日、参議院議員会館で行なわれ、ジャーナリストの安田浩一氏が登壇した。

 安田氏は、1910年に明治天皇の暗殺を企てたとして12人の社会主義者が処刑された大逆事件と、ヘイトスピーチが蔓延する現在の社会背景を重ね合わせ、「もっともあってはならない暴力だ」と主張。ヘイトスピーチに関する法整備の必要性について言及した。

 「選挙はショック療法。国民は思考力を奪われている」「今は、日本がファシズムへの道を歩む瀬戸際」「自民党の改憲案は、憲法を使って庶民を躾(しつけ)てやるという世襲貴族のような感覚」──。秘密保護法施行前夜であり、衆院選の投票日が5日後に迫ったこの日、IWJ NIGHTのゲストからは安倍政権への批判が相次いだ。

 2014年12月9日、東京都渋谷区の代官山ユナイスにて、第38回ロックの会が開催された。第1部は排外主義と差別をテーマに、抗議行動の当事者らが、それぞれの立場からの取り組みを語った。第2部ではIWJ代表の岩上安身がコーディネーターを務め、IWJ NIGHTとして、経済アナリストの菊池英博氏、弁護士の海渡雄一氏、11月28日に岩上安身がインタビューを行った慶應義塾大学名誉教授の小林節氏、TPP問題に詳しいPARC事務局長の内田聖子氏、国際環境NGO「FoE Japan」理事の満田夏花氏をゲストに迎えた。

 1923年9月1日に発生した関東大震災にともない、6000人以上の朝鮮人が軍隊や市民によって虐殺された。政府が虐殺を煽動した証拠があり、当時の帝国議会でも議員による責任追及がなされたが、山本権兵衛総理が「目下調査中」と答えたまま現在に至るまで、政府による謝罪や調査、原因究明は行われていない。

 こうした状況を変えるために発足した「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」は日本政府に対し、「政府が関わった虐殺の真相を明らかにし、犠牲者の実態調査を行い、これらの関係資料を開示し、恒久的に保存すること」を求め、5000筆以上集めた請願署名を提出するとし、5月21日、参議院議員で集会を開いた。

 慰安婦問題に精通した中央大学・吉見義明教授、関東学院大学・林博史教授が4月10日(木)、日本外国特派員協会で記者会見をした。吉見・林、両氏は2007年4月17日にも日本外国特派員協会で会見を行っており、今回で2度目の会見となる。

 ドイツ人記者が、「米国政治関係者らの議論の間で、河野談話は公式なものではないのではないか、といった議論がある。この点をどう見ているのか」と質問すると、吉見教授は、「言うまでもなく、官房長官の名前で出されたものだから、公式なもの。はっきりしていると思う」と述べ、林教授も「河野談話を継承するという内閣の答弁書を閣議決定している。内閣として閣議決定している。極めて公的なものと考えている」と両氏共通の見解を語った。

 下村博文文部科学大臣は2月21日、3月26日の衆議院文部科学委員会で「村山談話は閣議決定されていない」などと答弁したことに関し、4月8日の記者会見でIWJの質問に答え、「これは事実誤認であった」として9日の同委員会で正式に訂正、お詫びをするとの方針を明らかにした。

 教科書検定基準の解釈をめぐっては、1995年8月15日に村山談話が閣議決定されていることから、「教科書検定基準において規定する、『閣議決定およびその他の方法により示された政府の見解』に該当する」と明言。「そういう位置付けとして、教科書会社においても判断をしていただきたい」とコメントした。

 東京都内の公立図書館などで、300冊以上の「アンネの日記」やホロコースト関連の書籍が破損された事件をうけて、3月8日、「アンネ・フランク・ハウス財団」が杉並区に本などを寄贈した。これまでイスラエル大使館や個人から関連書籍が贈られているが、今度はオランダから支援が届いた。

 アンネ財団が寄贈したのは、アンネの写真などが掲載された図録3,400冊と、アンネ一家が隠れ家として暮らした家の模型300個。重量にして8千キロにも及ぶという書籍や模型は今後、全国の図書館や学校へ贈られるという。

 都美術館は運営要綱で、「特定の政党・宗教を支持、または反対する」場合は、施設の使用を認めないと規定している。中垣氏の作品には、総理の靖国参拝や政府の右傾化を批判する文言が入っており、これが要綱に抵触すると判断されたという。

 規制され、一部を削除された作品は、何に触れ、どうして「アウト」と判定されたのか。その作品の存在によって、浮きぼりになった「制止線」とは何を縛ろうとしているのか。また、作者の中垣克久さんは、どのような意図や思いで作られたのか。お話をうかがうため、神奈川県・海老名にある中垣さんのアトリエにお邪魔した。

 東京都内を始めとする公立図書館で、300冊以上の「アンネの日記」が破られた事件をうけて、駐日イスラエル大使館と日本ユダヤ教団が、被害のあったすべての図書館に関連書籍を寄贈することを決めた。2月27日、駐日イスラエル公使らが杉並区役所を訪れ、報道陣で溢れかえった区長の部屋で、本の贈呈式と記者会見が行われた。

 ペレグ・レヴィ駐日イスラエル公使は記者会見の中で、イスラエル国内での反応について聞かれると、「日本は平和で温かい国という印象があるので、最初は誰もが驚いた。だが、一部の人間の行為であることを我々は理解している」と述べた

 靖国問題の世界的な専門家3人による記者会見が、2月5日、日本外国特派員協会で行われた。元外交官で、現在京都産業大学教授である東郷和彦氏は、会見の中で、昨年12月26日の安倍総理の靖国参拝を、「外交的な大失敗」だと断言した。

 東郷氏は、戦没者を祀る場としての靖国神社の歴史的意義を認めつつ、そのためには靖国神社の再構築が必要だという立場だ。再構築を阻む問題として、東郷氏は「戦争責任」と「遊就館(ゆうしゅうかん)」を挙げた。村山談話は侵略戦争については謝罪したが、戦争指導者が赤紙一枚で国民を兵隊として招集した責任について触れていないことが問題だと述べ、戦争指導者の戦争責任について日本の立場を明確にすべきだと語った。

 東京都内の公立図書館に所蔵されている「アンネの日記」や、ホロコーストに関する書籍のページが破られるという被害が相次いでいる。

 2月21日(金)時点での被害は、東久留米市、西東京市、武蔵野市、練馬区、中野区、豊島区、新宿区、杉並区の東京都西部の3市5区で、計294冊にのぼるという。「アンネの日記」以外の、破られた「ホロコースト関連の書籍」とは何か、書名はまだ判明していない。

 IWJでは、東京都内の各図書館から情報を収集している東京都図書館協会事務局(都立中央図書館内)の担当者に話を聞いた。担当者によると「被害の全体像は分からず、調査中」という。

 「これまで、個別の破損は色々とあったが、これほどの被害は聞いたことがない」とのことで、図書館協会事務局としても、まだ、今回の被害の全貌がつかめていない。

 立教大学池袋キャンパスで開かれた公開講演会「『国際協力』の今後の展望を語ろう~日本とグローバル社会で今、何が起きているのか」に、岩上安身が講師として登壇。安倍政権がつき進む軍事属国化の現状と、明治維新以降の日本の歴史を重ねあわせながら説明した。

 岩上安身は、明治維新後の侵略思想のイデオローグとして、福沢諭吉が社主を務めた「時事新報」の記事を紹介。「圧制もまた愉快なるかな」といった論説を示しつつ、「世界中で圧制をしきたいというのが明治の時代精神だった」と語った。

 重要資料については、可能な限り、引用された部分ではなく、原典を読むべき、とはよく言われるが、本当にその通りだとつくづく思う。昨今、「時事新報」の論説等について、真筆論争の起きている福沢諭吉であるが、その論説そのものをまとめて読んでいる。

 「福沢諭吉朝鮮・中国・台湾論集〜国権拡張脱亜の果て」杉田聡編(明石書店)。福沢の「脱亜論」等は評判が悪い、と聞いて、わかったような気になり、今さら当時の論説をわざわざ読み返さなくてもいいだろう、時代制約もあったろうし、と、思ってきた人(私もその1人)。読んでみた方がいい。

 12月26日午前、安倍晋三総理が靖国神社を参拝した。

 8月15日の終戦記念日、10月17日の秋の例大祭での参拝を見送っていたことから、昨日までの時点で、「年内の参拝は見送りの見通し」と報じられていた。従って、今回の参拝は、まさに”電撃的”であったと言える。

 内閣総理大臣の靖国神社参拝は、2006年8月15日、当時の小泉純一郎総理が参拝して以来、7年4ヶ月ぶりとなる。小泉政権以後、歴代の総理は、中国、韓国との関係改善を優先して参拝を見送ってきた。

 終戦から68年目を迎えた15日午前、東京都千代田区の靖国神社に、超党派の議員で構成される「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーが参拝した。参拝には自民党の高市早苗政調会長や、日本維新の会の平沼赳夫代表代行の姿が見られた。安倍内閣からは新藤義孝総務大臣、古屋圭司国家公安委員長がこれに参加し、午後には稲田朋美行政改革担当大臣も参拝するなど、3名の閣僚が相次いで参拝した。

 8月15日、東京・千代田区にある靖国神社には、朝から多くの参拝客が詰めかけた。この日、JR水道橋駅近くの全水道会館では、「ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8.15反「靖国」行動」と題した集会とデモがおこなわれた。

 会場の大会議室は満席となるほどの参加者約200名が集まり、安倍政権の歴史認識に対する批判の声を次々とあげた。従軍慰安婦問題に留まらず、米軍基地やオスプレイをめぐる日米関係の在り方を問う発言もあがった。

 「安倍政権は、オバマ大統領と一緒になって軍国主義化しようとしている。なぜ、日本人は、中国に敵意を持つのか。過去のことについて、誠意をもって謝罪したらどうか」

 2013年8月11日(日)18時30分より、東京都千代田区のレストラン「ALASKA」で開かれた、新外交イニシアティブ設立記念パーティー「オリバー・ストーンと語るもうひとつの日米関係」で、来日中のオリバー・ストーン監督はこのように語った。パーティーでは、ピーター・カズニック教授らも交え、日本と核、日米外交、歴史認識について、登壇者それぞれが違った見解を披露した。


 「私たちはもう被害に遭ってしまった。子どもたちに同じことが起きないように」ーー。

 日本軍による慰安婦被害者として、初めて韓国の金学順氏が名乗り出た8月14日を、「日本軍『慰安婦』メモリアル・デー」として国連登録を目指す人々は、11日、「国際シンポジウム歴史のねつ造は許さない!日本軍「慰安婦」メモリアル・デーを国連記念日に!! 」を開いた。

 「もはや核兵器は、軍事的な切り札ではない。タカ派のキッシンジャーやシュルツといった元国務長官たちですら『減らそう』と言うくらいだ。アメリカの目的は、陸海空、サイバー、宇宙空間での覇権なのだ」と、ピーター・カズニック教授は話した──。

 平和宣言では、田上市長が、今年4月にジュネーブで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会で提出された「核兵器の非人道性を訴える共同声明」に、日本政府が署名しなかったことを指摘。「被爆国としての原点に反します」と強く非難した。

 さらに、日本政府がインドとの原子力協定交渉を再開したことに対しても、「NPTを形骸化することになり」、また「朝鮮半島の非核化の妨げにもなります」と重ねて政府を批判。「日本政府に、被爆国としての原点に返ることを求めます」と繰り返し述べた。

 広島市は6日、原爆投下から68年目の朝を迎え、平和記念公園では、「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式(平和記念式典)」がとり行われた。

 広島市の松井一実市長は、平和宣言の中で、5人の被爆者の体験談を踏まえてその苦しみを語り、「終生にわたり心身を苛み続ける原爆は、非人道兵器の極みであり『絶対悪』です」と原爆を改めて否定。日本政府がインドと進めている原子力協定にも言及し、「核兵器を廃絶する上では障害となりかねない」と批判した。

 現在83歳で、東京都江戸川区原爆被害者の会(親江会)の会長を務める奥田豊治さんによる広島原爆と被爆体験について語られた。

 8月6日に、下関から広島に行くことになった奥田さんは、広島原爆が投下された3日後に何とか列車に乗り継ぎ、広島の街に辿り着いた。広島に着くと、街はまさに「べっしゃんこ」だったという。

 また、戦争の話や広島・長崎の原爆の話を中々しない人もいて、中には、崩れた建物の下敷きになった母親を置いて逃げてきたことがトラウマになり、体験談を語れずにいる人もいると明かした。

 2013年7月1日(月)18時、東京都千代田区の星陵会館において、「立憲主義から憲法を考える7・1集会」が開催された。集会では、「96条の会」を立ち上げた樋口陽一氏(東京大学名誉教授・東北大学名誉教授)と、1994年に三党連立政権(自民党・社会党・さきがけ)で首相を務めた村山富一氏が講演し、立憲主義の観点から憲法を守ることの大切さを訴えた。

 2013年6月30日(日)13時から、東京都渋谷区の女性センター・アイリスで「第10回『慰安婦』問題とジェンダー平等ゼミナール」が開かれた。今回は、中塚明氏(奈良女子大学名誉教授)の講演が中心となり、題目は「歴史を踏まえずして未来を語れるか ―江華島事件から『慰安婦』問題へ、そしていまの日本―」であった。

 橋下市長の慰安婦をめぐる発言に対し、大阪を中心に、各地で市民団体による抗議行動が行われています。5月27日に行われた外国人特派員協会での会見をもって幕引きをはかろうとした橋下氏ですが、同氏への批判は下火になる気配がありません。IWJはその模様を報じ続けてきました。

 2013年6月18日(火)17時から、東京都千代田区の衆議院第二議員会館において、「歴史認識 請求権 徹底論議!院内集会」と題する集会が開かれた。集会では、中央大学教授で歴史学者の吉見義明氏が、「歴史認識―日本軍『慰安婦』問題の本質は何か!」とのテーマで講演し、6月4日に橋下市長宛に提出した、慰安婦問題に関する公開質問状の内容を詳細に解説した。

 「この場は、文部科学大臣としての記者会見なので、私自身の見解を述べることは控えたい」――閣議後の定例会見で、自身の従軍慰安婦に関する認識について聞かれた下村博文文部科学大臣は、このように述べ、記者からの質問をかわした。

 24日の定例会見で、稲田朋美行革担当相が「慰安婦は合法だった」と発言。韓国外交部から抗議される事態に発展していた。下村大臣は、昨年11月、アメリカの地方紙に、稲田大臣とともに「従軍慰安婦の強制連行はなかった」「当時、公娼制度のもとで働いていた」とする意見広告を掲載した過去がある。IWJはこの点を踏まえ、下村大臣の認識を聞いたが、大臣の口から明確な回答が語られることはなかった。

 日本軍による慰安婦の強制連行を認め、謝罪と反省を表明した「河野談話」について、新藤義孝総務大臣は、政府の方針をそのまま踏襲し、継承していく考えを示した。31日に行われた閣議後の記者会見でIWJからの質問に答えた。

 昨年11月4日付の米国ニュージャージー州の地元紙に掲載された「河野談話」の内容を一部否定する意見広告に、新藤総務相は賛同者として名を連ねていた。この意見広告は、日本軍による強制性を否定した上で、「(慰安婦は)公娼制度の下で働いていた」などと日本政府の責任を否定する内容となっている。

 「戦時中、慰安婦制度は、悲しいことではあるけれども、合法であったということは事実だと思う」――先日、橋下徹大阪市長の慰安婦をめぐる一連の発言に関して「慰安婦制度は女性に対する重大な人権侵害だ」と述べた稲田朋美行政改革担当大臣は、この日の定例会見で、戦時中、従軍慰安婦制度は合法だったとの見方を示した。

 稲田大臣は「合法だという言い方をすると、人権侵害ではないと受け止められるかもしれない。しかし、今であろうと戦時中であろうと、(慰安婦制度が)女性に対する人権侵害であることに変わりはない」と語り、慰安婦制度は合法でありつつも女性の人権を犯すものであるとの見解を示した。

 東京大学名誉教授和田春樹氏は、「1942年には、朝鮮や台湾から700人の女性が日本軍による要請でビルマに送られた。中国やフィリピンでは、日本軍が現地の女性を拉致監禁し、相当期間、性的行為を強制したケースが、多く報告されている」とし、適切な謝罪と賠償をすべきであるとの認識を示した。2013年4月4日12時30分、東京都千代田区の日本外国特派員協会(FCCJ)で行われた記者会見、「河野談話の見直しについて」で西尾幹二氏、鈴木邦男氏(一水会最高顧問)、和田春樹氏が、それぞれの意見を語った。

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 我々、戦後世代が、教科書で習ってきた「歴史」には、戦前・戦中世代が受けた「皇民化教育」ほど偏ったものではないにせよ、それでもなお、事実を直視してきたとは言いがたいバイアスがかかっている。近い過去なのに、実は明治維新以降の歴史でも、いまだ未解明の闇が残されていたりする。

 現在の日本のありようにまで続く近代日本史にかかった「神話」のベールの最たるものは、「輝ける明治」という「神話」であろう。1931年(昭和6年)の満州事変以降、日本は泥沼の日中戦争に深入りし、あげく米英とも開戦して破滅した。軍部が暴走した「昭和の悲惨」と対置して、「それに比べて明治は偉大だった」と懐旧する構図が、すっかり定着してしまっている。

 過去の罪を素直に認める者に対し、「自虐史観」とトンチンカンな非難を繰り出す愚か者がいる。開き直りのあとに抗議を受けては謝罪を繰り返すという「自爆」を性懲りもなく繰り返す者こそ「自爆史観」の持ち主と呼ばれるべきである。

 どんな人間であれ、どんな国であれ、自らが振るった暴力の忌まわしい過去を喜々として思い出し、自ら吹聴して回りたいものなどいるわけがない。それは人の情である。

 しかし、忘れてしまいたい恥ずかしい過去を本当に忘れてしまうのは、「痴呆」である。

メルマガIWJウィークリーより一部記事公開

 夏になると、ニュースが、こぞって取り上げる問題がある。

 政治家の、靖国神社参拝をめぐる去就である。

 第二次安倍政権では、これまで、麻生太郎副総理、古屋圭司拉致問題担当相、新藤義孝総務相、根本匠復興相、稲田朋美行革相、下村博文文科相の6人が、政権発足後、参拝を行った。このなかで、稲田行革相が、8月15日にあらためて参拝する意向を表明している。

 「歴史認識」は、実は参院選の重要な争点である、というと、ピンとこないという人も多いかもしれません。景気対策や原発政策、TPPの議論などと比べると、暮らしに直結するわけでもなく、急を要するわけでもない。重要度や緊急性は他の争点に比べて格段に落ちるように思われます。各党の主張も見えにくく、活発な議論がされていないような印象を持たれるかもしれません。

 しかし、過去の歴史認識でどのような立場をとるかということは、現在の日本が、明日に向かってどのような方向に進むのか、その結果、近隣諸国との関係はどうなるか、外交や安全保障の問題、また憲法改正の論議とも直接・間接的につながります。今回の参院選の隠れた争点として、もっと注目されるべきポイントであろうと我々は考えます。

 ソウル。季節はたしか春だったと思う。2005年であったことは間違いない。

 一部政治家による歴史修正主義的な発言や、閣僚の靖国参拝などで、日韓の歴史認識が政治問題化されるだび、私はいつも、あるひとつの光景を思い出す。