慰安婦関連の記事「事実誤認はあったが捏造ではない」と結論付けられたが、バッシングは増えていた――元朝日新聞記者・植村隆氏が必死の訴え 2015.2.17

記事公開日:2015.2.20取材地: テキスト動画
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(IWJ・薊一郎)

特集 戦争の代償と歴史認識
※2月20日テキスト追加しました!

 「私の慰安婦記事とは関係のない娘が、どうしてこんなことを書かれなければならないのか」

 元朝日新聞記者の植村隆氏による講演会が、2月17日、日本ジャーナリスト会議主催により東京都文京区民センターで開催された。

 講演会では植村氏の他、モンタナ州立大学准教授で文化人類学者の山口智美氏の講演も行われ、北海道新聞編集委員の往住嘉文(とこすみよしふみ)氏、日本新聞労働組合連合委員長の新崎盛吾氏も、この問題についての見解を述べた。

■ハイライト

  • 講師 植村隆氏(元朝日新聞記者、北星学園大学非常勤講師)
  • 日時 2015年2月17日(火) 18:30〜
  • 場所 文京区民センター(東京都文京区)
  • 主催 日本ジャーナリスト会議(JCJ) (詳細

「植村は吉田証言については一本も記事を書いてません」

 講演で植村氏は、朝日新聞社による従軍慰安婦に関する主な報道を①吉田清治証言、②慰安婦施設への軍の関与、③韓国での元慰安婦名乗り出、の3つに分け、それぞれに自分自身がどのように関わったかを解説した。

 第1の吉田証言については、「植村は吉田証言については一本も記事を書いてません」と明確に否定。

 2つ目は、1992年1月の慰安所設置に軍が関与したという朝日新聞のスクープ記事だ。植村氏は、これについても、「これは東京社会部の記事だ。私は当時大阪社会部にいた。調べればすぐわかること」と、これについても無関係であると主張した。

 3つ目は、韓国での元従軍慰安婦名乗り出についての記事で、これの第1報となったのが、1991年8月11日の「思い出すと今も涙」と題された、元慰安婦だった金学順さんの名乗り出についての植村氏の署名入り記事だ。

 「これは植村の仕事です」と語り、従軍慰安婦関連で植村氏が関与したのは、元慰安婦名乗り出に関するものと限定した上で、植村氏はこの記事が「本当に捏造だったのか」を検証していった。

「私の記事は本当に捏造記事と言って過言ではないのでしょうか」

 1991年8月11日の元慰安婦金学順さんの名乗り出についての植村氏の記事は、冒頭で次のように書かれている。

 「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり、『韓国挺身隊問題対策協議会』が聞き取り調査を始めた」

 記事のこの部分について、東京基督教大学教授の西岡力氏は、週刊文春(2014年2月6日号)の記事の中で、「植村記者の記事には、 『挺身隊の名で戦場に連行され』とありますが、挺身隊とは軍需工場などに勤労動員する組織で慰安婦とは全く関係ありません。しかも、このとき名乗り出た女性は親に身売りされて慰安婦になったと訴状に書き、、韓国紙の取材にもそう答えている。植村氏はそうした事実に触れずに強制連行があったかのように記事を書いており、捏造記事と言っても過言ではありません」と述べている。

 「私の記事は本当に捏造記事と言って過言ではないのでしょうか」

 植村氏は会場の参加者に問いかけた。

「従軍慰安婦」を意味していた「女子挺身隊」

 「当時、韓国では、女子挺身隊はそのまま従軍慰安婦を意味していた。日本メディアもそのように使っていた」と植村氏は主張。例として、日本のメディアでたった1社、金学順さんの単独インタビューに成功していた北海道新聞による1991年8月15日の記事を引用した。

 さらに植村氏は、「女子挺身隊」=「従軍慰安婦」という図式で報じられた記事として、朝日・読売・毎日など8件の記事が列記してある講演資料を配布した。

 週刊文春の記事については、西岡氏は「強制連行」という言葉を使っているが、植村氏は「連行」とは書いたが、「強制連行」とは書いていないとし、「これで捏造記者と言われたら、立つ瀬がない」と訴えた。

「私の慰安婦記事とは関係のない娘が、どうしてこんなことを書かれなければならないのか」

 昨年2014年12月に発表された、朝日新聞第三者委員会報告書では、1991年の植村氏の記事には、「女子挺身隊の名で連行された」いう部分において事実誤認があったが、「1980年当時、韓国では従軍慰安婦問題は一般に『挺身隊問題』と呼ばれた」、「『挺身隊』を『慰安婦』と混同する不明確な表現が朝日に限らず多く見られた」と述べられている。

 ところが植村氏は、「去年の朝日新聞の検証記事で、植村の記事は事実誤認はあったが、捏造ではないと結論された。これでバッシングが減るかと思ったら、却って増えてしまった」と言う。

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