ヘイトスピーチと戦い、集団的自衛権行使を容認する閣議決定に憤る泥憲和氏。泥氏は、従軍慰安婦問題にも関心を持ち、独自に史料を集め、練り上げた議論を自身のFacebookで発表してきた。
9月10日、泥氏は岩上安身のインタビューに応え、「史料に基づいて出てくる単純な結論だけをネットに上げています」と自身の取り組みについて話した。単なる論駁に走らない泥氏は、慰安婦とされた女性たちが人身売買の犠牲者であったことを、史料を示して論証する。
(IWJ・藤澤要)
特集 戦争の代償と歴史認識
ヘイトスピーチと戦い、集団的自衛権行使を容認する閣議決定に憤る泥憲和氏。泥氏は、従軍慰安婦問題にも関心を持ち、独自に史料を集め、練り上げた議論を自身のFacebookで発表してきた。
9月10日、泥氏は岩上安身のインタビューに応え、「史料に基づいて出てくる単純な結論だけをネットに上げています」と自身の取り組みについて話した。単なる論駁に走らない泥氏は、慰安婦とされた女性たちが人身売買の犠牲者であったことを、史料を示して論証する。
■イントロ
「慰安婦は性奴隷として扱われていた」というのが国際社会の共通理解だ。今年7月の国連自由権規約委員会での日本審査を踏まえ作成され、日本政府に対する重要な勧告を含む報告書でも、「『慰安婦』たちに対する性奴隷慣行」という項目が設けられている。
しかし、「慰安婦はいなかった」と主張する人びとは、決まって「性奴隷ではなかった」ことをその根拠に挙げる。「『彼女たちは、無理矢理連れてこられたのではない』『彼女たちは、ちゃんと給料も貰っていた』『借金も返せば、辞めることもできた』。こういうことを根拠に『奴隷ではない』と言うわけです」。泥氏はそう説明する。
しかし、これに従うならば、江戸時代の遊女も同じように奴隷でなかったことになる、と泥氏はこのような論法に疑問を呈する。「江戸時代の遊女たちも、無理矢理連れてこられたわけではないし、お金も貰えていた、借金さえ返せば身請けができた」。
ところが、明治政府の見解は違う。このような境遇にある遊女たちを、明治政府は人身売買の対象だと見なしていた。「芸娼妓解放令」と呼ばれる、明治5年に出された太政官布告第295号を、泥氏は次のように解説する。
「人身を売買することは古来から禁じられているのに、年季奉公など色々の名目を使って、実際には人身売買同様のことをしている。これは、いかんよ、としているわけです。だから、そういった詐欺契約で得たお金は、盗難金とみなす。だから(被害者は)返済しなくてよい、という理屈です」。
「慰安婦は性奴隷ではない」とする人びとの主張は、すでに100年以上も前に通用しないものとなっていたのだ。
「奴隷というのは、人間が人間じゃなくなり、モノ扱いされてしまうことです。ひどいときには、売り買いをされたり、担保の目的物となったり。人身の自由を失ったら、これは奴隷です。
どんなに貧しくても、身ぐるみ剥がされても、最後、自分の体は、自分のものですね。それが自分のものではなくなってしまう。それが、奴隷です」。
明治33年に「娼妓取締規則」が発布される。この規則によれば、娼妓として仕事をする女性に、「契約破棄の権利」と「廃業の自由」が認められていた。
この規則について泥氏は、「届けさえすれば辞めることができた。ただし、借金は残っています。売春以外の方法で借金を返すことができなければ、絵に描いた餅ではありました」と説明する。
建前ではあるが、「廃業の自由」が認められた。泥氏によれば、これを根拠に、「明治政府も、昭和政府も、『我が国には人身売買制度がなかった』」とする立場をとってきたのだという。
ひるがえって、慰安婦とされた女性たちに「廃業の自由」はあったのか。泥氏は、それすらもなかったことを、史料を用いて説明する。
「『馬来(マレー)軍監区』が作成した、『慰安婦施設及旅館業遵守規則』という史料が残っています。その第13条には、次のようにあります。 『営業者および稼業婦にして廃業せんとするときは、地方長官に願い出てその許可を受けるべし』
つまり、(廃業を)届出制ではなく、許可制にしてしまったのです。もうこの規則一つで違法ですね。廃業の自由があって初めて、『人身売買でない』、と言えた。ところが、許可制にしてしまった以上、慰安婦契約は人身売買じゃないか、ということです」
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「自分の体は、自分のもの」その権利を奪われた慰安婦は性奴隷 ~岩上安身による元自衛官・泥憲和氏インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/168087 … @iwakamiyasumi 右とか左は関係なく、人間の尊厳とは何か?を訴えかける泥さん。ここにはユーモアと溢れる愛がある。
https://twitter.com/55kurosuke/status/515126894660820992