ストーン監督「日本は過去のことを中国に、誠意をもって謝罪したらどうか」 ~新外交イニシアティブ設立記念パーティー「オリバー・ストーンと語るもうひとつの日米関係」 2013.8.11

記事公開日:2013.8.11取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「安倍政権は、オバマ大統領と一緒になって軍国主義化しようとしている。なぜ、日本人は、中国に敵意を持つのか。過去のことについて、誠意をもって謝罪したらどうか」

 2013年8月11日(日)18時30分より、東京都千代田区のレストラン「ALASKA」で開かれた、新外交イニシアティブ設立記念パーティー「オリバー・ストーンと語るもうひとつの日米関係」で、来日中のオリバー・ストーン監督はこのように語った。パーティーでは、ピーター・カズニック教授らも交え、日本と核、日米外交、歴史認識について、登壇者それぞれが違った見解を披露した。

■ハイライト

<登壇者>

  • オリバー・ストーン氏(映画監督)
  • ピーター・カズニック氏(アメリカン大学教授)
  • 藤原帰一氏(新外交イニシアティブ理事、東京大学教授)
  • 猿田佐世氏(新外交イニシアティブ事務局長、弁護士)

 冒頭、新外交イニシアティブの理事を務める藤原帰一氏が、「外交というと、日米関係、東アジアとお決まりの言葉が繰り返される。自分たちは、今までの日米関係で出来なかったことの検証と、提言を行なっていきたい」と挨拶をした。

 同理事の猿田佐世氏は「以前、ワシントンD.C.で外交の一端を垣間見たとき、一面的議論に終始している印象を受けた。しかし、国内では多種多様な議論、意見がある。それらを少しでも外交の舞台に反映させることができないか、という思いから、このシンクタンクを発足させた」と語った。

 オリバー・ストーン監督は、広島と長崎を訪れた感想を、次のように話した。「すばらしい経験をした。被爆者たちの数奇な運命と、戦後のストーリーなども印象的だった。放射能被爆の影響、差別など、社会的処遇の実態も知ることができた。また、広島と長崎の原爆資料館も、とても勉強になった」。

 「岡まさはる記念長崎平和資料館では、1931年(満州事変)からの中国、東アジア諸国などへの侵略戦争に関する特別展示も印象的だった。当時、こういう情報は隠蔽されていた。アメリカでも、ヨーロッパ戦線はソ連のおかげで勝利したことを国民に隠した。同じように、原爆が戦争を集結させたという神話を、人々に信じ込ませている。今回、被爆者たちに会ったことで、歴史の真実を知り、それを検証し伝えていくことが、文明の証しにつながっていくと痛感した」。

 ピーター・カズニック教授がマイクを握り、「自分は、1995年から、学生たちを広島、長崎へ連れて行き、原爆の真実を見せている。それで人生が変わった、という学生もいる。中でも、被爆者たちとの会話が一番の重要イベントになっていて、この会場にも、日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳事務局長に来てもらっている。真実を風化させないという点において、広島、長崎の被爆者たちの活動は、オリバーと自分が進めてきた仕事にも通じている」と話した。

 続けてカズニック教授は、自分の好きな黒澤明監督の『八月の狂詩曲』で、過去を忘れてしまったことを指摘する1シーンを例に挙げ、「われわれは、現在のことばかりにとらわれすぎて、過去に興味を失っている。それは、将来にも興味を失うことと同じ意味ではないか」と語った。

 さらに、ストーン監督との共著について、「『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』の内容は、ニューヨークタイムズなどのトップを飾っていたものばかりだ。現在は、あまりにも歴史認識が足りない。35%のアメリカ国民は、日本への原爆投下を知らなかった。さらに、20代のアメリカ人の51%が、ベトナム戦争に肯定的だった。歴史認識は、文明の絆の横軸になるもの。自分たちは、嘘で固められた帝国の歴史に対抗している」と主張した。

 それを受けて藤原氏が、『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』から、原爆投下が世界大戦を終結させたという嘘について、補足説明をした。そして、今回、ストーン監督とカズニック教授の来日が、大々的にマスコミに取り上げられていることについて、「良い点は、原爆をめぐる真実が大勢の人に知らされること。しかし、それが語られて、他の事実が隠蔽されてしまうことには、注意しなければならない」とした。

(…会員ページにつづく)

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