東京都内の公立図書館などで、300冊以上の「アンネの日記」やホロコースト関連の書籍が破損された事件をうけて、3月8日、「アンネ・フランク・ハウス財団」が杉並区に本などを寄贈した。これまでイスラエル大使館や個人から関連書籍が贈られているが、今度はオランダから支援が届いた。
(IWJ・ぎぎまき)
特集 戦争の代償と歴史認
東京都内の公立図書館などで、300冊以上の「アンネの日記」やホロコースト関連の書籍が破損された事件をうけて、3月8日、「アンネ・フランク・ハウス財団」が杉並区に本などを寄贈した。これまでイスラエル大使館や個人から関連書籍が贈られているが、今度はオランダから支援が届いた。
■ハイライト
アンネ財団が寄贈したのは、アンネの写真などが掲載された図録3,400冊と、アンネ一家が隠れ家として暮らした家の模型300個。重量にして8千キロにも及ぶという書籍や模型は今後、全国の図書館や学校へ贈られるという。
オランダから来日中のアンネ財団教育プロジェクト部長の、ヤン・エリック・ダブルマン氏は、「戦争直後、『アンネの日記』の出版には誰も興味を示さなかった中、最初に興味を示した国の1つが日本だった。これは、私たちからのお礼でもある」と財団として過去最大の寄付に踏み切った理由を話し、また「財団と日本の友好関係を示すことは、アンネの父親、オットー・フランクが残した遺産を継ぐことでもある」と説明した。
今回、アンネ財団が訪日した理由は他にもある。財団は今後、福島県立医科大学と共同で教育プログラムを立ち上げることが決まっている。詳細はまだ未定だが「過酷な環境の中でいかに希望を持っていきるか」という心のケアに焦点をあてた内容になるという。
杉並警察署内に「アンネの日記破損事件」の捜査本部が設置されて一週間以上が経った。引き続き捜査が進められているが、進展は見られない。田中良杉並区長は記者会見で、「もし組織的、思想的な犯罪であれば、それは歴史や民主主義に対する挑戦。ひるむことなく受けて立って、毅然と対応したい」と述べた。
「田中区長は人種差別には反対か」ーー。
IWJが質問すると田中区長は、「当たり前じゃないですか。言うまでもなく反対です」と即答。新大久保などで発見されている在日韓国や朝鮮人をターゲットにした差別的な落書きについて聞くと、「もし杉並区内で見つかった場合、放置はできない。消すとか、落書きの犯人が分かれば警察と協力して追及する」と述べ、「差別や排外主義を助長させていくようなことはあってはならない。あちこちで出てきているのは、注意していかなければいけないと思う」と話した。