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【特集】「朝鮮人を殺せ」と叫ぶ排外デモ――高揚する歪んだナショナリズムの正体とは~IWJが追ったヘイトスピーチ問題

 「いい朝鮮人も、悪い朝鮮人も、みんな殺せ!」――。東京の新大久保や、大阪の鶴橋といったコリアン・タウンで、在日朝鮮人の人々を口汚く罵る「ヘイトスピーチ」が垂れ流されている。中心となっているのは、「在日特権」なるものが存在すると主張し、その撤廃を求める団体・「在特会(在日特権を許さない市民の会)」だ。

 当初、このようなヘイトスピーチは、ただただ垂れ流されるばかりだった。しかし、次第に、これ以上は放置できないとする「カウンター」の動きが現れ始めた。「カウンター」の人々は、「仲良くしようぜ」といったプラカードを掲げて沿道を埋めつくし、ヘイトスピーチを行う在特会への抗議を行った。

 「カウンター」の動きは、政治家やジャーナリストら、有識者をも動かすことになる。民主党の有田芳生参議院議員は、このヘイトスピーチ問題の解決を図るべく、院内集会を積極的に開催。『ネットと愛国~在特会の「闇」を追いかけて』で講談社ノンフィクション賞を受賞したジャーナリストの安田浩一氏や、新右翼・一水会最高顧問の鈴木邦男氏らと連携しながら、この問題に対して警鐘を鳴らしてきた。

 IWJは、カウンター行動が盛んになった当初から、本格的にヘイトスピーチ問題を取材。在特会側の醜悪なヘイトデモと、在特会側よりもはるかに大勢が声を上げたカウンター側の行動、さらに市民がヘイトスピーチ問題の解決を訴え、差別のない世界を願って開催した「東京大行進」など、院内集会や講演会に限らず、様々な取材を行ってきた。

 以下、多数あるアーカイブ動画の中から、選りすぐりのものをピックアップ。ヘイトスピーチ・排外差別デモ問題の核心とは何か。そして、現場では実際にどのようなことが起こっているのか。ぜひ、ご覧いただきたい。

目次

  1. 岩上安身インタビュー
  2. 注目記事ピックアップ
  3. 在特会による排外差別デモとそれに対する抗議の様子

岩上安身インタビュー

『九月、東京の路上で~1923年関東大震災 ジェノサイドの残響』著者、加藤直樹氏に岩上安身がインタビュー。関東大震災に際し、朝鮮人への虐殺が行われた東京各所でロケを敢行しました。

 3月26日、新大久保の「のりこえねっと」事務所で、同団体の共同代表である辛淑玉(シン・スゴ)氏に岩上安身がインタビューを行った。

 在日朝鮮人、原発事故避難民、被災地の自治体職員、アジアからのニューカマーの女性など、差別の対象としてされた人々に様々なかたちで寄り添ってきた辛氏。在日朝鮮人に対する排外差別デモやヘイトスピーチの高まりによって、コリアンタウンとして知られる新大久保は、朝鮮半島を南北に切り裂く「38度線になった」と辛氏は語る。

 インタビューでは、ヘイトスピーチ参加者と「一緒に生きていこう」とする辛氏の前向きな姿勢が語られ、辛氏から「食事会をしよう」という呼び掛けが行われた。

 民主党の有田芳生(ありた・よしふ)参議院議員が、東京都新宿区の新大久保などで排外差別デモを行なっている在特会(在日特権を許さない市民の会)などに対して、訴えを起こす意向を初めて示した。16日行われた岩上安身によるインタビューの中で明らかにした。

 日本一の歓楽街・新宿歌舞伎町の横を、東西に走る職安通り。その向こう側に広がる大久保のコリアンタウンでは、今、排外デモの過激化により不穏な空気が漂っている。この状況を問題視したIWJは、2013年4月6日(土)、緊急特番を編成。安田浩一氏、木野トシキ氏らをスタジオに招いて討議を行った。外部との情報共有をシャットアウトして、妄信的に行動する在特会らに対し、岩上安身は「在特会はオウムにも似ている」と形容し、安田氏は「一歩間違えれば『水晶の夜』になりかねない」と警鐘を鳴らした。また、木野氏らによるカウンター行動には、希望を見い出す声も聞かれた。

注目記事ピックアップ

 「大逆事件とヘイトスピーチ」と題した講演会が1月26日、参議院議員会館で行なわれ、ジャーナリストの安田浩一氏が登壇した。

 安田氏は、1910年に明治天皇の暗殺を企てたとして12人の社会主義者が処刑された大逆事件と、ヘイトスピーチが蔓延する現在の社会背景を重ね合わせ、「もっともあってはならない暴力だ」と主張。ヘイトスピーチに関する法整備の必要性について言及した。

 差別やヘイトスピーチの根絶を訴えるデモ「東京大行進2014」が今年も行われた。差別のない未来をこどもたちへ託そうというテーマのもと、約2800人(主催者発表)の参加者が東京・新宿駅の周辺を練り歩いた。昨年に続き、二度目の開催となった。

 国連人種差別撤廃委員会の元委員、パトリック・ソーンベリー氏が10月23日(木)、大阪市のエル・おおさかで講演を行った。

 ソーンベリー氏は国際法の専門家。2014年2月まで13年間、人種差別撤廃委員会の委員を務めた。人種差別撤廃委員会は、同年8月の日本政府報告審査で、ヘイト・スピーチの法的規制を求める勧告を出している。

 「ヘイトスピーチ」規制を検討している大阪市長の橋下徹氏と、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」会長の桜井誠氏が、10月20日(月)、大阪市役所で意見交換会を行った。しかし、対面は冒頭から、「お前なあ」「お前とはなんだ!」などといった発言が飛び交い、両者が立ち上がってつかみ合いになりそうな場面も見られた。

 橋下氏は桜井氏に対し、「お前の主張は国会議員に言え」「統一地方選に立候補しろ」などと、政界入りを促したが、桜井氏は「私は政治に興味がないんだ」と返答した。

 「在特会(在日特権を許さない市民の会)」は、今や国連からも、米国務省からも、ヘイトスピーチ集団として特定され、名指しで非難されており、日本政府は、その差別的煽動活動の規制を要請されている。「Zaitokukai」という名称はそのまま海外のメディアで報じられ、悪名がとどろきわたるまでに至っている。

 その在特会の幹部と、あろうことか全国の警察官の頂点に立つ現職の国家公安委員長につながりがあった。これが事実ならば、空前のスキャンダルのはずである――

 国家公安委員長・拉致問題担当大臣の山谷えり子氏が9月25日、日本外国特派員協会で記者会見を行った。29日に開催される中国の瀋陽での日朝局長級協議を前に、拉致問題担当相としての取り組みについて述べた。

 一方、会見場に集まった記者の質問は、取り沙汰されている山谷氏と在特会を巡る問題に集中。ヘイトスピーチ、ヘイトクライムに対し、国家公安委員長としてどのような認識を持っているのかを問う質問も相次いだ。

 高市早苗総務相は9月12日、閣議後の定例会見で、欧州のメディアや米国のユダヤ人団体「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」などが、高市氏と極右団体代表によるツーショット写真の存在を批判したことについて、「(写真の撮影は)不可抗力だった」と釈明した。

 写真は、男性が代表を務める「国家社会主義日本労働者党」のホームページに掲載されていた。ホームページには、ナチス・ドイツの「かぎ十字」や、外国人流入阻止などの主張が踊っている。高市氏の他に、自民党の稲田朋美政調会長、西田昌司参議院議員と撮影した写真も掲載。写真は議員側の抗議により、現在は削除されている。

 「今、起きているヘイトスピーチの原点は関東大震災だ」ーー。

 1923年9月に起きた関東大震災の混乱の中で、「朝鮮人が放火している」「井戸に毒を投げている」という流言蜚語を信じた人々が、数千人の朝鮮人や中国人を無差別に虐殺した。あれからちょうど91年が経った9月6日、虐殺現場の一つ、墨田区八広の荒川河川敷で、33回目となる犠牲者追悼会が行なわれた。

 国連人種差別撤廃委員会は8月29日、日本政府に対し、「ヘイトスピーチ」を規制する法整備を進めるよう勧告。公人や政治家によるヘイトスピーチについても、懸念を示した。

 これを受け、スイス・ジュネーブで開かれた同委員会の対日審査を傍聴した国会議員および、NGOのメンバーら6人が9月2日、参議院議員会館で報告会を開き、審査会の様子について報告したほか、勧告の中身について各自の見解を述べた。

 「新大久保での人種差別デモ(ヘイトデモ)は、昨年(2013年)の9月8日を最後に、その後は行われていません。一時期のひどいヘイトデモの嵐は過ぎ去ったかのように思えますが、実は姿を変え、新大久保の街に住み、あるいはお店を営まれている方々を、傷つけ続けています」

 2月26日、排外差別デモに反対するカウンター行動の1つとして、新たに「差別らくがき消し隊」が発足した。プレスリリースに書かれたこの一文の通り、2013年9月上旬以降、新大久保でのヘイトデモは行なわれていない。しかし、ちょうどその頃から、「死ね」「消えろ」「祖国へ帰れ」といった在日韓国・朝鮮人を対象にした醜悪な差別落書きが、新大久保の街で見られるようになったという。3月2日、「差別らくがき消し隊」は広く参加者を募り、第1回目となる「新大久保大掃除の日」が行われた。

 世界人権宣言が国連で採択されてから65年という節目を記念して、10日、差別を許さないネットワークの構築を目指す東京集会が開かれ、在特会(在日特権を許さない市民の会)を長年取材してきたジャーナリストの安田浩一氏が講演を行った。

 安田氏は、反アパルトヘイト運動に身を投じ、27年間の獄中生活から釈放された後、大統領の座に就任したマンデラ氏による新政権の現場を取材するため、95年、南アフリカ・ヨハネスブルグを訪れた。取材先の一つ、「ソエト」という貧困地域は、白人政権が黒人らを強制的に居住させていた町で、麻薬、殺人、暴行が横行していた。安田氏は恐怖心から、ソエトでの取材を躊躇したというが、同行したソエト出身のカメラマンの友人や家族と出会っていく中で、「自分を恥じた」と語った。取材中、「恐い経験は何一切なかった」からだ。

 「ヘイトスピーチ」の場合、「表現の自由を侵害してしまうのはよくない」として、法規制に慎重論がとられることが多い。なぜか。現行法にも、例えば侮辱罪・脅迫罪といった「表現を規制する法律」は存在するというのに。

 では、在特会らによるヘイトスピーチなどの差別・排外運動に対し、日本社会はどのように立ち向かうべきか。11月28日、民主党・有田芳生参議院議員などの呼びかけによって、第3回目となる「差別撤廃国会集会」が議員会館で開かれた。

 「7ヶ月前、新大久保の排外デモの酷さに声も出せずに泣きました。酷い言葉で埋め尽くされた町を笑顔で上書きしましょう」ーー。

 開会式でこのように話したのは、ライターであり自身も在日韓国人の李信恵氏。9月22日、ヘイトスピーチを始め、人種や国籍などあらゆる差別に反対する集会とデモ「差別撤廃東京大行進」が行われた。

 新大久保駅周辺で行われた東京韓国学校無償化反対の排外差別デモに対し、8日、デモ参加者の数を上回るカウンター市民らが集まり、デモを阻止するための抗議行動を行った。

 2013年7月9日(火)12時30分から、東京都千代田区にある日本外国特派員協会で、鈴木邦男氏(一水会最高顧問)と有田芳生氏(参議院議員)が記者会見を開き、東京・大久保や大阪・鶴橋などで展開されている、在日コリアンの排除を掲げる憎悪表現(ヘイトスピーチ)デモについて語った。有田氏は「世論の力や安倍首相の発言でデモの肥大化に歯止めがかかったが、終息させるには、さらなる一手が必要」と話した。

 「他人の人権を侵害してまで、『表現の自由』は保障されない」。差別主義者・排外主義者によるデモに抗議する国会集会の第二回目が開かれ、スピーカーの一人である師岡康子氏はこう語った。

 第一回が開催されたのは3月中旬。この2ヶ月の間、朝日新聞やTBSといった大手メディアが排外デモについて報道するなど、世論の高まりが見られた。デモ主催者も、参加者が持参する「殺せ」、「吊れ」などと書かれたプラカードを掲げさせないなど、表現を自粛する動きも伺える。しかし一方で主催者自らが、「腹を切れ」、「ホロコーストをするぞ」といった過激なコールを先導。悪質な排外主義的言動は規制されることなく、未だに主催者の意のままである。

 「わたしの友だちに手をだすな!」

 東京、新大久保駅などで行われている差別デモとカウンターの抗議行動を、IWJは最近、重点的に取材し、報じている。同様のデモは、大阪・鶴橋などでも行われていた。2013年4月20日、京都の烏丸御池、四条河原町で、「在特会による街宣と、それに対するカウンターの抗議行動」が行われたことに合わせ、IWJは東京から記者を派遣し、生中継でお伝えした。この日の模様を、報告する。

 2013年3月14日(木)16時から、東京都千代田区の参議院議員会館講堂で「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会」が行われた。東京や大阪のコリアンタウンでの、「行動する保守」を自称する市民団体らの排外デモを、有田芳生参議院議員が問題視。現行法では取り締まることのできない、「韓国人を射殺せよ」「朝鮮人は首を吊れ」などの過激なヘイトスピーチに対する法整備の必要性や、「行動する保守」参加者の実態について、登壇者らは発言を行った。一水会最高顧問の鈴木邦男氏は「在特会らの排外デモは、公安が余らせた予算、人員の使い道として意図的に放置している」と指摘。「警察が意図的に排外デモをやらせている」と明かした。

在特会による排外差別デモとそれに対する抗議の様子

 昨年に続き、2度目となる差別撤廃を訴えるデモ「東京大行進2014」が新宿で開催された11月2日、同じ時刻に合わせ、上野駅周辺では、在特会主催によるヘイトデモが行なわれた。このデモは、在特会の桜井誠会長の著書を宣伝する名目で開催されたものの、参加者からは特定の国籍を名指しして「抹殺しろ」など、差別を煽動するヘイトスピーチが繰り返された。

 「ついに来たか、西新井にも」ーー。

 突如、街中に現れたデモ隊を見つめていた地元在住の男性は、IWJの取材に対しこのように答えた。

 2013年11月10日、東京都足立区で初となる排外差別デモが行われ、保木間公園を出発した約30人のデモ隊はシュプレヒコールを唱えながら西新井駅に向かった。デモの呼びかけ文には、以下のような趣旨が書かれている。

 在特会らによる街宣は「人種差別」――。

 在日特権を許さない市民の会(在特会)らが09年、京都の朝鮮初級学校(幼稚園、小学校に該当)に対して行った排外活動について、京都地裁は、人種差別撤廃条約が禁止する「人種差別」に該当し、違法であると認定。在特会らに対し、1226万円の損害賠償を学校側に支払うよう命じる判決を下した。

 日本国内における、ヘイトスピーチの違法認定は、この裁判が初めてだという。高額の賠償命令や人種差別撤廃条約を適用したことなど、きわめて画期的だった今回の判決。しかし、在特会はこの判決を不服とし、10月19日、大阪高裁に控訴した。

 2013年3月31日、新大久保で、「特定アジア粉砕新大久保排害カーニバル!!」と題した排外デモが行われた。主催は、新日友会という「行動する保守」団体。同会代表の中井ケイノスケ氏は、デモ出発前の集会で、「もう『殺せ』などのコールはいらない」とし、過激なコールやヘイトスピーチを控えるよう参加者に呼びかけた。

 デモスタート地点である新宿大久保公園からすぐの職安通りには、差別反対を訴える市民が集結。多くの市民がデモ隊に並走し、スタート地点からゴール地点まで、「レイシスト帰れ」、「日本の恥」と抗議の声を上げ続けた。

 2013年2月17日(日)、東京都大久保の街に「竹島に居座る韓国人を射殺しろ!」のシュプレヒコールがこだました。100人以上が参加した「韓国を竹島から叩き出せ!in新大久保」と題するこのデモは、他にも「韓国が竹島から出て行かないならば、ソウルの町を焼き討ちにしろ」など、過激な言葉を使い、竹島が日本固有の領土であることを訴えた。

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  1. 【特集】「朝鮮人を殺せ」と叫ぶ排外デモ――高揚する歪んだナショナリズムの正体とは~IWJが追ったヘイトスピーチ問題 http://iwj.co.jp/wj/open/%e3%83%98%e3%82%a4%e3%83%88%e3%82%b9%e3%83%94%e3%83%bc%e3%83%81 … @iwakamiyasumi
    斜陽化する日本が抱える闇とそれを振り払う光が路上にある。目を逸らせない問題だ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/607541108726317057

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