「差別」の先にあるのは「殺戮と戦争」――「強者に擦り寄り弱者を叩く」安倍首相は「ヘイトスピーチそのもの」、有識者らが現政権を批判 ~ シンポジウム「ヘイトスピーチとナショナリズム」 2015.6.11

記事公開日:2015.6.16取材地: テキスト動画
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(IWJ・青木浩文)

 「ユダヤ人はシラミ」。ナチス・ドイツがポーランドを侵略した際に張り巡らしたというポスターを掲げ、参議院議員の有田芳生氏は、同じような表現が日本のヘイトスピーチでも使われていると訴えた。

 2015年6月11日(木)に文京シビックセンターで開催されたシンポジウム「ヘイトスピーチとナショナリズム」で議論が交わされた。

 登壇者は有田氏の他に、ノンフィクションライターの安田浩一氏、評論家の佐高信氏、精神科医の香山リカ氏、作家の雨宮処凛氏、にんげん出版代表の小林健治氏、専修大学教授の山田健太氏、そして新右翼団体「一水会」最高顧問の鈴木邦男氏等。司会は月刊「創」の編集長である篠田博之氏が務めた。

 また、客席で登壇者の議論に耳を傾けていた参議院議員の山本太郎氏にもマイクが向けられた。

記事目次

■ハイライト

  • 出演者 香山リカ氏(精神科医)、佐高信氏(評論家)、有田芳生議員(ジャーナリスト)、雨宮処凛氏(作家)、安田浩一氏(ノンフィクションライター)、山田健太氏(専修大教授)、小林健治氏(にんげん出版)、鈴木邦男氏(一水会顧問)、他
  • 日時 2015年6月11日(木) 18:40~
  • 場所 文京シビック(東京都文京区)
  • 詳細 創出版
  • 主催 月刊『創』編集部 後援:アジア記者クラブ・他

「差別」の先にあるのは「殺戮と戦争」

 ジャーナリストの安田浩一氏は、ヘイトスピーチ問題の本質について、「何が問題かというと、言葉が汚いからじゃない。街が汚れるからでもない。確実に被害者を生み出し、量産しているからなんです」と主張した。

 「例えば、在日コリアンを誹謗中傷、それを通り越した悪罵、その存在を否定するような言葉は、確実にこの社会の一員であるマイノリティを傷つけ、排除を狙うことによって、その人々の心を大きく痛めつけている」

 安田氏はこう強調し、その上で、「私はこれを『言葉の暴力』だととらえていません。ただの『暴力』なんです。人の心を傷つけ、人間を否定するばかりか、この社会のあり方、地域のあり方、全てを傷つけ、否定するものだと思っています。差別のその先には何があるのか。私は殺戮と戦争だと思っています」と主張した。

ヘイトスピーチは「人間の尊厳と平等を否定するもの」

 参議院議員の有田芳生氏は、「ヘイトスピーチ」という言葉が「憎悪表現」と新聞で説明されることがあるが、それは間違いだと指摘。「人種差別撤廃条約(※1)」の中の表現からも、ヘイトスピーチは「差別の扇動」、あるいは「差別の扇動表現」が正しいと説明した。

 「人種差別撤廃条約」の第4条には、次のように書かれている。

人種差別撤廃条約 第4条

 締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。

 さらに、有田議員は、国連人種差別撤廃委員会が2013年に出した「一般的勧告35(※2)」に、ヘイトスピーチが「人間の尊厳と平等を否定」するものであると明確に規定されていると紹介。実際に「人間の尊厳と平等を否定」され、それが今だに続いている現状を語った。

 「2009年12月から2010年の初めにかけて、京都朝鮮初級学校が在特会などによって襲撃されました。あの彼らの行動というのは、人種差別撤廃条約に基づいた人種差別であると同時に、表現の自由の範疇を越えたものである。これは京都地裁判決、大阪高裁判決を最高裁が追認をした最高裁の結論。

 しかし、あの襲撃を受けた子どもたちや、京都朝鮮初級学校、あるいは全国各地の朝鮮学校に通っている子どもたちが、今でも、お父さん、お母さんに聞く。『朝鮮人って悪いことなの?』と。子どもたちがそう聞くことが一番辛い」

 有田議員は、当事者の声をこう紹介し、さらに、土日に子どもたちを連れて買い物に行く時には、事前に差別扇動のデモがないかを調べ、もしある場合はその近くに行かない、子どもたちにそういう姿を見せてはいけない、という生活が今でも続いているという。「マイノリティの人達は日常生活において、そういうことまで心配しなければいけないほど、人間の尊厳が損なわれている」と主張した。

 しかし、ヘイトスピーチに関して国会で質問をすると、「安倍晋三さんや谷垣禎一さんたちなどは『日本の文化を損なうものだ。恥ずかしい』とは言います。だけど、『人間の尊厳を傷つけるものだ』とは、一回も言ったことはありません」と、問題の本質に触れようとしない現政権を批判した。

 民主党、社民党、無所属の糸数慶子参議院議員の三者は、5月22日に「人種差別撤廃施策推進法」を提出。今国会会期中に審議入りまで持ち込めるだろうとの展望を示し、ヘイトスピーチの規制に関する法的な第一歩を踏み出していることを紹介した。

「アメリカにはペコペコ、韓国には居丈高。安倍首相がヘイトスピーチそのもの」

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