NHK広島放送局が被爆体験の継承を目的に、「1945(昭和20)年にもしSNSがあったらどんなことをつぶやいていたか」というテーマで、実際に1945年に広島で書かれた3人の市民の日記をもとに、1年間ツイッターに投稿する「ひろしまタイムライン」という企画を行っている。
▲「1945 ひろしまタイムライン」のウェブサイトより
ツイッターにはそれぞれ、当時13歳で中学1年生の新井俊一郎さんの日記をもとにつぶやく「シュン@ひろしまタイムライン」、主婦で26歳、夫が出征中で妊娠していた今井泰子さんの日記をもとにつぶやく「やすこ@ひろしまタイムライン」、広島の新聞社記者で32歳の大佐古一郎さんの日記をもとにつぶやく「一郎@ひろしまタイムライン」というアカウントが作られている。そして、それぞれのアカウントで、広島出身や在住の11人が日記の日付にあわせて「自分たちの言葉で」ツイートを行っている。
ところがこのうち、中学生の「シュン」が6月16日と8月20日にツイートした内容が、朝鮮人差別であるとして批判を浴びている。
NHK広島が根拠も示さず中学生「シュン」の設定アカウントで朝鮮人蔑視・敵視の言葉をツイート!
ツイートのもとになった新井俊一郎さんの1945年6月16日の日記の記述は次のような内容であった。
「6月16日(土)晴 我々は、今日も勤労作業に出動した。それは、県内〇〇村に行き、そこで軍の〇〇作業を行なふためである。朝早く広島駅に集合し、汽車に乗って〇〇村へと行った。暗いカンテラの光の中で熱汗を流しつつやった。実に草臥れた。秘密のことなので作業のことは以上しか書けない。午後四時半、汽車にて帰宅」。
これに対して6月16日、「シュン」は次のようにツイートした。
「【1945年6月16日】本日は朝早くから広島駅に集合した。どこかに動員に行くようだが、行き先が告げられていないということは軍の機密作業なのだろうか。
気を引き締めて臨まねばなるまい」。
「【1945年6月16日】着いた。けれどここがどこかは口外してはならないらしい。既に大人たちが大きな穴を掘り進めている。話す言葉によるとどうやら朝鮮人のようだ」。
「【1945年6月16日】それにしても大きな穴だ。軍需物資の貯蔵にでも使うのだろうか。機密なので誰も何も言わない」。
「【1945年6月16日】朝鮮人の奴らは『この戦争はすぐに終わるヨ』『日本は負けるヨ』と平気で言い放つ。思わずかっとなり、怒りに任せて言い返そうとしたが、多勢に無勢。しかも相手が朝鮮人では返す言葉が見つからない。奥歯を噛みしめた」。
「【1945年6月16日】誰かが一米半もある大きな蛇を捕まえた。朝鮮人との奪い合いの軍配はなんと僕達中学生に上がり、勇気のある一人が蒲焼にして配っていた。気味が悪いので僕は食べられなかったが、そこかしこで旨いと声が上がった」。
▲シュン@ひろしまタイムラインのツイート
驚くべきことに、日記の原文には一言も触れられていない朝鮮人への記述が、嫌悪や憎悪、蔑視の対象として書き込まれているのだ。これはNHK自身による差別の再生産ではないのか!?