「ヘイトスピーチ」の場合、「表現の自由を侵害してしまうのはよくない」として、法規制に慎重論がとられることが多い。なぜか。現行法にも、例えば侮辱罪・脅迫罪といった「表現を規制する法律」は存在するというのに。
では、在特会らによるヘイトスピーチなどの差別・排外運動に対し、日本社会はどのように立ち向かうべきか。11月28日、民主党・有田芳生参議院議員などの呼びかけによって、第3回目となる「差別撤廃国会集会」が議員会館で開かれた。
(IWJ・原佑介)
「ヘイトスピーチ」の場合、「表現の自由を侵害してしまうのはよくない」として、法規制に慎重論がとられることが多い。なぜか。現行法にも、例えば侮辱罪・脅迫罪といった「表現を規制する法律」は存在するというのに。
では、在特会らによるヘイトスピーチなどの差別・排外運動に対し、日本社会はどのように立ち向かうべきか。11月28日、民主党・有田芳生参議院議員などの呼びかけによって、第3回目となる「差別撤廃国会集会」が議員会館で開かれた。
■ハイライト
この問題を追い続けてきた「ネットと愛国」の著者であるジャーナリスト・安田浩一氏は、在特会らによる活動は醜く、卑怯以外の何ものでもないと批判し、それは数年間、変化がないと指摘。その上で、「特筆すべき大きな変化があった。彼らに対し、『間違っている』という表現が社会から数多く出てきたことだ。レイシストに居場所はないのが社会の健全な姿」と話した。
さらに、差別デモ参加者から『今デモをやると怖い、罵声が飛んでくる』という声が安田氏の元に寄せられたと明かし、「怖くて当然。差別と排外主義を主張して怖い思いをしない、周囲の視線を感じなくていい社会のほうがよっぽど怖い」と明言。表現の自由との兼ね合いが懸念される「ヘイトスピーチに対する法規制」については、「言論を押さえつけられているのは誰か。当事者だ。ヘイトスピーチには沈黙効果がある。(被差別者が)言論規制され、沈黙を余儀なくされている。表現を奪われているのはマイノリティの側だ」と述べ、一定の法的措置は必要であるとの認識を示した。
大阪経済法科大客員研究員の師岡康子氏は、現行法にも侮辱罪や脅迫罪などがあるように、表現の自由は「無制約」ではないと主張。「ヘイトスピーチはいやがらせであり、イジメでもある。言葉のいやがらせやイジメも現行法でも違法。なのに、いざ『ヘイトスピーチ』となると、なぜか『表現の自由が絶対的に重要だから』という議論が出てくる。なぜか。マジョリティが心身の傷に鈍感であり、日本社会全体で排外主義が強い、ということの表れではないか」と持論を展開した。
師岡氏はヘイトスピーチの法規制について、「法規制しないというのは、放置を認めることに他ならない。マイノリティの側が我慢し続ける。法規制という手段を取らねば、すぐには止められない。それは『サンドバッグのように叩き続けられていろ』と言うことに他ならない」との見解を示した。
集会では他にも、今は解散した「レイシストをしばき隊」の呼びかけ人で、「在日特権の虚構」の著者でもある野間易通氏、ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク「のりこえねっと」の辛淑玉氏なども発言。それぞれ差別・排外運動に対する認識を語り、行動提起を呼びかけた。
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