2020年9月5日(土)、午後3時より、東京・荒川河川敷木根川橋下手にて、関東大震災97年周年韓国・朝鮮人犠牲者追悼式が行われた。
1923年9月1日の関東大震災で、当時この付近にあった旧四つ木橋では、震災による火災から逃げ延びてきた多くの朝鮮人が虐殺され、一部は荒川に投げ捨てられ、一部は河川敷に埋められた。
冒頭、主催の「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」「一般社団法人ほうせんか」の西崎雅夫氏より、次のように挨拶があった。
「97年目の追悼式が来ました。今年は例年以上に命の問題を誰もが深く考えたのではないでしょうか。コロナウイルスは国境を越えて蔓延しました。逆説的にですが、『世界は一つ』と痛感させられました。
そんな今だからこそ『命の平等』を訴え続けなければならないのだと思います。世界中で今『Black Lives Matter』が叫ばれています。当然のことです。だが日本に平等はないのです。日本政府は相変わらず朝鮮高校を無償化からはずし、朝鮮幼稚園もはずし、4月には朝鮮大学生を学生緊急給付金対象から外しました。
こうした日本社会の現状は、これまでの延長線上にあるものなのでしょう。朝鮮人犠牲者や遺族にとって、この97年はあまりにも長すぎました。加害国政府・行政に少しでも追悼・調査する姿勢が見られるのであればまだ救いもあるでしょう。
でも事件に関する公的な調査が行われたことはなく、小池都知事は相変わらず朝鮮人犠牲者に追悼文を送ることを拒んでいます。(中略)
日本政府に公的な責任を取らせることは私たちの責任です。微力ではありますが、それでも私たちは今日ご参列の皆さんと共に今後も歩み続けることを誓って主催者挨拶とします」
西崎氏の挨拶後、「追悼のうた」として、大阪の歌手・俳優・物書きである趙博(チョウパギ)氏が、「九月の空」、「窓唇目耳足胸(そうしんもくにそくきょう)」などの自曲を披露した。
続いて、「追悼する会」「ほうせんか」の活動に参加している在日韓国人二世の女性、愼民子(シン・ミンジャ)さんが、次のようにスピーチを行った。
「今日はこんなに大勢の方が、コロナがあり、熱中症があり、台風が、豪雨があるかもしれない悪状況の中、お集まりいただき、本当に力強いです。こうして集まってくれている人たちのお陰をもって、この追悼式をもう39回も続ける事ができています。
私は今の日本社会は97年前とは違うと思っています。ヘイトスピーチやヘイトクライムをやろうとする人はいる。でも、そんな中でも、こんなにたくさんの、私たちを殺さない、殺させない、繰り返してはいけない、と思っている日本人が大勢いるということです。この喜びは何ものにも代え難いです」
そして、プログラムの最後に、「プンムル(風物)」という集団舞踏が披露された。これは韓国の伝統芸能で、犠牲者たちを弔うために毎年行われている。