【関東大震災97周年 朝鮮人犠牲者追悼式典】をIWJが公式生中継。小池晃・共産党書記局長、梓澤和幸弁護士、小説家・島田雅彦氏、落語家・立川談四楼氏、映画配給会社「太秦」・小林三四郎代表ら23名のメッセージも配信 2020.9.3

記事公開日:2020.9.3 動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ編集部)

 死者10万5000人以上、住居焼失者200万人。地震と火災によって関東地方に未曾有の犠牲者と被害をもたらした1923年9月1日の関東大震災から97年が経った。

 平成20(2008)年3月に政府の中央防災会議がまとめた報告書「1923 関東大震災【第2編】」によると、地震によって発生した火災により、広い範囲で交通機関、上下水道、電力、通信、橋梁などの社会資本が機能喪失するという大混乱の中で、「朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火する」といった流言により、自警団や軍隊、警察の一部によって朝鮮人、中国人、日本人が殺害された。

▲関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑(2020年9月1日、IWJ撮影)

 中央防災会議の報告書には「武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加えたあげくに殺害するという虐殺という表現が妥当する例が多かった」と、はっきり記述されている。

 そして、「殺傷事件による犠牲者の正確な数は掴めないが、震災による死者数の1~数パーセントにあたり、人的損失の原因として軽視できない」とも、報告されている。10万人を超える犠牲者に対して「1~数パーセント」、つまり少なくとも1000人から数千人が、自警団という住民組織だけでなく、軍隊や警察も関与した上で「虐殺された」と政府が公式に認めているのである。

 その一方、日本政府は今日に至るまで、震災を生き延びたにもかかわらず、その直後の集団暴行によって、犠牲となった方々に対して、個々の事件の公式調査や補償、集団虐殺行為への政府の責任の有無を明らかにせず、謝罪も行っていない。警察が新聞を通じて虐殺の引き金となった流言飛語を流し、軍が虐殺に加担し、官憲も植民地化によって「日本国民」であったはずの朝鮮人を積極的に保護しなかった責任があるにもかかわらず、である。

 東京都は震災による火災旋風で避難者3万8000人が犠牲になった横網町公園に東京都慰霊堂を建て、毎年9月1日と、東京大空襲のあった3月10日の年2回、大法要を行っている。震災から50年目の1973年、その横網町公園の慰霊堂の横に、虐殺により命を奪われた朝鮮人犠牲者を追悼する石碑が建てられた。

 毎年9月1日に、虐殺された朝鮮人犠牲者を悼み、この「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」の前で、「9.1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会」によって追悼式典が行われている。式典には多くの一般の方々も追悼に訪れていまる。しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一般の方の参加をご遠慮いただき、関係者のみによる「無観客」で追悼式典を行うことになった。

▲関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員長・宮川泰彦氏(2020年9月1日、IWJ撮影)

 IWJは今年の「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」で、追悼式典実行委員会からの正式な依頼を受け、インターネットでの配信・生中継を担当した。

▲【関東大震災97周年 朝鮮人犠牲者追悼式典】2020年9月1日
 
▲【関東大震災97周年 朝鮮人犠牲者追悼式典 レポート】2020年9月1日(サブチャンネル)
 

 また、式典の中継終了後には、以下の23名の方々から寄せられたメッセージを配信した。

・福島瑞穂氏(社会民主党党首・参議院議員)
・小池晃氏(日本共産党書記局長・参議院議員)
・小川淳也氏(立憲民主党・無所属フォーラム・衆議院議員)
・有田芳生氏(立憲民主党・参議院議員)
・山添拓氏(日本共産党・参議院議員)
・パク・ジョンウン氏(韓国・参与連帯事務局長)
・原田あきら氏(日本共産党・都議)
・大石あきこ氏(れいわ新選組)
・西崎雅夫氏(一般社団法人ほうせんか理事)
・愼民子氏(一般社団法人ほうせんか理事)
・梓澤和幸氏(弁護士)
・加藤圭木氏(一橋大学准教授)
・島田雅彦氏(小説家)
・中沢けい氏(小説家)
・中島京子氏(小説家)
・山崎雅弘氏(戦史/紛争研究家)
・小林三四郎氏(映画配給会社「太秦」代表取締役)
・瀬々敬久氏(映画監督)
・金聖雄氏(キム・ソンウン)氏(映画監督)
・立川談四楼氏(落語家)
・ダースレイダー氏(ラッパー)
・中川五郎氏(フォークシンガー)
・朴保(パク・ホー)氏(シンガーソングライター)
※順不同

▲【関東大震災97周年 朝鮮人犠牲者追悼式典】小池晃・共産党書記局長、梓澤和幸弁護士、小説家・島田雅彦氏、落語家・立川談四楼氏、映画配給会社「太秦」・小林三四郎代表ら23名のメッセージ
 

 追悼式典をめぐっては2017年、東京都の小池百合子都知事が、それまで歴代の都知事が送り続けてきた追悼文の送付をとりやめた。小池都知事は今年も追悼文を送付しなかった。

 また、同じく2017年から毎年、追悼式典と同時刻に同公園内のわずか20~30メートルしか離れていない場所で、排外主義ヘイト団体「日本の女性の会 そよ風」が、慰霊祭に名を借りたヘイト集会を開催。朝鮮人犠牲者追悼式典にスピーカーを向けて大音量で「不逞鮮人」などとヘイトピーチを行っている。東京都は昨年のこのヘイトスピーチ が東京都の人権条例に違反すると認定し公表しながら、今年も「そよ風」への公園使用を許可した。

 朝鮮人犠牲者追悼式典をめぐる一連の経緯については、ぜひ、以下の記事もあわせてご覧いただきたい。

 関東大震災での朝鮮人虐殺については、ぜひ以下の記事もあわせてご覧いただきたい。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です