日刊IWJガイド・非会員版「東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故の3.11から12年、WBC侍ジャパンも黙祷」2023.3.12号~No.3832号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故の3.11から12年、WBC侍ジャパンも黙祷、被災地・東京、各地で犠牲となった方々を悼む集会などが開催されました

■IWJは創業以来、最大の経済的危機です! 2月のご寄付は173件、241万6500円、目標達成率62%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! しかし2月の月間目標額より38%下回っており、毎月、累積赤字が増え続けている状況で、第13期の7ヶ月間の累積の不足分は1655万4500円です!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわり、正確な情報をお届けすべく、IWJは全力で頑張り抜きますので、3月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

■【中継番組表】

■「袴田事件」の再審開始判断が13日に東京高裁で下される! 今度こそ、検察は特別抗告をせず、再審の確定を!

■IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その8」~ロシア・ガスプロム社は米国の制裁に対抗し自力で「ノルドストリーム2」を完工! ナワリヌイ氏毒殺未遂事件を契機に、米国はさらなる制裁へ!

■<今週の新記事振り返り>

■<今週の日刊IWJガイド振り返り>
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■はじめに~東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故の3.11から12年、WBC侍ジャパンも黙祷、被災地・東京、各地で犠牲となった方々を悼む集会などが開催されました

 おはようございます。IWJ編集部です。

 3.11から12年、13回忌となった11日、IWJ編集部のある東京は、5月なみの温暖な気候に恵まれました。

 WBCでは日本とチェコの試合が東京ドームで開催されました。岩手県・陸前高田市出身の佐々木朗希(ろうき)投手(千葉ロッテマリーンズ)が先発しました。佐々木選手は、日本プロ野球記録かつ世界記録となる13者連続奪三振、プロ野球タイ記録の1試合19奪三振の記録保持者です。190cmを超える長身から投げ下ろす時速160km超の豪速球が武器です。

 「奇跡の一本松」が話題となった陸前高田市は、人口2万4246人に対し、1757人(行方不明者含む)犠牲者を出しました。人口比で7.2%にあたります。犠牲者の数は石巻市に次いで2番目、岩手県では最大です。

※陸前高田市東日本大震災検証報告書(陸前高田市、2014年)
https://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/material/files/group/61/kensyouhoukokusyo.pdf

 2001年生まれの佐々木選手は、小学校3年生の時に3.11で被災し、祖父母と父を失いました。『スポーツ報知』(11日)によると、侍ジャパンのメンバーは、コーチら首脳陣、チームスタッフらが一塁側ファウルゾーンに集合し、全員が帽子を取り、約30秒間の黙祷が行われました。

※【侍ジャパン】チェコ戦を前に黙とう 東日本大震災から12年(スポーツ報知、2023年3月11日)
https://hochi.news/articles/20230311-OHT1T51150.html?page=1

※栗山監督「ちょっとごめん、言葉に…勘弁して」 3.11先発を岩手出身・佐々木朗希に託した想い(ANSER、2023年3月11日)
https://the-ans.jp/wbc/307541/

※佐々木朗希(wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8%E6%9C%97%E5%B8%8C

 エンゼルス・大谷翔平選手も、岩手県水沢市の出身です。花巻東高校時代に東日本大震災を経験しています。

※大谷16歳で被災「少しでも力に」多く語らずも思い(日刊スポーツ、2023年3月11日)
https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202103110000503.html

 『NHK』は、被災地の模様を紹介しています。仙台市青葉区では、高校生が中心となって恒例となっている「キャンドルナイト」が開催されました。

 岩手県田老町では、2021年に完成した新たな防潮堤の上に人々が集まり、海に向かって黙祷を捧げました。12年前の津波は、田老町がほこる「国内最大級の防潮堤」を超えて181人の犠牲者を出しました。

 宮城県石巻市では、午後2時46分に追悼のサイレンを鳴らし、日和山に集まった人々が海に向かって1分間の黙祷を捧げました。

 多くの犠牲者を出した宮城県名取市の閖上や、岩手県釜石市鵜住居町では、津波の犠牲になった人々を悼んで黙祷をした後、風船を飛ばしました。

 東京でも、銀座や日比谷公園で追悼の催しが開催されました。

 東京電力福島第一原子力発電所が立地する福島県双葉町では、ウクライナ出身のカテリーナさんが楽器を演奏しながら歌を捧げました。カテリーナさんは生後まもなく、チョルノービリ原発事故が発生して避難生活を余儀なくされたといいます。カテリーナさんのいう「世界中で戦争なし、原発事故なし」は、日本の市民も共通の思いです。

 昨年2022年、住民の帰還が始まったとはいえ、まだまだ帰還は進んでいません。現在の双葉町の居住人口は約60名。『NHK』によると、「これまで3月11日には町が主催する追悼式を行ってきましたが、参列者が減ったことなどもあり、ことしは産業交流センターに献花台を設置して犠牲者を追悼しています。地震が発生した午後2時46分には、献花に来た人や町の職員などが黙とうをささげていました」ということです。原発事故の深刻さが浮き彫りになりました。

※【動画】3.11 東日本大震災12年 きょう一日の動き(NHK、2023年3月11日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230311/k10014005101000.html

※「安心して戻れる町に」 交流深める唯一の「駐在さん」―全町避難解除の福島県双葉町・東日本大震災12年(時事、2023年3月11日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031100147&g=soc

 3月11日午後2時46分。ニュースなどで取り上げられることはなくとも、全国で多くの方が黙祷を捧げたことと思います。IWJにとっても、3.11、そして原発問題は大きな柱のひとつであり、膨大なアーカイブがあります。以下に、IWJの関連コンテンツの一部をご紹介します。どうぞ特集で御覧ください。

<3.11、原発関連のIWJ特集>

※3.11から11年!『ウクライナ侵攻危機』で、IWJが警告し続けてきた『原発×戦争リスク』が明らかに!日本は無防備な原発を抱えたまま戦争するのか!?
https://iwj.co.jp/wj/open/nuclear-vs-war-risk

※【特集ページ】「再生の春、三たびの。」3.11 二周年特集デイズ ~IWJがお伝えする、それぞれの「命を守る」ための闘い
https://iwj.co.jp/wj/open/311-2013

※「百人百話」故郷にとどまる、故郷を離れる ─ それぞれの選択
https://iwj.co.jp/wj/open/100-100

※福島第一原発 入構取材
https://iwj.co.jp/wj/open/fuku1

※【特集】地球温暖化と原発ルネッサンス
https://iwj.co.jp/wj/open/ondanka

※IWJが追った震災がれき広域処理問題
https://iwj.co.jp/wj/open/gareki

※2012.7.13~7.16 脱原発・再稼働反対抗議行動 完全中継プロジェクト
https://iwj.co.jp/wj/open/nonukes201207

※「首相官邸前抗議行動」完全中継プロジェクト
https://iwj.co.jp/wj/open/kanteimae

※脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA 完全中継プロジェクト
https://iwj.co.jp/wj/open/feature/2012yokohama_stream_project.html

※IWJ特集 ストレステスト意見聴取会 発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に係る意見聴取会アーカイブス
https://iwj.co.jp/wj/open/stresstest_hearing

※8.20~8.26メモリアルウィーク in 小田原 ~記憶にとどめる夏・記憶に残る夏休み
https://iwj.co.jp/wj/open/2011memorialwalk_in_odawara

※日隅一雄さんの最後のメール
https://iwj.co.jp/wj/open/hizumi

■IWJは創業以来、最大の経済的危機です! 2月のご寄付は173件、241万6500円、目標達成率62%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! しかし2月の月間目標額より38%下回っており、毎月、累積赤字が増え続けている状況で、第13期の7ヶ月間の累積の不足分は1655万4500円です!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわり、正確な情報をお届けすべく、IWJは全力で頑張り抜きますので、3月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 IWJの第13期も半期の折り返しを過ぎ、この3月で8ヶ月目に入りました。

 2月1日から28日までの28日間でいただいたご寄付が確定しました。173件、241万6500円でした。これは、単独月間目標額390万円の62%に相当します。ご寄付をお寄せいただいた皆さま、まことにありがとうございました。大切に、効果的に使わせていただきます。

 しかし、月間の目標額より38%下回っており、毎月、累積赤字が増え続けていることにはかわりありません! 今月3月こそは、390万円という月間目標額をクリアし、できれば積み上がった赤字部分を少しでも皆さまのお力で削らせていただきたいと存じます! 3月の不足分も含めて、第13期の目標の累積してしまった不足額は1655万4500円に達しています!

 3月の1日から10日までの10日間でいただいたご寄付は、45件、61万7400円となっています。これは月間目標額390万円の16%にあたります。ご寄付をお寄せいただいた皆さま、まことにありがとうございます。

 3月の月間目標額達成まで、あと84%、328万2600円が必要です! ぜひ、皆さま、今月こそは達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いしたいいたします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円かつ2回にわたってIWJにつなぎ融資しました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費(最近の流行語ではサブスク)とご寄付・カンパ(最近の用語でいえばドネーション)の両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 先月、2月における、最も特筆すべきエポックメイキングな出来事は、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出したことでしょう。日本の新聞・テレビなどのメインストリームメディアは、一切このスクープを報じませんでした。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見ー令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 IWJでは、独自のIWJ検証レポートで、ノルドストリームの建設の経緯から、完成したもののウクライナ紛争の勃発と制裁によって使用できなくなり、さらに爆破に至るまで、断続的に連載してお伝えしています。この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国がノルドストリームを何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。

 3月3日・4日には、この日刊IWJガイドで、レポートの第5弾と第6弾をお届けしました。ノルドストリームの建設の経緯で、米国が他国のプロジェクトだというのに、理不尽にもどれだけ不当に介入し、身勝手な制裁を加え続けてきたことか、これまで日本ではまったく報じられなかった事実をお伝えします。

 昨日の日刊IWJガイドでも、ノルドストリームの建設の経緯と、米国が執拗に建設・開通阻止のために理不尽な政治力を行使していた事実について、(その7)として掲載しています。そして本日の日刊IWJガイドには、(その8)を掲載しています。ぜひ、御覧ください。

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その7」~なぜ、米国はロシア産天然ガスを敵視し、「ノルドストリーム2」建設を阻止に動いたのか?(日刊IWJガイド、2023.3.10号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51982#idx-6

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その6」~2019年末、米国は再びノルドストリームに制裁を発動、あと160kmを残すのみとなったノルドストリーム2を建設中止へ追い込む!(日刊IWJガイド、2023.3.9号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51980#idx-4

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その5(続編)」(日刊IWJガイド、2023.3.4号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51958#idx-7

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その5」(日刊IWJガイド、2023.3.3号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51950#idx-6

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、国家テロを起こして、他国を都合よく操作する、邪悪な帝国主義国家である、という疑惑が急浮上したことになります。こんな「帝国」によって、日本はウクライナと同様に、次に米国が仕掛ける対中戦争の「代理戦争」のコマとされるかもしれないことに、日本国民は真剣な疑念と危機感を抱く必要があります。

 他方で、10日、号外を2本出しました。号外の1は、かつてハーシュ氏が記者として勤務していたこともあるニューヨーク・タイムズが、ハーシュ氏のスクープを打ち消すような記事を掲載した件についてです。

 「米当局者」を情報源とするこの記事は、ノルドストリームの爆発は、親ウクライナ過激派と反プーチンのロシア人による犯行とし、米国と英国は無関係とわざわざ断りを入れています。

 ハーシュ氏のスクープを一切報じなかった、西側の大メディアは、このニューヨーク・タイムズの記事にとびついて報道し、あわせて、1ヶ月あまり無視していたハーシュ氏のスクープにも言及して、いかにも「バランス」をとったように見せかけ、あげくハーシュ氏のスクープを中国やロシアが取りあげているのは、「情報戦」だ、などと決めつけています。号外の2で報じたNHK・BSの番組などは、その典型です。この番組自体が、プロパガンダのひとつだともいえます。

 こうした「情報戦」が起こるということは、このノルドストリームの爆破がいかに重大な出来事だったのか、ウクライナをたきつけて、同国内のロシア系住民を痛めつけ、ロシアを挑発して誘い出し、戦端の幕を切って落とさせたのは、このノルドストリームを何としても止めたい、という米国の強い国家意志があったからだ、ということを、こうしたノルドストリーム建設の経緯と、米国が、間接的に説明しているように思われます。

 岸田文雄総理は、1月早々に昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」、「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権は独立して存在しているかのように述べました。

 しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 昨年12月15日に私がインタビューした、元外務省国際情報局長・孫崎享氏は、「日本がミサイルみたいなものを持つ。しかし、(ミサイルを撃つ目的地を指示するのは米国で)日本人自身が判断はできないんですよ」と語っています。

孫崎氏「これ(ウクライナ紛争)、日本でも同じことが起こるんですよ。例えば、ロシアの戦車がいますよね。それを『撃て』と。じゃ、その『撃て』という指示がどこから来るのか。

 当然ながら、(ロシアの戦車の位置などの情報は)情報衛星で取っているわけです。その情報衛星は誰が運営しているかと言ったら、ウクライナ人が運営してるわけじゃないわけだから、アメリカですよね。

 だから、戦争で『どこに撃て』という指示は、ウクライナは引き金を引いてるかもしれないけれども、指示はアメリカから来ているわけですよ。

 例えばロシア(領内のロシア空軍基地の)飛行場に(ウクライナ側がドローンで)撃ちましたよね。『このポイントに撃った方がいい』というのをウクライナ人が判断しましたか。してないんですよ。

 おそらく、それと同じことは東アジアで起こるんですよ。日本がミサイルみたいなものを持つ。その時に、どこか、目的地に向かって撃つ。しかし、その目的地を日本人自身が判断はできないんですよ」

※「ウクライナと同じで戦場になってガチャガチャになるのは日本だけ」~12.15 岩上安身によるインタビュー第1107回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー 2022.12.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512936

 自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結した独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。

 2月28日、衆議院本会議は与党の賛成多数で、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案を可決しました。過去最大の114兆3812億円に上る2023年予算案は、参議院が仮に可決せずとも、3月中に自動成立してしまいます。

 日本は、このまま米国追従を続け、米国の一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政支出を重ねてゆくのはあまりに愚かではないでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!? その問いに対する回答を得るためには、ノルドストリームを爆破したのが誰か、ハーシュ氏のスクープは正しいのか、間違っていたのか、知る必要があります。

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として、そもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.3.12 Sun.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2023.3.13 Mon.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】13:00~「『袴田事件』東京高裁前での決定報告 ―登壇:袴田ひで子さん、袴田事件弁護団」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」ほかが主催する報告会を中継します。これまでIWJが報じてきた袴田事件関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E8%A2%B4%E7%94%B0%E4%BA%8B%E4%BB%B6
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【IWJ_YouTube Live】15:00~「岩上安身による 神奈川新聞記者 田崎基氏インタビュー 第2弾」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 岩上安身による田崎基氏インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた田崎基氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%94%b0%e5%b4%8e%e5%9f%ba
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【IWJ_YouTube Live】19:00~「岩上安身による JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)調査課長 原田大輔氏インタビュー 第3弾」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 岩上安身による原田大輔氏インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた原田大輔氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%8e%9f%e7%94%b0%e5%a4%a7%e8%bc%94

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■「袴田事件」の再審開始判断が13日に東京高裁で下される! 今度こそ、検察は特別抗告をせず、再審の確定を!

 「袴田事件」で死刑が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巖元被告について、裁判をやり直すかどうか、3月13日に東京高裁で判断が示されます。

 以下、3月4日付けの『FNNプライムオンライン』およびWikipediaから、袴田巖元被告の過酷な人生を抜粋して振り返ります。

※元被告の86年 逮捕そして死刑判決 3月13日に東京高裁が判断「袴田事件」再審の行方は【静岡発】(FNNプライムオンライン、2023年3月4日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6bce4d94a20701bdedff1acef83f000b7b837dac

※袴田巌(Wikipedia、2023年3月9日閲覧)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%B4%E7%94%B0%E5%B7%8C

 袴田巖元被告は、1936年3月10日、浜松市で6人きょうだいの末っ子として生まれ、元被告が9歳の時に、敗戦を迎えています。

 元被告は、中学を卒業後、23歳でプロボクサーとなりました。フェザー級の日本ランキング6位に上り詰め、海外遠征もしました。引退後、清水でスナックを経営し、その後、有限会社王こがね味噌橋本藤作商店(1972年に「株式会社富士見物産」と改称)に就職、住み込みで働くようになりました。

 1966年6月30日に、同社専務宅で、一家4人が殺害される強盗放火殺人事件が発生しました。

 袴田元被告は、肩や手をケガしていたことや、パジャマに血がついていたことを理由に、事件から49日目、逮捕されたのでした。

 取り調べは過酷で、水も与えられず、便器を持ち込まれ、1日最長16時間を超えた取り調べもあり、自白に至ったといいます。

 公判では一貫して無実を主張しましたが、1980年12月12日、最高裁判所で死刑確定しました。

 弁護団による2度の再審請求などを経て、2014年3月27日、静岡地方裁判所が再審開始と死刑及び拘置の執行停止を決定し、東京拘置所から釈放されました。

 ところが、2014年3月31日、静岡地方検察庁が東京高等裁判所に即時抗告しました。

 これを受けて、2018年6月11日、東京高裁は再審開始を認めない決定を出しました。

 東京高裁は拘置の執行停止は取り消さなかったため、釈放は維持されましたが、袴田元被告は現在なお死刑囚のままなのです。

※ここから先は【中略】とさせていただきます。御覧になりたい場合は、ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して御覧ください! 会員へのご登録はこちらからお願いいたします。

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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 袴田巖さんは、86歳と高齢で、48年間という長期の拘置生活のため、拘禁反応(精神障害)を発症しています。

 人間が50年も身体拘束を受ければ、精神を病むのは当然です。

 日本プロボクシング協会は、袴田巌支援委員会を立ち上げて、袴田巌さんの再審無罪を勝ち取るため、ボクシング界一丸となって支援を行っています。

※日本プロボクシング協会 袴田巌支援委員会のホームページ(2023年3月9日閲覧)
https://www.jpbox.jp/posts/8237040

 日本プロボクシング協会 袴田巌支援委員会は、3月7日のツイートで、次のようなメッセージを発表しています。

 「3月13日に東京高裁が再審開始決定を出してくれる事を期待してます。

 その際、検察が特別抗告を行わないよう、3月6日 衆議院第1議員会館にて、日本プロボクシング協会支援委員会より、塩谷議員連盟会長へ、法務大臣宛ての要請書を託しました」

※日本プロボクシング協会 袴田巌支援委員会の3月7日のツイート
https://twitter.com/freehakamada/status/1633016452432412673?s=20

 これは、2014年3月27日、静岡地裁が下した再審開始の決定に対して、同年3月31日、静岡地方検察庁が東京高等裁判所に即時抗告したことを踏まえているのは明らかです。

 今度こそ、再審決定が確定することを願ってやみません。

 岩上安身は2014年4月4日に、袴田事件弁護団長の西嶋勝彦弁護士にインタビューを行っています。ぜひ御覧ください。

※「袴田事件のような捜査機関による証拠捏造は珍しいことではない」~岩上安身によるインタビュー 第415回 ゲスト 袴田事件弁護団長・西嶋勝彦弁護士 2014.4.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/133093

 IWJがこれまでに報じてきた袴田事件関連記事は、以下の通りです。ぜひあわせて御覧ください。

※死刑冤罪事件をめぐる集会 再審無罪へ・袴田事件と名張事件 冤罪と死刑 2012.7.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/22238

※収監から47年――袴田死刑囚の無罪を訴える弁護団が要請書を提出~「袴田巖死刑囚救援議員連盟」総会 2014.3.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/129887

※「袴田事件のような捜査機関による証拠捏造は珍しいことではない」~岩上安身によるインタビュー 第415回 ゲスト 袴田事件弁護団長・西嶋勝彦弁護士 2014.4.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/133093

※「司法に正義を取り戻すという強い決意と思う」袴田事件再審決定を受けて、袴田氏の姉や弁護士らが記者会見 2014.4.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/133939

※袴田巌氏、ピースサインで公の場に――袴田事件報告会 2014.4.14
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/134654

※代用監獄と過酷な取調べ、証拠の隠蔽はこのまま残るのか――袴田事件弁護団長が求める証拠開示、取調べ可視化の必要性 2014.6.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/146084

※元裁判官で袴田事件弁護人の秋山賢三氏が語るマスコミのメディアスクラム 2014.6.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/146086

※袴田事件は終わっていない!9.23再審無罪を勝ち取る全国集会 2014.9.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/170455

※米国が死刑廃止できなければ日本もできないのか――ジュリア・ロングボトム英国公使「私たちはいかなる場合でも死刑に反対します」2014.11.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/206257

※袴田事件 9・3大要請行動~東京高裁前リレーアピール 2015.9.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/261356

※袴田巖さんの再審無罪を求める2・13全国集会 ~再収監を許さないために今何をすべきか~ 2016.2.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/287147

※【IWJブログ】俳優、絵師でもあった米倉斉加年さんの命日によせて~一日5時間ひたすら歩く元死刑囚・袴田巌さんをひそかな目標とする岩上さん「歩くことは生きること、自由であり続けるための闘い」2016.8.30
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/328540

※命を燃やすように生きよう!ボクシング名誉王者・袴田さんの生き方に学ぶ!そして王者・井上尚弥は4日に3度目の防衛戦!秘策は「スイッチ」!? 2016.9.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/329365

※冤罪被害者がこじ開けた再審の扉を閉ざす検察の横暴!袴田さんの自由確定こそ最終ラウンド!再審請求中の死刑執行にまで踏み出した現政権に警戒も~袴田巖さんの再審を開始せよ!全国集会 2018.2.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/413079

※「検察庁法14条で法務大臣は検事総長を指揮できる!特別抗告をしないよう要請していただきたい!」死刑の恐怖から今も妄想の世界に生きる袴田巌さんに無罪判決を!~「袴田巖死刑囚救援議員連盟」緊急総会 2018.3.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/415352

※東京高裁「不当決定」!! 再審認めず!DNA型鑑定信用乏しい!? 弁護団は最高裁に特別抗告する方針~袴田事件 東京高裁での再審開始即時抗告審・判断決定・東京高裁前の模様と弁護団らによる記者会見 2018.6.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/424309

※冤罪防止・被害回復のために刑事再審法改正を!! 証拠捏造!? 知的障害者など供述弱者に過酷な取り調べ!? ~6.21「くり返すな冤罪!市民集会 II ―検察は、再審を妨害するな!―」2018.6.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/425276

※袴田事件・袴田巌(いわお)さんの姉・秀子さん「30歳で逮捕されて、それ以後『幸せ』という言葉は、巌には該当いたしません」 元ボクシング世界王者の輪島功一氏らも参加~7.24日本外国特派員協会主催 記者会見 2018.7.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/428161

※「巌の無実はもうじき証明されます!」「最高裁が袴田事件が『誤判』と認めた。これは画期的!」~日本外国特派員協会主催 袴田秀子氏(袴田巌氏の姉)、西嶋勝彦氏(袴田事件弁護団団長)記者会見 2021.4.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/491164

※「『合理的な疑い』という基準の曖昧さと、弁護士が同席できない密室での取り調べが冤罪を生んでいる!」と、木谷弁護士は訴える!! ~10.18無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会 公開学習会(part46)「冤罪と死刑」2022.10.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/511601

※3月13日に再審可否が決定される袴田巌さんの無実を訴え、50人を超えるボクシング関係者が東京高裁前に集結!~2.6 袴田巌さんの再審開始・無罪判決を求める、ボクシング関係者を中心とした宣伝・要請アクション 2023.2.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513933

■IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その8」~ロシア・ガスプロム社は米国の制裁に対抗し自力で「ノルドストリーム2」を完工! ナワリヌイ氏毒殺未遂事件を契機に、米国はさらなる制裁へ!

 ウクライナ紛争の裏の顔である資源エネルギー問題とは、ロシアから欧州のガス市場を奪う米国の戦略に他ならず、その鍵は「ノルドストリーム1、2」です。IWJでは、ノルドストリーム問題の検証を進めています。今日の(その8)では、2度にわたる米国の制裁を押し切って、ロシアが単独でノルドストリーム2を完工させるまでの経緯を辿ります。

【これまでのふりかえり】

 IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!!」(その1)から(その7)までで述べてきたように、ロシアは冷戦下の旧ソ連時代から半世紀にわたって、欧州に安価な天然ガスを供給してきました。

 しかし、ロシアから欧州へ送られる天然ガスのパイプライン通過国であるウクライナの「ガス泥棒」問題でしばしばトラブルが起こり、パイプライン下流にある欧州諸国へのガス供給に支障がでました。

 ドイツとロシアはウクライナを通らない「ウクライナ外し」パイプラインの計画を進め、バルト海経由でドイツへ天然ガスを直送する総延長1224km、年間輸送量550億m3の「ノルドストリーム(Nord Stream)」が2011年に竣工、稼働し始めました。

 ロシアと欧州は、さらなる「ウクライナ外し」パイプラインの計画を進めました。トルコ経由の「トルコストリーム(サウスストリーム)」(年間輸送量315億m3、2020年1月稼働開始)と、「ノルドストリーム2」(年間輸送量550億m3)です。この3本が稼働すれば、ロシアはウクライナ経由で欧州に天然ガスを送る必要がなくなるはずでした。

 「ウクライナ外し」の最後のパイプラインである「ノルドストリーム2」は、2017年に発動された米国による制裁「敵対者に対する制裁法(CAATSA)」を振り切って2018年9月に着工しました。しかし、米国政府は2019年末、さらに執拗に再度の制裁「欧州エネルギー安全保障保護法(PEESA)」を加え、「ノルドストリーム2」建設を中止に追い込みました。

 2019年はロシアとウクライナの間で交わされた、ガス供給の10年長期契約が終了する年でした。「ノルドストリーム2」の完成が間に合わなかったため、ロシアは、ウクライナと新たな5年契約を交わしましたが、その内容は、従来の供給量を漸次的に半減するものでした。ロシアは「ノルドストリーム2」の竣工と稼働を諦めていませんでした。

 米国が、執拗に「ノルドストリーム2」に制裁を加え続けたのは、「かわいそうなウクライナ」のため、欧州のエネルギー安全保障のため、ロシアに正義の鉄槌を下ろした、などというのは表向きの理由に過ぎません。米国にはより実利的な目的がありました。

 米国は、シェール革命によって、オバマ大統領が「米国をほぼ100年持続させることができる天然ガスを得た」(2012年、一般教書演説)と宣言するほど、豊富な石油・ガス資源を手中にしました。

 財政赤字と貿易赤字、「双子の赤字」を抱える米国にとって、ガスの輸出拡大は期待の星です。トランプ大統領は、2019年、米国は最大で年間1500万tのLNG(EUのガス輸入量の25%)をドイツ・EUに輸出する能力があると述べ、ガスの輸出拡大と欧州市場獲得への野心を明らかにしました。

 しかし、欧州市場には、すでにパイプラインでロシア産天然ガスが供給されており、高価な米国産LNGが自由競争で入り込む隙間はありませんでした。なんとか欧州市場からロシア産天然ガスを追い出したい米国と、パイプライン通過国特権を失いたくないウクライナは、「ノルドストリーム2」建設阻止で利害が一致したのです。

 ロシアは「ノルドストリーム2」完成を諦めず、米国に欧州市場への野望がある以上、2019年以降も「ノルドストリーム2」や、ロシア産天然ガスの欧州への供給に対する妨害はなくなりませんでした。

【ガスプロム社は、米国の制裁に対抗し、自前の船舶での海洋パイプライン敷設へ踏み切る】

 米国の制裁PEESAが2019年12月に発動され、「ノルドストリーム2」の建設から多くの欧米企業が撤退し、「ノルドストリーム2」の建設工事は中止に追い込まれました。当時、「ノルドストリーム2」建設プロジェクトには、スイスのオールシーズグループやイタリアのサイペムなどのパイプライン敷設大手をはじめとする、627社の企業が参画していました。

※「ノードストリーム2」への制裁法案、米国産ガスの輸出拡大が狙い(ジェトロ、2019年6月18日)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/06/f5d50af4947180a8.html

 PEESA発動の2ヶ月後となる2020年2月、ロシアのガスプロム社は、単独での「ノルドストリーム2」の建設に向けて動き出します。

 ガスプロム社は、ユーラシア大陸の東側のウラジオストクにあった海洋パイプライン敷設船アカデミック・チェルスキー号を、日本海からインド洋、ケープタウン(寄港せず)と、ぐるりとユーラシア大陸とアフリカ大陸を一周して、「ノルドストリーム2」の建設現場に向けて航行させました。

 アカデミック・チェルスキー号は、3ヶ月かけて大西洋に入り、同年5月にドイツのムクラン港に到着、ドイツ海域にあったフォルチュナ号と共に、「ノルドストリーム2」の残り160kmのパイプライン敷設を試みました。欧米企業が米国の制裁を恐れて事業から撤退したため、自前の敷設船によって「ノルドストリーム2」を完工しようとしたのです。

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■<今週の新記事振り返り>

環境省は法的根拠もなく、福島第一原発事故の「除染土再利用実証実験」を強行しようとしている!~1.24「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会」発足集会―登壇:満田夏花氏(国際環境NGO FoE Japan事務局長)ほか 2023.1.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513722

馬奈木弁護士が行った不同意性交は、上下関係で逃げ道を遮断する最も典型的な『エントラップメント』型ハラスメントのど真ん中!~3.3 馬奈木厳太郎弁護士によるセクハラ被害者本人と代理人弁護士による記者会見 2023.3.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514486

「広島では『はだしのゲン』を教育材料にはしないとしたついでに、第5福竜丸(被曝)の件も教科書から削除されるらしい。こんなバカみたいなことは、安倍の国葬が終ってから特にひどい」~3.4 原発反対八王子行動 2023.3.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514491

「水道水に起因するのか? 依然、高い数値がでた沖縄のPFAS血中濃度」原田准教授 ~12.18「血液検査から見えてきた沖縄のPFAS汚染!」原田浩二 京都大学准教授 講演会 2022.12.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512968

「党首公選が実現したとして、私が立候補し、志位さんに勝てるか?『勝つ・勝たない』よりも、党首公選をすることで党員の中で活発に議論を起こすことが一番大事!!」~2.27 日本外国特派員協会主催 松竹伸幸氏(元日本共産党員)記者会見 2023.2.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514300

原発稼働期間延長についてのIWJ記者の質問に「停止期間を延長申請しても、規制委の安全基準を満たさなければできない。原子力への依存度低減の方針も変わりはない」と西村大臣!~3.7 西村康稔 経済産業大臣 定例記者会見 2023.3.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514593

「夜はマイナス17度」「狼が死んだ人を食べる」クルド人避難民の証言!~3.6 第40回 難民問題に関する議員懇談会 総会「トルコシリア大震災でのクルド人から見た被害実態と在日クルド人コミュニティの課題について」2023.3.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514584

「UNSCEARが放射線被害を過小評価し国は最大限利用する」~3.3 日本疫学会誌『福島特集号』&UNSCEAR 2020/2021 報告書検証結果報告の記者会見 ―登壇:藤岡毅 大阪経済法科大学客員教授、林衛 富山大学准教授、八巻俊憲氏(原子力市民委員会)ほか 2023.3.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514485

「県民健康調査の(甲状腺の)検査項目で放射線影響を示す所見は認められなかった」神谷研二福島県立医科大学副学長~3.4 2023年 福島県立医科大学「県民健康調査」国際シンポジウム ~ともに考える福島の健康・暮らし・未来 2023.3.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514525

「今の特殊詐欺グループは、自転車の車輪がいくつも存在していて、そのハブのスポークが、また別の車輪のハブになっているみたいな円環構造」~岩上安身によるインタビュー第1111回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 2023.3.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514596

【IWJ号外】ハーシュ氏が鼻で笑う!『ニューヨーク・タイムズ』が、ノルドストリーム爆破工作をおこなったのは「親ウクライナ派のグループ」で「ウクライナ人か、プーチン大統領に反対するロシア人」、「米国人と英国人は無関係」とする記事を発表!『ロイター』、『BBC』、『日本経済新聞』など主要メディアが一斉に『ニューヨーク・タイムズ』追従記事を発表!『ニューヨーク・タイムズ』の情報源は匿名の「米当局者」!? 2023.3.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514664

【IWJ号外】驚くべき偏向ぶり! NHKが発表以来1ヶ月無視し続けたシーモア・ハーシュ氏のスクープ記事を、「中国が連日報じる、ロシアと連携した情報戦」という文脈で紹介! 2023.3.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514673

放送法解釈をめぐる総務省行政文書について「『捏造』なのか? 高市大臣が嘘をついているのか?」とのIWJ記者の質問に、松本大臣は「国会に行く時間なので」と何も答えず遁走!?~3.10 松本剛明 総務大臣 定例会見 2023.3.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514650

■<今週の日刊IWJガイド振り返り>

日刊IWJガイド「シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!」2023.3.5号~No.3825号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51961
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230305

日刊IWJガイド「元自衛官・矢野義昭教授がバフムート陥落は時間の問題、兵站能力で劣り、人的損耗も甚大で『ウクライナ軍はまもなく大敗北を喫し戦争終結』と発表!」2023.3.6号~No.3826号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51965
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230306

日刊IWJガイド「本日午後3時から、岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビューを生配信します!」2023.3.7号~No.3827号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51973
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230307

日刊IWJガイド「岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビューを生配信しました!」2023.3.8号~No.3828号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51977
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230308

日刊IWJガイド「小西洋之議員が入手した、総務省の内部文書問題! 松本剛明総務大臣が正式な『行政文書』と認める! IWJは総務省と高市早苗氏に直撃取材!」2023.3.9号~No.3829号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51980
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230309

日刊IWJガイド「13日、岩上安身は『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞田崎基記者インタビュー第2弾と、JOGMEC原田大輔氏インタビュー第3弾を敢行!」2023.3.10号~No.3830号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51982
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230310

日刊IWJガイド「習近平氏が国家主席に三選! 長期独裁体制の確立!? その中国の仲介でイランとサウジアラビアが歴史的な和解!! 米国の覇権は衰退へ!?」2023.3.11号~No.3831号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51986
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230311

それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230312

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、前田啓)

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