日刊IWJガイド・非会員版「ラブロフ外相が積極外交をグローバルサウスに展開!! 林芳正外務大臣がG20外相会合に欠席!?」2023.3.4号~No.3824号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~林芳正外務大臣が、インドで開催されたG20外相会合に欠席したことで、ホスト国インドの怒りを買っている! インドメディアは厳しく批判!「日本の信じられない決定がインドを驚かせている」!「この動きはニューデリーと東京間の関係に何らかの影を落とすかもしれない」! 他方、ロシアのラブロフ外相は積極外交をグローバルサウスに展開! ブリンケン国務長官はラブロフ外相に、ロシア侵攻後、初めて接触!

■「ルフィ事件」に見るように、振り込め詐欺グループは、「大金を手っ取り早く稼ぐ」ために「よりコスパの良い方法」を求めて、強盗・強盗殺人へ! 2019年の時点で高齢者が強殺される被害が出ていた!「ルフィ」グループが日本中にあふれている! すでに10年前、特殊詐欺の実例について、取材し、ルポを書き続けてきたジャーナリストの鈴木大介氏は、2013年発表の著書『振り込め犯罪事結社』で、詐欺から強盗殺人までエスカレートする今日の過激化を予告していた!

■IWJは最大の経済的危機です! 2月のご寄付は173件241万6500円、目標達成率62%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! しかし、言いかえるならば、必要額より38%下回ってしまったということになります。毎月、赤字がたまり続けている状況です! IWJはピンチです!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、3月こそは緊急のご支援のほど、どうぞよろしくお願いします!

■【中継番組表】

■<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!><IWJ取材報告>放射能汚染土再利用で、セシウム以外の核種の測定も求める住民側に対し、環境省は「科学的知見」を盾に合理的な回答を拒否!~2.24新宿御苑における放射能汚染土再生利用の「実証事業」に関する環境省申し入れ行動

■<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(後編)」をフルオープンで再配信します!

■IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その5(続編)」~2017年、米国は制裁第1弾「敵対者に対する制裁法(CAATSA)」を発動! 爆破されたノルドストリームを一番邪魔に思っていたのは米国だった! しかし米国の制裁を振り切って2018年「ノルドストリーム2」着工!
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■はじめに~林芳正外務大臣が、インドで開催されたG20外相会合に欠席したことで、ホスト国インドの怒りを買っている! インドメディアは厳しく批判!「日本の信じられない決定がインドを驚かせている」!「この動きはニューデリーと東京間の関係に何らかの影を落とすかもしれない」! 他方、ロシアのラブロフ外相は積極外交をグローバルサウスに展開! ブリンケン国務長官はラブロフ外相に、ロシア侵攻後、初めて接触!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 3月1日にインドのニューデリーで開幕したG20(主要20か国の外相会合、日程は1日、2日)に、日本の林芳正外務大臣が欠席したことで、ホスト国インドの怒りを買っています。

 3月2日付け『日テレNEWS』は、インドの主要紙『Hindustan Times』が「日本の信じられない決定がインドを驚かせている:外相がG20会合を欠席、その理由」と題する記事を掲げたことを報じています。

※林外相が国会対応でG20欠席…答弁たった“53秒” 「日本の信じられない対応にインド衝撃」(日テレNEWS、2023年3月2日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/cc461d497809a84bcf24c20e8012ab2af2a05973

 『Hindustan Times』は、G20直前の2月28日にも、「日本の外務大臣、G20会合を欠席する可能性が高い。報告書」と題した記事を発表しており、林外務大臣の欠席について、G20開幕前から、インド国内の関心が高かったことがうかがえます。

※Japan foreign minister likely to skip G20 meet: Report(Hindustan Times、2023年2月28日)
https://www.hindustantimes.com/world-news/japan-foreign-minister-likely-to-skip-g20-meet-report-101677569086533.html

 28日の時点で、「(欠席の可能性が高いのは)国会での仕事を優先するため」とインドで報じられていました。

 しかし、その林外務大臣の、3月1日の参議院予算委員会での答弁は、たったの53秒でした。2日の答弁時間も、たったの1分54秒でした。

※林大臣G20欠席 優先した国会での答弁が「53秒」野党「大臣の無駄遣い」(日テレNEWS、2023年3月2日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/af9584f56b255a510674a13a835f65baa5061f4c

 1日に1分程度の答弁しかしない、そのために、G20を欠席してインドに行かなかったこと、国内で重要な案件が想定されていたわけでもないのに、インドへ行かなかったのは、インドとG20に対する敬意を欠き、軽視しているとみられています。

 インド第3位の英字日刊紙『THE ECONOMIC TIMES』も、2月28日、「林芳正外相、G20外相会合を欠席という驚きの展開に」というタイトルの記事を配信しています。

※Japanese FM Yoshimasa Hayashi to skip G20 foreign ministers meet in a surprise development(THE ECONOMIC TIMES、2023年2月28日)
https://economictimes.indiatimes.com/news/india/japanese-fm-yoshimasa-hayashi-to-skip-g20-foreign-ministers-meet-in-a-surprise-development/articleshow/98312105.cms

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■「ルフィ事件」に見るように、振り込め詐欺グループは、「大金を手っ取り早く稼ぐ」ために「よりコスパの良い方法」を求めて、強盗・強盗殺人へ! 2019年の時点で高齢者が強殺される被害が出ていた!「ルフィ」グループが日本中にあふれている! すでに10年前、特殊詐欺の実例について、取材し、ルポを書き続けてきたジャーナリストの鈴木大介氏は、2013年発表の著書『振り込め犯罪事結社』で、詐欺から強盗殺人までエスカレートする今日の過激化を予告していた!

 各地で相次ぐ広域強盗事件、「ルフィ」を名乗り「遠隔操作」で実行犯に指示を出してたと見られる4名がフィリピンから移送され逮捕されました。2月28日と3月1日には、特殊詐欺事件に絡む窃盗容疑それぞれ2名ずつが再逮捕されています。

 『共同通信」(2月28日)は、警視庁によると4人の特殊詐欺グループによる被害額は、全国で60億円以上に上ると報じています。60億円というのは、この「ルフィ」グループだけの被害額で、これは「氷山の一角」だと言われています。日本全国にあまたいるといわれている詐欺・強盗グループの全体の被害額は想像もつきません。

※ルフィグループ男2人再逮捕 特殊詐欺事件絡む窃盗容疑(共同通信、2023年2月28日)
https://nordot.app/1003114421098201088

 弱い高齢者をもっぱら狙う凶悪な手口、被害額の大きさもさることながら、「ルフィ」らの関わってきた広域強盗事件を動かしてきた組織の大きさもまだ全容がわかっていません。

 『文春オンライン』は、2月22日、4人の特殊詐欺グループのうち、今村磨人(きよと)容疑らを直接知る匿名の人物X氏の話として、「JPドラゴン」という組織が関係していたとする記事を出しました。

 「JPドラゴン」とは、「暴力団関係者の男をトップに、フィリピンで20年以上暗躍しているグループ」だとされています。

 渡邉優樹容疑者と今村容疑者は、2019年11月にフィリピン当局によって拘束された日本人特殊詐欺グループ36人の事件に関わった疑いで逮捕されています。渡邉容疑者はこの日本人特殊詐欺グループのトップだったとされてきました。

 しかし、X氏によると、渡邉・今村容疑者らは「JPドラゴン」から、ターゲットとすべき富裕層のリストをもらっていたといいます。この「JPドラゴン」はまだフィリピンで活動している可能性があります。

 X氏は、「幹部たちはマニラでラーメン屋などを経営しており、表向きは投資家や経営者として活動していますが、これはカモフラージュ。経営者だと銀行口座を作ったり、マンションを借りたりするのが楽だからね」と語っています。

 つまり、「JPドラゴン」のメンバーは、一見ごく普通の経営者・投資家として、フィリピンで活動しているのではないか、というのです。

 一連の広域強盗、強盗殺人事件に関わったとされる「JPドラゴン」、「ルフィ」らの組織の全容改名はまだこれからですが、指示役とされる「ルフィ」らは、組織犯罪の、ほんの氷山の一角なのではないか、「JPドラゴン」や「ルフィ」らの他に別の組織があるのではないかとすら思わずにはいられません。

※《実行犯逮捕》「指示役『ルフィ』の“遠隔犯罪”には『ドラゴン』が関わっている」広域強盗事件にもつながる“黒い組織”の正体とは(文春オンライン、2023年2月22日)
https://bunshun.jp/articles/-/60880

 すでに10年前、ルポライター鈴木大介氏は『振り込め犯罪結社』(2013年、宝島社)で、今日の過激化を予告していました。著者紹介には、「『犯罪する側の論理』、『犯罪現場の貧困問題』をテーマに、裏社会・触法少年少女らの生きる現場を中心とした取材活動を続けるルポライター」とあります。こちらの著書はすでに絶版となっておりますので、かいつまんで内容をご紹介します。

 鈴木氏は、振り込め詐欺が勃興してきた2000年台初頭から約10年間にわたって、取材を続けてきました。

 オレオレ詐欺被害が始まった2003年以降、振り込め詐欺・特殊詐欺の被害は拡大し、2012年には総被害額364億3000万円になりました。鈴木氏が著書を出した2013年には、1月から9月までで337億7000万円を記録、2012年を大きく上回るペースになっていました。

 鈴木氏は詐欺組織の組織構成を解説し、「犯罪である以前に、彼らはあくまで営利を追求する組織だった」と述べています。

 「末端の集金役としての『ダシ子・ウケ子』、被害者に電話をかける『プレイヤー』、それらを統括管理する『番頭』、組織の外部協力業者としての『名簿屋』『道具屋』。そして天上人として現場には直接携わらず、組織に種銭を投げて収益を得る『金主』」(はじめに、p.1)

 詐欺組織は「思いもしないほど大きな組織と、巧妙に仕組まれたネットワーク」であり、そのトップに君臨する「金主」に接触することは困難を極めた、と鈴木氏は述べています。

 鈴木氏は、「振り込め犯罪」の「平(ヒラ)のプレイヤー」は、「詐欺を行う企業の従業員」であり、「詐欺組織は、そんな彼らに『雇用をもたらす』存在だった」といいます。

 鈴木氏は序文で、補導・逮捕をくりかえしてきた17歳の少年が振り込め詐欺の「プレイヤー」として就職するエピソードを紹介しています。

 「振り込め詐欺は、あくまで狡猾な組織犯罪だ。だが、所属する『店舗』は、きちんとしたオフィスを借りていることも多く、タイムカードがあり、出勤時間が定められ、毎朝ミーティングもすれば、給湯室にコーヒーのサーバーまであったりする。

 遅刻すれば鉄拳制裁があるところなどは少々ブラックだが、まさにそれは『就職する』という言葉通りの、一般の会社然とした勤め先であり、彼らにとってはそれは立派に『仕事』だった」(はじめに、p.1)

 鈴木氏は、振り込め犯罪組織の末端に組み込まれている人々が抱えている貧困について、「あとがき」で以下のように述べています。

 「犯罪の加害者を取材すればするほど痛感することは、あらゆる犯罪の現場には、常に犯罪に手を染めなければ生きていけないような貧困層がいるということ。そして詐欺の集金役や名義人役者は、まさにこの貧困層そのものだった」(あとがき、p.250)

 鈴木氏は、振り込め犯罪組織の最末端で「血走った目で一歩間違えれば逮捕という危険な最前線を必死に駆け続けて」いるのは、貧困の中で切羽詰まった者たちだと指摘します。

 「中年ワーキングプア、年端も行かぬ未成年の少年たち、若年ホームレス、刑務所や少年院からの出所者、外国人。そして、重い病に高額の医療費を自己負担する者や、精神障害者、薬物中毒者」、透析治療を受けている者、HIV感染し自己治療する者、「2011年の震災後は、津波被災して失業した者や、原発の復旧作業に従事するも限界線量に達してしまった者」(あとがき、pp.250-251)

 鈴木氏は「あとがき」で、「2012年以降、詐欺の業界は再び新たな時代を迎えようとしている」と予告しています。ここが重要です。犯行態様が残虐化した、まさに今の惨状を予見していたかのようです。

 「いすれにせよ、招いた結果は、『第四世代の台頭』である。

 第二世代とも第三世代とも関連のない新参組織の台頭や、現役大学生だけによる投資詐欺グループなどが、裏稼業人たちの噂に上る。

 また、第二世代が囲っていたと思われる太い名簿屋や道具屋が、主筋とは別の組織にツールを『開放』し始めているとう話も頻繁に聞いた。

 発生した第四世代の特徴は、『過激であること』だ。

 例えば一発系の手口では、ついにトバシ携帯を使わない手口まで発生した。自宅まで集金役が訪れるウケ子スタイルが一発系の中心となる中、さらに進んで『もう電話しなくていい』という最も手荒いスタイルである。

 このシナリオでは、詐欺屋は従来型の一発系と変わりない『息子が社長の娘を妊娠させた』『会社の金をつまんだ』といったものだが、その場で『息子さんが誠意を見せてくれないからこちらに来た』と展開し、そのまま車中に被害者を押し込んで拉致し、銀行に向かうというものだ。

 グーグルマップの機能を使い、地方の農家など家の敷地内に車で乗り入れることが可能で、隣家から中が窺えない立地に住むターゲットを狙うという。

 もはや手口は完全に恐喝であり、いよいよ報復を恐れて被疑届も出ない」(あとがき、pp.252-253)

 「いきなりターゲットの自宅に踏み込み、恐喝して身柄をおさえ、金を引き出させる。そして相手は被害届けを出さない」というところにくれば、この被害者は、恐喝被害のリピーターになってしまうのはみえみえです。そして、今なら、少しずつ金を引き出すのではなく、全額手に入れて、警察にいかないよう、口封じのために殺してしまおう、という凶悪化まで、あと一歩です。

 約10年前に鈴木氏の著書を読んだ岩上安身は戦慄を覚え、著者の鈴木大介氏に取材すべくコンタクトをとったものの、その時はインタビューの実現はならなかったそうです。

 鈴木氏は、これまでは、詐欺組織の末端や平のプレイヤーには、貧困などのために社会から排除されてきた人々「阻害された人々」が組み込まれてきたが、詐欺の現場に現役大学生、大卒者、一般企業の経験者までが流入してきている、と指摘しています。

 「もはや振り込め詐欺は、『進路』『転職先』の一つですらあるように感じる。

 それほどまでに、日本は貧しい国になってしまったのだろうか。

 改めて思う。詐欺組織の隆盛の背後にあるのは、日本の格差社会、高齢者に偏重する資産、末端にまで行き及ばぬ経済回復や、伸び悩む雇用、そして軽視される社会的弱者や子供たちへの福祉だ。

 振り込め犯罪『結社』。そんなものを生活の場としなければならないような人々がいることそのものが、日本の真の闇なのだと思う」(あとがき、p.254)

 鈴木氏が、2013年に振り込め詐欺の過激化の兆候に触れてから10年。ルフィ、らの凶悪な手口と、まだ全容が明らかにならない程の組織の巨大化、暗号アプリ等を駆使し、巧妙に汲み上げられたネットワーク、国際化など、確実に「進化」しています。

 私たち一般市民にとって、大事なことは、連日の「ルフィ」グループの報道のラッシュに目を奪われ過ぎて、これがきわめて特異で例外的な集団による例外的犯行と思い込まないことです。これはあまたある「数ある特殊詐欺・強盗団」のワン・オブ・ゼムであり、日々、この国で積み重ねられている犯行(そのほとんどは事件化されても、被害総額が小さければ、新聞で報じられることさえない)のほんの一部である、ということです。

 各個人でも、地域の共同体でも、防犯努力を重ね、さらに法改正や捜査のあり方の見直しなどにより、社会全体で取り組むべき時に来ています。

■IWJは最大の経済的危機です! 2月のご寄付は173件241万6500円、目標達成率62%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! しかし、言いかえるならば、必要額より38%下回ってしまったということになります。毎月、赤字がたまり続けている状況です! IWJはピンチです!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、3月こそは緊急のご支援のほど、どうぞよろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 IWJの第13期も半期の折り返しを過ぎ、この3月で8ヶ月目に入りました。

 2月1日から28日までの28日間でいただいたご寄付が確定しました。173件241万6500円でした。これは、単独月間目標額390万円の62%に相当します。ご寄付をお寄せいただいた皆さま、まことにありがとうございました。大切に、効果的に使わせていただきます。

 しかし、言いかえるならば、必要額より38%下回ってしまったということになります。今月3月こそは、月間目標をクリアし、できれば積み上がった赤字部分を少しでも皆さまのお力で削らせていただきたいと存じます! 3月の不足分も含めて、第13期の目標の不足額は1655万4500円にふくれ上がっています!

 3月の1日から3日までの3日間でいただいたご寄付は、19件、25万1000円となっています。これは月間目標額390万円の6%にあたります。ご寄付をお寄せいただいた皆さま、まことにありがとうございます。

 3月も、どうぞ緊急のご支援をお願いしたいいたします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円かつ2回にわたってIWJにつなぎ融資しました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 先月、2月における、最も特筆すべきエポックメイキングな出来事は、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出したことでしょう。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見ー令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 IWJ検証レポートで、ノルドストリームの成り立ちから、爆破に至るまで、断続的に連載し、米国がノルドストリームを何としても阻みたいと思っていた事実をお伝えしています。ノルドストリームの建設の経緯で、米国が他国のプロジェクトというのに、どれだけ不当に介入する制裁を操り出していたことか、これまで日本ではまったく報じられなかった事実をお伝えします。

 米国は、邪悪な国家テロを起こして、他国を都合よく操作する、帝国主義国家である、という疑惑が急浮上してきました。こんな「帝国」によって、日本はウクライナ同様に、次に米国が仕掛ける対中戦争の「代理戦争」のコマとされるかもしれないことに、日本国民は真剣な疑念と危機感を抱く必要があります。

 岸田文雄総理は、1月早々に昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」、「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権は独立して存在しているかのように述べました。しかし、従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 昨年12月15日に私がインタビューした、元外務省国際情報局長・孫崎享氏は、「日本がミサイルみたいなものを持つ。しかし、(ミサイルを撃つ目的地を指示するのは米国で)日本人自身が判断はできないんですよ」と語っています。

孫崎氏「これ(ウクライナ紛争)、日本でも同じことが起こるんですよ。例えば、ロシアの戦車がいますよね。それを『撃て』と。じゃ、その『撃て』という指示がどこから来るのか。

 当然ながら、(ロシアの戦車の位置などの情報は)情報衛星で取っているわけです。その情報衛星は誰が運営しているかと言ったら、ウクライナ人が運営してるわけじゃないわけだから、アメリカですよね。

 だから、戦争で『どこに撃て』という指示は、ウクライナは引き金を引いてるかもしれないけれども、指示はアメリカから来ているわけですよ。

 例えばロシア(領内のロシア空軍基地の)飛行場に(ウクライナ側がドローンで)撃ちましたよね。『このポイントに撃った方がいい』というのをウクライナ人が判断しましたか。してないんですよ。

 おそらく、それと同じことは東アジアで起こるんですよ。日本がミサイルみたいなものを持つ。その時に、どこか、目的地に向かって撃つ。しかし、その目的地を日本人自身が判断はできないんですよ」

※「ウクライナと同じで戦場になってガチャガチャになるのは日本だけ」~12.15 岩上安身によるインタビュー第1107回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー 2022.12.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512936

 2月28日、衆議院本会議は与党の賛成多数で、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案を可決しました。過去最大の114兆3812億円に上る2023年予算案は、参議院が仮に可決せずとも、3月中に自動成立します。

 日本がこのまま米国追従を続け、米国の一極覇権を支えるために、自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政支出を重ねてゆくのでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として、「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないのでしょうか?

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店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.3.4 Sat.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh2・福島】9:00~「2023年 福島県立医科大学『県民健康調査』国際シンポジウム ~ともに考える福島の健康・暮らし・未来」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_areach2

 「公立大学法人福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター」主催のシンポジウムを中継します。これまでIWJが報じてきた県民健康調査関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%9c%8c%e6%b0%91%e5%81%a5%e5%ba%b7%e8%aa%bf%e6%9f%bb
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【タイムリー再配信 1099・IWJ_YouTube Live】19:00~「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(後編)」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2022年12月に収録した、岩上安身による原田大輔氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた原田大輔氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%8e%9f%e7%94%b0%e5%a4%a7%e8%bc%94

[記事URL]https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513165

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◆中継番組表◆

**2023.3.5 Sun.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

電源開発が「原発直下の逆断層」について、規制委に説明できず、審査が膠着! 同じ被告側の規制委さえ「バンザイしてもらっていい」!~3.1 函館市大間原発建設差止等請求訴訟 第29回口頭弁論「大間原発裁判報告と講演会」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514438

IWJの映像を活用して制作! 今まさに危険領域に突入する日本政治を形作った安倍政治を、多方面から検証!~2.23 サクラが見る会「映画『妖怪の孫』特別限定上映会後のトークセッション」―登壇:古賀茂明氏(元経産官僚)、内山雄人監督ほか
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514227

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■<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!><IWJ取材報告>放射能汚染土再利用で、セシウム以外の核種の測定も求める住民側に対し、環境省は「科学的知見」を盾に合理的な回答を拒否!~2.24新宿御苑における放射能汚染土再生利用の「実証事業」に関する環境省申し入れ行動

 2月24日午前10時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会(「新宿」)」、「所沢への福島原発汚染土持ち込みを考える市民の会(「所沢」)」、「埼玉西部・土と水と空気を守る会(「埼玉西部」)」の共催により、「新宿御苑における放射能汚染土再生利用の『実証事業』に関する環境省申し入れ行動」が行われました。

 このたびの申し入れ行動に先立ち、1月24日、東京都新宿区の四谷地域センターにおいて、「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会」の発足集会が行われ、国際環境NGO、FoE Japan事務局長の満田夏花氏らによる講演が行われました。IWJはその模様も録画取材しています。詳しくは以下の動画を御覧ください。

※2023.1.24「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会」発足集会―登壇:満田夏花氏(国際環境NGO FoE Japan事務局長)ほか
https://youtu.be/-4Tvq60MX2M

 申し入れ行動は、文筆家の平井玄氏の司会で進められました。まず、西村明宏環境大臣あての申し入れ書2通(新宿1通、所沢と埼玉西部で1通)が環境省の藤井進太郎・担当官に手交され、その後、質疑応答が行われました。

 環境省の中間貯蔵施設情報サイトを見ると、2011年の福島第一原発事故により、環境中に放出された放射性物質を取り除く除染によって発生した汚染土壌の取り扱いについて、以下のような説明があります。

 「これまで、福島県内において除去土壌の再生利用の安全性等を確認するための実証事業を実施しています。この取組をさらに拡大するため、福島県外においても実証事業を行う予定です。

 具体的には、芝生広場や花壇、駐車場で再生利用を行い、運搬時、施工時及び供用時の安全性等の確認を行うとともに、理解醸成のツールとしても活用する予定です」

 そして、「近隣にお住まいの方々を対象とした実証事業に関する説明会」を、新宿御苑については、令和4年(2022年)12月21日に新宿御苑管理事務所(東京都新宿区)にて、埼玉・所沢については、令和4年12月16日に環境調査研修所(埼玉県所沢市)にて実施する旨が記されています。

※中間貯蔵施設情報サイト 福島県外での除去土壌の再生利用実証事業(環境省)
http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/recycling/outside_fukushima_prefecture/

 上記の説明会は実施されはしましたが、新宿および所沢ともに、説明会の対象は50人に限定されたものでした。

 環境省は、事業の実施は「住民の理解が前提であり、丁寧な説明をする」としていますが、この説明会一度きりでは十分とは言えず、到底住民の理解など得られるわけがないでしょう。申し入れ書では、誰でも参加できる公開説明会の開催と、その参加者すべての質問への回答が求められました。

 上述の説明会の実施に先立ち、環境省は、東京都と直接連絡を取っており、また、所沢市とは、6月から11月の間に5回の協議を行ったとしています。申し入れ書では、その内容の公表が求められました。

 さらに新宿・所沢ともに、実証事業実施予定地の近隣には、学校や病院、公園等がある市民の生活圏があり、雨や風等による汚染土の流出が懸念されています。特に、子どもたちへの影響が強く心配されています。

 また、新宿は、近年、特に海外からの旅行者が足を運ぶ国際的な観光拠点となっており、問題は事業実施予定地の近隣に限られたものではなく、国際的なレベルで考えられなければならないと思われます。

 申し入れ書では、汚染土に含まれる放射性物質の濃度について、セシウム137以外のすべての核種の量を測定し、その情報を開示することも求められました。

 この問題については以下のように、主催・参加者から環境省側への、厳しい追及がありました。

平井氏「セシウム137以外の、もう一つ核種があるわけですけども。このことについては、文科省の見解に沿って、それについて発表しない、と。調べているのかどうかさえわからないんですけども。そこら辺はどうですか? もっと合理的な科学的な説明をされるべきだと思いますけれども」

藤井担当官「文部科学省さんにおきまして、2012年に福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等について、調査研究が行われました。そこで科学的な知見が得られています。

 その結果が公表されておりまして、ストロンチウムやプルトニウムを含めた主要な放射性物質につきましては、土壌への沈着量を調査した上で、その調査研究で調査が行われておるわけでございますが、その結果をもとに今後の被曝線量評価や除染対策においては、セシウム134、セシウム137の沈着量に着目していくことが適切と評価されてございます。

 環境省といたしましては、この科学的な知見にもとづいて、除去土壌に含まれるセシウム134と137の放射能濃度を測定していくこととしております」

FoE Japan満田氏「おっしゃった文部科学省の調査結果は、私も穴があくほど見ているんですが、例えば、ストロンチウム90については、1F(福島第一原発)の周りで、最高値として5700ベクレル/平方メートルの測定値であるんですね。

 で、1Fの周りに結構高くて、数千ベクレル/平方メートルの箇所がたくさんあるんです。しかも、文部科学省のこの土壌の調査というのは非常に粗いんです。5キロメートルメッシュ、つまり、5キロ四方に1か所しかポイントをとっていないんですよ。

 もう十年以上経った今、いわき市のたらちね(認定NPO法人 いわき放射能市民測定室たらちね)さんがやはり調査されているんですよ。やっぱり、ストロンチウム結構出ているんです。

 ちなみに関東でも文部科学省は測っていて、関東では高いところでも数十ベクレル/平方メートルなんです。

 文部科学省のこの調査というのは、その時点、例えば、空間線量率だけで避難地域とか、あるいは除染の地域を決めていいのか否かということに関して、恐らくセシウムとストロンチウム90、高いところは大体一致しているので、セシウムが出す放射線を測って、空間線量率で除染の場所を指定する。恐らく、そういう意図で書かれているんじゃないかと私は思いました。先はわかりませんが。

 で、今論じられている話は、土壌自体を移す話じゃないですか。それでなぜ、ストロンチウム90も実際に測定…あるんですよ、含まれているんです。なぜ測らないんでしょうか? それが本当に理解できませんね。

 ストロンチウム90だけではなくて、恐らく他の放射性物質も含まれています。プルトニウムだって含まれていると思います。それ本当に全部測ったほうがいいと思います。

 いや、私、そもそも反対ですが、環境省さんが実証事業と言いながら、これらの放射性物質を測らないと強硬に言っている理由がまったくわかりません」

 これに対する環境省・藤井担当官の答弁は、平井氏への答弁をそのまま繰り返すだけのものであり、答弁と呼ぶにはあまりにも不誠実なものでした。

 申し入れ書では、新宿も所沢も、実証事業の「撤回」、「中止」を要求しています。また、質疑応答の中で、五野井郁夫・高千穂大学教授により、「除染土壌を再利用」には法的根拠がないという可能性も指摘されました。

 平井氏は、2023年2月20日に、以下のように連投ツイートしています。

 「都市開発が錯乱した究極の姿が御苑への放射能汚染土持ち込みだ。駅や周辺の各区も含めて確実に人が逃げるだろう」

※平井玄氏のツイート(2023年2月20日)
https://twitter.com/hiraigen/status/1627556674751049729

 「だが第一の被曝者は野宿する人たちや除染する労働者だ。地域住民だけじゃない。そういう運動をつくるのがテーマ」

※平井玄氏のツイート(2023年2月20日)
https://twitter.com/hiraigen/status/1627557386159542272

 平井氏の言う通り、この汚染土再利用「実証事業」の問題は、その近隣住民や反対運動に携わる一部の識者だけの問題ではなく、社会全体、日本に暮らす私たちすべての国民、そして、日本を訪れる世界中の人々の問題であると強く思います。

 今後の事態の動静に注視していく必要があります。

※放射能汚染土再利用で、セシウム以外の核種の測定も求める住民側に対し、環境省は「科学的知見」を盾に合理的な回答を拒否!~2.24新宿御苑における放射能汚染土再生利用の「実証事業」に関する環境省申し入れ行動
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514241

■<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(後編)」をフルオープンで再配信します!

 3月13日に、岩上安身による原田大輔氏インタビューの第3回をお送りいたします。これに先立ち、昨年12月27日に収録した「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)」を前後編2回に分け、後編を本日午後7時から前編をフルオープンで再配信します。

 12月9日に収録した第1回インタビューは、3月1日と2日、前後編2回にわけて再配信しました。これら全4回の再配信はすべて、IWJのYouTubeアカウントで3月13日まで、いつでも御覧いただけます。

※Movie IWJ
https://www.youtube.com/@IWJMovie/streams

 ウクライナ紛争の裏の顔は、石油・天然ガスといった資源エネルギーをめぐる争いです。

 ランド研究所が2019年にまとめた報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』(以下「ランド報告書」)には、ロシアの財政がエネルギー資源の輸出に大きく依存していることから、ロシア産エネルギー資源の禁輸をロシアを弱体化する戦略の一つとして提示しています。

※はじめに~<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? ~(その3の前編)(日刊IWJガイド、2023年1月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51798#idx-1

※<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? ~(その2)(日刊IWJガイド、2022年12月18日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51667#idx-2

※<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? ~(その1)(日刊IWJガイド、2022年12月10日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51634#idx-4

※米国の最も有力な軍事シンクタンクであるランド研究所による2019年のレポート『ロシアの拡張―有利な立場からの競争』には、現在進行中のウクライナ紛争の、米国の戦略シナリオが掲載されていた!? ~(日刊IWJガイド、2022年8月22日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51210#idx-3

 2022年2月24日に、ロシア軍がウクライナに侵攻すると、米国は即座に西側諸国をまとめ、ロシアに対する経済制裁を次々と発動しました。

 第2回インタビュー後編では、対露制裁と、国際的な原油価格・天然ガス価格の変動、そして欧米諸国が発動したロシア産資源に対する価格上限制限の効果などについてお話いただきました。

 詳しくはぜひ、本日の再配信をご視聴ください。

 岩上安身による原田大輔氏インタビュー(その2)(前編)のご案内は以下です。

※<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(前編)」をフルオープンで再配信します!(日刊IWJガイド、2023年3月2日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51950#idx-5

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【タイムリー再配信 1099・IWJ_YouTube Live】19:00~
米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!「ロシアは『主権のない国』である日本を見てない!」~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(後編)
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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※米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!「ロシアは『主権のない国』である日本を見てない!」~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏インタビュー(その2)2022.12.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513165

■IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その5(続編)」~2017年、米国は制裁第1弾「敵対者に対する制裁法(CAATSA)」を発動! 爆破されたノルドストリームを一番邪魔に思っていたのは米国だった! しかし米国の制裁を振り切って2018年「ノルドストリーム2」着工!

【2017年8月2日、ドイツ・オーストリアなどが反発する中、米国の「敵対者に対する制裁法(CAATSA)」が成立】

 CAATSAは、2017年6月14日に米上院で97対2、7月25日に米下院で419対3という大差で可決されました。

 「米国の敵対者に対する制裁法(CAATSA、Countering America’s Adversaries Through Sanctions Act)」の複数の条項は、ロシアのエネルギー輸出用パイプラインに直接向けられた制裁です。CAATSAの中で、特に「ノルドストリーム2」そのものを対象にした条項は第232条です。

第232条「大統領は同盟国と協同し、米国人および外国人に対しロシアのエネルギー輸出パイプライン建設に貢献する投資、あるいはそのメンテナンスを進め、建設、近代化、改修を拡大するような1回100万ドルまたは年に500万ドル以上の市場価格のある物品、役務、技術、情報を提供した場合には制裁を課す」

 つまり、ロシアのエネルギー輸出用パイプラインの建設に必要な物品の取引や技術・情報提供を一定基準以上した者(企業など)に対して、米国が制裁を加えるというのです。

 米国内の法でありながら、外国人にも制裁を科すとした第232条には、欧州諸国から強い批判が出たため、「大統領は同盟国と協同し」という文言が追加されたと、本村真澄氏は書き添えています。

※米国による追加対露制裁とノルド・ストリーム2への影響(本村真澄、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、2018年1月号)
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/review_reports/1007411/1007413.html

 一極単独覇権の維持にこだわる米国は、ユーラシア大陸内部で、これまで敵対していた欧州とロシアが友好的な関係を築き、経済的にも政治的にも安定することを好みません。EUは米国・中国に匹敵する巨大な経済圏です。EUがロシアや中国と結びつけば、米国をはるかに凌駕する可能性が出てきます。欧州とロシアが分断され、反目していれば、NATOを通じて欧州を米国に依存させておくことができ、米国はロシアや中国に対して優勢を保つことができます。

 天然ガスパイプラインを介して、西欧とロシアが安定的な関係を築くようになると、欧州の米国への依存が失われ、米国の欧州に対する影響力や支配力も落ちていってしまう、というのが米国側の懸念です。

 この米国と欧州の間のいびつな関係は、米国と日本の関係にもあてはまります。欧州とロシアが仲良くすることを断固として許さない米国は、同様に、日本が周囲の国々と平和的な関係を築くことを、嫌っています。これは、欧州を米国に依存させるのと同じく、日本を米国に依存させるための仕掛けが日米同盟であると言っても過言ではありません。

 日米同盟と同じ構図が、欧州と米国の間にもあります。
【トランプ大統領と米議会が「敵対者に対する制裁法(CAATSA)」をめぐって対立】

 実は、トランプ大統領(当時)は、下院での可決から1週間たった8月2日に、しぶしぶながら、ようたく「米国の敵対者に対する制裁法(CAATSA)」に署名し、CAATSAが正式に成立しました。

 本村真澄氏は、「この1週間という長い期間は、大統領として不本意の署名であることを示したものと言われている」と述べて。

※米国による追加対露制裁とノルド・ストリーム2への影響(本村真澄、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、2018年1月号)
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/review_reports/1007411/1007413.html

 CAATSAのなかで、ロシアの資源エネルギーに関わる条項は、第216条、第223条、第232条、第233条です。

 第216条には、「米国がロシアに対して課している制裁を大統領が停止または緩和する場合、大統領が議会に報告することを義務付ける」とあり、トランプ政権による一方的な制裁の解除を予防する内容になっています。

 上述したようにCAATSAについては欧州と米国の間でも、足並みが揃いませんでしたが、トランプ政権と米国議会の足並みも揃ってはいませんでした。トランプ大統領はしぶしぶ署名した後、「この法案には重大な欠陥がある」という声明を発表しました。

 「この法案が最初に提出されて以来、私は議会に対し、この法案が不適切に行政権を侵害し、米国企業に不利益をもたらし、欧州の同盟国の利益を損なう多くの方法について懸念を表明してきた。

 私の政権は、この法案をより良いものにするために、議会と協力しようと試みてきた。我々は、財務省が米国企業、国民、会社に対して日常的なライセンスを付与する際に、より大きな柔軟性を与えるよう、文言を改善した。この改善された文言は、ロシア制裁の揺るぎないパートナーである欧州の同盟国から、本法案で規定されたエネルギー制裁に関するフィードバックを反映したものでもある。新しい文言はまた、情報機関や防衛部門に対する制裁が米国企業や同盟国の企業に悪影響を及ぼす可能性があるため、我々の機関が制裁を延期できることを保証している。

 それでも、この法案には重大な欠陥がある。特に、行政府の交渉権限を侵害するものだからだ。議会は7年かけてもヘルスケア法案を交渉することさえできなかった。行政府の柔軟性を制限することで、この法案は米国が米国民のために良い取引をすることを難しくし、中国、ロシア、北朝鮮をより緊密な関係に追いやることになる。憲法制定者は、外交を大統領の手に委ねた。この法案は、その選択の賢明さを証明することになるだろう」

 トランプ大統領の声明は、CAATSAは、米国企業の利益と、欧州同盟国の利益を損ない、行政府の交渉権限を侵害し、結局は「中国、ロシア、北朝鮮をより緊密な関係に追いやることになる」と指摘しています。まるで、2022年の北京五輪でアピールされた中露の接近や、ウクライナ紛争後、さらに中露北朝鮮が緊密な関係を構築していく状況を予言するかのような内容でした。

※「制裁による米国の敵対者への対抗法」への署名に関するドナルド・J・トランプ大統領の声明(Statement by President Donald J. Trump on Signing the “Countering America’s Adversaries Through Sanctions Act”)(在ロシア米国大使館・領事館、The U.S. Embassy & Consulates in Russia、2017年8月2日)
https://ru.usembassy.gov/statement-president-donald-j-trump-signing-countering-americas-adversaries-sanctions-act/

【トランプ政権は手の平返しで、ノルドストリーム2の建設中止を求める】

 しかし、トランプ大統領は2018年7月、米議会の圧力に負けたのか、手の平を返しました。トランプ大統領は、NATO首脳会議で「ドイツはエネルギー需要の60~70%を新パイプラインによりロシアに依存することになる。ロシアにコントロールされ、捕虜になっている」と、「ノルドストリーム2」の建設を非難し、ドイツに対して建設中止を求めました。

 裏返していえば、「ドイツは今まで米国にコントロールされ、捕虜になってきた」のだとも言えます。実に露骨な物言いです。

 欧州とロシアがエネルギーの売買で結びつき、平和的かつ友好的、安定的な関係が築かれることは、NATOを通じての米国による欧州支配の基礎が崩れるという米国の身勝手な都合をむき出しにした瞬間です。

 ロシア産天然ガスに対する依存が高まることで、欧州のエネルギー安全保障が脅かされると主張するトランプ大統領には、米国産のシェールガス・オイルを欧州に売り込みたいという計算もあったとみられています。

 2017年のCAATSAは、米国の露骨な介入を嫌う欧州側の反発もあり、「ノルドストリーム2」の建設を止めることはできませんでした。上述したように、2018年9月に「ノルドストリーム2」は米国による制裁を振り切って、着工しました。

 しかし、米国の介入はCAATSAにはとどまりませんでした。米国は、2019年末に「欧州エネルギー安全保障保護法(PEESA、Protecting Europe’s Energy Security Act)」、2020年末にPEESAの後継となる「欧州エネルギー安全保障明確化法(Protecting Europe’s Energy Security Clarification Act、PEESCA)」と立て続けに制裁を発動し、「ノルドストリーム2」の建設阻止に動きます。

 米国による執拗な制裁をかいくぐり、「ノルドストリーム2」は2021年9月に完工します。次回のIWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!!」(その6)で、完工までの経緯をまとめて、お伝えします(続く)。

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、木原匡康、尾内達也、浜本信貴、前田啓)

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