日刊IWJガイド・非会員版「シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!」2023.3.5号~No.3825号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!>原発の60年超の運転延長を含む法改正案を閣議決定! この法改正で最悪の部分は経産省が安全規制権限を強奪したところ! IWJは河合弘之弁護士と原子力規制庁に直接取材!

■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。2月のご寄付者様のご芳名を、感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

■【中継番組表】

■<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(後編)」をフルオープンで再配信します!

■<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!><IWJ取材報告 1>電源開発が「原発直下の逆断層」について、規制委に説明できず、審査が膠着! 同じ被告側の規制委さえ「バンザイしてもらっていい」!~3.1 函館市大間原発建設差止等請求訴訟 第29回口頭弁論「大間原発裁判報告と講演会」

■<IWJ取材報告 2>「ロシアの核の威嚇は許せないというが核を使用したらどうするのか? 西側の報復核攻撃ならば、岸田政権は容認するのか? 核攻撃へのエスカレーションリスクを高めるウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要ではないか?」IWJ記者の質問に「仮定の質問にコメントは差し控える」と浜田大臣! 核戦争となった時の想定を岸田政権と日本政府は何もしていない!? 無責任では!? ~23.3.3浜田靖一防衛大臣定例記者会見

■<IWJ取材報告 3>増え続ける署名!「知れば行動せざるをえないほどインボイス制度はマズい、危険な制度!!」~2.13 STOP! インボイス主催「インボイス問題検討・超党派議員連盟」ヒアリング&業界横断 インボイス制度見直しを求める記者会見

■<IWJ取材報告 4>日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか? 総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参院議員 記者会見

■<今週の新記事振り返り>

■<今週の日刊IWJガイド振り返り>
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■はじめに~<特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発×戦争リスク!>原発の60年超の運転延長を含む法改正案を閣議決定! この法改正で最悪の部分は経産省が安全規制権限を強奪したところ! IWJは河合弘之弁護士と原子力規制庁に直接取材!

 今年も3.11がやってきます。福島原発事故から12年。時間が経つにつれ、原発事故の記憶の風化や、劣化は、甚だしくなっています。これにつれて、原発の再稼働や新規増設をめざす「原子力村」の動きが活発化しています。

 原発をめぐるリスクも事故当時より、はるかに増えています。事故の起きた2011年当時、日本が戦争に巻き込まれるという現実的な可能性は、一般の国民レベルではほとんど実感していなかったと思います。しかし、2015年集団的自衛権の解釈改憲と安保法制の強行採決により、日本は米軍に即時、追随して参戦する国家となってしまいました。しかし、原発が他国の武力攻撃に対してまったく無防備であることに、何ひとつ変わりはありません。

 2011年当時より、2023年現在、日本は格段にミサイル戦争に巻き込まれる軍事リスクが高まりました。なのに、原発は「撃ってください」とばかりに、海岸線に露天で放置されているのは、自国の安全保障に自ら責任を持つ独立主権国家として、「戦争ができる」ようになっても、なおも、そんな「異常」な状態が、続いていると言わざるを得ません。

 IWJは、ウクライナ紛争において、ザポリージャ原発奪還のマスタープランを有するウクライナ軍が、ロシア軍が確保している原発を攻撃した事実を非常に重くとらえ、福島原発事故の意味が、大きく変わったことに注目しています。

 原発はもはや、地震や津波などの自然災害による事故だけが問題なのではなく、戦争で攻撃対象になりうる、それが現実的な危険性であることが明らかになったのです。

 沿海部に立地する原発54基と六ヶ所再処理工場がミサイル攻撃の致命的な標的になりうることは、これまで、くりかえし、IWJは警鐘を鳴らしてきました。六ヶ所村は、攻撃によって破壊されたら、北半球すべてが放射線汚染され、人が住めなくなるほどの放射性物質が蓄積されていると言われています。

※六ヶ所再処理工場で事故が起これば福島1000基分の放射能が拡散!? 1万キロ四方の住人が急性被曝で死亡!?~ 岩上安身によるインタビュー 第224回 ゲスト 村田光平(みつへい)氏(元駐スイス大使)2012.7.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/21731

※村田光平元駐スイス大使関連のIWJコンテンツは以下です。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/村田光平

※六ヶ所村関連のIWJコンテンツは以下です。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/青森県六ヶ所村

※六ヶ所再処理工場関連ののIWJコンテンツは以下です。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/六ヶ所再処理工場

 ウクライナ紛争は、原発へ武力攻撃されたらカタストロフィに至る、というこの警鐘が現実化したものです。幸い、原発は今まで破壊されていませんが、今後も危険性は去っていません。

 日本において、2014年までは具体的な戦争リスクは低いものでしたが、先述した通り、2015年以降は違います。

 日本が米中代理戦争の「鉄砲玉」として、ウクライナと同じように米国に利用されたように、日本国土自体も、米国のいいように利用されて、日本は戦場になるリスクが高まっています。

 IWJは福島原発事故12周年に臨み、原発と戦争が複合的に起こす大惨事に特に注目し、日刊IWJガイドのコンテンツや再配信、記事の中から、ピックアップし、特集していきます。

 本日は、2月28日の60年超の原発運転期間延長の閣議決定や放射能汚染土再利用の問題、原発直下の逆断層の問題についての取材報告をお伝えします。

 2月28日の閣議で、岸田文雄政権は、これまで最大で60年としてきた原発の運転期間を、さらに延長できる法改正案を決定しました。

 この改正案では、東日本大震災後の安全審査で停止していた期間や、裁判所の仮処分命令などで止まっていた期間を、この60年には含めないという制度設計になっています。

 このため、この停止期間を、追加で運転期間として延長できることになります。

 この新制度のおいては、3つの新しい仕組みが導入されます。

 第一に、安全審査や裁判所の仮処分などで原発が停止していた時期を運転期間の最長60年にプラスできる。

 第二に、運転期間を定める法律を、原子力規制庁が所轄する原子力等規制法から、経産省が所轄する電気事業法へ変える。

 第三に、運転開始後30年目から10年ごとに古い原発の安全性を規制委が審査し認可する仕組みを取り入れる。

※原発60年超運転、規制委が新制度了承 委員1人反対残す(日経新聞、2023年2月13日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA136JS0T10C23A2000000/

 この法改正について、京都大学大学院経済学研究科の諸富徹教授は、2月28日付け『日経新聞』ウェブ版に寄せた「別の視点」で、大変重要な意見を述べています。

 「震災後の原子力規制にとって、大きなターニングポイントだ。福島第一原発事故の反省から原発の推進と規制を分離した精神を引き継ぐなら、原発推進の新たな方針に対応した安全規制の再構築が必要になる。

 運転期間の決定権限を規制委員会から外すなら、山中委員長が強調するように、高経年化した原子炉の安全性を技術的観点から判断する規制委員会の役割がきわめて重要になる。だが本当に、そのための科学的知見や劣化状況に関するエビデンスを委員会として蓄積できているのか。

 安全性に問題ありとなった場合、運転を止める『権限』や、その『意思』を規制委員会は持っているのだろうか。

 この間のプロセスは、それが心もとないことを示している」

※原発60年超可能に 法案閣議決定、震災後の政策見直し(日経新聞、2023年2月28日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA274S80X20C23A2000000/

 諸富教授は、今回の法改正が「原発推進」のための法改正であると、改正の本質を指摘しています。その上で、この新しい原発推進に対応した安全規制が再構築されていないというのです。それでは、福島原発事故の反省が生かされないどころか、事故以前に逆戻りしてしまっています。

 そもそも、独立した原子力規制庁は、福島第一原子力発電所事故の教訓から誕生し、原子力推進行政と規制行政を分離させるためのものでした。

 この法改正では、規制行政が規制していた運転期間に関する法規定を原子力等規制法から削除し、原子力を推進する電気事業法に統合しようというのです。

 この規制行政の変質を補完する形で取り入れられているのが、「運転開始後30年目から10年ごとに古い原発の安全性を規制委が審査し認可する仕組み」なのです。

 しかし、諸富教授が指摘するように、「そのための科学的知見や劣化状況に関するエビデンスを(原子力規制)委員会として蓄積できているのか」という点、「安全性に問題ありとなった場合、運転を止める『権限』や、その『意思』を規制委員会は持っている」のかという2点が焦点になります。

 IWJは、1990年代から数多くの原発稼働差し止め訴訟を手掛け、東日本大震災後は「脱原発弁護団全国連絡会」(脱原弁連)の共同代表を務める河合弘之弁護士と、原子力規制庁規制企画課にこの2点について直接取材しました。

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。2月のご寄付者様のご芳名を、感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

 2月は28日間で、173件241万6500円のご寄付・カンパをいただきました。ご寄付をくださった皆さま、本当にありがとうございます。

 ここに感謝のしるしとして、掲載の許可をいただいた方84名様につきましては、順に、お名前を掲載させていただきます。また、弊社ホームページにも掲載させていただくと同時に、ツイッター、フェイスブック等のSNSにて告知させていただきます。

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M.J. 様
M.K. 様
喜多 巧 様
H.R. 様
F.R. 様
T.N. 様
中嶋 誠司 様
新城 靖 様
マツモト ヤスアキ 様
M.T. 様
オアナ シンイチ 様
M.H. 様
アオキ カナメ 様
kamutan 様
J.M. 様
C.K. 様
佐原伸 様
森田文弥 様
徳永彰宏 様
s.i. 様

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 皆さま、インフレの激しい情勢下、誠にありがとうございました。

 いただいたご寄付は、大切に、また最大限有効に活用させていただきます。

 今後とも、ご支援をよろしくお願い申し上げます。


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◆中継番組表◆

**2023.3.5 Sun.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 1099・IWJ_YouTube Live】19:00~「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(後編)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2022年12月に収録した、岩上安身による原田大輔氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた原田大輔氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%8e%9f%e7%94%b0%e5%a4%a7%e8%bc%94

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513165

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◆中継番組表◆

**2023.3.6 Mon.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「核攻撃へのエスカレーションリスクを高めるウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要ではないか?」IWJ記者の質問に「仮定の質問にコメントは差し控える」と浜田大臣!~23.3.3浜田靖一防衛大臣定例記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514496

日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか?総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参院議員 記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514480

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■<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(後編)」をフルオープンで再配信します!

 昨日午後7時から予定しておりました再配信を、諸事情により、お送りできませんでした。大変申し訳ありませんでした。あらためて、本日午後7時よりフルオープンで再配信いたします!

 3月13日に、岩上安身による原田大輔氏インタビューの第3回をお送りする予定です。これに先立ち、昨年12月27日に収録した「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)」を前後編2回に分け、後編を本日午後7時から前編をフルオープンで再配信します。

 12月9日に収録した第1回インタビューは、3月1日と2日、前後編2回にわけて再配信しました。これら全4回の再配信はすべて、IWJのYouTubeアカウントで3月13日まで、いつでも御覧いただけます。

※Movie IWJ
https://www.youtube.com/@IWJMovie/streams

 ウクライナ紛争の裏の顔は、石油・天然ガスといった資源エネルギーをめぐる争いです。

 ランド研究所が2019年にまとめた報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』(以下「ランド報告書」)には、ロシアの財政がエネルギー資源の輸出に大きく依存していることから、ロシア産エネルギー資源の禁輸をロシアを弱体化する戦略の一つとして提示しています。

※はじめに~<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? ~(その3の前編)(日刊IWJガイド、2023年1月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51798#idx-1

※<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? ~(その2)(日刊IWJガイド、2022年12月18日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51667#idx-2

※<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? ~(その1)(日刊IWJガイド、2022年12月10日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51634#idx-4

※米国の最も有力な軍事シンクタンクであるランド研究所による2019年のレポート『ロシアの拡張―有利な立場からの競争』には、現在進行中のウクライナ紛争の、米国の戦略シナリオが掲載されていた!? ~(日刊IWJガイド、2022年8月22日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51210#idx-3

 2022年2月24日に、ロシア軍がウクライナに侵攻すると、米国は即座に西側諸国をまとめ、ロシアに対する経済制裁を次々と発動しました。

 第2回インタビュー後編では、対露制裁と、国際的な原油価格・天然ガス価格の変動、そして欧米諸国が発動したロシア産資源に対する価格上限制限の効果などについてお話いただきました。

 詳しくはぜひ、本日の再配信をご視聴ください。

 岩上安身による原田大輔氏インタビュー(その2)(前編)のご案内は以下です。

※<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!『ロシアは「主権のない国」である日本を見てない!』~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(前編)」をフルオープンで再配信します!(日刊IWJガイド、2023年3月3日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51950#idx-5

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【タイムリー再配信 1099・IWJ_YouTube Live】19:00~
米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!「ロシアは『主権のない国』である日本を見てない!」~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏(その2)(後編)
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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記事URL:米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!「ロシアは『主権のない国』である日本を見てない!」~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏インタビュー(その2)2022.12.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513165

■<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!><IWJ取材報告 1>電源開発が「原発直下の逆断層」について、規制委に説明できず、審査が膠着! 同じ被告側の規制委さえ「バンザイしてもらっていい」!~3.1 函館市大間原発建設差止等請求訴訟 第29回口頭弁論「大間原発裁判報告と講演会」

 3月1日、青森県の大間原発の建設差し止めを、津軽海峡対岸の函館市が提起した、電源開発と国を被告とする訴訟の口頭弁論が行われました。これを受け、弁護団による報告と、元原発技術者の講演が、午後4時から東京都千代田区の参議院議員会館で行われました。同訴訟は、日本で初めて、自治体が原告となって原発差し止めを求めた裁判です。

 只野靖弁護士によれば、裁判で当日提出した1つ目の論点は、北方沖断層に関するもの。電源開発は、その断層の存在をしぶしぶ半分認めましたが、実際にはもっと大きく広がっているといいます。只野弁護士は「(電源開発の)こういう値切り方は、(東電が)福島沖で津波は起きない、根拠がないと言っていたのとそっくり」と批判しました。

 只野弁護士によると「2つ目の論点はもっとシビア」で、「敷地直下の断層は、どう見ても逆断層」であるとのこと。被告側である規制委員会も認めているといいます。

 断層があるのは、耐震重要施設の下であるため、地盤がずれたら、いくら丁寧に作っても壊れること必定で、只野弁護士は、断層の活動が否定できなければ「一発アウトだ」と述べました。この議論は4年くらい前から規制委員会で続けられており、電源開発の反論を規制委員会が認めないため、審査が進まず、膠着状況であるとのことです。

 断層に対して、炉心位置を変えれば、被害回避の可能性はあるが、既に30数%を作っており困難。規制委員会も電源開発に「(説明できないなら)バンザイ(ギブアップ)してもらってもいいんですよ」とまで言っているということです。

 一方、只野弁護士によると、函館市は、規制委による審査を「どこまででも長くやってもらって構わない」「(原発が)できないということで、それで構わない」と言っているとのこと。

 そのほか弁護団は、「求釈明」等について報告しました。被告である電源開発は、人口密集地帯に近い立地や、事故対策の根拠となる重大事故や被害の想定について、きちんと説明していません。「求釈明」とは、これらについての説明を求めるものです。

 弁護団の海渡雄一弁護士は、原発問題では、福島事故当時の検証が重要と指摘。事故直前の2011年3月9日、大津波の可能性を指摘した地震調査研究推進本部の長期評価の改訂版の公表が予定され、数万人の命を救った可能性があるが、公表を止めたのは電力会社、中央防災会議、推進本部事務局だと主張しました。

 また、事故直後の放射能線量が高まった3月16日、福島県により健康管理アドバイザーが選ばれ「100ミリシーベルトまで安全」と喧伝し始めたのは、民主党政権と関係なく、裏の「本物の原子力村」が県にやらせたと、海渡弁護士は述べました。

 次回裁判は9月、次々回は来年2月の予定です。

 後半では、日本原子力事業で技術者として福島第一原発建設等に携わった小倉志郎氏が講演しました。小倉氏は6年半ほど前から、日常の外出時に、「原発を並べて自衛戦争はできない」等のプラカードを首から吊るして街中を歩き、電車に乗って、「一人デモ」を行っているといいます。

 小倉氏は、放射線の遺伝子への影響を解説する自作の紙芝居「ちいさなせかいのおはなし」を披露。その後、原発技術者の知見から、原発のしくみと危険性をわかりやすく講演。「原発は、ここを壊せば福島のような大事故になる箇所が何か所もある」「こんな原発をまだ続けよう、最大限利用しようなんていう政府は狂っている。原発利用を認める候補者には投票しないでほしい」と訴えました。

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧ください。

※電源開発が「原発直下の逆断層」について、規制委に説明できず、審査が膠着! 同じ被告側の規制委さえ「バンザイしてもらっていい」!~3.1 函館市大間原発建設差止等請求訴訟 第29回口頭弁論「大間原発裁判報告と講演会」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514438

■<IWJ取材報告 2>「ロシアの核の威嚇は許せないというが核を使用したらどうするのか? 西側の報復核攻撃ならば、岸田政権は容認するのか? 核攻撃へのエスカレーションリスクを高めるウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要ではないか?」IWJ記者の質問に「仮定の質問にコメントは差し控える」と浜田大臣! 核戦争となった時の想定を岸田政権と日本政府は何もしていない!? 無責任では!? ~23.3.3浜田靖一防衛大臣定例記者会見

 2023年3月3日、10時15分より、東京都新宿区市谷の防衛省庁舎にて、浜田靖一 防衛大臣の定例記者会見が行われました。

 質疑応答では、IWJ記者は以下のとおり質問をしました。

IWJ記者「岸田総理は2月24日の会見で、『ロシアによる核の威嚇、ましてや使用はあってはならない』、『ロシアによる核の使用をちらつかせる威嚇を断固として拒否する強いメッセージを発していく』等、『ロシアの核の脅威』について3回言及されました。

 『あってはならない』こととはいえ、ロシアが追い詰められれば、戦術核を使用するかもしれません。その場合、米国およびNATOが核兵器で報復する事態も想定されます。

 核攻撃への相互のエスカレーションのリスクを考えれば、ウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要になると思いますが、そうした考えは岸田政権にはないのでしょうか。浜田大臣のお考えをお聞かせください」。

 浜田大臣は次のように答弁をしました。

浜田大臣「仮定の質問には、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしても、我々とすれば、あらゆる努力をするということが重要だと思っておりますので、その点についても、色々な情報収集の下にですね、政府として検討していくことになろうかと思いますので、今、ここでのコメントは差し控えさせていただきたいと思います」。

 浜田大臣は、『仮定の質問にはコメントしない』との姿勢を崩さないが、識者や専門家の間では、以下のとおり、すでに「ウクライナ紛争停戦」に向けた発言・提言が行われています。

※インタビュー完全版「岸田政権は停戦仲介に動け、資源国と水素外交にシフトせよ」今井尚哉(たかや)・元安倍内閣首相補佐官(週刊エコノミスト Online 2023.2.20)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230219/se1/00m/020/001000d

※「ウクライナ侵攻、『戦え一択』にかき消される即時停
戦の声 被爆地・広島からの訴え」副島英樹・朝日新聞編集委員(朝日新聞GLOBE+ 2023.2.22)
https://globe.asahi.com/article/14842713

※「岸田首相よ、バイデン大統領に停戦交渉を呼びかけよ!」東郷和彦・元外交官、伊勢崎賢治・東京外大教授、木村三浩・一水会代表(週刊朝日 2023.3.10)
https://news.yahoo.co.jp/articles/47774901e191d915dd177ea7202efa3ff1cc7179?page=1

 東京外大教授の伊勢崎賢治氏は、上記の鼎談の中で、次のように『即時の停戦』を主張しています。

伊勢崎氏「停戦を手掛ける実務家の立場からすると、停戦は即時、なるべく条件をつけないでするものです。これ以上、住民の犠牲を積み重ねないためには、戦争犯罪など人権問題、領土問題はいったん棚上げしなければ交渉は前に進みません。

 もはや被害を受けているのはウクライナ市民だけではなく、すでに両国からの穀物輸出が滞って、アフリカをはじめ世界の飢餓問題にも直結しています」

 浜田防衛大臣、および防衛省は、「コメントを控え」ている場合ではなく、随時、必要があれば、防衛省としての方針を、定例会見などの機会を使って、メディア、そして国民に周知し、メディア・国民からのフィードバックにもとづいて、国防に関する意思決定を行うべきではないでしょうか?

 政府、防衛省には、「停戦」を口にできない理由があるのでしょうか?

 ロシアをひたすら追いつめれば、ロシアが核兵器を使用する可能性が高まる、ということくらいは岸田総理も浜田防衛大臣もわかっているはずなのに、もし使用された場合の西側の核による反撃・報復について、何も「考えられない」、「仮定の質問には答えられない」というのは、怪しすぎます。

 質疑応答における他社の質問等、会見の詳細についてはぜひ全編動画をご視聴ください。

※「核攻撃へのエスカレーションリスクを高めるウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要ではないか?」IWJ記者の質問に「仮定の質問にコメントは差し控える」と浜田大臣!~23.3.3浜田靖一防衛大臣定例記者会見 2023.3.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514496

■<IWJ取材報告 3>増え続ける署名!「知れば行動せざるをえないほどインボイス制度はマズい、危険な制度!!」~2.13 STOP! インボイス主催「インボイス問題検討・超党派議員連盟」ヒアリング&業界横断 インボイス制度見直しを求める記者会見

 2023年2月13日午後12時より、東京都千代田区の衆議院第二議員会館にて、「インボイス制度を考えるフリーランスの会」の主催で、「インボイス問題検討・超党派議員連盟」ヒアリング、および「業界横断 インボイス制度見直しを求める記者会見」が開催されました。

 ヒアリングには、財務省の担当官が出席し、全国青年税理士連盟、および超党派議連からの問題提起・説明について答弁をする形で、インボイス制度についての議論が行われました。

 税理士連盟・高橋氏からは、以下のような発言がありました。

 「インボイスを処理する側のほうの問題としては、これは、課税事業者・免税事業者ともに、『こんなの処理できない』ということが、皆さん声をそろえて言います。『とてもじゃないけど、そんな事務処理まではできない』ということが、今、現場では起こっています。(中略)

 消費税というのはそんなに簡単なものではないということがおわかりいただけるのではないか。もともとインボイスが複数税率を適正に処理するために導入されるということであるならば、インボイスをやることで、さらに複雑になることは間違いなく言えます」

 また、高橋氏はインボイス制度導入のスケジュール感について、以下のように見解を示しました。

 「今、もう2月です。これから私たちの業界は一番忙しい時期に入りまして、気づくともう3月の終わりになるだろうと思います。そうすると、制度の開始まであともう6ヶ月ほどしかありません。

 この状況でお客さま、納税者の方に説明をして、対応をして、方針を決めていくというのは、我々現場サイドからも非常に難しい問題が出てきます。その中で、お客さまは進めなければならないというところで、税制大綱のほうでいろいろと軽減措置が出ているようですけれども、非常に難しいだろう」

 議連からは、れいわ新選組のたがや(多ケ谷)亮衆議院議員が、「基本的なことを一点、財務省にうかがいたい」とした上で、次のように質問を行ないました。

 「(2月)10日、先週金曜日に、(衆議院内閣委員会で)金子財務政務官に『そもそもインボイス導入の根本的な理由はなんですか』という問いに対してですね、要は、『10%に増税された時に、(軽減税率の)8%と複数税率化をして、各事業者が公平・公正にご負担をいただいていく』というような旨の答弁をいただいたんですね。

 ということは、税に対する公平性の担保ということになるんですが、その前の質問で金子財務政務官におうかがいしたのは、『そもそも消費税というのは、預かり税なのですか、すなわち益税(事業者が受け取った税金が納税されず利益となること)なのですか?』という問いに対して、政務官は『益税ではない』と。(中略)

 『会計上は、預かり税的なテクニカルな処理はするけども、実際は預かり税ではありません』と断言しました。

 となると、インボイスの根本理由、導入理由である、そもそも益税でも預かり税でもないわけですから、導入するその『税の公平性の担保』っていうのが完全に失われたわけです。

 なぜ、これを導入する理由がそこになるのかは、よく私は理解できなくて、要は単なる増税だと。これは増税するんだと。免税事業者けしからんと、増税するぞというんだったら、まだ賛成・反対はいろいろあるでしょうけれども、わかるけれども、税の公平性という建付けでやっていること自体がおかしいなと思うんですね。

 これは財務省も認めていますから、これはどうなんですか。もう、単なる増税と認めるのか、それとも、やっぱり公平性の担保だと言い張るのか。そもそも消費は預り税でない、益税でない、と。いわゆる直接税なんですよ。

 みんな間接税だと思っているでしょう。直接税だということを認めたことになるんです。要は、税は、消費税は対価の一部であるというのも判決が出ていますし。

 すべて、これは旧大蔵省からの答弁で、主張でずっと流れが来ていて、その財務省、旧大蔵省の主張を、この間の10日の日も、金子政務官は踏襲をしたということですから、紛れもない直接税だということになると思うんですね。

 これは多くの国民が誤解をしているわけです。で、これは金子政務官も『誤解を招く表現を財務省はしてきた』ということまで認めていますから。ぜひ、私の質疑の内容を見ていただければわかると思うので、その辺ちょっと財務省どうなんですかね。

 インボイスの導入理由が失われた今でも、それを言い続けるのか、それとも増税をお願いしますというのか、ちょっとお聞かせください」。

※内閣委員会(衆議院インターネット審議中継、2023年2月10日)
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54333&media_type=

 益税論争に終止符を打ち、インボイス導入根拠の根幹をゆるがしかねないほどのインパクトのあるたがや氏の質問に対し、財務省担当官から納得のいく答弁はなく、次回のヒアリングで継続討議となりました。

 続いて、「STOP!インボイス」発起人の小泉なつみ氏より、2月13日現在で18万0162人分の署名(2月27日現在で18万5940人)が財務省担当官に手交されました。

※《#STOPインボイス》多様な働き方とカルチャーを衰退させるインボイス制度に抗議します(change.org)
https://www.change.org/

 記者会見冒頭、小泉氏はあいさつの中で以下のように述べました。

 「この一年間で、本当に様々な有志のインボイス反対グループが立ち上がっています。(中略)

 増え続ける署名と立ち上がる人々の増加が何を示しているのかについて考えてみたのですが、これはやはり、(インボイス制度について)知れば、行動せざるをえないほど、制度がマズいのだと、危険なのだと思います。(中略)

 ゆえに、フリーランスやクリエイターだけでなく、経営者や会社員など、立場や業種を超えて、危機感をもった方々が声を上げて始めています。私自身も、『インボイス制度を考えるフリーランスの会』と名付けて始めた会ではありますが、この制度を知れば知るほど、この国に生きるすべての人に影響する制度だと認識するにいたりました」

 小泉氏のあいさつの後、弁護士の宇都宮健児氏、経営士の堺剛氏、群馬・草木堂野菜店代表の甲田崇恭氏、ライフハウス・ロフトプロジェクト代表の加藤梅造氏、映像クリエイターのブンサダカ氏、ヨガインストラクターの塙律子氏が、自らの仕事の現状と、その現状にインボイス制度がもたらす壊滅的な影響について語りました。

 なお、インボイス制度にかかる今後のスケジュールは、以下のお通りとなっています。

・2月28日(火)超党派議連ヒアリング
・3月下旬頃 衆議院にて予算審議予定
・3月31日 インボイス制度登録申請期限(期限後も9月30日までの登録は、10月1日登録開始日として登録)
・6月30日 通常国会閉会予定
・10月1日 インボイス制度施行予定

 詳細については、ぜひ全編動画を御覧ください。

※増え続ける署名!「知れば行動せざるをえないほどインボイス制度はマズい、危険な制度!!」~2.13 STOP!インボイス主催「インボイス問題検討・超党派議員連盟」ヒアリング&業界横断 インボイス制度見直しを求める記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514053

■<IWJ取材報告 4>日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか? 総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参院議員 記者会見

 2023年3月2日、16時より、東京・参議院議員会館にて、立憲民主党 小西洋之参院議員による「総務省の内部文書」についての記者会見が行われました。

 小西議員は、総務省の職員から提供されたという、安倍政権下の2014年から15年にかけて、首相官邸側と総務省側でやりとりした内容を示す政府の内部文書とされる資料(A4、約80ページ)を公表しました。

 会見冒頭、小西議員は会見の趣旨について、以下のように語りました。

小西議員「今日の記者会見の趣旨でございますが、私が総務省の職員の方から提供を受けました、ある総務省の内部文書についての公表と、その内容についてのご説明でございます。

 この文書は、平成27(2015)年の5月12日、参議院の総務委員会において、高市早苗氏(当時の総務大臣)が、『放送法4条の政治的公平(※1)』という、番組編成の準則と呼ばれるものがあるわけですが…。まあ、放送局が守らなければならない、番組作り、局の運営にあたってのルールでございます。

 その一つの『政治的公平』について、これまでは、放送局の番組全体で、その『政治的公平』を判断するという、確立した政府答弁をしていたものを、突如、その5月12日の答弁(※2)で、『たった一つの番組でも、政治的公平を判断する』、つまり、放送法違反を判断することができる、という答弁を出しました(後略)」

(※1)放送法第4条:
 第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの
角度から論点を明らかにすること。
・放送法-総務省 電波利用ホームページより
https://www.tele.soumu.go.jp/

(※2)2015年5月12日参院総務委員会での高市早苗 総務大臣(当時)放送法・電波法を巡る答弁:
「一つの番組のみでも、選挙期間や近接する期間に特定の候補者のみを相当の時間取り上げる特別番組を放送するなど、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすといった極端な場合は、一般論として政治的に公平とは認められない」
・毎日新聞、2016年2月11日より抜粋)
https://mainichi.jp/articles/20160212/k00/00m/040/071000c

 高市総務大臣(当時)の答弁は、政治的公平を放送局の番組全体で判断するとしていた慣例を、「たった一つの番組」であっても政治的公平を欠けば、放送法4条違反となるというものです。放送法4条違反は、50万円の罰金以下の罰金に処されることになります。

※昭和二十五年法律第百三十二号 放送法(e-GOV)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000132

 しかし、それだけではありませんでした。

 高市総務大臣は、この発言の翌年2016年2月8日の衆議院予算委員会で、電波停止を命じる可能性にも言及しました。

 高市総務大臣は、野党議員から「憲法9条改正に反対する内容を相当の時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性があるか」との質問に対して、「放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返し、行政指導しても全く改善されない場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と答弁しました。

 「たったひとつの番組」の放送法4条違反を理由に電波法76条に基づいて、政府が放送局に対し、電波停止を命じる可能にも言及したのです。

※高市早苗総務大臣の「放送法違反による電波停止命令を是認する発言」に抗議し,その撤回を 求めると共に,政府に対し報道・表現の自由への干渉・介入を行わないよう求める声明(東京弁護士会会長 伊藤 茂昭、2016年2月16日)
https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2016_03/p58.pdf

 小西議員は元総務官僚、2004年から2005年にかけて、総務省 情報通信政策局 放送政策課で課長補佐を務めました。つまり、小西議員は、まさに放送法の解釈の責任をもつ行政官としての経験をもっています。

 「たった一つの番組でも、政治的公平を判断する」という2015年の高市大臣の解釈・答弁は、小西氏がその後、国会議員となったあとも、一度も聞いたこともなく、考えたこともない放送法4条の解釈であったといいます。小西議員はその後も、なぜ、どのような経緯で、このような解釈が作られたのか、わからないままであったといいます。

 それが、このたび、総務省職員から提供を受けた内部文書によって解釈の理由と経緯が判明したと、小西議員は報告しました。

 第2次安倍政権下の2015年当時、小西氏の上司であった磯崎(陽輔)総理補佐官が、総務省の局長を呼びつけて、TBSの「サンデーモーニング」の番組名を挙げながら、「あれは放送法違反だ、おかしい。なので、たったひとつの番組でも、『政治的公平』に違反すると判断できるように放送法の解釈を作ろう」と、政治的圧力を使い実行したことが判明したのです。

 当時の総務省は解釈変更に対して抵抗を試みたが、最終的には磯崎補佐官が自ら書いた解釈を示され、結果、それとほとんど同じ内容の答弁を高市大臣が行うこととなりました。そして、それを当時の安倍総理が承認することで、この放送法第4条の解釈変更が行われました。より正確に言えば、法規範の破壊が実行されたというわけです。

 小西議員は「民主主義の根幹である放送法の解釈を、少人数の権力者だけで作ってしまうことが文書によって明らかになった」と訴えて、会見の趣旨説明を終えました。

小西議員「いずれに致しましても、これは、今日この瞬間も生きている放送法の解釈でございます。多くのテレビ局が、これは私自身も実感するところですが、この解釈のあと、今日いらっしゃっている皆さんは負けてないとは思いますが、放送番組の現場、番組作りというのは変わった、という意識は、私だけではなくて、いろんな人が残念ながら思っているのが実状だと思います。

 特定の権力者が、適正なプロセスではない、まあ、違法なプロセスと言っていいと思いますが、自分の政治目的で、民主主義の根幹である『放送法』、日本の自由主義と民主主義の根幹であるこの『放送法』の解釈を、特定の少人数の、数名の権力者だけで作ってしまう。

 このようなことが、この内部文書によって明らかになったわけでございます。戦後の日本における大事件であり、放送によって届けられる政府の活動、あるいは国会の活動といった民主主義の基礎が、今大きく脅かされている。そういう問題だと思います」

 小西議員は、この会見翌日の3月3日、午前の参議院予算委員会にて質問を行なったが、この内部文書の行政文書としての「正確性」が確認できないとして、その配布を与党側が認めず、一旦質疑を取りやめました。

 結局、内部文書の配布は認められなかったものの、小西議員は、午後の委員会で質問を行ないました。しかし、岸田総理は質問をはぐらかし続け、松本・現総務大臣は「放送法の従来の解釈を変更したものとは考えていない」、および、高市 内閣府特命担当大臣は「(内部文書は)まったくの捏造である」と反論しました。

 小西議員は次のように自身の質疑を結びました。

小西議員「日本の民主主義、その言論報道の自由がまさに今、危機に瀕している。それを救うために、会派をあげて全力で戦う決意、そして、この文書を私に提供してくれた総務省職員の思いに応えて、全力で尽くす決意を申し上げて、質疑を終わります」

 詳細についてはぜひ全編動画をご視聴ください。

※日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか?総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参院議員 記者会見 2023.3.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514480

■<今週の新記事振り返り>

纐纈氏「護憲運動とは、今ある憲法をただ守りぬくことではなく、それを世界に広めていく・実践していく・生かしていくこと」~2.23 大軍拡への暴走を許すな!共同テーブル近畿 第1回シンポジウム「9条守れ!『安保3文書』改定許すな 近畿集会」―登壇:纐纈厚氏(山口大学名誉教授)、山田和幸氏(与那国島から)、西谷文和氏(ジャーナリスト)ほか 2023.2.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514224

増え続ける署名!「知れば行動せざるをえないほどインボイス制度はマズい、危険な制度!!」~2.13 STOP!インボイス主催「インボイス問題検討・超党派議員連盟」ヒアリング&業界横断 インボイス制度見直しを求める記者会見 2023.2.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514053

【IWJ号外】IWJ代表の岩上安身です。いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。2月は本日が最終日、月間目標額には残り54%、あと209万7500円必要です! ぜひ、皆さまからの緊急のご支援をお願いしたいと思います! 2023.2.28
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514407

具志堅隆松氏「国はシェルターだの避難だのと口にするが、これは現実的ではない。我々には屋内避難などと言うが、これは犠牲になりなさいと言われているも同じ」~2.26 島々を戦場にするな! 沖縄を平和発信の場に! 2.26緊急集会 2023.2.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514384

「取材拒否」「匿名性」「個人情報」「ポスト・トゥルース」の時代にジャーナリストは仮説を立てる。植松死刑囚の犯行プロセスを分析するための8つの仮説とは!? ~2.11津久井やまゆり園「優生テロ」事件~戦争と福祉と優生思想 2023.2.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514025

日本女医会会長・前田佳子氏「おかしいことはおかしいと言いましょう。黙ってるとおかしいことがまるで正しいかのように見えてしまうから」~2.8「#軍拡より未来の子どもたちのために平和を!」署名簿提出と記者会見 2023.2.8
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513983

問題だらけの英語スピーキングテスト「ESAT-J」!! そして、その扱いをめぐる都議会文教委員会の実態とは?~2.20中学校英語スピーキングテストESAT-Jを都立高入試選抜に用いることの問題点の説明と都議会文教委員会の正常化を求める保護者記者会見 2023.2.20
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514196

「安保3文書には政・官・財・学連携で研究開発推進と明記された!」池内了名古屋大学名誉教授~2.28 京都の市民と大学人との『つどい』-平和憲法、自由・民主主義、学術会議、大学を考える- 2023.2.28
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514394

放射能汚染土再利用で、セシウム以外の核種の測定も求める住民側に対し、環境省は「科学的知見」を盾に合理的な回答を拒否!~2.24新宿御苑における放射能汚染土再生利用の「実証事業」に関する環境省申し入れ行動 2023.2.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514241

【第586号-第589号】岩上安身のIWJ特報!急速な円安は「アベノミクス」の経済的帰結!? 日本はこれからどうなるのか?岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー(その3)2023.3.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514318

電源開発が「原発直下の逆断層」について、規制委に説明できず、審査が膠着! 同じ被告側の規制委さえ「バンザイしてもらっていい」!~3.1 函館市大間原発建設差止等請求訴訟 第29回口頭弁論「大間原発裁判報告と講演会」2023.3.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514438

IWJの映像を活用して制作! 今まさに危険領域に突入する日本政治を形作った安倍政治を、多方面から検証!~2.23 サクラが見る会「映画『妖怪の孫』特別限定上映会後のトークセッション」―登壇:古賀茂明氏(元経産官僚)、内山雄人監督ほか 2023.2.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514227

「核攻撃へのエスカレーションリスクを高めるウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要ではないか?」IWJ記者の質問に「仮定の質問にコメントは差し控える」と浜田大臣!~23.3.3浜田靖一防衛大臣定例記者会見 2023.3.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514496

日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか?総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参院議員 記者会見 2023.3.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514480

大変厳しい状況が続くIWJに温かいご支援をいただき、まことにありがとうございます。お力添えいただきましたみなさまへ心より御礼を申し上げるとともに、お名前を掲載させていただきます<ご寄付・カンパのお礼とご報告(2023年2月)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/post/51953

■<今週の日刊IWJガイド振り返り>

日刊IWJガイド・日曜版「IWJは最大の経済的危機です! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました!」2023.2.26号~No.3818号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51929
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230226

日刊IWJガイド「IWJは最大の経済的危機です! 2月は残り2日、月間目標額まであと264万7500円必要です! ご支援よろしくお願いします」2023.2.27号~No.3819号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51932
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230227

日刊IWJガイド「24日の岸田総理会見での岩上安身の質問が『スプートニク』の記事に!『岸田首相、米国の立場に追従』と報道!!」2023.2.28号~No.3820号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51937
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230228

日刊IWJガイド「五輪談合事件で電通や博報堂など6法人、7人を起訴!」2023.3.1号~No.3821号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51942
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230301

日刊IWJガイド「2023年度予算案が衆院予算委を通過! メインストリーム・メディアは、過去最大の予算規模と防衛費増額を喜ぶ『大政翼賛会』的報道に終始!」2023.3.2号~No.3822号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51947
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230302

日刊IWJガイド「特殊詐欺グループの背後に『金主』の存在! 岩上安身は3月7日、『ルポ 特殊詐欺』著者で、神奈川新聞の田崎基記者へのインタビューが決定!」2023.3.3号~No.3823号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51950
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230303

日刊IWJガイド「ラブロフ外相が積極外交をグローバルサウスに展開!! 林芳正外務大臣がG20外相会合に欠席!?」2023.3.4号~No.3824号
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51958
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230304

それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230305

IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、六反田千恵、前田啓)

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