2023年2月13日午後12時より、東京都千代田区の衆議院第二議員会館にて、「インボイス制度を考えるフリーランスの会」の主催で、「インボイス問題検討・超党派議員連盟」ヒアリング、および「業界横断 インボイス制度見直しを求める記者会見」が開催された。
ヒアリングには、財務省の担当官が出席し、全国青年税理士連盟、および超党派議連からの問題提起・説明について答弁をする形で、インボイス制度についての議論が行われた。
税理士連盟・高橋氏からは、以下のような発言があった。
「インボイスを処理する側のほうの問題としては、これは、課税事業者・免税事業者ともに、『こんなの処理できない』ということが、皆さん声をそろえて言います。『とてもじゃないけど、そんな事務処理まではできない』ということが、今、現場では起こっています。(中略)
消費税というのはそんなに簡単なものではないということがおわかりいただけるのではないか。もともとインボイスが複数税率を適正に処理するために導入されるということであるならば、インボイスをやることで、さらに複雑になることは間違いなく言えます」
また、高橋氏はインボイス制度導入のスケジュール感について、以下のように見解を示した。
「今、もう2月です。これから私たちの業界は一番忙しい時期に入りまして、気づくともう3月の終わりになるだろうと思います。そうすると、制度の開始まであともう6ヶ月ほどしかありません。
この状況でお客さま、納税者の方に説明をして、対応をして、方針を決めていくというのは、我々現場サイドからも非常に難しい問題が出てきます。その中で、お客さまは進めなければならないというところで、税制大綱のほうでいろいろと軽減措置が出ているようですけれども、非常に難しいだろう」
議連からは、れいわ新選組のたがや(多ケ谷)亮衆議院議員が、「基本的なことを一点、財務省に伺いたい」とした上で、次のように質問を行なった。
「(2月)10日、先週金曜日に、(衆議院内閣委員会で)金子財務政務官に『そもそもインボイス導入の根本的な理由はなんですか』という問いに対してですね、要は、『10%に増税された時に、(軽減税率の)8%と複数税率化をして、各事業者が公平・公正にご負担をいただいていく』というような旨の答弁をいただいたんですね。
ということは、税に対する公平性の担保ということになるんですが、その前の質問で金子財務政務官にお伺いしたのは、『そもそも消費税というのは、預かり税なのですか、すなわち益税(事業者が受け取った税金が納税されず利益となること)なのですか?』という問いに対して、政務官は『益税ではない』と。(中略)
『会計上は、預かり税的なテクニカルな処理はするけども、実際は預かり税ではありません』と断言しました。
となると、インボイスの根本理由、導入理由である、そもそも益税でも預かり税でもないわけですから、導入するその『税の公平性の担保』っていうのが完全に失われたわけです。
なぜ、これを導入する理由がそこになるのかは、よく私は理解できなくて、要は単なる増税だと。これは増税するんだと。免税事業者けしからんと、増税するぞというんだったら、まだ賛成・反対はいろいろあるでしょうけれども、わかるけれども、税の公平性という建付けでやっていること自体がおかしいなと思うんですね。
これは財務省も認めていますから、これはどうなんですか。もう、単なる増税と認めるのか、それとも、やっぱり公平性の担保だと言い張るのか。そもそも消費は預り税でない、益税でない、と。いわゆる直接税、直接税なんですよ。
みんな間接税だと思っているでしょう。直接税だということを認めたことになるんです。要は、税は、消費税は対価の一部であるというのも判決が出ていますし。
すべて、これは旧大蔵省からの答弁で、主張でずっと流れが来ていて、その財務省、旧大蔵省の主張を、この間の10日の日も、金子政務官は踏襲をしたということですから、紛れもない直接税だということになると思うんですね。
これは多くの国民が誤解をしているわけです。で、これは金子政務官も『誤解を招く表現を財務省はしてきた』ということまで認めていますから。ぜひ、私の質疑の内容を見ていただければわかると思うので、その辺ちょっと財務省どうなんですかね。
インボイスの導入理由が失われた今でも、それを言い続けるのか、それとも増税をお願いしますというのか、ちょっとお聞かせください」。
- 内閣委員会(衆議院インターネット審議中継、2023年2月10日)
益税論争に終止符を打ち、インボイス導入根拠の根幹をゆるがしかねないほどのインパクトのあるたがや氏の質問に対し、財務省担当官から納得のいく答弁はなく、次回のヒアリングで継続討議となった。
続いて、「STOP!インボイス」発起人の小泉なつみ氏より、2月13日現在で18万0162人分の署名(2月27日現在で18万5940人)が財務省担当官に手交された。
- 《#STOPインボイス》多様な働き方とカルチャーを衰退させるインボイス制度に抗議します(change.org)
記者会見冒頭、小泉氏はあいさつの中で以下のように述べた。
「この一年間で、本当に様々な有志のインボイス反対グループが立ち上がっています。(中略)
増え続ける署名と立ち上がる人々の増加が何を示しているのかについて考えてみたのですが、これはやはり、(インボイス制度について)知れば、行動せざるをえないほど、制度がマズいのだと、危険なのだと思います。(中略)
ゆえに、フリーランスやクリエイターだけでなく、経営者や会社員など、立場や業種を超えて、危機感をもった方々が声を上げて始めています。私自身も、『インボイス制度を考えるフリーランスの会』と名付けて始めた会ではありますが、この制度を知れば知るほど、この国に生きるすべての人に影響する制度だと認識するにいたりました」
小泉氏のあいさつの後、弁護士の宇都宮健児氏、経営士の堺剛氏、群馬・草木堂野菜店代表の甲田崇恭氏、ライフハウス・ロフトプロジェクト代表の加藤梅造氏、映像クリエイターのブンサダカ氏、ヨガインストラクターの塙律子氏が、自らの仕事の現状と、その現状にインボイス制度がもたらす壊滅的な影響について語った。
なお、インボイス制度にかかる今後のスケジュールは以下のお通りとなっている。
・2月28日(火)超党派議連ヒアリング
・3月下旬頃 衆議院にて予算審議予定
・3月31日 インボイス制度登録申請期限(期限後も9月30日までの登録は、10月1日登録開始日として登録)
・6月30日 通常国会閉会予定
・10月1日 インボイス制度施行予定
詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。