2022年8月8日(月)午前11時半過ぎより、衆議院第2議員会館で、「インボイス制度導入に関する財務省申入れ後の記者会見」が、「公正な税制を求める市民連絡会」の主催で開催された。
消費税の適正な納税のためとして、新たな消費税仕入税額控除の仕組みである「インボイス制度」の導入が2023年10月1日に予定されている。
この制度が導入されると、適用税率や税額の記載義務などを満たした「適格請求書(インボイス)」を使って請求書を発行することになるが、この「適格請求書」は消費税の課税事業者でなければ発行できない。
仕入れる側は、「適格請求書」を発行できない事業者からの仕入れは、仕入税額控除が認められなくなるため、仕入業者が消費税の課税事業者でない場合は、仕入業者を選定し直すか、課税事業者として登録してもらうことになる。
一方、現在年間の売上高が1000万円以下のフリーランスや個人事業主は、そのほとんどが消費税の免税事業者だが、取引先から仕入税額控除のために「適格請求書」の発行を求められれば、消費税課税事業者として、税務署に届け出る必要がある。
このため、立場の弱いフリーランスや小規模事業者が仕事を失ったり、免税されなくなる等、不利益が危惧されるため、「公正な税制を求める市民連絡会」は、この日午前10時半から財務省に申し入れを行い、内閣総理大臣及び財務大臣宛の「インボイス制度導入に関する質問書」を渡して検討を要請した。
質問書では、物価高騰とコロナ禍の状況下、あえて制度を導入する理由や、小規模・零細事業者の不利益への対応策等を聞いている。
会見ではまず、連絡会共同代表の宇都宮健児弁護士が、申し入れでの財務省と国税庁の担当者の回答について、「これはすでに法律で決まったことなので、粛々と、来年10月1日の導入に向けて準備している、というような対応」「私たちの期待する答えは必ずしも得られなかったが、引き続き問題提起と、施行について延期を求める運動をやっていきたい」と述べた。
続いて、連絡会メンバーの税理士がインボイス制度の問題点と質問書の概要を解説。次いで「インボイス制度の拙速な導入に反対する声明」が発表された。
また、「インボイス制度を考えるフリーランスの会」メンバーが当事者から見た問題点を語り、日本共産党の田村貴昭衆議院議員の秘書が、国会での検討状況を報告。その後、記者との質疑応答が行われた。
記者会見について詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。