日刊IWJガイド・非会員版「岩上安身が岸田総理に対して会見で質問! 岸田総理『今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない』!?」2023.2.25号~No.3817号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!「ノルドストリームの爆破を行なったのは、米国のバイデン政権とノルウェーというスクープ記事が事実なら、同盟国ドイツへの重大な背信行為! 米国は誠実な同盟国なのか!? 自衛隊の指揮権まで渡していいのか!?」との質問に対し、岸田総理は「多くの国々が関与を明確に否定している」と、独立した国際調査を要求するロシアを無視する一方的な欧米支持! さらに「自衛隊と米軍は独立した指揮系統に従って行動をする」と主張! 本当だろうか!?

■JOGMEC原田大輔氏は、12月27日の岩上安身によるインタビューで「ノルドストリーム破壊の翌日、ノルウェーからデンマークを経由してポーランドに行くパイプラインが開通している」と指摘していた!!

■IWJは最大の経済的危機です! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!

■【中継番組表】

■ロシアのネベンジャ国連大使、国連安保理でシーモア・ハーシュ氏の「ノルドストリームを破壊したのは米国」とのスクープ記事に言及、独立した国際調査を要請! 爆破に関与した国は賠償義務があると糾弾!!

■2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻から1年、国連総会で「ウクライナからのロシア軍の撤退や戦闘の停止、可能な限り早期に平和を実現することなどを求める」決議が141カ国の賛成多数で採択! 欧州安全保障協力機構(OSCE)常設理事会は、ロシア代表のスピーチをボイコット! 米国は侵攻1年の日に20億ドル相当の安全保障支援パッケージを供与すると発表!

■シーモア・ハーシュ氏による「ノルドストリーム爆破計画は米国が立案しノルウェー海軍と共同で実施した」というスクープに対し、EUは「憶測」と断定するも、ロシア下院議会は国連に調査を要請することを全会一致で採択! ヌーランド米国務次官は、ノルドストリームの爆破への米国の関与を全面否定するも「私たちがヨーロッパで行ってきたことは、非常に順調に進んでおり、ヨーロッパがロシアの石油とガスに取って代わるのを助けています」と、欧露を分断し、ロシアから市場を奪えたことを自画自賛!

■中国がウクライナ紛争1周年で和平案を提示!「すべての国は、その規模、強さ、弱さ、豊かさにかかわらず平等であり、すべての当事者は、国際関係の基本的規範を守り、国際的な公正と正義を守るために協力しなければならない」! 非常にまっとうな停戦案だけに逆にウクライナと米国は反発必至か!?
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■はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!「ノルドストリームの爆破を行なったのは、米国のバイデン政権とノルウェーというスクープ記事が事実なら、同盟国ドイツへの重大な背信行為! 米国は誠実な同盟国なのか!? 自衛隊の指揮権まで渡していいのか!?」との質問に対し、岸田総理は「多くの国々が関与を明確に否定している」と、独立した国際調査を要求するロシアを無視する一方的な欧米支持! さらに「自衛隊と米軍は独立した指揮系統に従って行動をする」と主張! 本当だろうか!?

 おはようございます。IWJ編集部です。

 昨日24日、ロシアによるウクライナ侵攻から1年の節目に、岸田総理が総理官邸で記者会見を行いました。会見参加を志望した岩上安身は、官邸の報道部による抽選に当選し、記者会見に参加して、次のように質問しました。

岩上安身「ピューリッツァー賞受賞歴もある、米国の著名なジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が2月8日、『ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン、ノルドストリームの爆破を行なったのは、米国のバイデン政権とノルウェーである』というスクープを発表しました。

 これが仮に事実であるとすれば、約1兆円の建設費のかかったノルドストリームにはドイツも出資しており、米国の同盟国でありG7のメンバーでもあるドイツにとっては、重大な背信行為にもなります。

 ドイツでは、野党から徹底調査をすべきという声が上がっております。

 日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?

 また、米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのかどうか。岸田総理がおっしゃるように、『自国は自国の力で守るべき』というならば、有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか、再考すべきなのではないでしょうか?

 総理のお考えをお聞きしたいと思います」

 これに対して岸田総理は、以下のように答えました。

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■JOGMEC原田大輔氏は、12月27日の岩上安身によるインタビューで「ノルドストリーム破壊の翌日、ノルウェーからデンマークを経由してポーランドに行くパイプラインが開通している」と指摘していた!!

 ノルドストリーム爆破の損害について、昨年12月27日に行われた岩上安身によるインタビューに答えて、JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)調査課長の原田大輔氏は、次のように語っています。

 「爆破工作のパイプラインを直すのに、何年かかるかわからない。大変な損害です。

 (ノルドストリームは)第二次世界大戦時の機雷が多く残された海域に、かなり大きなお金をかけて作ったものなので、全体を取り替えるとなると、どういうルートを組むのかという問題もあります。

 パイプラインの中に海水が入ってきているということは、その入った部分は全部取り替えないといけないんです。あの写真の泡の量からすると、かなりの量が入ってしまっている可能性があります。今は圧をかけて(海水が入ってくるのを)止めていますが、すでに入ってきたところは全部取り替えなければいけません。

 誰がお金を払うんだろうということになります。これは、ロシアの資産ですから。ノルドストリームは50%、欧州が出資していますけど、それも全部減損(減価償却による損失処理)が立っていて、(ロシアの)ガスプロム社が直すにしても、ガスプロムも国際裁判所に訴えていくという話になるでしょう」

 さらに原田氏は、ロシア犯人説に対して「不思議なのは、ノルドストリームが(完全に)止まったあと(なのに)、なぜ破壊する必要があるのか」と、疑問を呈した上で、次のように語っています。

 「破壊の翌日には、バルト海パイプラインという、ノルウェーからデンマークを経由してポーランドに行くパイプラインが開通しているんです。3か国の首脳が集まって、まさにこの爆破現場の近くで、稼働式典が行われているんです。

 そこに照らし合わせると、爆破されたことによって、その(バルト海)パイプラインは、非常に需要度が高まったということも言えますし、ロシアがやったとすると、何の意図があったのかと思います」

 岩上安身は3月13日(月)、原田大輔氏への第3回インタビューを行う予定です。ロシア産原油に対する西側諸国の価格上限設定の効果、ノルドストリーム爆破事件など、エネルギー資源の観点からウクライン紛争についておうかがいします。詳細は後日、日刊IWJガイドなどでお知らせします。どうぞ御覧ください

※「脱炭素・ウクライナ紛争を利用して脱ロシアを進める欧州のゴールは、ロシアの資源を安く買い叩くこと」~12.9 岩上安身によるインタビュー第1106回 ゲスト JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)調査課長 原田大輔氏インタビュー 第1回 2022.12.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512825

※米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾!「ロシアは『主権のない国』である日本を見てない!」~12.27 岩上安身によるインタビュー第1109回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏インタビュー(その2)2022.12.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513165

■IWJは最大の経済的危機です! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 IWJの第13期も半期の折り返しを過ぎ、この2月で7ヶ月目に入りました。

 第13期が始まった8月から1月末まで、月間目標を下回る月が続き、この6ヶ月間の累積の不足額は、現時点で1117万1000円と、1000万円を超えてしまいました!

 2月1日から22日までの22日間でいただいたご寄付は、99件、125万2500円です。これは、単独月間目標額390万円の32%に相当します。

 厳しい経済状況の中、IWJにご寄付をお寄せいただき、誠にありがとうございます。

 しかしながら、IWJの内部留保も底を尽き、12月は、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円をIWJにつなぎ融資することでしのぎました。そして、今年に入り、1月も私が、さらに500万円をIWJにつなぎ融資することを決めました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。この2ヶ月間のつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 加えて今年に入って年頭からスタッフの中にコロナ感染者が出て、1月末まで6人の感染者を出しており、予定されていたインタビューを2件延期せざるをえなくなりました。また、新たなインタビューの予定も入れることもできなくなり、1月はインタビューが1本もない月となってしまいました。岩上安身によるインタビューにご期待いただいていた会員や応援・支援くださっているIWJファンの皆さまには、大変申し訳なく思っています。

 幸い、1月27日を最後に、体調を崩す者や、検査で陽性になった者も出ていないため、社内での感染の拡がりはストップしたものと思われます。2月からは巻き直す勢いでインタビューを入れていきたいと存じます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 2月に入って、最も特筆すべきエポックメイキングな出来事は、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出したことでしょう。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 こうした一連の状況は、岩上安身とIWJが報道してきた、2014年からの見通しが間違っていなかったことを証明しています。

 この紛争は、米国主導の戦争なのです。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 米国は、邪悪な国家テロを起こして、他国を都合よく操作する、帝国主義国家である、という疑惑が急浮上してきました。こんな「帝国」によって、日本はウクライナ同様に、米国の仕掛ける対中戦争の「代理戦争」のコマとされるかもしれないことに、日本国民は真剣な危機感を抱く必要があります。

 岸田文雄総理は、1月早々に昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

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店番 008
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.2.25 Sat.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2023.2.26 Sun.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 1094・IWJ_YouTube Live】19:00~「『日本は米国の要請に従って軍国化している!』~岩上安身、エイミー・グッドマン氏と語る」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2014年1月に収録した「グッドマン来日支援連絡会」主催の「デモクラシー・ナウ!LIVE in 京都 国家の自由/私たちの自由」を再配信します。これまでIWJが報じてきたエイミー・グッドマン氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/amy-goodman

[記事URL]https://iwj.co.jp/wj/open/archives/120424

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「次の日銀総裁になるということは、火を噴いている船の船長になれということ」「今や日本は『衰退途上国』」~岩上安身によるインタビュー第1110回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514129

シーモア・ハーシュ氏の記事「ノルドストリームを爆破したのは米国」を否定した米国政府について「ジャーナリストの書いたものを捏造だという挙証責任は権力側にある」と佐藤優氏!~2.22「ウクライナ問題」東京大地塾
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514212

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■ロシアのネベンジャ国連大使、国連安保理でシーモア・ハーシュ氏の「ノルドストリームを破壊したのは米国」とのスクープ記事に言及、独立した国際調査を要請! 爆破に関与した国は賠償義務があると糾弾!!

 ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏のスクープ記事「米国はいかにしてノルドストリーム・パイプラインを破壊したのか?」をめぐり、国連安全保障理事会でロシアのワシリー・ネベンジャ大使が、独立した国際調査を求めました。

 2月21日付けロシア『RT』によると、21日の国連安保理でネベンジャ大使は、ハーシュ氏の記事や、米国務省のアントニー・ブリンケン国務長官、ビクトリア・ヌーランド国務次官らがノルドストリーム2が稼働しなかったことに歓迎を表明したことなど指摘し、「米国とその同盟国がノルドストリームを破壊する動機、手段、機会を持っていることを示唆した」とのこと。

 『RT』は「モスクワが望んでいるのは、ハーシュの記事の主張に対する独立した国際調査だ」と、ネベンジャ大使が主張し、「現在、スウェーデン、デンマーク、ドイツが行っている調査をロシアは信用してない。彼らはいずれも調査結果の共有を拒み、モスクワの問い合わせを完全に無視しているからだ」と述べて、これらの国々が米国をかばっていると批判したと報じています。

 また、この『RT』の記事は、ネベンジャ大使が「ノルドストリームへの攻撃は爆発物を伴うもので、1997年に締結された条約にもとづく国際テロリズムに該当する」と指摘したと報じています。

※Evidence of US guilt for Nord Stream ‘more than a smoking gun’ ― Russia(RT、2023年2月21日)
https://www.rt.com/russia/571875-nebenzia-unsc-nordstream-investigation/

 一方、同じくこのネベンジャ大使の国連安保理での発言を報じたロシアの『スプートニク日本語版』は、22日付け記事で「『ノルド・ストリーム』の爆破に関与した国々は被害を被った国々に対し、賠償を行う義務がある。国連安保理の会合でロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使が指摘した」と報じました。

※ノルド・ストリームを爆破した国々はロシアに賠償せよ=露国連大使(スプートニク日本、2023年2月22日)
https://sputniknews.jp/20230222/15051693.html

■2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻から1年、国連総会で「ウクライナからのロシア軍の撤退や戦闘の停止、可能な限り早期に平和を実現することなどを求める」決議が141カ国の賛成多数で採択! 欧州安全保障協力機構(OSCE)常設理事会は、ロシア代表のスピーチをボイコット! 米国は侵攻1年の日に20億ドル相当の安全保障支援パッケージを供与すると発表!

 国連総会は23日、ロシアによるウクライナ侵攻から1年を翌日に控えて、「ウクライナからのロシア軍の撤退や戦闘の停止、可能な限り早期に平和を実現することなどを求める」決議を、141カ国の賛成多数で採択しました。ロシアを含む7カ国が反対、中国やインドなど32カ国が棄権しました。

 決議案は、ウクライナからのロシア軍の撤退や戦闘の停止、可能な限り早期に平和を実現すること、ウクライナの主権と領土保全への支持を再確認することなどが盛り込まれていました。

 ロシアは昨年9月、住民投票を行い、ウクライナの東部ルハンスク、ドネツク、南部ザポリッジャ、ヘルソンの4州を併合すると宣言しました。決議案は、占領地域はロシアの一部だとするロシア側の主張を退けています。

 反対票を投じたのは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリアの7カ国でした。

 棄権は中国、インド、イラン、南アフリカなど32カ国です。

※国連総会、ロシア軍の即時撤退など求める決議採択 ウクライナ侵攻1年(BBC、2023年2月24日)
https://www.bbc.com/japanese/64740123

 投票前の声明で、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「ロシアによるウクライナ侵攻からの1年は厳しいマイルストーンだ」とし、「今日の見通しは暗いように見えるかもしれないが、真の永続的な平和は、国連憲章と国際法にもとづくものでなければならないことを私たちは知っています。戦いが長引けば長引くほど、この仕事は難しくなる。私たちはこれ以上時間を無駄にはできません」(UN、22日)と、停戦を急ぐべきとの主張を示しました。

 これに対し、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、「ロシアの空虚な交渉の呼びかけにだまされてはならない」、「私たちは生存のために戦い続ける以外に選択肢はありません」などと述べ、停戦を拒み、領土の奪回のためにロシアと戦い続けること、世界の支援と団結、連帯を要請しました。

 国連では昨年2022年、3月2日、3月24日、4月7日、10月12日、11月14日の5回、ウクライナ紛争に関する決議を行っています。

第1回:3月2日、ロシア軍の即時撤退を求める決議…賛成141カ国、反対5カ国、棄権35カ国

第2回:3月24日、民間人・民間施設への攻撃停止を求める決議…賛成140カ国、反対5カ国、棄権38カ国

第3回:4月7日、国連人権理事会からロシアを追放することを求める決議…賛成93カ国、反対24カ国、棄権58カ国

第4回:10月12日、ロシアによるウクライナ東部南部4州併合の無効を求める決議…賛成143カ国、反対5カ国、棄権35カ国

第5回:侵略に伴うあらゆる損害の賠償をロシアに求める決議…賛成94カ国、反対14カ国、棄権73カ国

 6回目の決議となる2023年2月24日は、ロシア軍の即時撤退を求めるという意味で、昨年3月2日の第1回目の決議案と内容的に重複していますが、マリ、ニカラグアの2カ国が反対票を投じました。

※Ukraine: General Assembly resumes emergency special session, taking up new text to end war(ウクライナ:総会が緊急特別会期を再開し、戦争を終わらせるための新しい文書を取り上げる)(UN、2023年2月22日)
https://news.un.org/en/story/2023/02/1133797

※「ロシア即時撤退を」国連決議141カ国賛成、5カ国反対(日本経済新聞、2022年3月3日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020UR0S2A300C2000000/

 また、23日には、オーストリアの首都ウィーンにある欧州安全保障協力機構(OSCE)で、OSCE常設理事会が開催されました。

 OSCEとは、北米、欧州、中央アジアの57か国が加盟する世界最大の地域安全保障機構です。外務省によると「経済、環境、人権・人道分野における問題も安全保障を脅かす要因となるとの考えから、安全保障を軍事的側面のみならず包括的に捉えて活動しています」ということです。

 『BBC』(24日)は、「ロシアのウラジーミル・ジャバロフ代表が話し始めると、多くの国の代表が席を立ってボイコットした」と報じました。

 『BBC』によると、ロシア代表団9人のうち、6人は欧州連合(EU)から制裁を受けている個人でしたが、開催地であるオーストリア側は、ロシア代表団9人に、入国ビザを発行する「義務」があったと説明しています。

 ウクライナとリトアニアは、この常設理事会をボイコットし、ラトヴィアのリハルズ・コルズ代表は、「(ロシアの)代表団、特に制裁を受けた個人で構成される代表団がここにいるのは恥ずべきことだ」と非難した、と『BBC』は報じています。

※OSCE常設理事会にロシアが参加 ボイコットや批判相次ぐ(BBC、2023年2月24日)
https://www.bbc.com/japanese/video-64753662

※欧州安全保障協力機構(OSCE)(外務省、2023年2月8日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/osce/index.html

 一方、これまでウクライナ紛争問題から、冷静に距離を置いていたかのように見えた中国政府が、停戦に向けて動き始めました。

 中国政府は24日、外務省公式サイトで「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題された文書を発表し、ロシアとウクライナの両国に、早急な和平協議の再開を呼びかけました。

 22日には、中国外交トップである王毅共産党政治局員が、プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ外相とモスクワで会談しました。ロシア政府は中国から今回の文書の提示があったことを認めています。

 『ロイター』(23日)によると、中国の戴兵国連次席大使は23日、国連総会で、「兵器を供与しても平和はもたらされないことが『残酷な事実』で十分に証明されている」、「火に油を注げば緊張が高まるだけだ。紛争を長期化させ、拡大させれば、一般の国民が払う代償がさらに高くなるだけだ」と述べています。

 中国アンチの感情的なフィルターを通せば、中国の大使が国連総会で何を言おうと耳を貸さず、中国が政治的解決の提案を示そうとも、提案の内容も読まずにはねのけるところでしょうが、その感情的フィルターを外してみれば、この提案内容にケチをつけるところがあるだろうか、と思います。

 ウクライナへの武器支援を加速させ、ロシアの「力による一方的な現状変更」を、「力によって押し返す」だけの策への固執は、冷静さを完全に失うまでエスカレートしてゆくと、ロシアによる「核の威嚇」だけでは終わらず、「核の現実的な使用」という段階にたどり着いてしまいます。

 どちらが先制使用するか、といった問題ではなく、核がいったん使用されれば核の報復を招いて、米国とロシアの間で全面核戦争に至れば、世界が滅びかねません。「核の冬」が訪れると、最悪のケースの場合、日本は全国民が飢餓によって餓死すると予想されています。そんな悲劇に陥る前に、その手前で立ち止まり、「停戦」に至る以外、道はないと思われます。

※米ラトガース大が学術誌『Nature Food』に発表した論文で、米露全面核戦争の「核の冬」で2年以内に世界の50億人が飢餓に直面と分析! 最も影響を受けるのは北半球の高緯度地域、かつ食料を輸入に依存する国、つまり日本!! 東京大学大学院の鈴木宣弘教授は「日本は台湾有事で中国と戦争をする前に飢える」と、食料自給率の低さを放置したまま軍備増強に向かう政治を批判!!(前編)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51815#idx-5

※米ラトガース大が学術誌『Nature Food』に掲載した研究発表で、米露全面核戦争が起きた場合の「核の冬」で地球全体が寒冷化し2年以内に世界の50億人が飢餓に直面と分析! 日本では1億2000万人以上、ほぼすべての人口が餓死!! IWJはこの研究発表「核戦争の煤煙噴出による気候変動で、作物、海洋漁業、家畜の生産が減少し、世界の食糧難と飢饉が発生する」を全文仮訳!!(中編)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51818#idx-1

※中国、ロシアとウクライナに和平協議再開呼び掛け 核兵器使用には反対(AFP、2023年2月24日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3452729

※China’s Position on the Political Settlement of the Ukraine Crisis(中国外交部、2023年2月24日)
https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/wjdt_665385/2649_665393/202302/t20230224_11030713.html

※ウクライナ戦争、兵器供与で「平和実現せず」=中国国連次席大使(ロイター、2023年2月23日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-anniversary-un-china-idJPKBN2UX1NM

 ロシア侵攻から1年となる24日には、ゼレンスキー大統領も参加する、主要7ヵ国(G7)のバーチャル会議が開催されます。米国は、「侵攻1年」にあわせて「ロシアに対する『広範な』追加制裁を発表する」と、カリーヌ・ジャンピエール米大統領報道官が23日、発表しました。『AFP』などが報じました。

 『ブルームバーグ』(24日)は、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が23日夜、ウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)にもとづき、「ウクライナにさらに20億ドル(約2700億円)相当の安全保障支援パッケージを供与する」ことを明らかにした、と報じました。

 米国は、まだまだウクライナ紛争を継続する意向のようであり、日本政府の方針は、昨夜、記者会見を開いた岸田総理の言葉を聞く限り、「断固として」、この米国の意向に追従してゆく方針のようです。

※米、ロシアに「広範な」追加制裁 侵攻1年に合わせ発表へ(AFP、2023年2月24日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3452678

※米国、ウクライナ向けに安全保障支援パッケージ用意-約2700億円相当(ブルームバーグ、2023年2月24日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-24/RQKG37T0AFB401

 岸田総理は、記者会見において、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない。私は強い危機感を持って強力な対ロ制裁とウクライナ支援を実施してきました」と表現しました。

 東アジアで、米国がかねてより掲げている中国との覇権闘争が現実の戦争となり、日本が巻き込まれてしまうならば、日本が「東アジアのウクライナ」、つまりは米中「代理戦争」の戦場にされてしまうことは避けられないように思われます。岸田政権の歩みを、日本国民は肯定し、受け入れるのでしょうか!? 全国民が、真剣に考えるべき時が迫っています。

■シーモア・ハーシュ氏による「ノルドストリーム爆破計画は米国が立案しノルウェー海軍と共同で実施した」というスクープに対し、EUは「憶測」と断定するも、ロシア下院議会は国連に調査を要請することを全会一致で採択! ヌーランド米国務次官は、ノルドストリームの爆破への米国の関与を全面否定するも「私たちがヨーロッパで行ってきたことは、非常に順調に進んでおり、ヨーロッパがロシアの石油とガスに取って代わるのを助けています」と、欧露を分断し、ロシアから市場を奪えたことを自画自賛!

 シーモア・ハーシュ氏による「ノルドストリーム爆破計画は米国が立案しノルウェー海軍と共同で実施した」というスクープを、米政府は全面的に否定しました。EUも「憶測」と断定しました。日本の岸田総理も、昨日の会見で、岩上安身の質問に答えて、米国とノルウェーとEUの姿勢を紹介し、それに追随する姿勢を示しました。

 しかし、ハーシュ氏のスクープの衝撃はゆっくりと広がっています。ロシア下院議会は16日、国連に調査を要請することを全会一致で採択しました。デンマーク、ドイツ、スウェーデン3カ国は、国連に対し、「これら調査はまだ終了していない」と書簡を送りました。

 渦中の人、ともいえるヴィクトリア・ヌーランド米国務次官に、ロシアメディア『TASS』がインタビューしました。

【EUはノルドストリーム爆破に関するハーシュ氏の調査を「憶測」と決めつけ!】

 2月20日付『TASS』によると、欧州委員会は、シーモア・ハーシュ氏による「米国がノルドストリームの爆破計画を、ノルウェーとともに行った」とするスクープ記事に対し、それは「憶測」にすぎないと否定、(ロシアの参加が認められていない)公式調査の結果だけが唯一の根拠になりうるとの見解を示しました。

 アンドレア・マシーニ将校は20日、ハーシュ氏の調査に関する『TASS』の質問に対し、以下のように回答しました。

 「ノルドストリーム・パイプラインに対する破壊行為の加害者に関する憶測についてはコメントしません。考えられる対応の唯一の根拠は、公式調査の結果です。そのような調査は、関係する加盟国の管轄当局の責任です。そして、それらはまだ進行中です. これまでのところ、パイプラインが意図的な妨害行為によって破壊されたことが確立されているだけです」(TASS、20日)

 『TASS』は、「ハーシュの調査記事が公開されて以来、ブリュッセルの西側のレポーターは、委員会や欧州対外行動庁の記者会見で、欧州委員会の結果に対する意見について、欧州委員会に質問した人は一人もいない」と述べています。日本でもハーシュ氏の記事にもとづき、大臣会見や総理会見で質問したのは、岩上安身とIWJだけにとどまります。

※ノルドストリームの爆破を計画・実行させたのは米国!? シーモア・ハーシュ氏のスクープについて「日本政府は検証や情報収集を行っているのか?」とのIWJ記者の質問に「コメントは控えさせていただく」と浜田大臣! ~2.21浜田靖一防衛大臣定例記者会見 2023.2.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514200

※【ピックアップ】ノルドストリームの爆破を計画・実行させたのは米国!? シーモア・ハーシュ氏のスクープについて「日本政府は検証や情報収集を行っているのか?」とのIWJ記者の質問に「コメントは控えさせていただく」と浜田大臣! ~2.21浜田靖一防衛大臣定例記者会見(1分54秒)
https://www.youtube.com/watch?v=2mzkbQuzRAk&t=5s

 『TASS』は、以下のように付け加えています。

 「元ドイツ国防相ウルズラ・フォン・デア・ライエンが率いる欧州委員会は当初、ノルド・ストリーム・プロジェクトをドイツとEUに対するロシアの政治的影響力の手段と見なして反対していた。

 2019年には、ノルドストリーム2の機能を制限するために、欧州委員会はEUのガス規制法を変更し、記録的な速さでEUガス指令の修正を承認し、パイプラインを介したガスのポンピング容量を合法的に50%に制限することを許可した」

※EU brands Hersh’s investigation of Nord Stream blasts as ‘speculation’(EUはノルドストリームの爆発に関するハーシュの調査を「憶測」としてブランド化する)(TASS、2023年2月20日)
https://tass.com/world/1578651

【ロシア下院議会は全会一致で、ノルドストリーム・パイプラインの爆破工作に対する調査を要求する国連へのアピールを採択】

 『RT』(16日)によると、ロシア下院議会は、シーモア・ハーシュ氏のスクープ記事を受け、16日に全会一致で、ノルドストリーム・パイプラインの爆破工作に対する調査を要求する国連へのアピールを採択することを可決しました。

 ヴャチェスラフ・ヴォロディン下院議長は、16日の議会で、事件に関与した国々が「CIAと米国の両方からの指示に取り組んでいた」と指摘、爆発を「テロ攻撃」と呼びました。

ヴォロディン議長「考えてみてください。(出資した)ロシア、ドイツ、オランダ、フランスを狙ったテロ行為です。米国は恥知らずにもそれを実行に移し、バイデン大統領は公にそれを支持した」(『RT』、16日)。

 『RT』によれば、採択された文書には、「不法な命令を出したバイデン政権は、ユーラシア大陸にとって最も重要なエネルギーインフラの所有者に数十億ドルの損害を与えた全責任を負っている」と書かれています。

 「この文書は、ワシントンが『この地域の国々の経済発展に対するこの攻撃の長期的な悪影響』と『環境への壊滅的な損害』について答えなければならないと主張している。議員によると、地政学的覇権に対するワシントンの『皮肉な願望』と『自然な競争相手の物理的な排除』により、米国の指導者は『冷酷なテロリストや戦争犯罪者と同等』になる」(RT、16日)

※ロシアは国連の調査を要求するノルドストリームの爆発(RT、2023年2月16日)
https://www.rt.com/russia/571598-nord-stream-un-investigation/

【デンマーク、ドイツ、スウェーデン3カ国は、国連安全保障理事会に共同書簡を送り、「ノルドストリーム」爆破事件に関する調査はまだ終了していないと報告!】

 『ロイター』は21日、「デンマーク、ドイツ、スウェーデン2カ国は21日、国連安全保障理事会に共同書簡を送り、ロシアから欧州に天然ガスを送る海底パイプライン『ノルドストリーム』で昨年9月に起きた爆発に関する調査はまだ終了していないと報告した」と報じています。

 『ロイター』によると、この共同書簡は、パイプラインの被害は現時点で「破壊工作による強力な爆発」が原因だと立証しているとした上で、「これら調査はまだ終了しておらず、いつ結論が出るかは不明」とされている、とのことです。

 『ロイター』は、「国連安保理は21日、ロシアが爆発に関する独立調査を要請したことを受けて協議を行ったが、独立調査を巡る採決の日程はまだ決まっていない」と述べています。

※ノルドストリーム爆発調査は継続中、デンマーク・独などが国連に書簡(ロイター、2023年2月21日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-nordstream-idJPKBN2UV1NE

【タス通信がヌーランド米国務次官にインタビュー! ヌーランド氏は、ノルドストリーム爆破への米国の関与を改めて全面否定! ノルドストリーム爆破)の恩恵を受けたのは誰かと問われ「米国による欧州への支援は非常に順調」!】

 ロシアメディア『TASS』がヌーランド米国務次官にインタビューを行いました。

 『TASS』によれば、ヌーランド氏は、ロシアがノルドストリーム・パイプライン妨害工作の調査に参加することを、米国が支持するかどうかという問題について、米国は関与しない、プロジェクトに関与しているヨーロッパ諸国に委ねるべきだと述べました。

ヌーランド「これは私たちの選択ではありません。これは、このガスパイプラインに関与している国々の選択です。これは、ロシアが参加すべきかどうかは彼らの決定であり、私たちのものではありません」

 『TASS』は、ヌーランド氏が「当事者、つまりその仕事(ノルドストリーム)を取り囲む国々による」調査が進行中であると述べ、「その調査がいつ完了するかはわかりますが、ここではっきりと言いたいのは、米国はこの爆発とは何の関係もありませんでした」と、改めて、ノルドストリーム爆破工作への米国の関与を全面的に否定しました。

 一方、「(ノルドストリーム爆破)の恩恵を受けたのは誰ですか?」という問いに対し、ヌーランド氏は、米国はロシアの石油とガスの代わりにヨーロッパを「非常にうまく」支援していると回答しています。

 「私たちがヨーロッパで行ってきたことは、非常に順調に進んでおり、ヨーロッパがロシアの石油とガスに取って代わるのを助けています。御覧のとおり、彼らは冬を乗り切っただけでなく、インフレの減少と多くの困難を目の当たりにしています」。

 ウクライナ国内における、ウクライナ民族主義者と、ロシア語話者との対立を2014年のユーロマイダン・クーデターの時点から煽ってきたヌーランド国務次官のこの発言は、欧州とロシアの分断に見事に成功し、ロシアからエネルギー資源の市場を奪い取れた「成果」を誇り、自画自賛しているとも受け取れます。

 ヌーランド氏は、ロシアは石油とガスから得ていたヨーロッパへの収入を「すべて犠牲にした」と指摘した、と『TASS』は付け加えています。

※Dialogue on New START and Ukraine talks formula: what senior US diplomat told TASS(新しい START とウクライナの対話形式に関する対話: 米国の上級外交官が TASS に語ったこと)(TASS、2023年2月24日)
https://tass.com/world/1581105

■中国がウクライナ紛争1周年で和平案を提示!「すべての国は、その規模、強さ、弱さ、豊かさにかかわらず平等であり、すべての当事者は、国際関係の基本的規範を守り、国際的な公正と正義を守るために協力しなければならない」! 非常にまっとうな停戦案だけに逆にウクライナと米国は反発必至か!?

 国際情勢の動きが激しくなってきました。また、シーモア・ハーシュ記者によるノルドストリーム爆破のスクープ記事をきっかけに、米国の隠された意図が明らかとなってきました。

 国際情勢の動きの中で、大きな注目点は、中国による12項目からなる本格的な停戦案の発表です。

 中国外務省は2月24日、ウクライナ危機の政治的解決に向けた「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」を発表しました。

 中国外務省が発表した12項目の停戦案は、以下の通りです。

※ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場(中国外務省、2023年2月24日)
https://www.mfa.gov.cn/web/zyxw/202302/t20230224_11030707.shtml

 「第一に、国家の主権の尊重である。国連憲章の目的と原則を含む公認の国際法は厳格に遵守されるべきであり、すべての国の主権、独立および領土保全は効果的に保護されなければならない。すべての国は、その規模、強さ、弱さ、豊かさにかかわらず平等であり、すべての当事者は、国際関係の基本的規範を守り、国際的な公正と正義を守るために協力しなければならない。国際法は平等かつ一様に適用されるべきであり、二重基準は採用されるべきではない」

 冒頭、中国は、国際社会の在り方に対する意見を表明を行っています。

 ここで言う「二重基準」とは、自国だけは常に国際法の「例外」であるとの著しい傲慢なスタンスを示してきた米国への批判であることは間違いないでしょう。

 「すべての国は、その規模、強さ、弱さ、豊かさにかかわらず平等であり、すべての当事者は、国際関係の基本的規範を守り、国際的な公正と正義を守るために協力しなければならない」。これは極めてまっとうな意見です。

 「第二に、冷戦的な考え方を捨てること。一国の安全保障が他国の安全保障を犠牲にすることはできず、地域の安全保障は軍事ブロックの強化や拡大によって保証されることはない。すべての国の正当な安全保障上の利益と懸念は、真剣に受け止められ、適切に対処されるべきである。複雑な問題には単純な解決策はない。我々は、共通、包括的、協力的かつ持続可能な安全保障の概念を堅持し、世界の長期的安全保障に焦点を当て、バランスのとれた、効果的かつ持続可能な欧州安全保障アーキテクチャの構築を促進し、他国の不安に国の安全をもとづかせることに反対し、陣営対立の形成を防ぎ、アジア・欧州の平和と安定を共同で維持すべきである」

 第二項は、ウクライナ紛争の本質を突いたものです。

 「地域の安全保障は軍事ブロックの強化や拡大によって保証されることはない」とは、米国のNATO東方拡大を批判していることは明らかでしょう。

 重要な点は、「複雑な問題には単純な解決策はない」と中国が断言している点です。

 21日にポーランドで行われたバイデン大統領の、複雑な事象を意図的に単純化した演説への批判ともなっています。

 バイデン大統領のメンタリティは、23日に、廃墟の画像とともにツイートされ、世界中から批判を浴びた、NATOのヒーロー気取りの独善的なツイートと同根です。

 NATOは、こうツイートしたのです。

 「ウクライナは今世紀の偉大な叙事詩の一つを主催している。

 『我々はハリー・ポッターとウィリアム・ウォレス(13世紀にイングランドと戦ったスコットランドの英雄)、ナヴィ族(映画『アバター』に出てくる異星の先住民族)とハン・ソロだ。ショーシャンク(映画『ショーシャンクの空に』の刑務所)から逃げ出し、デス・スター(映画『スター・ウォーズシリーズ』に登場する架空の宇宙要塞・人工天体)を爆破する。ハルコネン(『DUNE/デューン 砂の惑星』に登場する、残虐非道な一族)と戦い、サノス(コミック『アイアンマン』に登場する悪役キャラ)に挑むのだ』」

※NATOの2月23日のツイート
https://twitter.com/NATO/status/1628687961477750790?s=20

 ハリウッド映画とアメコミの読みすぎとはこのことでしょう。開いた口がふさがりません。しかも、この裏には、NATOの軍事産業と資源産業の莫大な経済利権があるのですから、単純馬鹿では済まないのです。このNATOのツイートに対しては、「このツイートはNATOを廃止するに十分だ」等々の批判が集まりました。

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