「水道水に起因するのか? 依然、高い数値がでた沖縄のPFAS血中濃度」原田准教授 ~12.18「血液検査から見えてきた沖縄のPFAS汚染!」原田浩二 京都大学准教授 講演会 2022.12.18

記事公開日:2023.3.5取材地: テキスト動画
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※23/3/16テキスト追加 

 2022年12月18日(日)午後1時より沖縄県の宜野湾市民会館にて、「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会」主催による、原田浩二・京都大学准教授講演会「血液検査から見えてきた沖縄のPFAS汚染!」が開催された。

■以下、原田浩二 京都大学准教授 オンライン講演部分文字起こし

 今回、この沖縄での血液検査、非常にたくさんの方がご参加して、その結果が今回出てきたわけですけど、やはりそれは、市民が自分たちで血液検査をして、そして、今どんな状況なのかっていうのを明らかにしようとした、その大きな取り組みがあったわけですね。私は、分析するというところで、お手伝いをさせていただいたという形でありますが、これはやはり市民の力を見せたものだと思っております。

 一方でまた、市民が行った結果を受けて、今後どのように行政が、この問題に対して取り組みを進めるのかということも大事だと思います。それについては、このお話の最後に、少し論点をまとめたいと思っております。

 本日は、『血液検査から見えてきた沖縄のPFAS汚染』というお話で、今回の血液検査についてのまとめ、そして今後の問題というのをお話ししたいと思います。ただ、その前に、まずそもそもPFASの問題っていうのは、どういう風に広がってきたのか、私がそれ以前に行なってきた、特に沖縄以外の場所のことも含めて、お話を紹介したいと思っております。

 で、まずこの最初の画面に映っております、こちら血液ですね。皆さん、今回、血液検査にも参加された方がいらっしゃるかと思いますが、その血液を頂いてそれを分析すると、そして、何がそれでわかるのかということですね。そういったことを、今日は大事な話になるかと思います。

 そしてPFASって何なのか。こちら、この粉末は、PFASのうちの一番問題となっているPFOSなんですが、こういった化学物質、それが非常に少ない濃度で水道水に入っていると。ただ、すごく少ない、目にも見えないような濃度なんですけど、これが、今となっては様々な健康に影響しうるものであると。そして、それを防ぐために、どのような基準で水道水を保てばいいのか。そういったことが、今まさに世界中での議論になっているわけです。

 今日は、このPFASの汚染の背景、そもそもどういうことでこのPFASが使われきたのか、そして、それが今、どのような状況なのかということですね。そして私が行なってきた調査事例、そしてPFASがこれまでどのようなところから、我々の体に入ってきたのか、そして、その影響っていうのは、どれだけ調べられているのかということ。そして、その次に、今回の血液検査の話題に入っていきたいと思っております。

 で、いつも『PFAS』と呼ばれているものなんですが、英語ではこのような書き方をするわけですが、平たく言えば、フッ素がついている有機物と。なので、『PFAS』と言わなかったら、だいたい『有機フッ素化合物』と、皆さん耳にするのではないかと思っております。

 で、このPFASなんですが、特にこれまでは、この左下にあるPFOA、もう一つがこのPFOSと、この二つが代表的な物質で、問題だと考えられてきました。こういったものが、もちろん様々なものに使われてきたわけですね。我々が目にするようなものもあれば、普段目にしないようなものまで、本当にいろんな用途に使われております。

 かつては、こういったアリをよけるようなもの(誘引殺虫剤)とか、撥水スプレーの主成分としても、かつては、使われております。同じ製品名で今も目にすると思うんですが、成分は別のものに変わってきています。でも、それもPFASなので、今後どのように影響するのかというのは、調べないといけないと言われております。

 そして、今ここで、沖縄において一番大事なのは、この泡消火剤ですね。こういった航空機、こういったものに火災が起こるとジェット燃料が漏れ出して、それが火災につながるという恐れから、非常に泡立つ泡消火剤、これを使って消火するということが、今まで行われてきました。皆さん、2020年に普天間飛行場から泡消火剤が流出したというのは、まだ記憶に新しいところかと思いますが、まさにあのような非常に泡立つような消火薬というのがあるわけです。

 このPFASですね、実は本当に非常に昔から使われていたと。1940年代に開発されたものなんですね。そしてそこから、泡消火剤とか、撥水剤とか、様々なものに使われるようになった。で、製品として使われていて、それが人体に入っているのかということについては、ほとんど気にもされなかったと。振り返ってみれば、実はもう日本人、日本と言っても京都とかのあたりのことなんですが、血液中には、1970年代、このあたりから(PFOAが)検出されるようになったことがわかりました。

 PFOSなんかは、さらに前から使われていただろうと。というのも、もう1970年代には、実はもうその後の80年代、90年代と変わらないぐらいの、血液中濃度があったわけですね。

 我々は、そういった知らず知らずのうちに、PFASを取り込んできたわけです。そしてそれが、事態が変わったのはいつなのか? 2000年なんですね。

 もともとPFOSやPFOAを製造して販売してきたメーカーが、作るのをもうやめますと。 PFOSやPFOAは、体に溜まると。そのような物質っていうのは、将来的にはよくないと。そういったことから、もう作るのをやめますと宣言したわけですね。そして製造が行われなくなったわけなんですが、ただ問題はそれで終わったわけではありません。まさに今も続いてるわけです。

 何が問題かというと、このPFASというのは、非常に良い環境に残りやすい。そして、地下水や土壌の汚染が、今も継続していると。そして、そこから健康影響が懸念されるという事態であります。

■全編動画

  • 日時 2022年12月18日(日)13:00~
  • 場所 宜野湾市民会館(沖縄県宜野湾市)
  • 主催 有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会(詳細1 詳細2

※会員部分文字数約17300字

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