命を燃やすように生きよう!ボクシング名誉王者・袴田さんの生き方に学ぶ!そして王者・井上尚弥は4日に3度目の防衛戦!秘策は「スイッチ」!? 2016.9.3

記事公開日:2016.9.3 テキスト
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※本稿はIWJ会員に無料で発行している「日刊IWJガイド・番組表」2016.9.3日号から転載したものです。

 おはようございます。IWJ記者の原佑介です。先日アップしたIWJブログ「俳優、絵師でもあった米倉斉加年さんの命日によせて」はもうお読みになっていただけましたか?

 青木浩文記者が書いたこの記事、皆さんから「非常によかった」「泣いた」といった反響を多数いただいています。ありがとうございます。僕も青木記者の温かみのある文章が好きで、いつも手元に第一稿が届くのを楽しみにしています。

 恥ずかしながら、僕自身は米倉斉加年さんという俳優について詳しく存じあげなかったのですが、差別意識の蔓延していた当時の日本社会で、自身の俳優生命を賭けて堂々と差別と闘った、偉大な人物であることがわかりました。

 日本では今、再び差別問題が表面化しています。街頭でのヘイトデモや、相模原市の障害者を狙った大量殺人事件を考えると、むしろ今が戦後で最も危機的な状況にあるのではないかと思えます。

 未曾有の朝鮮人虐殺を引き起こした関東大震災の発生が1923年の9月1日。IWJでは今年もこの時期に特集を組み、連日、中継や関連動画の再配信を行っています。

 本日は、虐殺現場のひとつとなった荒川河川敷から「関東大震災93周年、韓国・朝鮮人犠牲者追悼式」を生中継し、その後は「IWJ追跡検証レポート」と題して、「『九月、東京の路上で』~関東大震災・ジェノサイドの跡地を加藤直樹氏と歩く・第三夜」を再配信します。ぜひご視聴ください。

 相模原の大量殺人事件は、戦後最大のヘイトクライムでした。IWJでは現在、事件の背景を深く掘り下げるべく取材を続けています。二度とこんな悲惨な事件が起きないよう、差別に対しては見て見ぬふりをするのではなく、毅然として対峙しなければいけません。この危機感を社会で共有する意味でも、IWJの記事を広めていただければ幸いです。

 相模原での事件については、現在、岩上さんも「ニュースのトリセツ」に論考と取材成果をまとめている最中です。

 青木記者のブログにもありますが、7月に再び心臓発作に見舞われた岩上さんは、IWJの期末とも重なり、もともとオーバーワークだった仕事の量をセーブしてきました。

 この間、疲労した身体の回復に努めつつ、徐々に運動も始め、最近では定期的にウォーキングやジムで汗を流しています。

 めまいにもたびたび襲われる岩上さんが、それでも無理を押して歩いたり、運動して汗を流そうとするのは、世紀の冤罪事件「袴田事件」で死刑判決を受けた元プロボクサーの袴田巌さんは、毎日5時間歩くことを日課にしている――ということも、青木記者のブログ記事で触れられています。

 1966年6月30日、静岡県のみそ会社専務の一家4人が殺害、放火され、会社の従業員の袴田巌さん(当時30歳)が強盗殺人などの疑いで逮捕、起訴されました。袴田さんは無罪を主張し続けましたが、80年に死刑が確定。しかし、DNA鑑定の結果などに不審点が多く、静岡地裁が2014年3月27日、再審開始を決定。袴田さんは釈放されました。

 袴田さんの釈放から間もない4月6日、大田区総合体育館で、ボクシングのWタイトルマッチが行なわれました。WBC世界フライ級王者・八重樫東選手が3度目の防衛に成功し、ベルトを堅守。日本最速プロ6戦目で世界挑戦となった井上尚弥選手は、WBC世界ライトフライ級のベルトを奪取。日本ボクシング界の記念すべき日となったわけですが、会場ではもうひとつ、歴史的なイベントが行われました。

 WBC認定「名誉王者」のチャンピオンベルトが、袴田さんに贈呈されたのです。

 「ボクサーくずれの犯行という偏見で捜査が行なわれたのではないか」――ボクシング界は袴田さんの逮捕直後から捜査に反発、袴田さんへの支援を開始しました。2006年には元世界チャンピオンの輪島功一さんを委員長とする、袴田巌支援委員会を設立。再審開始に向けたアピールを続けてきました。

 入院中の袴田さんの代理としてチャンピオンベルトを受け取った姉の秀子さんは、「ボクシング界には、本当にお世話になりました。みなさんのおかげです」と挨拶し、「闘いは続きます」と訴えました。

 「袴田事件」は一見、一件落着のように見えますが、検察側が即時抗告たことで、東京高裁で再審をめぐる審理が今も継続中…実は、袴田さんの身分はまだ死刑囚のままなんです。それでもボクシング界は袴田さんに寄りそって、ともに歩んでいます。権力を相手に回しても怯まず、「冤罪は許さない」という姿勢を断固として貫くボクシング界の皆さんに、尊敬の念を禁じ得ません。

 「袴田事件」に関しては、岩上さんが袴田事件弁護団長の西嶋勝彦弁護士にロング・インタビューしていますので、この機会にぜひご視聴ください。

 さて、井上尚弥選手の話がちょろっと出ましたが、今月4日には、スーパーフライ級王者として3度目の防衛戦が決まっています。「先手先手でペースをつかんで、流れがくればKOを狙っていきたい」と意気込む王者・井上。今回は本来のオーソドックススタイルから試合途中でサウスポースタイルに変える「スイッチ」を練習に取り入れてきたということで、新たなスタイルが見られるかもしれません。

 僕も最近は、岩上さんや元プロボクサーで現在、WJウェブスタッフのサルサ岩渕さんとともにキックボクシングジムでサンドバッグを叩き、ときおりリング上でスパーリングもしています。袴田さんのように毎日5時間は歩けないし、井上選手のような一流選手にもなれませんが、現場で取材するにも、最後は体力がものを言います。

 高江で、機動隊にもみくちゃにされる取材を経て、権力の無法を取材して伝えるにも、最後の最後には体力勝負であると痛感しました。運動をして、汗を流して、体力をつけて、全力で取材現場に臨みたいと思いまし、やがてベッド上で動けなくなるその日まで、命を燃やすように生きていきたいと思います!

 しかし他方、こうも思います。30代に入ったばかりの僕には、80代の袴田さんが痛感しているであろう身体の衰えは想像もできませんが、病であったり、事故にあったりして「障害」を負うことも、長い人生の中ではありえないことではありません。そうした出来事に見舞われなくても、誰の身にも老いは訪れます。どんな強者であっても、いつかは身体的な弱者となるわけで、老いや病いや障害のために、弱い立場にいる人も自分が元気なうちにいたわり、かばい、自分が弱い立場となったら、お世話になる、そうした「お互い様」の思いがなければ、社会は成り立ちません。

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