日本弁護士連合会は、約20年前から再審制度を改正するべきだと主張しているが、…
1966年に起きた一家4人殺害事件の犯人とされ、死刑判決を受けて48年もの間拘留されてきた袴田巌氏が、3月27日に釈放された。証拠とされる衣類から袴田氏のDNAが検出されなかったことから、再審開始が決定されたのだ。
4月9日、袴田氏の姉の袴田秀子氏、袴田氏の弁護団長の西嶋勝彦弁護士、アムネスティ・インターナショナル日本事務局長の若林秀樹氏による記者会見が行われた。
(取材:ぎぎまき、記事:ゆさこうこ)
日本弁護士連合会は、約20年前から再審制度を改正するべきだと主張しているが、…
1966年に起きた一家4人殺害事件の犯人とされ、死刑判決を受けて48年もの間拘留されてきた袴田巌氏が、3月27日に釈放された。証拠とされる衣類から袴田氏のDNAが検出されなかったことから、再審開始が決定されたのだ。
4月9日、袴田氏の姉の袴田秀子氏、袴田氏の弁護団長の西嶋勝彦弁護士、アムネスティ・インターナショナル日本事務局長の若林秀樹氏による記者会見が行われた。
記事目次
■ハイライト
袴田巌氏は釈放後、入院している。姉である秀子氏は、「(巌氏は)自由になったという認識は少しはあるが、ちょっとおかしい行動を取る。拘禁反応が激しいのかと思う」と述べた。秀子氏のことを認識できるときもあれば認識できないときもあり、「袴田巌であることを否定したりすることもある」という。
拘禁反応とは、刑務所などで自由を拘束された状態が続いたときにみられる精神障害である。袴田氏は、逮捕当時、警察署で激しい拷問を受けている。西嶋弁護士は、「裁判中や死刑囚として拘置されていたときは拷問がなかったが、適切な処遇はなかった。精神的ケアや栄養管理が十分ではなかったため、拘禁反応や糖尿病が出てきた。拘置所でも医療的ケアが不十分だった」と話し、過酷な拘留の状況をうかがわせた。
静岡地裁は、再審決定の理由について、犯人が着ていたとされる衣類から袴田氏のDNAが検出されなかったことを挙げるとともに、証拠とされた衣類は「捏造されたと考えるのが最も合理的であり」、「このような証拠を捏造する必要と能力を有するのは、おそらく捜査機関をおいてほかにないと思われる」としている。これについて西嶋弁護士は、「常識的な証拠評価をしたことに、この決定の重要な意味がある」と評価した。
また、静岡地裁が「国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、刑事司法の理念からは到底耐え難いことと言わなければならない」と表現したことに対して、西嶋弁護士は「司法に正義を取り戻すという強い決意が込められていると思う」と述べた。
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