日刊IWJガイド・非会員版「本日午後3時から、岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビューを生配信します!」2023.3.7号~No.3827号


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■はじめに~<本日の岩上安身によるインタビュー>本日午後3時から「背後に『暴力団』が関与し凶悪化する『特殊詐欺』を『高齢者差別』が後押し! ルフィ事件と、高齢者に『集団自決』を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! 岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー」を冒頭のみオープン、その後は会員限定で生配信します!

■IWJは最大の経済的危機です! 2月のご寄付は173件241万6500円、目標達成率62%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! しかし2月の月間目標額より38%下回っており、毎月、累積赤字が増え続けている状況です!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、3月こそは月間目標額390万円を達成できますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。2月のご寄付者様のご芳名を、感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

■「大手マスコミからしか情報を取らない人とそうでない人の温度差がどんどん開いている」、「そんな状況を打破する為にも、市民ジャーナリズムが必要になっていると思います」、ご寄付者様からメッセージをいただきました! ここに感謝を込めて紹介させていただきます!

■【中継番組表】

■<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!>GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案は、「第2の安全神話」の始まり! 立憲民主党の辻元清美参議院議員と岸田総理が参議院予算委員会で対決! IWJは、両者の議論のすれ違いを読み解き、政権側の「世界的なエネルギー危機」という原発運転期間延長の根拠が福島原発事故には及ばないことを分析!

■<IWJ取材報告>「党首公選が実現したとして、私が立候補し、志位さんに勝てるか?『勝つ・勝たない』よりも、党首公選をすることで党員の中で活発に議論を起こすことが一番大事!!」~2.27 日本外国特派員協会主催 松竹伸幸氏(元日本共産党員)記者会見
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■はじめに~<本日の岩上安身によるインタビュー>本日午後3時から「背後に『暴力団』が関与し凶悪化する『特殊詐欺』を『高齢者差別』が後押し! ルフィ事件と、高齢者に『集団自決』を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! 岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー」を冒頭のみオープン、その後は会員限定で生配信します!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 岩上安身は本日午後3時から、『ルポ 特殊詐欺』(ちくま新書1691、2022年11月10日)著者で、神奈川新聞の田崎基(たさき もとい)記者にインタビューを行います。インタビューはIWJのYouTubeチャンネルで、冒頭のみオープン、その後は会員限定で生配信いたします。

 今年1月、フィリピンを拠点に、高齢者を主なターゲットに特殊詐欺を繰り返していた大規模な組織犯罪グループの幹部4人が、昨年2月から続いていた一連の広域強盗殺人・傷害事件の指示役「ルフィ」として、にわかに捜査線上に急浮上しました。

 この犯罪グループの幹部は、渡邉優樹容疑者(38)、小島智信容疑者(45)、今村磨人容疑者(38)、藤田聖也容疑者(38)の4人で、フィリピンの入管施設内の収容所からスマホなどを使って、日本国内の実行犯に差配していたと見られています。すでに特殊詐欺の容疑で逮捕状が出されていた4人は、2月に日本へ送還、逮捕されました。

 一部の週刊誌系メディアやネットでは、当初から、4人の背後に暴力団がいる可能性を報じています。特にリーダー格とされる渡邉容疑者は、工藤會と並ぶ凶暴性で知られる、「六代目山口組の中核組織・弘道会傘下の北海道にある3次団体福島連合の関係者」だという報道もあります。

※はじめに~特殊詐欺グループは暴力団を破門された単なる「反グレ」グループではない! 一般人も出資する「金主」の存在と警察も把握しきれない組織の複雑さ!! 強盗殺人にまで及ぶ背景には老人ヘイトや弱者への差別思想!? 岩上安身は3月7日、『ルポ 特殊詐欺』著者で、神奈川新聞の田崎基(たさき もとい)記者にインタビューを行います!(日刊IWJガイド、2023年3月3日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51950#idx-1

 「ルフィ」事件では、特殊詐欺グループが強盗殺人まで指示・実行していたことが、世間を震撼させました。しかし田崎氏は、「ルフィ」事件発覚の前に出版した『ルポ 特殊詐欺』の中で、「手っ取り早く稼ぐために受け子や出し子を始めたはずが、上からの指示は過激になり、強盗事件までを引き起こす事例は少なくない」とすでに指摘しています。特殊詐欺グループの凶暴化は、「ルフィ」グループだけが「例外」なのではないのです。

 「犯人たちは、指示役に言われるがまま、手当たり次第にインターホンを押して居宅を襲う恐ろしい犯行に及んでいた」として、田崎氏が取材し、著書の中にあげた強盗致傷事件の被告たちは、「凶悪犯」の印象とは程遠い、平凡な若者たちです。つまり今や誰にでも、金に少々困り、「闇バイト」に応募してしまうところから、強盗殺人犯の実行役に至るまで、一足飛びにいってしまう時代なのです。

 また、特殊詐欺グループと暴力団との関係について、田崎氏は著書の中で、指定暴力団の多くが、表向き、構成員に対し、特殊詐欺への関与をやめるよう通知を出していたとする一方、「もう、暴力団の資金源はここ(トクサギ)しかないんだ」という、捜査関係者の証言をあげて、暴力団対策法によって資金源を断たれた暴力団が、特殊詐欺に関与している現実を詳しく書いています。

 特殊詐欺の組織について、田崎氏は、著書の中で次のように解説しています。

 「その上下関係と資金の流れを含めた全体像は、流動的かつ複雑で、互いがその存在を隠し合って犯行に及んでいる。連絡手段に匿名性の高いメッセージアプリを使ったり、物品や現金、キャッシュカードの受け渡しに暗証番号や二次元コードで操作するコインロッカーが使われたりしているため、互いの存在を明確に把握しあっていない。このため、末端を逮捕しても捜査の網が広がらない。捜査機関も事件ごとの全体像を把握するにとどまり、関連するすべてを補足できていないのが実情だ」

 著書の中で田崎氏は、「見えてくるのは、法制度と社会構造が変わらなければ、被害は波のように増減を繰り返すだけではないか、という悲観的な予測である」と論じています。

 田崎氏が法改正による厳罰化の必要性と同時に指摘しているのは、「富める高齢者」と「貧困の若年層」という日本社会の構図です。

 田崎氏は、「日本の家計の金融資産約2000兆円の約7割を世帯主が60歳以上の世帯が保有し、資産の内訳は現金と預金がその半分を占めている」とした上で、特殊詐欺で立件された約7割が30歳未満、少年は全体の18.2%だという数字をあげ、「若年層が、豊かな高齢層の財産を収奪している構図がみえてくる」と書いています。

 20代の約4分の1が貯蓄できていないというデータから、田崎氏は「経済的な格差の拡大が加速し、若年層ほど生活の困窮にあえいでいる。そうした格差社会のありようが、特殊詐欺を背後から支えているといえる」と分析。さらに、現役世代の収入の落ち込み、貯蓄できない世帯の増加にも言及して、次のように問題提起しています。

 「そうした家庭、社会で育った若年層が、どう生きていくか。食っていくための収入源として何を選択していくか。指の間からこぼれ落ち、すり抜けるようにして犯罪に手を染める若者をどうすれば減らせるだろうか」

 インタビューでは、こうした高齢者被害の特殊詐欺事件や強盗事件の底に、成田悠輔氏の「高齢者は集団自決せよ」という発言に見られるような、老人軽視、老人ヘイトといった、弱者への差別と軽視の思想風潮が、老人殺しに拍車をかけているといったことについても、お話をうかがう予定です。

※※イエール大学経済学部助教授・成田悠輔氏の「高齢者の集団自決」発言が『ニューヨークタイムズ』の一面で取り上げられ、炎上! 成田氏はすでに2019年「日本版ダボス会議・G1サミット」で「集団自決」発言! 同席した自民党・古川俊治参議院議員も成田発言を擁護! 成田発言は「日本版ダボス会議」がリードする、「衰退途上国」日本の社会保障解体政策へのお先棒だったのか?(日刊IWJガイド、2023年2月27日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51932#idx-4

 詳しくは、ぜひ本日の生配信をご視聴ください。

 仮に、その日の都合で観られなくても、会員になっていただければ、一般会員なら2ヶ月以内、見逃し配信を自由な時間に観られますし、サポート会員ならば、いつまでも、いつでも好きな時にコンテンツを無期限で視聴できます!

※会員のご登録はこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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【IWJ_YouTube Live】15:00~
岩上安身による 神奈川新聞記者 田崎基氏氏インタビュー
視聴URL:https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

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■IWJは最大の経済的危機です! 2月のご寄付は173件241万6500円、目標達成率62%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! しかし2月の月間目標額より38%下回っており、毎月、累積赤字が増え続けている状況です!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、3月こそは月間目標額390万円を達成できますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 IWJの第13期も半期の折り返しを過ぎ、この3月で8ヶ月目に入りました。

 2月1日から28日までの28日間でいただいたご寄付が確定しました。173件241万6500円でした。これは、単独月間目標額390万円の62%に相当します。ご寄付をお寄せいただいた皆さま、まことにありがとうございました。大切に、効果的に使わせていただきます。

 しかし、月間の目標額額より38%下回っており、毎月、累積赤字が増え続けていることにはかわりありません! 今月3月こそは、390万円という月間目標額をクリアし、できれば積み上がった赤字部分を少しでも皆さまのお力で削らせていただきたいと存じます! 3月の不足分も含めて、第13期の目標の累積してしまった不足額は1655万4500円に達しています!

 3月の1日から3日までの3日間でいただいたご寄付は、19件、25万1000円となっています。これは月間目標額390万円の6%にあたります。ご寄付をお寄せいただいた皆さま、まことにありがとうございます。

 3月も、どうぞ緊急のご支援をお願いしたいいたします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円かつ2回にわたってIWJにつなぎ融資しました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費(最近の流行語ではサブスク)とご寄付・カンパ(最近の用語でいえばドネーション)の両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 先月、2月における、最も特筆すべきエポックメイキングな出来事は、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出したことでしょう。日本の新聞・テレビなどのメインストリームメディアは、一切このスクープを報じませんでした。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見ー令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 IWJでは、独自のIWJ検証レポートで、ノルドストリームの成り立ちから、爆破に至るまで、断続的に連載し、米国がノルドストリームを何としても阻みたいと思っていた事実をお伝えしています。3月3日・4日には、この日刊IWJガイドで、第5弾をお届けしました。ノルドストリームの建設の経緯で、米国が他国のプロジェクトというのに、どれだけ不当に介入する制裁を操り出していたことか、これまで日本ではまったく報じられなかった事実をお伝えします。

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その5」~トランプ氏は2024年大統領選へのキックオフイベントで、もし自分が大統領だったら、24時間以内にウクライナ紛争を解決できる」とスピーチ!(日刊IWJガイド、2023.3.3号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51950#idx-6

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプライン・ノルドストリームの阻止!! その5(続編)」~2017年、米国は制裁第1弾「敵対者に対する制裁法(CAATSA)」を発動! 爆破されたノルドストリームを一番邪魔に思っていたのは米国だった! しかし米国の制裁を振り切って2018年「ノルドストリーム2」着工!(日刊IWJガイド、2023.3.4号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51958#idx-7

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、国家テロを起こして、他国を都合よく操作する、邪悪な帝国主義国家である、という疑惑が急浮上したことになります。こんな「帝国」によって、日本はウクライナと同様に、次に米国が仕掛ける対中戦争の「代理戦争」のコマとされるかもしれないことに、日本国民は真剣な疑念と危機感を抱く必要があります。

 岸田文雄総理は、1月早々に昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」、「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権は独立して存在しているかのように述べました。しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 昨年12月15日に私がインタビューした、元外務省国際情報局長・孫崎享氏は、「日本がミサイルみたいなものを持つ。しかし、(ミサイルを撃つ目的地を指示するのは米国で)日本人自身が判断はできないんですよ」と語っています。

孫崎氏「これ(ウクライナ紛争)、日本でも同じことが起こるんですよ。例えば、ロシアの戦車がいますよね。それを『撃て』と。じゃ、その『撃て』という指示がどこから来るのか。

 当然ながら、(ロシアの戦車の位置などの情報は)情報衛星で取っているわけです。その情報衛星は誰が運営しているかと言ったら、ウクライナ人が運営してるわけじゃないわけだから、アメリカですよね。

 だから、戦争で『どこに撃て』という指示は、ウクライナは引き金を引いてるかもしれないけれども、指示はアメリカから来ているわけですよ。

 例えばロシア(領内のロシア空軍基地の)飛行場に(ウクライナ側がドローンで)撃ちましたよね。『このポイントに撃った方がいい』というのをウクライナ人が判断しましたか。してないんですよ。

 おそらく、それと同じことは東アジアで起こるんですよ。日本がミサイルみたいなものを持つ。その時に、どこか、目的地に向かって撃つ。しかし、その目的地を日本人自身が判断はできないんですよ」

※「ウクライナと同じで戦場になってガチャガチャになるのは日本だけ」~12.15 岩上安身によるインタビュー第1107回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー 2022.12.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512936

 自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結した独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。

 2月28日、衆議院本会議は与党の賛成多数で、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案を可決しました。過去最大の114兆3812億円に上る2023年予算案は、参議院が仮に可決せずとも、3月中に自動成立してしまいます。

 日本は、このまま米国追従を続け、米国の一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政支出を重ねてゆくのはあまりに愚かではないでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として、「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身

■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。2月のご寄付者様のご芳名を、感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

 2月は28日間で、173件241万6500円のご寄付・カンパをいただきました。ご寄付をくださった皆さま、本当にありがとうございます。

 ここに感謝のしるしとして、掲載の許可をいただいた方84名様につきましては、順に、お名前を掲載させていただきます。また、弊社ホームページにも掲載させていただくと同時に、ツイッター、フェイスブック等のSNSにて告知させていただきます。

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徳山匡 様
J.S. 様
木村 進一 様
K.O. 様
久喜緑 様
落合正明 様
永山直道 様
本田 宏 様
M.O. 様
小宮幸夫 様
高橋恵子 様
MAKIKO NISHIZAWA 様
T.M. 様
BUNYU AIDA 様
Y.S. 様
J.M. 様
山本賢二 様
T.Y. 様
C.K. 様
A.U. 様

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 皆さま、インフレの激しい情勢下、誠にありがとうございました。

 いただいたご寄付は、大切に、また有効に活用させていただきます。

 今後とも、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

■「大手マスコミからしか情報を取らない人とそうでない人の温度差がどんどん開いている」、「そんな状況を打破する為にも、市民ジャーナリズムが必要になっていると思います」、ご寄付者様からメッセージをいただきました! ここに感謝を込めて紹介させていただきます!

 ご寄付者様からメッセージをいただきました。

 メッセージひとつひとつに、岩上安身が返信を書かせていただきます! ぜひ嬉しい励ましのメッセージ、あるいは、ご質問やご提案などにもお答えしますので、お寄せください! ただし、会員の方で、ご寄付者様からのメッセージのみとさせていただきます!

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 近年ますます実感するのは、大手マスコミからしか情報を取らない人とそうでない人の温度差がどんどん開いている事です。

 分断が酷い。

 そんな状況を打破する為にも、市民ジャーナリズムが必要になっていると思います。厳しく長い道ですが、諦めない事が唯一の道と信じました。僅かではありますが、寄付をいたします。

(M.H. 様)

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 M.H. 様

 ありがとうございます!

 大手マスコミからしか情報をとらない人と、そうではない人との温度差がますます開いているという実感、間違っていないと思います。こうした温度差は、過去にも何度も生じたことがあります。

 たとえば、2011年3月11日の東日本大震災の発災後の報道。私は当時、IWJを立ち上げて3ヶ月目で、同時にフジテレビの朝の情報番組『とくダネ』のレギュラーコメンテーターも10年間続けていました。

 驚いたのは、フジに限らず、原発事故が起きてから1週間もすると、福島から離れた岩手と宮城の津波被害の報道が大半を占めるように切り替えられ、福島第一原発事故の報道が、テレビ画面の表面から姿をほとんど消してしまったことでした。もちろん、私はIWJを通じて、メルトダウンしかかっていた原発の情報を取材して配信していましたし、東電や経産省での、昼夜を分かたず行われる記者会見を24時間中継し、福島の被災地の現地からの情報を配信したりして、それらの取材した情報をテレビでも話し続けました。

 しかし、番組の構成そのものが、原発は後回しになっており、津波被害とその後、というテーマが圧倒的に優先されていました。津波被害ももちろん重大なテーマです。しかし原発の事故は、現在進行系のテーマで、当時、まだ再度の爆発はありえるのか、放射能はどの程度の量が、どこへ飛んで、どれほど危険なのか、まだ何もわかっていませんでした。

 私は合点がいかなかったので、当時のプロデューサーやディレクターに何度も「この番組の構成はおかしいのではないか?」と疑問を投げかけました。

 その時、返ってきた言葉は、「原発がまだ危ないとか、拡散した放射能が危ないのではないか、という報道は扱えない。また、福島の原発近くにはウチはクルーを差し向けていない。半径50km以内に入るな、というのが、社として上からおりてきたお達し。他のNHK、民放、新聞も、皆、横並びのはずだと思う」。

 半径50km以内には、当時、避難していない人々がまだたくさんいました。「その人たちが危険にさらされているのに、自分たちは危険に近づかない。それはメディアとして危険だとわかっているからでしょう。だったら、なぜ、『半径50km以内は危険ですよ、我々マスコミも自主的に取材の立ち入りを抑えていますが、皆さん、せめて半径50km以内からは危険ですから、すみやかに退避してください。

 原子炉の状況も落ち着いたわけではありません』というアナウンスをすべきではないか」、と言ったら、「そんなこと、できるわけないじゃないですか! 原発が危ないって、国民に伝えるようなものじゃないですか!」と、半ば逆ギレされて言われたことがありました。

 これが、事故直後から1週間くらいして、本格的に始まったメディアコントロールでした。

 あるいは、「うちではメルトダウンという言葉を使いません、『炉心溶融』という言葉に統一します」と、出演前日にディレクターから言われたこともありました。

 「これは言葉狩りではないか」と私が抗議すると、「そうではない」と言いつつも、「一度、引きとらせてください」と言って、いったん電話を切り、再びかかってきた時には、「岩上さんは、自由にしてください。我々から規制するようなことはしません。しかし、我々番組側としては、『メルトダウン』ではなく、『炉心溶融』という言葉を使わせてもらいます」と、言われました。

 翌日、番組に出ると、私は「メルトダウン」という言葉を用い、番組側のアナウンサーらは「炉心溶融」という言葉を使い、さらに、原発事故を扱うコーナーの終わりに、「メルトダウンと炉心溶融の違い」という説明のVTRまで用意されていて、私の言葉使いに対し、釘を刺すような「対策」までとられていました。

 結局、この言葉の規制は、政府と記者クラブレベルで決めていることらしく(どこがどうやって決めたことかは、当時、誰に聞いても真相は話してもらえませんでした。私は記者クラブから要注意人物としてマークまでされていました)、「とくダネ」だけの規制ではありませんでした。

 しかし、後日、当時の菅直人総理大臣の会見の際、私が「メルトダウン」という言葉を何度も用いて質問すると、菅総理も「メルトダウン」という言葉を何度も用いて回答し、結局、その日から「メルトダウン」という言葉は事実上、新聞でもテレビでも「解禁」となってしまいました。

 これらは、メディア・コントロールのほんの一部の話です。安倍政権が登場してから以降、メディアへの締め付けはさらに厳しくなり、既存メディア側は反発して戦うどころか、次々と「落城」していきました。

 メディアコントロールには、権力に忖度した自主的なものまで含めて、いつの時代にもありますが、民主党政権から、自民党の安倍政権が権力を奪い直してからは、そのレベル、質・量、悪質性が桁違いとなりました。

 そしてウクライナ紛争が勃発してから以降、今に至るまで、日本のメインストリームのメディアだけではなく、欧米のマスメディアさえもが同様にコントロールされています。大変な時代に入ったものです。我々はしかし、昔から変わらないポリシー、真実に迫り、真実を伝えるというポリシーを今後も貫き通します。

 誰が、どう、メディアコントロールしようとしても、私とIWJの姿勢は変わりません。ジャーナリズムのあるべき姿勢をまっとうするのみです。

 どうぞ今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。

 岩上安身

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◆中継番組表◆

**2023.3.7 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】9:05~「西村康稔 経済産業大臣 定例記者会見」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 西村康稔経済産業大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた経済産業大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%b5%8c%e6%b8%88%e7%94%a3%e6%a5%ad%e5%a4%a7%e8%87%a3
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【IWJ_YouTube Live】15:00~「岩上安身による 神奈川新聞記者 田崎基氏インタビュー」
視聴URL(冒頭以降は会員限定):https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 岩上安身による田崎基氏インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた田崎基氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%94%b0%e5%b4%8e%e5%9f%ba

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◆中継番組表◆

**2023.3.8 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】10:30~「住民団体『PFOA汚染問題を考える会』による環境省への署名提出と記者会見 ―内容:大阪府摂津市のダイキン工場周辺地域のPFOA汚染の調査・対策を求めて」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「PFOA汚染問題を考える会」主催の署名提出と記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきたPFAS関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/pfas

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「党首公選が実現したとして、私が立候補し、志位さんに勝てるか?『勝つ・勝たない』よりも、党首公選をすることで党員の中で活発に議論を起こすことが一番大事!!」~2.27日本外国特派員協会主催 松竹伸幸氏(元日本共産党員)記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514300

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■<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!>GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案は、「第2の安全神話」の始まり! 立憲民主党の辻元清美参議院議員と岸田総理が参議院予算委員会で対決! IWJは、両者の議論のすれ違いを読み解き、政権側の「世界的なエネルギー危機」という原発運転期間延長の根拠が福島原発事故には及ばないことを分析!

 日刊IWJガイド3月5日号でもお伝えしましたが、岸田文雄政権は、2月28日の閣議決定で、五つの関連法の改正案を一本化した束ね法案を閣議決定しました。

※はじめに~<特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発×戦争リスク!>原発の60年超の運転延長を含む法改正案を閣議決定! この法改正で最悪の部分は経産省が安全規制権限を強奪したところ! IWJは河合弘之弁護士と原子力規制庁に直接取材!(日刊IWJガイド、2023年3月5日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51961#idx-1

 この束ね法案は「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」と呼ばれています。

 日刊IWJガイド3月5日号でもお伝えしたように、この法案は複数の問題点を持っています。

 3月1日の参議院予算委員会で原発の運転期間延長について質問に立った立憲民主党の辻本清美議員と岸田文雄総理の議論が、政権の原子力政策の矛盾を突いたとして、話題となっています。

辻元清美議員「原発ですね。やっぱり四十年、六十年、プラスアルファですね、一定の条件で延長できる。やっぱりこれ、国民の中に心配は多いと思うんですよ、事故がありましたからね、大丈夫かしら。総理、これどうして延長したいとお考えなんですか? 総理ですよ、総理」

岸田文雄総理「世界エネルギー危機と言われる状況に直面している中、国民生活や産業の基盤となるエネルギーの安定供給を将来にわたって構築していくべく、再エネを始め、原子力を含め、あらゆる選択肢を確保しておけるよう努力していく必要があるとまず認識をしています。その上で、原子力の利用に当たっては、安全性が最優先である、このことは変わりはありません。高い独立性を有する原子力規制委員会により安全性が確認されたものでなければ原子力発電所の運転ができない仕組み、これは大前提としてあらゆる選択肢を追求していく、これが基本的な考え方であります」

辻本議員「なぜこの審査とかで止まっている期間を上乗せできるのかと、これわかんないんですよ。いかがですか? 総理」

西村康稔経済産業大臣「今、総理からありましたけれども、我々、エネルギーの安定供給と脱炭素化、この両立を図っていく、その中で、再生可能エネルギーと同時に、省エネもやると同時に原子力も活用していくということであります。その中で、人材や技術、そして将来の予見性を持つことで事業者の投資も進みます。そうした中で、私ども、この他律的な要因によって止まっている期間については、利用者側として、事業者がその分は申請ができるという仕組みにしているところでございます」

辻元議員「規制委員長にお聞きします。運転期間の四十年は、暦の上の年数であり、原子炉の停止期間も含む。要するに、どんどん延びるんじゃなくって暦の上。これ、見解も出していらっしゃいますね。説明してください」

山中伸介政府特別補佐人「お答えいたします。令和二年(2020年)七月二十九日の原子力規制委員会でまとめました見解の中に、原子力発電所の運転停止期間中も劣化は進むものという見解を出しております。したがいまして、我々原子力規制委員会が行います安全規制は、暦年で行うことといたします」

辻元議員「総理も同じ見解ですね?」

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https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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■<IWJ取材報告>「党首公選が実現したとして、私が立候補し、志位さんに勝てるか?『勝つ・勝たない』よりも、党首公選をすることで党員の中で活発に議論を起こすことが一番大事!!」~2.27 日本外国特派員協会主催 松竹伸幸氏(元日本共産党員)記者会見

 2月27日午後3時より、東京都千代田区の日本外国特派員協会にて、元日本共産党員の松竹伸幸氏の記者会見が行われました。

 松竹氏は、会見冒頭、約20分にわたり英語でスピーチを行いました。

松竹氏「ご存じのように、私は、日本共産党に党首選挙の実施を求め、実現した際は立候補することを表明した本(※)を刊行したことをきっかけに、共産党から除名されることになりました。現在、復党することをめざし、来年の1月に開かれる党大会での再審査を求める準備をしています」

※「シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」(文春新書)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166613960

 続けて、松竹氏は、党首選挙の実施を求める理由として、「私自身は、この日本で自民党政治への対抗軸をつくるためには、日本共産党の役割が不可欠だと考えています。そのためには共産党の自己改革が必要であり、党首公選の実施はそのための大事な手段になると思っています」との考えを示しました。

 また、「この日本共産党が現在、大きな岐路に立っています。『政治路線』、『組織路線』の両方においてです。私が立候補したのは、この二つの点で自己改革ができれば、共産党が日本の政治を変えるための中心的な役割を果たすことができると思うからです」と述べ、政治と組織、両路線の問題点・課題について、具体的な説明を行ないました。

松竹氏「共産党の大会決議は、軍事力のない社会に至る道筋を三つの段階にわけており(※)、『第一段階』では日米安保も自衛隊も存在していることが前提とされています。しかし、この段階でどんな政策をとるかは、綱領も大会決議も明らかにしていません。(中略)

 私と志位氏の違いは、おそらく一つしかありません。一方の志位氏は、第一段階において侵略されたら日米安保も自衛隊も使うと明言しているが、共産党の基本政策はこの段階でも安保廃棄と自衛隊解消だとしています。

 他方の私は、そういう立場では国民に説明がつかないので、安保も自衛隊も使うというなら、それにふさわしい政策を確立すべきだと考えている。それが『核抑止抜きの専守防衛」なのです。私は、共産党を混乱からすくい上げようとしただけなのです」

※共産党の大会決議は、軍事力のない社会に至る道筋を三つの段階にわけており:
 日本共産党の「軍事力のない社会に至る道筋の三つの段階」は、以下の通り。
 「第一段階は、日米安保条約廃棄前の段階である。ここでは、戦争法の発動や海外派兵の拡大など、九条のこれ以上の蹂躙を許さないことが、熱い焦点である。また世界でも軍縮の流れが当たり前になっている時代に、軍拡に終止符をうって軍縮に転じることも急務となっている。
 第二段階は、日米安保条約が廃棄され、日本が日米軍事同盟からぬけだした段階である。安保廃棄についての国民的合意が達成されることと、自衛隊解消の国民的合意とはおのずから別個の問題であり、自衛隊解消の国民的合意の成熟は、民主的政権のもとでの国民の体験をつうじて、形成されていくというのが、わが党の展望である。この段階では、自衛隊の民主的改革――米軍との従属的な関係の解消、公務員としての政治的中立性の徹底、大幅 軍縮などが課題になる。
 第三段階は、国民の合意で、憲法九条の完全実施――自衛隊解消にとりくむ段階である。独立・中立の日本は、非同盟・中立の流れに参加し、世界やアジアの国々と、対等・平等・互恵の友好関係をきずき(ママ)、日本の中立の地位の国際的な保障の確立に努力する。また憲法の平和原則にたった道理ある平和外交で、世界とアジアに貢献する。この努力ともあいまって、アジアの平和的安定の情勢が成熟すること、それを背景にして憲法九条の完全実施についての国民的合意が成熟することを見定めながら、自衛隊解消にむかっての本格的な措置にとりくむ」
参照:
・憲法9条・自衛隊問題 憲法を生かした民主日本の建設を 日本共産党第22回大会決議より抜粋(日本共産党、2000年11月24日)
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2000/11/post-330.html

 松竹氏は、続いて『組織路線』における問題点を説明しました。

松竹氏「共産党がもっと国民に近い存在になろうとすると、組織のあり方は抜本的に見直す必要があります。外国メディアの方が共産党の支部(職場や地域ごとに存在している)を訪ねてみれば、共産党員は個性も自由もある存在だとわかるはずです。

 私が所属していた支部でも、選挙に負けたあとの会議などでは、『志位さんは長すぎる』『もう辞任したらどうだ』などの話が活発に交わされます。外交や防衛、経済、社会保障政策をめぐっても、綱領の枠内ではあっても、党員ごとにいろいろな異論が存在しています。(中略)

 ところが、内部の問題を外に持ち出さないという規約(※)があるため、国民からは共産党の多様性が見えてきません。共産党は異論を許さない政党、一枚岩の政党だとみなされており、国民から遠い存在になってしまっています。党首公選は、政策の違いを堂々と国民の前で争うものですから、その現状を克服することになります」

※内部の問題を外に持ち出さないという規約:
 第2章(党員)第五条(党員の権利と義務)(八)党の内部問題は、党内で解決する。
参照:
・日本共産党規約(日本共産党、2000年11月24日改定)
https://www.jcp.or.jp/jcp/Kiyaku/

 松竹氏のスピーチの後、各社記者との質疑応答が日本語で行われました。質疑応答では、この日の司会を務めた神保哲夫氏から、以下のような質問がありました。

神保氏「現在、党員資格の回復を求めていらっしゃるということで、来年の1月に、それが党大会で取り上げられるということなのですが、他の党員の方々がですね、松竹さんを支持するとお思いでしょうか?

 また、中央委員会はそれに対して、そういう声をちゃんと聞いてくれて、党員資格を回復する、除名決定を撤回するという決定をする可能性は、どれくらいあるのでしょうか? また、もしも、公選制の党首選挙が行われる場合、松竹さんが立候補されて、そして、党首に選ばれる可能性はどれくらいあるとお考えでしょうか?」

 松竹氏は、次のように答えました。

 「何と言っても、27万人の党員がおりまして、私は直接に自分の支部に所属している党員以外とこういうことを語り合うことが許されていないものですから、わからないことは多いです。

 けれども、少なくともSNSなどでの共産党員、あるいは地方議員を名乗る方の投稿を見れば、もちろん、私を批判する投稿もたくさんありますけども、同時に、私に理解を示してくれる投稿もそれなりにある。(中略)

 私を批判する声が、それなりに存在することは確かですけれども、同時に、それ以上に、今回、除名に踏み切った共産党にとって、こうやって本を出して、党に改革を求めたというだけで、除名されるような事件というのは、ここ何十年間なかったことなので、本当にこんなやり方でいいのか、というふうに思っている人のほうが、たくさんいるとは思います。(中略)

 党首公選が実現したとして、私が立候補して、志位さんに勝てるか、という話ですけれども、私は『勝つ・勝たない』ということよりも、党の安全保障政策のあり方みたいなものを、党首公選をすることを通じて、党員の中で、活発に議論を起こすことが一番大事なことだと考えていて…。

 私と志位さんって、そういう点で言うと、先ほど述べたように、そんなに大きな違いはないんですね。自衛隊とか日米安保はずっと否定してきた立場だけれども、しかし、野党共闘の中で、そこに修正を加えざるを得なくなった。

 その志位さんの苦渋というか、難しさを私も感じていて、そこに行こうとしている。でも、共産党員の多数は、日米安保も即時廃止で、自衛隊なんて絶対認められない人が多数で、だから、おそらく、そういう人たちの中から立候補者が出れば、そういう人が圧勝してしまうかもしれない。

 でも、政党として、それでいいのか、ということを、党首公選を実施することを通じて、議論をして、共産党員がそこから政党の党員としての自分の考え方を鍛え、発展させていくということを期待して、立候補を表明しているということです」

 記者会見の詳細については、ぜひ全編動画をご視聴ください。

※「党首公選が実現したとして、私が立候補し、志位さんに勝てるか?『勝つ・勝たない』よりも、党首公選をすることで党員の中で活発に議論を起こすことが一番大事!!」~2.27 日本外国特派員協会主催 松竹伸幸氏(元日本共産党員)記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514300

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
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IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、浜本信貴、前田啓、六反田千恵)

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