IWJピックアップ集・2024年新春特設サイト 許されざる人道上の犯罪! パレスチナ人の大量虐殺と永久追放を進めるイスラエルと、あくまでもイスラエルを支援する米国が世界的に孤立を深める!【イスラエル編】 2023.12.29

記事公開日:2023.12.28 テキスト
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 10月7日、パレスチナ・ガザ地区を統治するイスラム組織・ハマスの軍事部門カッサム旅団が「アルアクサの大洪水」作戦、電撃的な奇襲攻撃をイスラエルに対して行いました。

 現地時間7日午前6時半ごろ、カッサム旅団がガザ地区から、5000発以上と主張する大規模なロケット攻撃をかけ、それと前後してカッサム旅団の戦闘員がガザを包囲する壁やフェンスを動力付きのパラグライダーで飛び越えるなどして、イスラエル側に侵入しました。

 ハマスとその他のパレスチナの解放を求める抵抗組織は、この時、推計250人のイスラエル人や外国人の人質をとったとされています。

 IWJが10月10日に取材した放送大学名誉教授の高橋和夫氏は、ハマスが奇襲攻撃をかけた一番の理由として、「エルサレムの聖地、アルアクサ・モスクがイスラエル人に汚されてきたことへの怒り、それから、ヨルダン川西岸地区におけるパレスチナ人に対する人権を無視したイスラエル側の行動、そして、ガザの封鎖が続いているという状況、こうした状況に対する怒りが爆発した」ものであり、「ハマスを突き動かしているものは絶望」だと述べました。

 高橋和夫教授は、11月9日に行われた岩上安身のインタビューでは、「ガザの状況が本当に悪くて、いつか爆発するな、たぶんそんなに遠い将来じゃないなというのは、もう今年の春くらいから感じていた」とも述べました。

 高橋教授は「ヨルダン川西岸で、どんなにひどいことが起こっているか、全然報道されていなくて」、「新聞やテレビなどメディアが、1948年から1967年のパレスチナ自治区の地図」を使うので、「ヨルダン川西岸が、イスラエルによる不法な入植によって暴力的に次々と奪われて、大半がイスラエルに不法に支配されている実態が伝わっていない」と、マスメディアの報道姿勢を厳しく批判しました。

 「アルアクサの大洪水作戦」を受けて、即座にイスラエル軍はハマスに対する報復と称して、実際にはガザ地区への大規模空爆によるパレスチナ人の民間人に対する無差別殺戮を開始、それと同時に、イスラエルは、「ハマス=悪、テロリスト」だとするプロパガンダをも展開し、米国はもちろんのこと、日本を含む西側のメディアも、追随しました。

 例えば、イスラエル人女性ジャーナリストがハマスの攻撃を受けたクファル・アザで、子供40人を含むイスラエル人200人の遺体が発見され、一部の赤ん坊は首を「切り落とされていた」と報じました。

 ネタニヤフ首相の報道官は、乳児や幼児が「首を切られた」状態で発見されたと明言し、バイデン大統領は10月12日、ホワイトハウスで「テロリストが子供たちを斬首している写真を実際に見ることになるとは思ってもいなかった」と語りました。

 「ハマスが赤ん坊を斬首した」というニュースは一気に世界中に配信されましたが、その後、この報道はまったくの虚偽であったことが判明しています。

 NATOの一角をなすトルコのエルドアン大統領は10月11日、イスラエルのガザ完全包囲作戦は、「人々の最も基本的ニーズを満たすのを妨げ、民間人の住宅を爆撃すること、要するにあらゆる恥ずべき方法を用いる行為は、戦争ではなく無差別虐殺だ」と、強く非難しました。

 10月13日、イスラエル軍は、ガザ地区北部の住民を24時間以内に南部へ退避させるよう国連に通告しました。しかし、イスラエル軍は避難民の車列に対してすらも空爆をかける無差別爆撃を行いました。民間人に対し南部への避難を呼びかけておきながら、その避難民を故意に攻撃する意図は明らかです。

 オランダの軍事アナリストは、戦闘開始から6日間で、イスラエル軍がガザに投下された爆弾の数は、米軍が1年間にアフガニスタンに投下した数を上回ると指摘しました。こうしたイスラエル軍による大規模な無差別殺戮によって、10月14日には、ガザの死傷者は1万人を超えました。

 ガザで無差別殺戮を行うイスラエルに対し、英国のロンドン、米国のサンフランシスコ、ニューヨーク、ワシントン、デンマークのコペンハーゲン、スイスのジュネーブ、スペインのマドリード、アイルランド共和国のダブリンなど、欧米各地で大規模な抗議デモが起きました。日本でも小規模ながら、反対デモや、集会もありましたが、日本のマスメディアは、国際規模の民衆の意思表示をほぼ無視しました。

 10月18日、国連安保理はガザへの援助提供を可能にするため、紛争の人道的な一時停止を求める、国連安保理におけるブラジルの決議案に対し、12ヶ国が賛成票を投じましたが、米国が拒否権を発動してこれを否決しました。米国が停戦を求めない姿勢が浮き彫りになり、イスラエルの無差別虐殺の「共犯」であることを隠そうともしなくなりました。

 米国務省では、政治軍事局のジョシュ・ポール局長が10月18日、イスラエルへの軍事支援を継続するバイデン政権の決定に抗議して、辞職したことを表明しました。

 早稲田大学大学院文学研究科の岡真理教授は、10月20日の講演会で、「アルアクサの大洪水作戦」では、ガザ周辺のイスラエル軍の施設12ヶ所を攻撃し占拠したという、解放を求めての軍事行動としての側面が報道されず、キブツを、音楽祭を襲撃して、民間人を惨殺した戦争犯罪の面ばかりが報道されている、と指摘しました。

 イスラエル軍の攻撃は、ガザ最古の聖ポルフィリウス正教会にも及びました。

 10月21日、戦闘開始から2週間経って、ようやく初めての人道援助トラックがガザに入り、ロンドンではパレスチナを支持する大規模な集会が行われ、10万人が参加しました。

 イスラエル軍は、10月26日、ガザ地区北部で地上部隊が作戦を展開し始めたと発表、実質的な地上進攻が始まりました。

 27日、国連緊急特別総会で、ガザでの「即時、永続的かつ持続的な人道的停戦」を求める決議が賛成121、反対14、棄権44という、圧倒的多数で採択されました。

 グローバル・サウス諸国の政府とメディアはむろんのこと、西側諸国のメディアも、ウクライナ紛争報道とは違い、プロパガンダの統制がきかなくなり、ガザの惨状とイスラエル軍の残酷さを伝えるようになりました。

 10月13日付のイスラエル情報省によるガザ地区の人口削減と住民のエジプト領土への強制移住を求める」政策文書が漏洩し、28日に『シチャ・メコミット』が全文を公開しました。

 「ガザ住民はエジプト領土に移動し、永久にガザ地区に戻ることは許されない」とする文書は、イスラエル軍がガザ地区で行っている軍事行動は、「ハマス殲滅」を口実にした、ガザ地区に暮らす230万人のパレスチナ人の永久追放計画であることを裏付ける内容でした。

 水も、食料も、医薬品も極端に制限され、ガザ住民は飢餓状態におかれています。全員が爆弾や銃弾で殺される前に、そしてガザからエジプトの砂漠へ放り出される前に、ガザ住民の多くが餓死してしまうかもしれません。

 IWJは、イスラエルによるガザ地区からのパレスチナ人永久追放計画の背後には、ガザ地区沖で1990年代に発見された天然ガス田(通称ガザ・マリン)と、ベングリオン運河、そして米国が主導する「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」の権益があることを指摘しました。

 岩上安身は11月2日、イスラム研究者で、東京大学名誉教授の板垣雄三氏に、インタビューを長野県内で敢行しました。

 板垣教授は、「標準的にイスラエル・ハマス戦争というような形で言われている。これ非常に紛らわしい」と批判しました。イスラエル側は「征服したり、支配したり、抑圧したり」しており、パレスチナ側は「征服され、支配され、抑圧されている側が一生懸命抵抗している」のであり、「抑える側と抵抗する側という関係」があると指摘しました。

 最も基本的な人権の一つである「抵抗権」は、武力で闘って独立を勝ち取ることや武装抵抗も重要な要素として、国際法上認められています。

 板垣教授は、10月7日のガザの爆発は、ハマスだけではなく、パレスチナの解放を求めるジハード・イスラーム、アルアクサ殉教者軍団など複数の団体が団結して、「一緒に手を組んで動いた」、「植民地主義とそれへの抵抗であるという基本的な視点」が必要だと指摘しました。

 10月7日の「アルアクサの大洪水作戦」で、約1400人(その後1200人に修正)のイスラエル人が、ハマスらによって殺害された、とされていましたが、実はイスラエル軍によって殺害されたイスラエル国民が相当数いたことが明らかになってきました。

 10月7日のイスラエル軍による非情な自国民殺害について、西側で最初に報じたのは、10月27日付の独立系メディア『グレイゾーン』でした。

 キブツ・べエリで、民家に隠れるテロリストと人質になっているイスラエル人に、イスラエル軍が一斉に十字砲撃をかけ、「自国の市民を射殺した」と生存者のイスラエル人女性が10月16日付で証言し、IWJは11月6日に号外を出してこれを報じました。

 11月14日には、スコット・リッター氏が、レイム音楽祭の会場ではイスラエル軍がアパッチ・ヘリコプターから無差別に攻撃を行い、自国民を殺害していたと分析して、「10月7日に起きたのはテロ攻撃ではなく、軍事襲撃だった」、「10月7日の出来事を(ハマスによる)テロ行為とレッテルを貼ることで、イスラエルは莫大な損失の責任を自国の軍事、治安、情報サービスからハマスに転嫁している」と指摘しました。

 11月11日、サウジアラビアの首都リヤドで、アラブ連盟とイスラム協力機構(OIC)の合同首脳会議が緊急に開催され、シリアのアサド大統領やイランのライシ大統領も参加しました。

 共同声明では、ハマスの奇襲に対する自衛としてのイスラエルの行為の正当化を拒否し、ガザでの軍事作戦(という名の無差別殺戮)の即時停止を求め、パレスチナ領土で「イスラエルが犯している戦争犯罪と人道に対する罪」を捜査するよう国際刑事裁判所に要請しました。

 イスラエル軍による攻撃は、病院、国連が運営する学校、避難所、モスクなどにも及び、ガザ地区を「平らにする」「消し去る」といった強烈な発言が、ネタニヤフ政権の閣僚から次々となされています。

 岩上安身は11月13日、パレスチナ・イスラエル問題や社会思想史を専門とする早尾貴紀東京経済大学教授にインタビューを行いました。

 早尾教授は、イスラエルの歴史家イラン・パペ著『イスラエルの民族浄化』などを引用し、「エスニック・クレンジング(民族浄化)の定義は、ありとあらゆる手段を使って、民族集団を一定地域から追い出すこと。最大のメインは追放」だと指摘しました。

 早尾教授は、「長期的には『パレスチナの消滅=民族浄化』が、イスラエルの視野にある」、「イスラエルの能力からすれば、100万人だって殺せる」が、国際社会や国内感情、政権への支持など「いろんな要素を考えて、計算ずくで殺している」と分析しました。

 国連安保理で拒否権を発動して、停戦を阻止した米国の内部でも、バイデン政権のイスラエル支持に対して、若い有権者を中心に反対の声が大きくなり、「ジェノサイド・ジョー、今日は何人子供たちを殺したんだい」という歌がSNSで拡散されました。

 バーニー・サンダース米上院議員は、11月29日、米上院議会で、イスラエルのガザ攻撃を強く非難して即時停止を求め、米国民の血税をイスラエルに支援するのであれば、これまでのように白紙委任にするのではなく、条件をつけるべきだと主張しました。

 11月24日から人質交換のための戦闘休止が始まりましたが、12月1日イスラエル軍は攻撃を再開、戦闘休止は7日間で終わりました。

 12月1日付け『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、米国がイスラエルに、重量2000ポンド(約900キロ)の大型地下貫通弾「バンカーバスターBLU-109」100発のほか、「無誘導爆弾『Mk82』5000発超、重量2000ポンドの無誘導爆弾『Mk84』5400発余り、小直径爆弾『GBU-39』約1000発、無誘導爆弾に装着して精密誘導を可能にする誘導システム『JDAM』約3000個など」を提供した、とスクープしました。

 バイデン大統領やユダヤ人であるブリンケン国務長官は、表向きは「民間人の被害を最小限にすべきだ」などと述べていますが、とんでもない無差別殺傷兵器を大量にイスラエルに提供していたのです。バイデン大統領は、明らかなシオニスト・イスラエルの「共犯」であり、「ジェノサイド・ジョー」という呼び名は、少しも大げさとは言えません。

 12月1日に再開したイスラエル軍の攻撃は、今度は、パレスチナ人が避難するガザ地区南部に向けられました。

 12月12日、国連総会は、加盟193ヶ国のうち、153ヶ国が決議案を支持するという圧倒的多数で、ガザ地区における「人道目的の即時停戦」を求める決議案を採択しました。反対したのは、米国とイスラエル、オーストリ、チェコなどの10ヶ国のみでした。前回、棄権した44ヶ国のうち、日本を含む26ヶ国が賛成に転じました。

 12月13日、パレスチナ自治区のシンクタンク・『パレスチナ政策調査センター(PSR)』が、パレスチナ人の7割が、10月7日のハマスの攻撃は「正しい」と支持し、95%が「イスラエルは戦争犯罪を犯している」、4人に1人が「ガザの人々の苦しみは米国のせい」、圧倒的多数が「米国と欧州諸国は道徳的羅針盤を失った」と述べているという、最新の世論調査を発表しました。

 12月8日、国連安保理が開かれ、ガザでの即時停戦決議案に13ヶ国が賛成しましたが、またもや米国が拒否権を発動し、否決されました。

 その後、調整が続けられ、22日に、人道支援を可能にするための「緊急かつ持続可能な、敵対行為の停止」を求める文言を、「敵対行為の停止に向けた環境づくり」を求めると弱めて、米国は棄権して、採択に至りました。

 米国内のユダヤ人コミュニティーが、米国の政治に対し、支配的な影響力を行使している実態を明らかにした『イスラエル・ロビー』の共著者・シカゴ大学のミアシャイマー教授は、イスラエルが行っているパレスチナ人に対する民族浄化を強く非難する発言を行っています。

 ミアシャイマー教授は、イスラエルと米国の「7つの大罪」をあげ、イスラエルと米国の指導者と支持者に対し「あなたたちには、良識はないのか?」と問い詰めました。

 この12月12日付けの論文を、IWJでは「IWJ号外」で紹介しました。ミアシャイマー教授は、イスラエル政府高官らによる「パレスチナ人は人獣」、「ガザの民間人は正当な標的」といった発言についても取り上げ、厳しく批判しています。

 岩上安身とIWJは、岩上安身によるインタビュー、そしてIWJの取材活動、「IWJ号外」や日刊IWJガイド等で、イスラエルが行っているパレスチナ人に対する民族浄化の事実と、それを正当化する狂信的思想の背景を掘り下げ、大手メディアには出てこないイスラエルの戦争犯罪とアパルトヘイト問題を追ってきました。

 関連コンテンツを一堂に集め、2024年新春特設サイトとして、年末年始12月29日から1月7日(予定)まで開設します。ぜひ、この機会に御覧になってください。

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