パレスチナ人の人権を蹂躙する極右の国内治安相~12.23 浅野健一が選ぶ講師による「人権とメディア」連続講座~第1回 宮田律氏(現代イスラム研究センター理事長)「ガザ紛争の背景~台頭するイスラエル極右の世界観と米国のダブルスタンダード」 2023.12.23

記事公開日:2023.12.29取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

特集 中東

 2023年12月23日午後6時より、東京都千代田区のたんぽぽ舎にて、現代イスラム研究センター理事長の宮田律(おさむ)氏を講師に招き、講義「ガザ紛争の背景~台頭するイスラエル極右の世界観と米国のダブルスタンダード」が行われた。

 この講義は、たんぽぽ舎アドバイザーでアカデミックジャーナリストの浅野健一氏の企画「浅野健一が選ぶ講師による『人権とメディア』連続講座」の第1回となる。

 なお、第2回は元日本赤軍の重信房子氏(12月25日にIWJが録画収録。近日中にYouTubeにアップ予定)、第3回は、2024年1月29日に早稲田大学文学学術院教授の岡真理氏が登壇する予定である。

 宮田氏の講義の前に、この連続講義の企画者である浅野健一氏が、以下のように述べた。

 「(前略)パレスチナ解放勢力による軍事作戦について、日本の報道各社は、『ハマスの一方的な奇襲攻撃、国際法違反の蛮行』などと批判的に報道してきましたが、ハマスのアルカッサーム旅団(ハマスの軍事部門)、アルアクサー殉教者旅団(PLO主流派のファタハ系武装組織)など、ガザの解放勢力が一致団結した作戦でした。

 イスラエル(ネタニヤフ政権)の人種差別、民族浄化政策が、パレスチナ人の『生存の臨界』を超える事態に直面していた結果起こった、決死のパレスチナ側の戦いと見るべきです。

 カタール政府などの仲介で、11月24日から始まった戦闘休止と人質の一部解放も7日間で終了し、ガザでの戦闘が再開しました。12月20日、再び、停戦への話し合いが始まったという報道がありましたが、その後進展していません。

 12月21日の時事通信によりますと、イスラエル訪問中のオースティン米国防長官は、作戦規模縮小をイスラエルと協議したなどと言いながら、イスラエル最大の友好国にとして武器支援継続を表明しました。また、ネタニヤフ首相は『ハマスのすべてのテロリストは、投降するか死ぬかのどちらかだ』と言い放ちました。

 実際には、もともと住んでいたパレスチナ人の抹殺を図っています。イスラエルのバックに米国があります。(中略)

 2022年2月開戦のロシア・ウクライナ戦争では、直ちにロシアによる国際法違反の侵略と断じた岸田文雄・自公政権は、ガザでの病院攻撃、子供を含む民間人虐殺について、11月15日の記者会見などで、『イスラエル軍による個別具体的な行動について事実関係を十分に把握することが困難であり、法的評価をすることは差し控える』と言い放っています。

 また、主要メディアは、国連安保理でのアメリカのイスラエル批判決議への度重なる拒否権発動をほとんど批判せず、国連の機能不全を騒ぎ立てることもありません。

 ロシアのウクライナでの虐殺に関しては、『国際法違反の暴挙』と度々決めつけました。また、イスラエル当局者による核兵器使用の威嚇にも鈍感です。あからさまな『二重基準』です(後略)」。

 浅野氏の挨拶に続いて講義を行った宮田氏は、イスラエル政府の閣僚であるイタマル・ベン=グヴィール氏の名前をあげ、イスラエルの極右化と、このたびのガザ紛争に与えている影響について、以下のように解説を行った。

 「今日は、ガザ紛争の背景ということで、『台頭するイスラエル極右の世界観とアメリカのダブルスタンダード』ということでお話しします。(中略)

 タイトルの『イスラエル極右』と、『アメリカのダブルスタンダード』。『アメリカのダブルスタンダード』は、昔から指摘されてきたところですけれども、イスラエルでは去年の11月に総選挙があって、極右勢力が政権内部に入るようになりました。

 政党とすれば、『ユダヤの力』とか、あるいは、『宗教シオニスト』といったような政党が力を持ってきたわけです。

 アメリカで、Z世代がリベラル化している、という報道がありますけども、イスラエルの場合は、Z世代が右傾化しているということですね。まったく、アメリカとは逆の現象が、イスラエルでは起きているというわけです。

 で、『ユダヤの力』という政党のイタマル・ベン=グヴィールという、国内治安相ですけども、1976年生まれ。

 (写真を示して)この写真では、エルサレムのイスラムの聖地ハラム・アッシャリーフ(神殿の丘)というところに、彼は最初に足を踏み入れて、そこをユダヤの聖地、ユダヤの神殿を再建しなければいけない、というようなことを言っております。

 今回、ご存じの通り、『ポーズ(pause)』という、戦闘休止・休戦があったわけですけれども、戦闘再開に最も力を入れていたのがこのベン=グヴィールという人です。

 イスラエルに行くと、イスラエル人というのは、東欧から来たか、あるいは、中東、北アフリカ、大体はその辺ですけれども、来た人たちに分かれるわけですが、東欧から来た人たちは比較的、今のネタニヤフみたいに、クールな感じの人が多く、中東の人はアラブの人と似たような感じで、わりと気さくでオープンな人が多いわけですけれども、このベン=グヴィールという人は、ちょっと例外的ですね。

 父方がイラクで、母方がクルド出身です。にもかかわらず、と言うのも変ですけれども、私たちが抱いている中東の人のイメージとは違って、どうも、アラブに対しては、結構厳しいことを言っているという訳ですね。

 彼は、パレスチナの政治犯のことを『テロリスト』と形容し、釈放された政治犯たちが、占領地であるヨルダン川西岸に建設されたイスラエル人入植地の安全を脅かすと考えている。

 ヨルダンの西岸に建設された入植地というのは、これは国際法違反なわけです。占領地に住宅を築くことは、これは国際法1949年のジュネーブ条約等に違反するわけです。

 パレスチナの政治犯といっても、彼らは裁判もなく拘束されて、特に子供たちは、投石を行ったにすぎない。それでも、子供たちは連行されて、刑務所に入れられるというようなことが起こっております。

 で、ベン=グヴィールという人は、戦闘再開しなければ連立から撤退する、という意向を表明していた訳ですね(後略)」。

 宮田律氏の講義内容の続きは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画 前半

■全編動画 後半

  • 日時 2023年12月23日(土)18:00~20:00
  • 場所 スペースたんぽぽ(東京都千代田区)
  • 主催 たんぽぽ舎

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