「経済安保法」は経済法ではなく軍事立法! 米中対立を念頭に、従来の平和的経済交流路線を転換し、中国・ロシアなどを仮想敵国視するものである!」~6.27たんぽぽ舎・徹底解説「経済安全保障推進法」危険な現代の国家総動員法―登壇:海渡雄一弁護士 2022.6.27

記事公開日:2022.7.11取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2022年6月27日午後6時半より、東京都千代田区のスペースたんぽぽにて、たんぽぽ舎主催で海渡雄一弁護士による、講演「徹底解説『経済安全保障推進法』危険な現代の国家総動員法」が行われた。

 2022年5月11日、参院本会議にて可決・成立した「経済安全保障推進法(経済安保法)」は、国家安全保障のために政府が企業活動を規制することを目的とする。欧米諸国との協調を通じて、国際秩序の不安定リスクである中国などへの経済的な依存度を低下させることが狙いだと言われている。

 具体的には、「重要物資のサプライチェーン強化」、「基幹インフラの安全確保」、「先端技術開発での官民協力」、および、「軍事技術に関わる特許の非公開」という4つの柱で構成され、2023年の春より、段階的に施行される。

 この法律は、内容に不透明な部分が多い。民間経済活動への政府による過度の介入や、軍事研究を加速させるリスクも指摘されている。また、情報遺漏対策という名目で、民間人・研究者を罰則により拘束し、かつて軍国主義否定の観点から、日本国憲法の戦争放棄の規定に抵触することを理由に廃止された「秘密特許」制度を復活させるなど、問題だらけだ。

 海渡弁護士は、「2012年に安倍首相が政権を担当するようになってから約10年間、政府が作り続けてきた法制度を並べてみれば、政府の意図が、日本を『戦争を遂行することができる国家へと作り替える』ことにあったことは明らかである」とし、特に「2020年の学術会議6人の委員の任命拒否が、今回の経済安保法案に直結していると、僕は思っている」と自説を述べた。

 海渡弁護士は、「『経済安保法』は経済法ではない。『国家の安全』をキーワードとした軍事立法であり、しかも、『経済安全保障』という言葉の定義すらない」とも指摘した。

 その上で、「先端技術の保護や外国からのサイバー攻撃を防ぐ必要性があるというのが表向きの目的とされているが、『経済安保法』は、米中対立を念頭に、従来の平和的経済交流路線を転換し、中国・ロシアなどを仮想敵国視するものである」との見方を示した。

 海渡弁護士の講演の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2022年6月27日(月)18:30~21:00
  • 場所 スペースたんぽぽ(東京都千代田区)
  • 詳細 たんぽぽ舎 サイト内告知

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