2022年11月24日(木)午後6時から、参議院議員会館講堂で「日本の安全保障の選択肢 -抑止の限界と外交の可能性-」と題したシンポジウムが行われた。主催は新外交イニシアティブ(ND)である。
登壇者の中野晃一・上智大学国際教養学部教授は、日本の安全保障について、「このまま行けば、ほとんど間違いなく戦争になると思う」と、危機感をあらわにした。
そして、台湾有事が起こった際に、日本が沖縄を捨て石にするように、ワシントンが東京を捨て石にする可能性を、次のように語った。
「日本国内に『日米同盟が大事だから、辺野古の基地が必要だし、申し訳ないけれども、沖縄というのは要石(かなめいし)だから、捨て石になってもらわなきゃ困る』みたいなことを、『リアリスト』みたいな顔をして言う人がいるわけです。
同じように、『悪いけれども、日本には犠牲になってもらって、アメリカの戦略・安全保障のためにやってもらう』という同じ理屈を、ワシントンの人たちが、私たちが沖縄差別をしているのと同じように、言わないわけがないわけです」。
一方、登壇者の、羽場久美子・青山学院大学名誉教授(神奈川大学教授)は、中国の台頭が、覇権国アメリカの軍事行動を誘発するきっかけとなることを、以下のように説明した。
「中国(の2022年のGDP)は、日本の4倍になりました。ご存知のように、6年後に中国はアメリカを経済的に抜くと言われていて、そして面白いことに、台湾有事はいつ起こるのかということで、アメリカは6年以内に起こると言っています。つまり、アメリカが中国に(経済的に)抜かれる前に、東アジアで戦争を起こすということなんです」。
さらに羽場教授は、覇権国アメリカにとって、「中国封じ込め」のための最良のシミュレーションを、次のように提示した。
「アジアで、北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)という核施設で爆破が起こった時、(チェルノブイリ原発事故の影響圏)1200キロの円を作って描いてみた際に、非常に驚愕する事実があったということです。
日本列島がすべて入っています。北海道の網走と沖縄の一部を除いて、すべて入っていますし、北朝鮮、朝鮮半島はもちろんのこと、極東アジア、そして北京から上海に連なる中国の重要経済圏がすべて入っています。
つまり、北朝鮮で爆破が起こるだけで、数十年間、東アジアの経済圏は壊滅します。(米国の覇権維持にとって)こんなに楽なことはないのではないでしょうか」。
我々は、北朝鮮を、アメリカと共に敵視するのではなく、中国、韓国、ロシアと共に、北朝鮮をアメリカから守る必要があるのではないだろうか。
詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。