2021年5月28日(金)、午前9時20分頃より、東京都新宿区の防衛省庁舎にて、岸信夫防衛大臣の定例会見が行われた。
冒頭、岸防衛大臣より、新型コロナウイルスの感染者数について、前回(5/25)の報告以降、34名の隊員が新たに感染し、感染者は累計で、1844名となったとの報告があった。
続いて、岸大臣と各社記者との質疑応答となった。IWJ記者は、前回の会見に引き続き、「クアッド」ならびに「ARC21」について、以下のとおり質問をした。
IWJ記者「前回、5月25日(火)の記者会見で、弊社からの『クアッド』ならびに『ARC21』の目的についての質問に対し、岸防衛大臣は、『中国を念頭に置いたもの、あるいは中国包囲網というものは考えておりません。あくまでも、我が国の防衛に資するこうした共同訓練である』旨の回答に終始されました。
2020(令和2)年度の防衛白書では、中国の軍事動向について、『わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念』と呼び、米国を分析した節『インド太平洋地域への関与』の中では『日米豪印4か国の協力』について記されています。また、防衛白書の中では、中国を仮想敵国として合同演習を行うと書いてあり、実際に各国の軍と合同演習が行われています。にもかかわらず『具体的な国を念頭に置いて行われているものではない』と、おっしゃっているのはなぜなのでしょうか。中国政府からの反発を恐れている、ということなのでしょうか?
今や中国は日本最大の貿易相手国です。財務省のデータによると、中国は2020年に日本の最大の輸出先となり、海外で販売される日本製品の22%以上が中国で消費されています。大臣の回答は、日本は『中国を包囲している』と明言できないほど、中国の反発に脅えているように、世界の目に映るのではないでしょうか。実際に中国が、反発して日本製品は購入しない、とされるだけで、日本経済は大きなダメージを被るものと思われます。
軍事面では、クアッド+アルファによる中国包囲網『インド太平洋』戦略で軍事演習しておきながら、経済では中国と日本を含めたアジア諸国が初めて包括的経済連携協定・RCEPを結んでいる、というのも矛盾します。むしろRCEPのように中国を入れた、安定した『インド太平洋』を構築した方が、安全保障上も合理的で安上がりではないでしょうか? 平和で安定した東アジア・太平洋・インド洋の実現は、各国の兵器産業に不利益を与え、不人気を被るものであるかもしれませんが、それ以上に大きなメリットがあるはずだと考えます。大臣のお考えをお聞かせ下さい」
これに対する岸防衛大臣の回答は以下のとおり。
岸防衛大臣「あの、まず、白書においては、中国を仮想敵国としているような事実はありません。前回もお答えしたとおりでありますが、自衛隊、および各国との共同訓練は、特定の国を対象としたものではございません。各国との連携強化、また、自衛隊の練度の向上、こうしたものを、うまく共同訓練によって得られる、そういうふうに考えております」
岸防衛大臣からの報告、そして各社記者との質疑応答の一部始終は、全編動画にてご確認いただきたい。