2020年3月31日(火)午前9時25分より、東京都新宿区市谷の防衛省庁舎A棟11階第一省議室にて、河野太郎防衛大臣の定例記者会見が行われた。
冒頭、河野大臣より、「3月30日(月)午後8時28分頃、屋久島の西、約650kmの東シナ海の公海上において、警戒監視中であった自衛隊護衛艦『しまかぜ』と、中国籍の漁船が衝突した」との報告があった。
「細部については、引き続き確認中である」とし、「『しまかぜ』に人的被害は発生していない」こと、「海上自衛隊が安全向上のため、30日、事故調査委員会を立ち上げた」こと、そして、「今後は、海上保安庁の調査に全面的に協力する予定である」との報告があった。
次いで、新型コロナウイルスの水際対策強化にかかる災害派遣、防衛省より拠出した百万枚のマスクの厚生労働省からの返還作業の開始などについて報告があった。
また、昨日(30日)、秋田駐屯地に所属する男性陸上自衛官の新型コロナウイルスへの感染が確認された件について、「現在、外来宿舎で隔離中であり、本日、医療機関に入院し、治療を開始する予定であるとし、続けて、「この隊員は、ダイヤモンド・プリンセス号等を含め、このたびの新型コロナウイルスにかかる災害派遣活動には従事しておらず、濃厚接触者である隊員20名についても同様に隔離中である」との報告があった。
その後、河野大臣からの上記の報告を受けるかたちで、各社記者からの質疑応答となったが、IWJの記者からは、「コロナ関係ですが、自衛隊と在日米軍が演習や会議などで密接に関わる機会が多いと思いますけども、お互いの新型コロナウイルスの感染に関する情報について、どの程度までの情報を共有されているのか、教えて下さい。あともう一点、中東に派遣中の海上自衛隊の船に感染者が出た場合などを想定して、コンティンジェンシープランというものが策定されていると理解していますが、このコンティンジェンシープランというものを一般の国民は閲覧できないのでしょうか?」と質問をした。
これに対し、河野大臣より、「米軍とはかなり緊密にコロナの問題について、やり取りをしています。護衛艦『たかなみ』、あるいは、『はるさめ』について、感染者が発生した場合、どうするかという対応策は考えておりますが、その際の相手国から公表の了解を得ておりませんので、 公開しておりません」との回答があった。
河野大臣に質問した「コンティンジェンシープラン(Contingency Plan)」とは、「災害や事故など想定外の事態が起きた時のために、事前に定めておく対応策や行動手順のこと。日本語で言い換えるなら、 緊急時対応計画。滅多に起こらないが、発生すれば破滅的な結果につながる例外的事案に対するリスク管理を指すことが多い」(Wikipediaより引用)とされており、自衛艦の任務と、自衛官の安全をはかる上で重要な対策文書であり、その中身は、国会にも、ジャーナリズムにも、主権者である国民に対しても、広く公開されなければならないはずである。それを「米国の了解がなければ、国民に対して公開しない」の一言で済ませるとは、主権国家の防衛大臣とは思えないものだった。