「『スタンドオフ防衛能力』は、実際にはスタンドオフ=脅威圏外からの攻撃能力ではなく、圏内となり、事実上、刺し違え戦略なのではないか?」とのIWJ記者の質問に、岸大臣は話をそらし、「抑止力を高めるためのもの。(反撃には)対空防衛能力を高めていく」と疑問の残る回答~5.11岸信夫 防衛大臣 定例会見 2021.5.11

記事公開日:2021.5.12取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2021年5月11日(火)、午前9時30分頃より、東京都新宿区の防衛省庁舎にて、岸信夫防衛大臣の定例会見が行われた。

 冒頭、岸防衛大臣より、ジブチへ派遣されている要員を含めた自衛隊員の新型コロナウイルスの感染者数、5月11日~17日の日程で行われる日米豪仏の共同軍事訓練について、そして、5月24日を目処に、東京・大手町合同庁舎、大阪・大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)に大規模接種センターが設置されることなどについての報告があった。

 続いて、岸大臣と各社記者との質疑応答となった。IWJ記者は、「スタンドオフ防衛能力」について、以下のとおり質問をした。

IWJ記者「昨年の12月18日の閣議決定で『新たなミサイル防衛システムの整備等及びスタンドオフ防衛能力の強化について』より、敵基地攻撃を容易になし、北朝鮮領域にまで直接到達する、国産長距離射程ミサイルを日本独自に開発中だと、米国の『ウォール・ストリート・ジャーナル』が報じています。

 小野寺元防衛大臣は『「スタンドオフ防衛能力」とは敵の射程圏外から攻撃できる能力であり、この新型ミサイルは、中国との領土問題を抱える日本の南端にある島々の防衛にも使用できる』と述べています。しかし、本当にそうでしょうか?

 当然ミサイルを打ち込まれた敵国は、日本全土に照準を合わせ、特に海岸線にある原発をめがけてミサイルを打ち込んでくるのではないでしょうか? 日本の海岸線は54基の原発を抱えています。原発にミサイルを打ち込まれてはひとたまりもありません。自らの急所、つまり、『原発』をさらけだし、敵国の射程圏外から攻撃ができると言ってもまったく意味をなさないと思われます。

 現実的に日本列島全体が中国の準中距離ミサイルの射程の中にすっぽりと入っていることは事実です。その中国の準中距離弾道ミサイルは150~450発と推定されています。そもそも『スタンドオフ防衛能力』が敵の射程圏外とか脅威圏の外などという言明自体が欺瞞なのです。これは、まさに刺し違え覚悟の作戦であることは自明です。

 『スタンドオフ防衛能力』という言葉で本質を隠し、国民を欺き、我が国が焦土と化しても、米国を守るというお考えなのでしょうか? 大臣の考えをお聞かせください」

 この質問に対し、岸大臣は以下のように回答した。

岸防衛大臣「あの、刺し違え覚悟の戦争をしたいと思うところがあるでしょうか?(笑顔)

 基本的に、スタンドオフミサイルというのは、おっしゃるとおり、敵の圏外から攻撃をできる能力を有するものであるが、すべて我々の抑止力を高めるためのものである。あくまでも、自衛隊員の安全を図るために、敵の射程外から発射するミサイルがスタンドオフミサイルだ。

 いずれにしても、沿岸の対防空、対空の防衛についても、総合ミサイル防空も進めながら、我が国の防衛能力を高めて参るところである」

 岸防衛大臣からの報告、そして各社記者との質疑応答の一部始終は、全編動画にてご確認いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2021年5月11日(火)9:30~
  • 場所 防衛省 A棟 第1省議室(東京都千代田区)

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