2023年4月25日午後7時より、東京都千代田区のスペースたんぽぽ(たんぽぽ舎)にて、「たんぽぽ舎・新ちょぼゼミシリーズ『原発をやめるべきこれだけの理由:老朽化と安全工学』」が、元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤政志氏を講師に迎えて開催された。
後藤氏による原発の老朽化と安全性をめぐる講演のあと、IWJ記者は後藤氏に「原発の安全工学において、原発に対する攻撃のリスクというのは、どのように扱われるのでしょうか?」と質問した。
この質問に対し、後藤氏は以下のように答えた。
「私は、ウクライナ(ザポリージャ原発への攻撃)が衝撃(的)でね。あのときに、原発が攻撃対象になるっていうのは、山田太郎さん、あの、小倉志郎さんね(※)。彼が、『原発を並べて自衛戦争はできない』っていう小冊子を出してるでしょ。あれで詳しく書いてあるんですよ。(中略)
(※)小倉志郎氏は福島第一原発の建設に際し、原子炉系機器の技術取りまとめに携わった元技術者。2007年に雑誌『リプレーザ』(リプレーザ社)に、山田太郎のペンネームで論文『原発を並べて自衛戦争はできない』が掲載された。
プーチンはね、本気でやろうと思ってないんだよ、多分、あれは、原発壊そうと。だけど、脅しをかけてるし…、だけど、あんなもん、間違ってぶつけちゃったらどうすんのよ、本当に。一発でお終いになっちゃうじゃない。実際に、そのすぐ近くを壊してるんだからね。
だから、戦争状態って、そういうふうにものすごくリスキーなわけです。IAEAと私が同じ視点だとは思わないけど、IAEAだって、危ないから絶対止めろよ、ということを言ってるわけですよ。ということですね。
だから、戦争状態における一番の問題っていうのは、戦争という無茶苦茶なものがあって、そうすると、国際ルールもへったくれもなくて、何が起こるかわからない、というのが一点。
そして、もうひとつは、今の政府のね、もう頭がパッパラパーになっちゃってるような感じがするんですね。だって、ウクライナでロシアからの色々なエネルギーが絶たれたら、エネルギーの自衛が必要だと言って、それで、『何やるの?』って言ったら、『原発ですよ』って。『はあ?』ですよ、本当に。
何を言ってるかというと、原発は攻撃対象になり得るということがわかって、原発が攻撃対象になるとですね、事故よりはるかに厳しいんですよ。一発やられたらお終いだから。すごくリスクが高いので、原発に対しては、規制委員会の元委員長、上層部も、はっきり言っているわけですよ。インタビューに書いてある。(※)
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- (※)
- (NHK NEWS WEB、2022年3月16日)
『原発が攻撃を受けることについて、どうお考えですか?』って、更田元委員長ね、『原発は、そのような攻撃の対象になることは一切、考慮しておりません。これからもそんなこと考慮できません』と、はっきり言ってるでしょ。
もう一人の学者、大学の先生になった人は何を言ってるかというと、『それは難しい問題で、やっぱり、もしそういうことがわかったらね、攻撃対象になると思ったら、その段階ですべて止めるべきですね』って、言ってるんですよ。
つまり、そういう危険な環境になったら止めるのが原発でしょ? ということは、何で非常時に原発をそのために作るの? 何の意味もない。
この当たり前のことがね、わからない、とんちんかんな人たちが多い。本当に多い。頭にきてるんです。私は。『馬鹿か』っていうくらい。本当に、言葉は汚いですが、それくらいひどいですよ。そう思いません?
それで、私が言いたいのは、原発は事故を起こすリスクがある。これが一点。ものすごく細かいリスクがある。
その上で、攻撃対象になったときには、もっとひどいことになるので、そうすると、原発は、平和時も、有事のときにも、使い物にならないガラクタなんですよ。はっきり言えば。
というふうに理解しています。というのが私の意見。ああ、すっきりした」
※IWJはザポリージャ原発を攻撃しているのはロシアではなくウクライナであると報じ続けてきました。
詳細は、全編動画を御覧ください。