【IWJ号外】10月7日に起きた「ハマスの奇襲攻撃」の真実とは!? イスラエル公営ラジオで、生存者のイスラエル人女性が「イスラエル軍が自国の市民を射殺した」と語る!! 2023.11.6

記事公開日:2023.11.6 テキスト
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(文・IWJ編集部)

特集 中東

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 IWJ代表の岩上安身です。

 イスラエル国防軍による苛烈なガザ攻撃が続いています。ネタニヤフ首相とイスラエル政府は、米国に民間人の被害を抑制するように求められても、国連総会で人道的停戦を求められても、ガザ地区への攻撃を止める気はまったくないようです。

 『アルジャジーラ』のライブトラッカーによると、11月4日グリニッジ標準時10時45分時点で確認されている犠牲者は以下の通りです。

<ガザ地区>
 殺害された人の数: 少なくとも9488人
  少なくとも以下が含まれます:3900人の子どもたち、女性2509名
 負傷者:少なくとも2万4158人
  少なくとも以下が含まれます:6360人の子どもたち、女性4891名

<占領ヨルダン川西岸地区>
 殺害された人の数: 少なくとも145名
 負傷者:少なくとも2100人

<イスラエル>
 殺害された人の数:少なくとも1430人
 負傷者:少なくとも5600人

 IWJは、今、イスラエルが行なっている、ガザ地区への苛烈な攻撃は、「自衛戦争」をはるかに超え、「ハマスの殲滅作戦」を口実とした、パレスチナ人のガザ地区永久追放を目的としたものであることを繰り返しお伝えしてきました。

 パレスチナ人のガザ地区永久追放は、先住民の権利を踏み躙る国際法違反の入植問題、ガザ沖の天ガス田の権益問題、スエズ運河に代わるベングリオン運河の権益問題の3つを一気に解決するという、イスラエルにとって「一石三鳥」の作戦であることも指摘しました。

はじめに~イスラエル情報省がガザ地区の「民族浄化」計画をまとめた「永久追放文書」が漏洩、暴露された!! しかもイスラエルの狙いは、民族問題の「最終解決」だけではなく、ガザ地区沖で発見された「ガザ・マリン」ガス田の権益を独占するという実利もある「一石二鳥」作戦!
・会員版 (日刊IWJガイド、2023年11月3日号)
・非会員版 (日刊IWJガイド、2023年11月3日号)

【第1弾! 仰天! イスラエルのベングリオン運河計画! イスラエルの「自衛戦争」の目的は、ベングリオン運河の開通!?】(『トゥーキー』、2023年10月25日)
・会員版 (日刊IWJガイド、2023年11月4日号)
・非会員版 (日刊IWJガイド、2023年11月4日号)

 しかし、イスラエルが苛烈なガザ攻撃の根拠としている「10月7日に起きた、大量の民間人を含む残忍なハマスの奇襲攻撃」の実態について言及した記事は多くはありません。

 すでにIWJサイトでお伝えした通り、岡真理教授は、260人以上の犠牲者を出した音楽祭の襲撃事件を生き延びたヤスミン・ポラトさんの証言をもとに、ハマスが人質を取る計画をしていたのは事実であり、それは戦争犯罪だが、イスラエル軍が自国民である人質を殺害した可能性があることを指摘してます。

 ヤスミン・ポラトさんの証言は、10月16日付『エレクトロニック・インティファーダ』で掲載されている「イスラエル軍が自国の市民を射殺、キブツの生存者が語る」という記事で紹介されています。また、YouTubeでポラトさんのインタビューを見ることもできます。

 ポラトさんのインタビューはイスラエルの国営ラジオで行われ、ポラトさんは「疑う余地なく」イスラエル軍が、人質となっていたイスラエル市民を殺害したと証言しています。ポラトさんのパートナーもイスラエル軍の攻撃によって殺害された、とポラトさんは述べています。

 ポラトさんには偽証する動機はなく、その話は具体的で説得力があります。

 『エレクトロニック・インティファーダ』だけではなく、イスラエル・メディア『ハアレツ』や、米国の独立系メディア『モンドワイス』なども、イスラエル軍によるイスラエル市民の殺害に関する記事を出しています。

 ポラトさんの証言が事実であれば、「音楽祭に集まっていた無辜の市民を大量に殺害したハマスは悪の権化」であり殲滅しなければならないという、イスラエルの「錦の御旗」は破れます。

 ポラトさんの証言以外の証言や、事実が出てこない限り、事実確認は困難ですが、大変重要な証言であることから、今回、IWJは、ポラトさんの証言を紹介した『エレクトロニック・インティファーダ』の記事全文と、ポラトさんのインタビューの書き起こし全文の仮訳をしました。

 以下、『エレクトロニック・インティファーダ』に掲載された「イスラエル軍が自国の市民を射殺、キブツの生存者が語る」の全文仮訳をご紹介します。

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イスラエル軍が自国の市民を射殺、キブツの生存者が語る
アリ・アブニマ、デヴィッド・シーン (エレクトロニック・インティファーダ、2023年10月16日公開、23日更新)

 ガザとの境界に近いキブツ・ベエリでの流血の生存者であるヤスミン・ポラトさんは、多くのイスラエル市民がイスラエル軍によって殺害されたと語る。

(10月23日更新)
 『エレクトロニック・インティファーダ』は、10月7日のハマスの襲撃後、「疑う余地なく」イスラエル治安部隊が多数の自国の市民を殺害したと、イスラエルのラジオに語ったキブツ・ベエリの生存者ヤスミン・ポラトさんのインタビュー全文を掲載することができるようになった。

 この記事が10月15日に掲載された時点では、このインタビューの録音はイスラエル国営放送『カン(Kan)』のウェブサイトでは入手できず、ポラトさんにインタビューした番組『ハボカー・ハゼ(Haboker Hazeh)』のその日のオンライン版にも掲載されていなかった。

 この記事の公開後、『カン』によって、インタビューの全文がアップロードされた。そこには、私たちが最初に入手し、翻訳したインタビュー・バージョンから編集(除外)された数分の追加部分が含まれている。

 インタビュー全文のなかで、ポラトさんは、パレスチナ人戦闘員――彼女曰く、彼女や他のイスラエル民間人を『人道的に』”扱った――は、「私たちをガザに誘拐するつもりだった。私たちを殺すためではなく」と申し立てている。

 彼女は、さらに、「私たちが誘拐犯たちと一緒に、そこ(キブツ)で2時間過ごした後、警察が到着した。私たちの警察が始めた銃撃戦が起こった」とも述べている。

 インタビューの全文は、以下のビデオで英語字幕付きで聞くことができる。全文書き起こしはこのページの下にある。

 また、『モンドワイス』紙(※IWJ注1)が10月22日付で、10月7日のパレスチナ人による攻撃の後、イスラエル軍が多くのイスラエル市民および軍人の死亡に関与したことを示す、イスラエル・メディアの証言にもとづく記事を公開したことも注目に値する。

 これには、イスラエル軍によって殺害されるまで、イスラエル市民の一部が、彼らを拘束していたパレスチナ人戦闘員とともに、最大で2日間生存していたという衝撃的な事実も含まれている。

(※IWJ注1)『モンドワイス』紙:『モンドワイス(Mondoweiss)』は、米国ミシガン州デトロイトに拠点を置くメディア。『Facebook』には「モンドワイスは、パレスチナの自由を求める闘争に影響を与える運動、活動家、政策立案者を取り上げている」と説明されている。

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<ここから特別公開中>

 イスラエルの『ハアレツ(Haaretz)』紙は10月20日、――ヘブライ語版のみだが――、キブツ・ベエリに住んでいたが、10月7日は外出していて不在だったトゥヴァル(Tuval)さんという男性へのインタビューを掲載した。トゥバルのパートナーは、この事件で殺害された。

 『ハアレツ』は以下のように報じている(※IWJ注2)。

 「彼(トゥヴァル)によれば、現場の指揮官たちが(※人質の救出を諦めるという)難しい決断を下したのは月曜日(9日)の夜であった――テロリストを排除するためには、人質となっている居住者全員がいる家屋に砲撃を加える――。

 そうやって、ようやくIDF(イスラエル軍)は、キブツを取り戻した。その代償は恐ろしいものだった。少なくとも112人のベエリの人々が殺された。他の人々は誘拐された。

 大虐殺から11日後の昨日(19日)、破壊された家屋のひとつから母親と息子の遺体が発見された。瓦礫の中にはまだ多くの遺体が横たわっていると思われる」。

(※IWJ注2)『ハアレツ』は以下のように報じている:該当記事は以下。

 この証言は、10月7日土曜日の事件発生から、丸2日後の10月9日月曜日には、多くのイスラエル人の捕虜がまだ生きていたことを示しているようだ、と『モンドワイス』は見ている。

 「7日の攻撃に対するイスラエル側の初期対応の慌ただしい銃撃戦の中で(※イスラエル人の)捕虜が殺されたのであればまだ理解できるかもしれない。が、この証言は、キブツとその中にいた全員を襲撃するという決定が、明確な軍事的計算の上に行われたことを示しているように思われる」と『モンドワイス』は付け加えている。

 ヤスミン・ポラトさんへのインタビューは以下の通り。

<原記事(10月16日)>

 10月7日、ガザ境界付近の入植地に対するハマスの襲撃を生き延びたイスラエル人女性は、「疑う余地なく」イスラエルの市民が自国の治安部隊によって殺されたと語った。

 イスラエル軍がキブツ・ベエリでパレスチナ人戦闘員と激しい銃撃戦を繰り広げ、戦闘員とイスラエル人捕虜の両方に無差別に発砲したとき、それは起こった。

 「彼らは、人質を含めて全員を抹殺しました」と彼女はイスラエルのラジオに語った。「とても、とても激しい銃撃戦がありました」。戦車砲撃まであったのである。

 この女性は、44歳で3児の母である。ヤスミン・ポラトさんは、(※銃撃戦が始まる)の前は、彼女と他の(※イスラエルの)市民たちはパレスチナ人に数時間拘束されていたが、「人道的」に扱われていたと語った。彼女は近くの 『ノヴァ』レイム(※IWJ注3)から(※キブツ・べエリへ)逃げてきたのだ。

(※IWJ注3)『ノヴァ』レイム:(“Nova” rave)10月6日から7日にかけて、イスラエルの南部地区レイムの近郊のネゲブ砂漠で、徹夜で行われていた音楽祭。イスラエルの様々な地域から20代から40代までの数千人が集まっていたとされ、会場からは260人以上の遺体が見つかった。参加者の一人は『BBC』「50人のテロリストが軍服を着てバンに乗って到着し」、銃撃を始めたと証言している。

 (※イスラエル)国営放送『カン』のアリエ・ゴラン氏が司会を務めるラジオ番組『ハボカー・ハゼ(今朝)』での、彼女のインタビューの録音がSNS上で拡散されている。このインタビューは『エレクトロニック・インティファーダ』によって翻訳された。このビデオは英語字幕付きで聴くことができ、書き起こしはこの記事の末尾にある。

 注目すべきは、このインタビューが放送されたと思われる10月15日の『ハボカー・ハゼ』オンライン版には、このインタビューが含まれていないことである。

 爆発的な性格をもつ内容であるため、検閲された可能性がある。

 レバノン国境近くの入植地カブリ出身のポラトさんは、疑う余地なく恐ろしい体験をし、多くの非戦闘員が殺されるのを目の当たりにした。彼女自身のパートナーであるタル・カッツも死者の一人である。

 しかし、彼女の証言は、パレスチナの戦闘員による計画的で理不尽な殺人(※イスラエル市民に対する虐殺)だとする、イスラエルの公式見解を根底から覆す重要なものである(※IWJ注4)。

(※IWJ注4)この証言が事実であれば、イスラエル軍将兵らはイスラエル市民に対する殺人罪に問われるべきであり、殺害の濡れ衣をハマスに着せ、ガザ市民の1万人にもなる大量虐殺を正当化した戦争犯罪で、国家指導者のネタニヤフ氏は裁かれるべきである。

 この録音は、もはや『カン』のウェブサイトには掲載されていないが、この録音の信憑性についてはほとんど疑う余地はない。

 少なくとも1つのヘブライ語アカウントは、このインタビューの一部をツイッター(現在は公式にXと呼ばれている)に投稿し、『カン』は「ハマスに奉仕するメディア」として機能している、と非難した。

 「――Jack Russell (@JackRussell2022) October 15, 2023(※IWJ注5)」

(※IWJ注5)ジャック・ラッセル氏の投稿:ヘブライ語の投稿であるため、概要で紹介する「ハマスへの奉仕における情報発信:テロリストは彼女に危害を加えず、私たちの愛する人の多くが私たちの兵士によって殺されたと語る生存者の発言が、現在ハマスのネットワーク上で広まっている。
 「イスラエルの放送局アリエ・ゴランは、べエリの入植地でのコンサートに参加した目撃者にインタビューした。彼女は『抵抗勢力は私たちを殺すことを望んでいなかったが、私たちを倫理的に扱い、私たちが住んでいた恐怖状態を鎮めてくれた』。(怒りのマーク3個)」。
 このポストはすでに削除されているが、『アーカイブ・トゥデイ』に残されている。
・(archive.today、12:20 PM・Oct 15, 2023)

 ポラトさんはまた、イスラエルの新聞『マーリブ(Maariv)』にも自分の証言を寄せた。

 しかし、10月9日に公開された『マーリブ』の記事には、イスラエル軍に殺害された(※イスラエル)市民についての具体的な言及はない。

 また、木曜日(12日)に行われたイスラエルの『チャンネル12』との30分にわたるインタビューで、ポラトさんは、イスラエル軍が到着した後の激しい銃撃戦について語っている。ポラトさん自身も大腿部に銃弾を受けた。

<「人道的に」扱われた>

 ポラトさんは、イスラエル治安部隊による激しい反撃でイスラエル人が殺されただけでなく、彼女や他の捕虜となった(※イスラエル)市民は、パレスチナの戦闘員から良い扱いを受けたと『カン』に語っている。

 ハマスが、ミサイルと電動パラグライダーによる攻撃を開始したとき、ポラトさんは「ノヴァ」レイブに参加していた。彼女とパートナーのタル・カッツさんは、車で近くのキブツ・ベエリに逃れたが、そこで彼女がメディアのインタビューで語った多くの出来事が起こった。

 『マーリブ』の取材に応じたポラトさんによると、彼女とカッツは当初、アディさんとハダス・ダガンさんという夫婦の家に避難したという。パレスチナの戦闘員に見つかった後、彼らは全員別の家に連れて行かれた。その家には、すでに8人が監禁され、1人が死亡していた。

 ポラトさんによると、死亡した男性の妻は、「彼ら(ハマスの戦闘員)が中に入ろうとしたとき、男性(※夫)は彼らの侵入を防ごうとしてドアを掴んだ。彼らはドアに向かって発砲し、彼は殺された。彼ら(ハマスの戦闘員)は、彼らを処刑しなかった」と語りました。

 「彼らは私たちを虐待しなかった。彼らは私たちをとても人道的に扱いました」ポラトは『カン』ラジオのインタビューで、驚くゴランに以下のように説明した。

 「つまり、彼らは私たちを守っていた、ということです」と彼女は述べた。「彼らは、私たちにあちこちで飲み物をくれた。私たちが緊張しているのを見てとると、落ち着かせてくれた。とても怖かったけど、誰も私たちを暴力的に扱うことはしなかった。幸運なことに、メディアで聞いたようなことは、私には何も起こらなかった」。

 「彼らは私たちにとても人道的でした」と、ポラトさんは、『チャンネル12』のインタビューでも語った。ヘブライ語を話す、ひとりのパレスチナ人戦闘員が、『私を見て、私をよく見てください。私たちはあなたを殺すつもりはありません。私たちはあなたをガザに連れて行きたいのです。私たちはあなたを殺すつもりはありません。だから落ち着いて、あなたが死ぬことはありません』と。彼、彼は私に、こういう言葉で話したのです」。

 「私には何も起こらないとわかっていたから、私は落ち着いていました」と彼女は付け加えた。

 「彼らは私たちに、私たちは死なない、私たちをガザに連れて行きたい、そして翌日には国境に戻すと言ったのです」とポラトさんは『マーリブ』に語った。

 『チャンネル12』のインタビューの中で、ポラトさんは、パレスチナの戦闘員たちは全員(※弾薬を)装填された武器を持っていたが、彼らが捕虜を撃ったり、銃で脅したりするのを見たことはなかったと詳しく述べている。

 彼女は、戦闘員たちは、捕虜に飲み水を与えただけでなく、停電のために家の中が暑かったので、戦闘員たちは捕虜たちを屋外の芝生に行かせた、と述べた。

<若くて怯えていた(※パレスチナの誘拐犯たち)>

 ハマスの攻撃開始から約8時間後、ポラトさんが警察に通報してから約30分後に、イスラエル軍が到着し、混乱が起こり始めたと、ポラトさんは『カン』に語った。

 「当初、(※イスラエルの)治安部隊は、私たちとともにはいませんでした」とポラトさんは振り返り、彼女がイスラエル警察に最初に電話したときには、応答がなかったと述べた。「誘拐犯たちと一緒にいた私たちが警察に電話したのです。誘拐犯たちは警察が来ることを望んでいましたから。彼らの目的は、私たちをガザに誘拐することだったからです」。

 「彼ら(※誘拐犯たち)は、兵士ら(※イスラエルの治安部隊)が人質を殺さないことを理解しています。だから、彼らは私たちが生きたまま一緒に出ていき、警察がそれを認めることを望んでいたのです」とポラトさんは『チャンネル12』に語った。

 イスラエルの捕虜は12人しかいなかったが、ポラトさんは、イスラエル警察に、40人がハマスの戦闘員に拘束されていると伝えるように指示されていた。彼ら(※誘拐犯たち)自身は若く、怯えていたと、彼女は『チャンネル12』に語った。

 ポラトさんが司令官と呼ぶ30代の戦闘員は、警察と話すことを求め、アラビア語を話すイスラエル軍将校と話し合っていた。彼らの短い会話の後、4ダースほどのパレスチナの戦闘員と12人のイスラエル人捕虜は軍隊の到着を待った。グループの一部は、午後の暑さをしのぐために外の庭に出ていた。

<銃弾、迫撃砲、戦車の砲弾の霰(あられ)>

 イスラエル軍は銃撃の霰(あられ)で到着を告げ、戦闘員と捕虜のイスラエル人を驚かせた。

 「私たちは外にいたのですが、突然、(イスラエル軍の部隊)ヤマム(YAMAM)から私たちに向けて一斉射撃がありました。私たちは皆、身を隠す場所を探して走り出しました」と、ポラトさんは『チャンネル12』に語った。

 ポラトさんは、「何十、何百、何千もの銃弾と迫撃砲が空中を飛び交った」30分に及ぶ激しい十字砲火の後、イスラエル兵に投降した。パレスチナ人戦闘員の一人である司令官が投降を決意し、彼女を事実上、人間の盾として使ったと、彼女は語った。

 「彼は服を脱ぎ始めました」と、ポラトさんは『カン』のアリエ・ゴラン氏に、振り返って話した。「彼は私に声をかけ、銃撃の中を、私と一緒に家を出ようとしました。その時、私は(イスラエル軍の特殊部隊)に向かって叫びました…私の声が聞こえたら、発砲を止めるように」。

 「そして、彼らは私の声を聞き、発砲を止めました」と彼女は続けた。「キブツの人たちが芝生の上にいるのが見えました。5、6人の人質が外の地面に横たわっていました。まるで、我々の特殊部隊とテロリストの銃撃の間で屠殺される羊のようでした」。

 「テロリストが人質を撃ったのですか?」と、ゴラン氏が尋ねる。

 「いいえ、彼らは十字砲火で殺されました」とポラトさんは答える。「とても、とても、激しい銃撃戦があったことを理解してください」。

 「では、我々の軍隊が彼らを撃ったのですか?」と、ゴラン氏が尋ねる。

 「疑う余地なく」と元捕虜(※ポラトさん)は答え、「非常に激しい十字砲火があったため、人質を含めて全員が排除されました」と、付け加えた。

 「狂気の十字砲火の後、2発の戦車砲弾がこの家に撃ち込まれました。小さなキブツの家で、大きな家ではありません」と、ポラトさんは説明する。

 ポラトさんと彼女を捕虜にした男は、2人とも生き延びた。パレスチナ人はイスラエル軍の捕虜となった。しかし、ポラトさんによれば、入植地にいた他のほぼ全員が死亡、負傷、行方不明となり、ガザに連れて行かれたと考えられている。

 ポラトさんは『カン』に対して、レイブに参加していた数十人の友人――つまりイスラエルのトランスシーン(※IWJ注6)のパーティーでよく会っていた友人たち――を失ったと語った。

(※IWJ注6)トランスシーン:「トランス」は、エレクトロニック・ダンス・ミュージック。「トランス」を楽しむ人々の世界。

 「私は国家に怒り、軍に怒っています」とポラトさんは『マーリブ』に語った。「10時間もの間、キブツは放置されていたのです」。

 ガザ地区の民間人に対するイスラエルの大虐殺を正当化するために、ハマスにISISよりも悪いイメージを植え付けようとする米国とイスラエルの共同作業は、国際社会がポラトさんによる証言のような情報を見聞きしないことにかかっている。

 イスラエルの指導者たちは、ハマスの攻勢を予測し、阻止できなかったとして、すでに激しい批判にさらされている。彼らは、死亡したイスラエル人の多くが、激しいイスラエルの反撃による「同士討ち」によって殺されたかもしれないということが知れ渡れば、彼らの破滅的な失敗が、さらに深刻化することも望まないだろう。

<ハンニバル指令?>

 ハマス軍上級司令官であるサレハ・アル・アロウリ氏は、自分の(※ハマスの)戦闘員が可能な限り多くの民間人を故意に殺害しようとした、というイスラエル側の主張に直接反論している。

 イスラエルのプロパガンダ運動には、パレスチナ人が何十人ものイスラエル人の赤ん坊の斬首し、女性が強姦されたという、まったく証拠が示されていない、不気味な残虐行為の話が含まれている。

 アル・アロウリ氏は、木曜日(※11日)の『アルジャジーラ』とのインタビューで、ハマスの軍事部隊である彼のカッサム旅団の戦闘員は、市民に危害を加えないという厳格な規約に従っている、と述べた(※IWJ注7)。

(※IWJ注7)アル・アロウリ氏は、~カッサム旅団の戦闘員は、市民に危害を加えないという厳格な規約に従っている、と述べた:IWJは、『アルジャジーラ』の記事を確認できなかったが、12日付『パレスチナ・クロニクル』は、アル・アロウリ氏の11日の声明を全文紹介している。
 『パレスチナ・クロニクル』は、「ハマス当局者は、カッサム戦闘員の指示は当初から、戦争におけるイスラム宗教の指示、すなわち、民間人、女性、子供、老人を殺さないこと、人々の民間利益を害さないこと、兵士や武装勢力と戦うことだけを守ることであったと強調した」が、「アル・アロウリ氏によると、ガザ包囲網との国境が崩壊したと聞いた一部のガザ人が、ガザ包囲網に入ろうと殺到し、混乱が生じた。また、一部のカッサム戦闘員は、入植地の一部の警備員や武装勢力と衝突せざるを得なくなり、民間人の死亡につながった」と報じている。
 アル・アロウリ氏は声明の中で、「ハマス指導部の戦闘員に対する指示は明確だった。民間人を傷つけたり殺したりすることは、アル・カッサムの計画の一部ではなかった。ハマスが民間人や囚人を標的にすることはありえないし、我々は国際戦争法に従って行動している」と主張している。
 『タイムズ・オブ・イスラエル』は、アル・アロウリ氏は「嘘をついている」という反論記事を出した。アル・アロウリ氏は、7日の攻撃は、「国境沿いに駐留するイスラエル国防軍ガザ師団のみを標的にした」と主張している。

 しかし、イスラエルのガザ師団(ガザ地区を囲む陸軍部隊)が予想以上に早く崩壊したため、ガザ住民が境界地域が開放されたことを知って殺到し、混乱が生じたと述べた。アル・アロウリ氏は、これにはカッサムの一員ではない他の武装者も含まれていた可能性があると述べた。これには、カッサム旅団に属さない他の武装勢力も含まれていた可能性があるという。

 アル・アロウリ氏によれば、これによって、カッサム旅団の戦闘員が兵士や入植地の警備員、武装した住民と交戦し、市民の死亡につながったと述べている。

 アル・アロウリ氏はまた、イスラエルがいわゆるハンニバル指令(イスラエル軍が捕虜となることをことを許さず、ある兵士が捕虜となれば、その捕虜を殺害することになっても圧倒的な武力を行使することを認めるプロトコル)を用いた可能性を唱えた。

 ハンニバル指令の根拠は、捕虜交換交渉に利用できるような捕虜を敵に持たせることを回避することである。

 しかし今回の場合、もし、イスラエル軍がハンニバル指令を実行したとすれば、市民に対して使われたことになるであろう。

 アル・アロウリ氏は『アルジャジーラ』に、「若い男性(戦闘員)が一緒にいた捕虜とともに爆撃されたと確信している」と語った。

 ポラトさんの証言は、特に、独立した調査を必要としているが、イスラエルがそれを許可する可能性は低い。現在のプロパガンダのシナリオは、テルアビブの大量虐殺者たち(※イスラエル政府)にとって、あまりにも貴重だからである。

 アリ・アブニマは『エレクトロニック・インティファーダ』のエグゼクティブ・ディレクター。デビッド・シーンは『カハニズムと米国政治』、『民主党の数十年にわたる人種差別主義狂信者への求愛』の著者である。

<ヤスミン・ポラトさんの『カン』によるインタビューの記録>

アーリエ・ゴラン氏(以下、ゴラン)「キブツ・カブリのヤスミンさんです。シャローム・ヤスミン」。

ヤスミン・ポラトさん(以下、ポラト)「シャローム、おはようございます」。

ゴラン「あなたは、屋外パーティーに参加していましたね、やがて屠殺パーティーになってしまった」。

ポラト「本当です」。

ゴラン「あなたはハマスのテロリストに2時間半も人質にされていましたね」。

ポラト「本当です。パーティーの後、私とパートナーは――最終的に――キブツ・ベエリに逃げ込みました。テロリストの侵入に気づかず、隠れ場所を探していたのです。基本的に、私たちは、カッサムの(ロケット弾)から身を守るために」。

ゴラン「はい」。

ポラト「私たちは、ダガン夫妻、ハダスとアディというとても優しい夫妻の家のドアをノックしました。彼らは、私たちを厳重なセキュリティルームに連れて行ってくれました。私たちは6時間から8時間、彼らと一緒にセキュリティルームにいましたた。

 キブツに100人ほどのテロリストが侵入していることがわかっていたので、大変な恐怖でした。銃声はあらゆる方向から聞こえてきました。実際、ダガン夫妻は、すぐ隣の家にテロリストがいると教えてくれるまでは。彼らは私たちのところに来そうでした。

 実際、5分も経たないうちに、家全体が粉々に砕け散りました。そして1時間、私たちは彼らが私たちの強化された強化セキュリティルームに侵入するのを防ぐことに成功しましたが、そして1時間の間、10人ほどのテロリストが強化セキュリティルームを襲撃を加えていました。アラビア語の叫び声が響いていました。

 非常に緊迫した1時間でした。私たちは、言い知れぬ言えない大きな恐怖を感じていました。1時間後、彼らは侵入に成功し、私たち4人を近くの家に移送しました。そこにはすでに8人の人質がいました。私たちがその8人に加わって、だいたい12人が人質となりました。40人のテロリストが私たちを守っていました。話を手短にしています」。

ゴラン「彼らはあなたを虐待しましたか?」

ポラト「虐待はされませんでした。とても人道的に扱われました。つまり…」

ゴラン「人道的に?本当に?」

ポラト「ええ、つまり、彼らは私たちを守ってくれた、ということです。彼らはあちこちで私たちに飲み物をくれました。私たちが緊張しているのを見ると、落ち着かせてくれます。とても怖かったのですが、誰も私たちに暴力を振るう人はいませんでした。幸運なことに、メディアで聞いたようなことは、何も私たちには起こりませんでした」。

ゴラン「恐ろしい、恐ろしいことが起きました」。

ポラト「その通りです。しかし、2時間後、短い間でしたが、最初は(イスラエルの)治安部隊は私たちはいませんでした。誘拐犯は警察の到着を望んでいたので、私たちが誘拐犯と一緒に警察に電話をしたのです。彼らの目的は、私たちをガザに誘拐することだったからです。私たちを殺すためではありませんでした」。

ゴラン「うーん」。

ポラト「そして、誘拐犯と一緒に2時間そこにいた後、警察が到着しました。(イスラエルの)警察が銃撃戦を始めました。飛び交う弾薬の量からすると、とてもとても激しい銃撃戦でした。

 そして最後には…いえ、銃撃戦の最中に、私が一緒にいたテロリストの一人が投降を決意しました。その2時間の間に、私は何人かの誘拐犯、人質を守っていた人たちと連絡を取り合いました」。

ゴラン「はい」。

ポラト「そして、彼は私を人間の盾として使うことに決めました。彼は降伏することに決めたのです。その時は、気づかなかったのですが、後から振り返ってみると理解できます。

 彼は服を脱ぎ始め、私に声をかけ、銃撃の中、私と一緒に家から出始めました。そのとき、私はすでにヤマム(YAMAM、イスラエルの特殊部隊)に向かって、私の声が聞こえたら、発砲をやめるように叫びました」。

ゴラン「はい」。

ポラト「そして、彼らは私の声を聞いて発砲を止めたんです。私は、キブツの人々の庭の芝生を見ました。5、6人の人質が外の地面に横たわっていて、まるで屠殺される羊のようでした」。

ゴラン「テロリストが彼らを撃ったのですか?」

ポラト「いいえ、彼らは十字砲火で殺されました。非常に激しい銃撃戦があったことを理解してください」。

ゴラン「それでは、我が軍の部隊が彼らを撃った可能性があるということですか?」

ポラト「疑う余地はありません」。

ゴラン「彼ら(※ヤマム)がハマス、誘拐犯を排除しようとしたとき?」

ポラト「彼ら(※ヤマム)は人質を含めて全員を排除しました。非常に激しい銃撃戦があったからです。私が解放されたのは5時30分頃でした。戦闘が終わったのは8時30分だったようです。

 狂気の十字砲火の後、戦車の砲弾が2発、家に撃ち込まれました。小さなキブツの家で、大きなものではありません。ニュースで見たでしょう」。

ゴラン「はい」。

ポラト「大きな家ではありません。そして、その瞬間、全員が殺されたのです。庭から出てきた一人の生存者、ハダスを除いて、あとは静寂でした」。

ゴラン「彼らは、どうやって殺されたんですか?」。

ポラト「十字砲火によってです」。

ゴラン「十字砲火ということは、つまり、我が軍からの攻撃である可能性もありますか?」

ポラト「疑う余地なく」。

ゴラン「本当に?」。

ポラト「それが私が確信していることです」。

ゴラン「おう、あんまりだ」。

ポラト「そうです。そしてみんな死にました」。

ゴラン「そしてあなたは、投降を決意したテロリストのおかげで…」。

ポラト「まったくその通りです」。

ゴラン「そしてあなたは生き延び、残りの全員がそこで殺されたのですね」。

ポラト「もう一人生き延びた女性を除いては。彼女は、後で(道から外れたところで)発見されたんです。事件を処理した人が、彼女を確認したとか何とか。遺体の間で、彼女が頭を上げて、それを見つけたんです。そして、ただ…」

ゴラン「一緒にいた、あなたのパートナーは?」

ポラト「殺されました」。

ゴラン「彼も殺された?」。

ポラト「はい。みんな殺されました。まったく、ひどい」。

ゴラン「(※キブツ)カブリに戻りましたか?」

ポラト「私はカブリに戻りましたが、そこで混乱が始まりました」。

ゴラン「北部でですか?」

ポラト「はい。だから今、私はゲストになっています。キブツ・アイン・ハロッドで素敵なもてなしを受けています。今はここにいます」。

ゴラン「あなたは今、(エズレル)渓谷にいます。わかりました。ヤスミン、あなたは恐ろしい経験をしましたね」。

ポラト「本当です」。

ゴラン「あなたはパートナーを失い、あなたと一緒にいた人々が殺されるのを見た」。

ポラト「そして私は…」。

ゴラン「(ポラトをさえぎって)自首したテロリストはどうなったのですか?」

ポラト「彼はまだ逮捕されたままです。彼は、取り調べのために呼ばれただけです。あなたもご存じのとおり、悲しいことに、さらに何十人もの友人が殺されました。その理由は…」。

ゴラン「(ポラトをさえぎって)何十人もの友人?」

ポラト「ええ、トランス・シーンというコミュニティなので、私たちは同じパーティーに集まります。つまり、私のパートナーだけではなく、何十人、何百人という友人がいました。毎日、少なくとも10人の友人が亡くなったことを知ります。だから、この状況をどう消化していいのかさえ、わかりません」。

ゴラン「このような事態はこれまで起きたことがないので、理解するのは非常に困難ですね」。

ポラト「ほんとうに、その通りです」。

ゴラン「ヤスミン、あなたに幸あれ」。

ポラト「ありがとうございます」。

ゴラン「一緒に頑張っていきましょう」。

ポラト「ありがとう、ありがとうございます」。

ゴラン「あなたがくぐり抜けてきたすべての後で」。

ポラト「ありがとうございます。さようなら」。

ゴラン「さようなら」。

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