IWJ代表の岩上安身です。
イスラエル国防軍による苛烈なガザ攻撃が続いています。ネタニヤフ首相とイスラエル政府は、米国に民間人の被害を抑制するように求められても、国連総会で人道的停戦を求められても、ガザ地区への攻撃を止める気はまったくないようです。
『アルジャジーラ』のライブトラッカーによると、11月4日グリニッジ標準時10時45分時点で確認されている犠牲者は以下の通りです。
<ガザ地区>
殺害された人の数: 少なくとも9488人
少なくとも以下が含まれます:3900人の子どもたち、女性2509名
負傷者:少なくとも2万4158人
少なくとも以下が含まれます:6360人の子どもたち、女性4891名
<占領ヨルダン川西岸地区>
殺害された人の数: 少なくとも145名
負傷者:少なくとも2100人
<イスラエル>
殺害された人の数:少なくとも1430人
負傷者:少なくとも5600人
IWJは、今、イスラエルが行なっている、ガザ地区への苛烈な攻撃は、「自衛戦争」をはるかに超え、「ハマスの殲滅作戦」を口実とした、パレスチナ人のガザ地区永久追放を目的としたものであることを繰り返しお伝えしてきました。
パレスチナ人のガザ地区永久追放は、先住民の権利を踏み躙る国際法違反の入植問題、ガザ沖の天ガス田の権益問題、スエズ運河に代わるベングリオン運河の権益問題の3つを一気に解決するという、イスラエルにとって「一石三鳥」の作戦であることも指摘しました。
はじめに~イスラエル情報省がガザ地区の「民族浄化」計画をまとめた「永久追放文書」が漏洩、暴露された!! しかもイスラエルの狙いは、民族問題の「最終解決」だけではなく、ガザ地区沖で発見された「ガザ・マリン」ガス田の権益を独占するという実利もある「一石二鳥」作戦!
・会員版 (日刊IWJガイド、2023年11月3日号)
・非会員版 (日刊IWJガイド、2023年11月3日号)
【第1弾! 仰天! イスラエルのベングリオン運河計画! イスラエルの「自衛戦争」の目的は、ベングリオン運河の開通!?】(『トゥーキー』、2023年10月25日)
・会員版 (日刊IWJガイド、2023年11月4日号)
・非会員版 (日刊IWJガイド、2023年11月4日号)
しかし、イスラエルが苛烈なガザ攻撃の根拠としている「10月7日に起きた、大量の民間人を含む残忍なハマスの奇襲攻撃」の実態について言及した記事は多くはありません。
すでにIWJサイトでお伝えした通り、岡真理教授は、260人以上の犠牲者を出した音楽祭の襲撃事件を生き延びたヤスミン・ポラトさんの証言をもとに、ハマスが人質を取る計画をしていたのは事実であり、それは戦争犯罪だが、イスラエル軍が自国民である人質を殺害した可能性があることを指摘してます。
ヤスミン・ポラトさんの証言は、10月16日付『エレクトロニック・インティファーダ』で掲載されている「イスラエル軍が自国の市民を射殺、キブツの生存者が語る」という記事で紹介されています。また、YouTubeでポラトさんのインタビューを見ることもできます。
ポラトさんのインタビューはイスラエルの国営ラジオで行われ、ポラトさんは「疑う余地なく」イスラエル軍が、人質となっていたイスラエル市民を殺害したと証言しています。ポラトさんのパートナーもイスラエル軍の攻撃によって殺害された、とポラトさんは述べています。
ポラトさんには偽証する動機はなく、その話は具体的で説得力があります。
『エレクトロニック・インティファーダ』だけではなく、イスラエル・メディア『ハアレツ』や、米国の独立系メディア『モンドワイス』なども、イスラエル軍によるイスラエル市民の殺害に関する記事を出しています。
ポラトさんの証言が事実であれば、「音楽祭に集まっていた無辜の市民を大量に殺害したハマスは悪の権化」であり殲滅しなければならないという、イスラエルの「錦の御旗」は破れます。
ポラトさんの証言以外の証言や、事実が出てこない限り、事実確認は困難ですが、大変重要な証言であることから、今回、IWJは、ポラトさんの証言を紹介した『エレクトロニック・インティファーダ』の記事全文と、ポラトさんのインタビューの書き起こし全文の仮訳をしました。
- Israeli forces shot their own civilians, kibbutz survivor says(The Electronic Intifada)
- Israeli forces shot their own civilians, kibbutz survivor says (Full with subtitles)(The Electronic Intifada、2023年10月24日)
- Israeli forces shot their own civilians, kibbutz survivor says(The Electronic Intifada、2023年10月16日)
以下、『エレクトロニック・インティファーダ』に掲載された「イスラエル軍が自国の市民を射殺、キブツの生存者が語る」の全文仮訳をご紹介します。
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イスラエル軍が自国の市民を射殺、キブツの生存者が語る
アリ・アブニマ、デヴィッド・シーン (エレクトロニック・インティファーダ、2023年10月16日公開、23日更新)
ガザとの境界に近いキブツ・ベエリでの流血の生存者であるヤスミン・ポラトさんは、多くのイスラエル市民がイスラエル軍によって殺害されたと語る。
(10月23日更新)
『エレクトロニック・インティファーダ』は、10月7日のハマスの襲撃後、「疑う余地なく」イスラエル治安部隊が多数の自国の市民を殺害したと、イスラエルのラジオに語ったキブツ・ベエリの生存者ヤスミン・ポラトさんのインタビュー全文を掲載することができるようになった。
この記事が10月15日に掲載された時点では、このインタビューの録音はイスラエル国営放送『カン(Kan)』のウェブサイトでは入手できず、ポラトさんにインタビューした番組『ハボカー・ハゼ(Haboker Hazeh)』のその日のオンライン版にも掲載されていなかった。
この記事の公開後、『カン』によって、インタビューの全文がアップロードされた。そこには、私たちが最初に入手し、翻訳したインタビュー・バージョンから編集(除外)された数分の追加部分が含まれている。
インタビュー全文のなかで、ポラトさんは、パレスチナ人戦闘員――彼女曰く、彼女や他のイスラエル民間人を『人道的に』”扱った――は、「私たちをガザに誘拐するつもりだった。私たちを殺すためではなく」と申し立てている。
彼女は、さらに、「私たちが誘拐犯たちと一緒に、そこ(キブツ)で2時間過ごした後、警察が到着した。私たちの警察が始めた銃撃戦が起こった」とも述べている。
インタビューの全文は、以下のビデオで英語字幕付きで聞くことができる。全文書き起こしはこのページの下にある。
また、『モンドワイス』紙(※IWJ注1)が10月22日付で、10月7日のパレスチナ人による攻撃の後、イスラエル軍が多くのイスラエル市民および軍人の死亡に関与したことを示す、イスラエル・メディアの証言にもとづく記事を公開したことも注目に値する。
これには、イスラエル軍によって殺害されるまで、イスラエル市民の一部が、彼らを拘束していたパレスチナ人戦闘員とともに、最大で2日間生存していたという衝撃的な事実も含まれている。
(※IWJ注1)『モンドワイス』紙:『モンドワイス(Mondoweiss)』は、米国ミシガン州デトロイトに拠点を置くメディア。『Facebook』には「モンドワイスは、パレスチナの自由を求める闘争に影響を与える運動、活動家、政策立案者を取り上げている」と説明されている。
- A growing number of reports indicate Israeli forces responsible for Israeli civilian and military deaths following October 7 attack(Mondoweiss、2023年10月22日)
(…会員ページにつづく)