【IWJ号外】ハマスの奇襲攻撃から8日!ガザへのイスラエル軍の地上攻撃寸前で、ヒズボラ、イラン等が参戦姿勢示す!(その2) 2023.10.16

記事公開日:2023.10.16 テキスト
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(文・IWJ編集部)

特集 中東

 IWJ代表の岩上安身です。

 10月7日に、イスラム主義の政治・軍事組織ハマスが、イスラエルに奇襲攻撃をかけて以来、15日で8日目に突入しました。イスラエル軍はハマスの根絶を掲げて、パレスチナ自治区ガザへの地上侵攻を表明、北部の住民に退避勧告を出しました。最新の動きをまとめます。

 イスラエルは奇襲攻撃を受けた日以来、1週間以上に及ぶガザ空襲と砲撃を続け、戦闘員だけではなくガザの住民や人質にも犠牲者が出ています。

 米国防総省は、最新鋭原子力空母ジェラルド・フォードに続き、第2空母打撃群「USSドワイト・D・アイゼンハワー打撃群」も東地中海へ派遣する指示を出しました。英国防省も戦闘艦船と偵察機の派遣を表明しました。

 イスラエルはハマスだけではなく、レバノンのヒズボラとも砲撃を交わし、ハマスへの物資を供給しているとしてシリアのアレッポ空港も空爆しました。戦線が拡大する可能性があります。

 ハマスを支援してきたイランは、イスラエルに対して、ガザ攻撃を中止するよう求め、ヒズボラが戦闘に参加参戦すれば、戦争が中東の他の地域に拡大する可能性があると警告、イラン自身の参戦も辞さない姿勢です。

 レバノンのヒズボラ、シリア、イランだけではなく、アルカイダや、スンニ派が多数を占めるパキスタンの宗教政党も、ハマスを支持する声明を出しました。シーア派とスンニ派を超えて、アラブ世界が動く可能性があります。

 先にお送りした「ハマスの奇襲攻撃から8日!(その1)」では、以上を報告しました。

 今回お送りする「ハマスの奇襲攻撃から8日!(その2)」では、以下を報告します。

 イスラエル軍は「ハマスの根絶」を掲げて、ガザ地区での地上戦突入への準備を進めています。イスラエルはガザの住民に退却を指示しましたが、ハマスは市民に退避しないよう呼びかけ、パレスチナのアッバース大統領は「第2のナクバ」になるとして、立ち退きを拒否しました。バイデン大統領は、ハマスがガザ市民を「人間の盾」として利用していると非難しています。

中国の王毅外相は14日、サウジアラビア外相と電話会談し、「独立したパレスチナ国家樹立」を求めることで一致しました。

 ロシアのプーチン大統領は、イスラエルに「自制」を呼びかけ、ロシアは国連安全保障理事会に人道的停戦の決議案を提出、16日の採択を求めています。

 国連やアムネスティもガザ市民の退避は不可能であり、イスラエル軍のこれ以上の攻撃・地上侵攻は「戦争犯罪」、「民族浄化」になるとして、撤回を要請しました。

 イスラエルが提示した、パレスチナ自治区ガザ北部の住民に出した退避勧告は、14日午後4時(現地時間)が期限でした。15日夕方現在、イスラエル軍は、限定的なガザ地区への地上侵攻を始めたものの、まだ本格的な地上侵攻は開始していません。

 仮に、イスラエル軍がガザ地区にこれ以上の攻撃をかけ、侵攻すれば、仮に現存するハマスを「根絶」できたとしても、ガザから退避できないパレスチナの市民に膨大な犠牲者が生じて、アラブ諸国の怒りを買い、次のテロ組織が生まれ、西側諸国でもテロの連鎖が再燃し、イスラエルは西側諸国の一部の支持を失うかもしれません。

 イスラム諸国だけではなく、米英でもパレスチナ支持のデモが起き、欧州に危険な反ユダヤ主義の波が広がる兆候が出ています。

 期限を過ぎて、イスラエルの対応が軟化しました。ガザ地区への水の供給を開始し、侵攻の時期を遅めました。

 以下に詳細を報告します。

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(「ハマスの奇襲攻撃から8日!(その1)」から続き)

 14日付『エルサレム・ポスト』によると、ネタニヤフ首相は14日、イスラエル南部のイスラエル軍(IDF)基地を訪問し、兵士たちに、「ガザ地区のハマスに対する軍事作戦の次の段階へが近づいている」、と述べました。

 ネタニヤフ首相は同日、イスラエル国民に「どんなに時間がかかってもハマスを破壊する」と誓いました。ネタニヤフ首相は「我々は敵の恐ろしい行為を決して忘れたり許したりしない」、現在のガザ地区への攻撃は「始まりに過ぎない」と述べました。

 イスラエル軍は、14日、ガザ地区のハマス目標1000カ所以上を攻撃したと発表しています。

 15日付『ブルームバーグ』によると、イスラエル軍は14日、ガザで「空、海、陸から、大規模な地上作戦」を準備していることを明らかにし、戦争は陸海空から連携して攻撃する次の段階に入る可能性があると、発表しました。

 14日付『ニューヨーク・タイムズ』は、3人のイスラエル軍高官の談話として、「イスラエル軍は、ガザ市を占領し、飛び地の現在の指導部を破壊するよう命じられた数万人の兵士を率いて、間もなくガザ地区に侵攻する準備を進めている」と報じました。

 イスラエル軍の最終目標は、「先週のイスラエルでのテロ攻撃を主導した、パレスチナ人組織ハマスの政治的・軍事的トップ層を一掃すること」です。イスラエル軍によると、「ガザ市とガザ北部の周辺地域の地下にある数百マイルの地下トンネルや掩蔽壕の中に数万人のハマスの武装集団が立てこもっている」と考えられています。

 ハマスが、多くのイスラエル人人質を地下壕やトンネルに拘束していると考えられていることから、イスラエル軍の侵攻作戦は、さらに複雑になっています。

 イスラエル軍はまだガザ侵攻を正式に発表していませんが、13日に偵察チームが一時ガザ地区に入ったこと、イスラエル軍が地上戦への「準備」を強化していることを認めています。

 イスラエル軍の攻撃部隊には、歩兵の他、戦車、工兵、特殊部隊が含まれ、これらの地上部隊は戦闘機、ヘリコプターガンシップ、ドローン、陸海から発射される大砲によって援護される、ということです。

 イスラエル軍の侵攻作戦は、地中深く、人質を拘束して立てこもっているハマスの前に、困難が待ち受けていることがよくわかります。しかし、さらに見通しが立たないのは、「ハマスの排除」に成功したあとのガザ地区がどうなるかです。

 イスラエル軍の首席報道官ダニエル・ハガリ少将は、「この組織はガザを軍事的、政治的に支配するつもりはない」と述べていますが、『ニューヨーク・タイムズ』は、「ガザ市をイスラエルが占領した場合にどうするのか、あるいはイスラエル当局者がハマスの指導部の破壊について語るときに正確に何を意味するのかは依然として不透明である」と書いています。

 14日付『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』は、米当局者が、イスラエルはハマスを殲滅した後どうするのか、ほとんど協議されていないと発言したと報じました。「しかし、イスラエルの指導者たちは、ハマスの次に何が来るのかというもう一つの重要な質問にまだ答えていない」(WSJ)。

ある米当局者は、『WSJ』に、イスラエルは米国によるイラク侵略の失敗を思い出すべきだ、と語っています。

 「これは、2001年9月11日のテロ攻撃後、米国の指導者たちが直面した難問である。このとき、アフガニスタンでのアルカイダによる攻撃は、米国によるイラク侵略への道を開き、イラク侵攻は10年間に及ぶ費用のかかる占領となった。同高官は、イスラエルはその結果を熟慮し、出口戦略のない戦争に突入すべきではない。

 もしハマスを破壊したら、その空白を何が埋めるのか? アルカイダを破壊すればISISが生まれる。ハマスを破壊すればハマス2.0が得られる」。

 14日付『BBC』は、「ガザ地区への地上侵攻は家々の市街戦を伴い、民間人に計り知れない危険をもたらす。空爆によりすでに数百人の命が奪われ、40万人以上が家を追われている」と報じました。

 「ガザ地区は急速に『地獄穴』になりつつあると国連難民機関は警告した。死者数は急速に増加している。水、電力、燃料の供給が遮断され、現在人口の半数が広い地域から避難するように言われている」。

 14日付『アルジャジーラ』は、「7日間にわたるイスラエル軍の容赦ない砲撃の後、ガザ地区の人道状況は急速に悪化している」と報じました。ガザ市最大の医療複合施設であるシファ病院の状況は特に悲惨だとされています。

 シファ病院で働く外科医のガッサン・アブ・シッタ氏は14日、「数万とは言わないまでも、数千人が病院に押し寄せている」と述べ、病院の劣悪な環境を明らかにしました。

「彼らは地面や廊下、患者のベッドの間で寝ている。人々は完全に恐怖を感じている。彼らはここが最も安全な場所だと考えており、周囲のすべてがそれを裏付けている。

 停戦がなければ、病院では公衆衛生上の大惨事が起こるだろう。(略)

 物資は枯渇し、スタッフも疲弊している。彼らの多くは殺されたり、家族が殺されたり、家族の安全を確保しようとしている」。

 『アルジャジーラ』によると、「ガザ地区にイスラエルの爆弾が降り注ぐ中、遺体は山積みとなり、人々は死者を埋葬することを恐れている。状況は非常に悪く、保健当局によると、死者数の増加により病院の遺体安置所が満杯となり、現在アイスクリームトラックが遺体の保管に使われている(土曜日時点で2200人以上)」ということです。

 空爆の中で「人道的措置」として100万人の退避を要求したイスラエルですが、国連は「不可能」であり、「壊滅的な人道的影響」が出ると警告を出しました。

 13日付『RT』によると、国連報道官ステファン・デュジャリック氏は13日、国連人道問題調整事務所とガザ安全保障局は、現地時間の真夜中直前に、24時間以内に退避するように通告されたが、「壊滅的な人道的結果を伴わずにそのような運動が起こることは不可能である」と述べました。

 「これは約110万人に相当する。同じ命令がすべての国連職員と、学校、保健センター、診療所を含む国連施設に保護されている人々にも適用された。(略)

 国連は、すでに悲劇となっている状況を悲惨な状況に変える可能性のある事態を避けるために、そのような命令が確認された場合には取り消すよう強く訴える」。

 ガザ安全保障局によると、イスラエルによる空爆が続く中、12日にはすでに自宅からの避難を強いられている人は42万3378人に増加しており、これはガザ全人口の約21%に相当します。国内避難民の約3分の2は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する施設に避難しているということです。

 13日付『CNN』によると、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは同日、スラエルに対し、ガザ地区の封鎖を「直ちに」解除するように求めました。

 アムネスティは、ハマスによるテロ攻撃に対して、イスラエルがガザの住民に「集団的懲罰」を与えることは戦争犯罪に相当するとの認識を示しました。

 アムネスティはガザでの人道回廊設置の合意に向けて、国際社会に働きかけを呼び掛けています。

 15日付『時事通信』によると、国連人権理事会の専門家であるフランチェスカ・アルバネーゼ氏は14日、イスラエル軍が準備しているガザへの侵攻を「自衛の名の下に、(パレスチナ人に対する)民族浄化に等しいことを正当化しようとしている」と強く警告しました。

 イスラエルがガザの住民に命じた24時間以内の退避とその後に続くと思われる地上侵攻には、国際機関や支援団体から、批判の声が上がっています。

 14日付『朝日新聞』によると、国際医療組織「国境なき医師団」は「イスラエルの要求は常軌を逸している。医療と人道に対する攻撃だ。可能な限り強い言葉で非難する」との声明を出しました。

 赤十字国際委員会(ICRC)も「イスラエルに対する恐ろしい攻撃があったからといって、ガザでの無制限の破壊を正当化することはできない。今回の退避要求は(ガザ地区の)完全封鎖とともに、国際人道法と合致しない」と反発しています。

 世界保健機関(WHO)の報道官は、退避要求を「患者への死刑宣告」と述べ、「命を危険にさらすことなしに患者を移動させることは不可能だ。重傷患者や生命維持装置に頼る患者もいる」として、退避要求の即時撤回をイスラエルに迫りました。

 イスラエル支持を表明している、EUのボレル外交安全保障上級代表も、13日の記者会見で、イスラエルの要求は「完全に実行不可能だ。ガザのような状況下で100万人を24時間で移動させるのは人道危機にしかならない」と批判しました。イスラエルがこのまま地上侵攻に突入すれば、アラブ諸国の怒りを買うだけではなく、西側諸国の支援を失うかもしれません。

 13日付『CNN』は、ハマスは同日、イスラエルの退避勧告に抗って、ガザの住民に自宅から退避しないよう呼びかけた、と報じました。

 14日付『RT』は、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領は同日、バイデン大統領との電話会談で、「ガザ地区住民の土地からの撤去をきっぱりと拒否した」ことを伝えました。アッバス大統領は、ガザ北部の住民に対するイスラエルの避難命令に従うことは、「第2のナクバ」になってしまう、と警戒を強めています。

 イスラエルが電気、水、食料の流入を一切行わないと宣告していますが、バイデン大統領は、「ガザ地区の民間人に人道物資が確実に届くよう」、人道支援をもたらす取り組みを支援すると約束しました。

 アッバス大統領はまた、ブリンケン米国務長官に対しても14日アンマンでの会談で、ガザからのパレスチナ人の「強制退去を拒否する」と述べました。

 15日付『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、バイデン大統領は14日、ワシントンで開催された人権キャンペーン夕食会で、「ガザの人道危機、つまり罪のないパレスチナ人の家族は大多数がハマスとは何の関係もない」と述べ、「ガザ地区の民間人は『人間の盾』として利用されている」と指摘しました。

 バイデン大統領の発言は、「ガザを生かしてください、今すぐ停戦しましょう!」と叫ぶ誰かの声によって中断された、と『WSJ』は付け加えています。

 中国共産党政治局員である王毅外相は14日、サウジアラビアのファイサル外相と、イスラエルとハマスの衝突をめぐって、電話協議しました。

 中国外務省によると、ファイサル外相は、「サウジアラビアはパレスチナとイスラエルの間の現在の状況の展開を深く懸念しており、民間人に対するあらゆる攻撃を非難し、イスラエルによるガザ住民の地域外への強制移住に反対している」と述べました。

 ファイサル外相は、「サウジアラビアは、関連する国連安全保障理事会決議が履行されず、独立したパレスチナ国家が樹立されなければ、パレスチナ問題を公正かつ永続的な方法で解決することはできないと考えている」と述べ、中国の協力を求めました。

 王毅外相は、イスラエルについて「イスラエルの行動は自衛の範囲を超えており、ガザ住民への集団処罰をやめるよう国際社会や国連事務総長の呼びかけに真摯に耳を傾けるべきだ」と述べました。

王毅外相「中国は、パレスチナに対する歴史的不正義は半世紀以上続いており、これ以上続けることはできないと考えている。

 平和を愛し、正義を愛するすべての国は声をあげ、『二国家解決』の早期実現を明確に要求すべきである。

 中国はサウジアラビアや他のアラブ諸国と協力し、パレスチナの国権回復という大義を引き続き支援し、パレスチナ問題を『二国家解決』の正しい軌道に戻し、包括的で公正かつ永続的な解決を達成する意向である」。

 ファイサル外相と王毅外相は、「独立したパレスチナ国家の樹立」を求めることで一致しています。

 13日付『ロイター』によると、プーチン大統領は、イスラエルに対し、「ガザでの地上攻撃は絶対に容認できない数の民間人の犠牲を招く」と警告し、イスラエル政府の自制を求めました。

 プーチン大統領は、旧ソビエト諸国の首脳会議で、「イスラエルは前例のない残酷な攻撃を受けており、保護を受ける権利がある」が、「イスラエルは大規模かつ非常に残酷な方法で反撃している」として、「地上攻撃はあらゆる当事者にとって深刻な結果につながる」と警鐘を鳴らしました。

 プーチン大統領は、「イスラエル人とパレスチナ人が現在経験している大きな悲劇は、米国の中東での政策失敗による直接的な結果だ」と批判しました。

 14日付『ロイター』によると、ロシアは13日、イスラエルとハマスの軍事衝突をめぐり、「人道的停戦」を求めるとともに、民間人に対する暴力と全てのテロ行為を非難する決議案を、16日に採決するよう、国連安全保障理事会に求めました。

 ロシアの決議案は、ハマスが拘束する人質の解放のほか、人道支援を可能にするよう要請、市民の安全な退避も求めています。

 即時停戦を求める、常任理事国のロシアの決議案に対して、イスラエル支援を明確に打ち出し、空母打撃群を現地に派遣している米国が拒否権を行使する可能性は、残念ながら十分にあります。

 14日付『毎日新聞』 によると、国連のグテレス事務総長は13日、イスラエル軍による退避勧告について「極めて危険で、単純に不可能だ」、「戦争にもルールがある」と批判し、「人道回廊」の確保と、ハマスによる人質の即時解放の必要性を強調しました。

 パレスチナ自治政府のマンスール国連大使は、記者団に足しいて「パレスチナ市民に対する民族浄化を許してはならない」と訴えました。

 アラブ連盟は同日、国連本部で独自に大使級の会合を開き、「国際社会やEUとの協力」の下、ガザの住民の大規模な移動につながる行為を阻止する姿勢で一致した、ということです。

 イスラエルが提示した、パレスチナ自治区ガザ北部の住民に出した退避勧告は、14日午後4時(現地時間)が期限でした。日本時間16日未明の時点で、イスラエル軍は、限定的なガザ地区への地上侵攻を始めたものの、まだ本格的な地上侵攻は開始していません。

 退避勧告の期限を過ぎて、イスラエルの対応が軟化しました。ガザ地区への水の供給を開始し、侵攻の時期を遅めました。

 バイデン政権は、米国が主導してイスラエルを説得したと主張しています。

 バイデン政権は15日午後(ニューヨーク時間)、米国がイスラエル、国連、中東パートナーと協力してパレスチナ人の基本的必需品を確保を進め、イスラエルがガザ南部で水道サービスを再開した、と発表しました。『ウォール・ストリート・ジャーナル』は以下のように報じました。

 「ホワイトハウスの国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリバン氏は、『CNN』のインタビューで、15日早朝にイスラエル側と連絡を取ったと述べ、『彼らが実際にガザ南部で水道管を元に戻したと報告を受けている』と述べた。 サリバン氏は、バイデン政権の目標は『罪のないパレスチナ人が基本的な必需品に確実にアクセスできるようにし、爆撃から守られるようにすること』だと付け加えた」。

 ただし、イスラエルが水道を再開するという報道を受けて、『タイムズ・オブ・イスラエル(TOI)』は15日、「ガザ地区のパレスチナ人らは、イスラエルが約束したにもかかわらず水はまだ復旧していないと主張している」と報じました。

 『TOI』によると、イスラエルのエネルギー・水大臣イスラエル・カッツ氏は「ガザ地区の特定の地点で水が復旧した」と述べましたが、それ以上の詳細には触れませんでした。

 ガザの援助関係者らと、ガザ政府報道官も、まだ水の供給は始まっていないと述べています。

 15日付『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、イスラエルはガザとの国境付近に兵力、戦車、大砲などの装備を増強しており、本格的な侵攻の可能性が高まっているが、「イスラエルのガザ地上作戦の時期は依然として不透明であり、同地域での雨によりそのような作戦の開始が遅れる可能性がある」と報じました。

 イスラム諸国だけではなく、米英でもパレスチナ支持のデモが起き、欧州に危険な反ユダヤ主義の波が広がる兆候が出ています。

 13日付『共同通信』は、「イスラム教徒が多い中東やアジアの国々で13日、パレスチナ支持やイスラエル抗議の大規模デモが繰り広げられた」と報じました。

 金曜日は集団礼拝の日です。『共同通信』によると、参加者は「パレスチナを解放しろ」、「イスラエルを破壊せよ」などと声を上げました。

 インドネシアはイスラム教徒の人口が世界最多です。首都ジャカルタでは、約200人がパレスチナの旗を掲げイスラエルに抗議し、ハマスを称賛しました。

 マレーシアのクアラルンプールのモスク付近に数千人が集まり、マハティール元首相らも参加した、ということです。

 イランでは、市民がイスラエル国旗に火を付け「イスラエルに死を。米国に死を」と叫びました。

 親パレスチナ、反イスラエルの市民の動きが起きたのは、イスラム諸国だけではありません。

 13日付『ロイター』は、世界各地でパレスチナ支持のデモが起きていると報じました。

 『ロイター』によると、「トルコではモスクの前に群衆が集まり、イスラエルへの反感を表明し、ハマスを称えた」、「ヨルダン川西岸のナブルスでは、若者らが路上で火を放ち、イスラエル軍と衝突」し、「イタリアのローマでは巨大なパレスチナ旗を掲げた抗議デモが行われ」、「デンマークなどでもデモが行われ」たということです。

 『ロイター』は、「ドイツとフランスは親パレスチナのデモを禁止している」と付け加えています。「複数の西側諸国では、デモが暴力行為につながることを恐れ、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)やユダヤ人学校の警備を強化した」ということです。

 15日付『AFP』は、ハマスとイスラエルの武力衝突をめぐって、この週末、世界各地で抗議デモが行われた、と報じています。

 『AFP』によると、デモは英国、ドイツ、イタリア、デンマーク、スイス、オランダなどの欧州諸国、トルコやオーストラリア、米国などでも行われ、「パレスチナへの連帯が目立ったが、ドイツや米国ではイスラエルを支持する集会もあった」ということです。

 13日付『ニューヨーク・タイムズ』は、同日、「数百人が(ニューヨークの)タイムズスクエアに集まり、100人以上の警察官と多数のテレビカメラが見守る中、パレスチナ国旗や反戦の旗を振った」と報じました。

 『ニューヨーク・タイムズ』によれば、13日の夜、ブルックリンでは、「ユダヤ人の平和の声」というグループにより、パレスチナ人を支援するユダヤ人の集会が開催されました。このイベントは祈りで始まり、その後デモ参加者は、米国政府に停戦を促すよう要求するため、上院多数派リーダーであるチャック・シューマー氏のプロスペクト・パーク・ウェストの自宅まで行進した、とのことです。

 デモの参加者らは、「アパルトヘイトに反対するユダヤ人」「イスラエルのアパルトヘイトに反対するホロコースト生存者のユダヤ人の子孫」というプラカードを掲げ、「我々の名においてではない」「イスラエルに武器をもう与えない」とシュプレヒコールをしました。

 15日付『BBC』は、ロンドンやマンチェスターを含む英国全土で、「数千人の親パレスチナ抗議者」が街頭に繰り出した、と報じました。写真には「正義がなければ平和もない(NO JUSTICE NO PEACE)」と大書した横断幕を持って歩く人々が写し出されています。

 「ロンドンではパレスチナ連帯キャンペーンのデモが行われ、ダウニング街への行進中に人々がシュプレヒコールを唱える中、パレスチナの旗と支持プラカードが振られた」。

 イスラエル軍は、国際社会で高まる「民族浄化」への批判と、人道的停戦の要求、世界各地で高まるパレスチナ支持の声を振り切って、ガザへの地上侵攻を開始するのでしょうか。

 地中深く潜伏しているとされるハマスはどうイスラエル軍を迎え撃つのか。パレスチナの住民が「第2のナクバ」にならないようにガザに踏みとどまるとしたら、どれだけの犠牲が出るのか。ヒズボラ、シリア、イランなどは、イスラエルが地上侵攻に踏み切った場合、どう対応するのか。すでに29人の犠牲を出した米国は、東地中海沖から、ヒズボラとシリアとイランを威嚇するだけなのか。イスラエルのガザ侵攻は、出口戦略を欠いた米国の「イラク戦争」「アフガニスタン戦争」のようにならないのか。

 ハマスに比べれば圧倒的な火力を誇るイスラエルですが、仮にハマスを殲滅しても、アラブ諸国を敵に回して中東で孤立し、世界中にテロの種を撒き散らしかねない、非常に際どい構図に陥っています。

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