【IWJ号外】元『ニューヨーク・タイムズ』記者、クリス・ヘッジズ氏が、イスラエルによるガザの民族浄化とパレスチナ人のガザ永久追放計画、人類初のAIによるジェノサイドに警鐘!~ガザにおける民族浄化は、人類初のAIによるジェノサイド!「福音」という名のAIによってターゲット選定される自動大量完全殺戮の実践!!「これはハマスに対する戦争ではない。パレスチナ人に対する戦争なのだ」! 2023.12.5

記事公開日:2023.12.5 テキスト
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(文・IWJ編集部)

特集 中東
※新春特設のために期間限定でフルオープンにします。

 IWJ代表の岩上安身です。

 元『ニューヨークタイムズ』記者、クリス・ヘッジズ氏が12月2日、ガザの現状とイスラエルによるパレスチナ人のガザ永久追放計画と民族浄化のレポート「イスラエルがガザの屠殺場を再開」を、『サブスタック』の自らのアカウントで発表しました。

 ヘッジズ氏は、1956年米国バーモント州セントジョンズベリー生まれ、現在67歳。ピューリッツァー賞を受賞した作家であり、『ニューヨーク・タイムズ』紙の海外特派員を15年間務めたジャーナリストです。

 ヘッジズ氏は、IWJが報じ続けたのとまったく同じ主張で、イスラエルが戦っている相手はハマスではなく、パレスチナ人であると指摘し、イスラエルの目的はパレスチナ人をガザから永久追放する民族浄化だと警鐘を鳴らしています。IWJとしては、まったく同意です!

 このヘッジス氏の詳細な出典がつけられたレポートは必読です。

 国内にこの真実を伝える同業メディアや同業者が1人もいなくても、世界を見渡せばこうやって存在します! IWJと、その読者・視聴者支持者は世界で孤立しているわけではありません! プロパガンダに騙されず、現実を直視できる正気の人間の方が決して少なくはないのです!

 ヘッジズ氏は、イスラエル国防軍は、人工知能「ハブソラ(福音)」によって選び出された、1日あたり100のターゲットを攻撃していると指摘し、この「ハブソラ」が指定するターゲット(ハマス戦闘員の住宅など)は大規模な無差別攻撃を受ける、と報告しています。民間人の犠牲者が桁外れに多い理由のひとつがここにあります。

 ヘッジズ氏は、「この戦争は終わっていない。まだ始まってもいない」と、これから、より激しいイスラエル軍の武力行使が行われ、もっと多くのパレスチナ人の犠牲者が出てしまうことを予見し、強い危機感と共に警告して、レポートを締め括っています。

 以下に、IWJが緊急仮訳・粗訳したヘッジズ氏のレポートをご紹介します。ぜひ、お読みください。

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 「イスラエルがガザの屠殺場を再開 ― イスラエルによるガザ虐殺作戦の第1段階が終了した。第2段階が始まった。それは、さらに高いレベルの死と破壊をもたらすだろう」

 「7日間の停戦後、ガザ上空は、死の投射物(projectiles of death)で埋め尽くされている。戦闘機。攻撃ヘリコプター。ドローン。砲弾。戦車の砲弾。迫撃砲。爆弾。ミサイル。

 ガザは、爆発音と倒壊した建物の下で助けを求める悲痛な泣き声(※1)と叫び声(※2)の不協和音に包まれている。恐怖が、再び、ガザ強制収容所のすべての心に巻きついている」。

 「ガザ保健省によれば、金曜日の夕方までに、ガザの北部、南部、中部におけるイスラエル軍の空爆によって、184人のパレスチナ人(3人のジャーナリストと2人の医師を含む)が殺害され(※3)、少なくとも589人が負傷した。そのほとんどが女性と子どもである」。

 「イスラエルは止められないだろう。ガザ北部に残されたものを挟滅させ、南部に残されたものを壊滅させ、ガザを居住不可能にし、飢餓、テロ、虐殺と感染症による民族浄化の大規模なキャンペーンで230万人を追い出す計画なのだ。

 支援部隊は、わずかばかりの食料と医薬品(アル・ナジャール病院の院長によれば、最初の輸送部隊は、死者を包む布とコロナウイルス検査だった)を運んできたが、その輸送は停止されている(※4)」。

<ここから特別公開中>

 「誰も、とりわけジョー・バイデン大統領は、虐殺を止めるために介入するつもりはない。アントニー・ブリンケン国務長官は今週イスラエルを訪問し(※5)、イスラエルに民間人を保護するよう求めたが、イスラエルが毎年受け取っている38億ドルの軍事援助(※6)や143億ドルの追加援助パッケージ(※7)を中断させるような条件を設定することは拒否した(※8)」。

 「イスラエルが死のルーレットを回している間、世界はさらなるガザへの集中攻撃(※9)について、役にも立たないことをぶつぶつ言いながら、ただ受け身で見ているのだろう」。

 「イスラエルがやり遂げる頃には、パレスチナ人が何十もの村で虐殺され(※10)、75万人がシオニストの民兵によって民族浄化された(※11)1948年のナクバ(※12)は、より文明化された時代の古風な遺物のように見えるだろう」。

 「禁忌は何もない。病院(※13)。モスク(※14)。教会(※15)。住宅(※16)。集合住宅(※17)。難民キャンプ(※18)。学校(※19)。大学(※20)。メディア事務所(※21)。銀行(※22)。下水道システム(※23)。通信インフラ(※24)。水処理プラント(※25)。図書館(※26)。製粉工場(※27)。ベーカリー(※28)。市場(※29)。近隣の地域全体(※30)。イスラエルの意図は、ガザのインフラを破壊し、毎日何百人ものパレスチナ人を殺傷することだ。ガザは荒地と化し、生命を維持できない死の地帯となるだろう」。

 「イスラエルは金曜日(※IWJ、12月1日)、エジプトとの国境にあるラファに避難するよう市民に警告するビラを空から撒いた(※31)後、ハンユニスへの空爆を開始した(※32)」。

 「何十万人ものパレスチナ人の避難民となって、ハンユニスに避難していた。パレスチナ人がラファに追い込まれれば、逃げ場はただ一つしか残らない。エジプトだ。

 イスラエル情報省は、漏洩された報告書(※33)の中で、ガザの住民をエジプトのシナイ半島に強制移住させる(※34)ことを求めている。

 ガザに住むパレスチナ人を意図的に追放し、エジプトに押し込もうとする詳細な計画(※35)は、50年前からイスラエルの教義に埋め込まれている」。

 「すでにガザ地区の180万人(※36)のパレスチナ人が家を追われている。いったんパレスチナ人が国境を越えてエジプトに入れば(エジプト政府とアラブの指導者たちは、米国の圧力にもかかわらず、これを阻止しようとしている)、パレスチナ人は決して戻ってくることはない」。

 「これはハマスに対する戦争ではない。パレスチナ人に対する戦争なのだ。

 イスラエル軍の攻撃は目まぐるしい速さで行われている、その多くは人工知能によって構築された「ハブソラ(福音)」と呼ばれるシステムから生み出されている。この人工知能システムは1日あたり100の標的を選ぶように構築されている。

 イスラエルのサイト『+972 マガジン』と『ローカル・コール』に掲載された、ユヴァル・アブラハム氏の記事(※37)によれば、7人のイスラエル情報当局の現職・元職員によって、この『大量暗殺工場』が促進された、と説明されている。イスラエルは、例えば携帯電話からハマスの工作員と思われる人物の居場所を突き止めると、標的の周辺を広範囲に爆撃・砲撃し、数十人、時には数百人のパレスチナ人を殺傷させる、と記事は述べている」。

 「『情報筋によれば』、と記事にはある。『ハブソラはとりわけ、ハマスやイスラム聖戦工作員だと疑われる人々が住む個人宅を攻撃するための推奨を自動的に生成する。そしてイスラエルは、これらの住宅への激しい砲撃を通じて、大規模な暗殺作戦を実行するのである』。

 10月7日以降、6000人の子どもと4000人の女性を含む、約1万5000人のパレスチナ人が殺害された(※38)。負傷者は約3万人に上る。6000人以上が行方不明になっており、その多くは瓦礫の下に埋もれている。300世帯以上が10人以上の家族を失っている」。

 「ヨルダン川西岸地区では、10月7日以降、250人以上のパレスチナ人が殺害され、3000人以上が負傷している。イスラエル軍は、約3万人のハマス戦闘員のうち、1000人から3000人を殺害したと主張しているが、襲撃の規模を考えれば、比較的少数に過ぎない。レジスタンス戦士のほとんどは、ハマスの広大なトンネル・システムに身を隠している。

 イスラエルの戦術は『ダヒア・ドクトリン(※39)』だ。このドクトリン(教義)は、2006年のイスラエルとレバノンのヒズボラとの戦争の後、元イスラエル国防軍(IDF)参謀総長のガディ・アイゼンコット(戦争内閣の一員)によって策定された」。

 「ダヒヤはベイルート南部の郊外で、ヒズボラの拠点である。イスラエル兵2名が捕虜となった後、イスラエル軍の戦闘機によって攻撃された。このドクトリンは、イスラエルが抑止力を確保するために、インフラや民間の住宅を破壊するような、大規模で不均衡な武力を行使すべきだと唱えている。

 イスラエル国防軍のダニエル・ハガリ報道官は、イスラエルによる直近のガザ攻撃の開始時に、『重点』は『正確さではなく損害』にあることを認めた(※40)」。

 「イスラエルは、弾頭のないロケット弾を屋根に着弾させて、屋内にいる人々に避難するよう警告する『ルーフ・ノッキング』(※41)という戦術を放棄した(※IWJ、警告なしに攻撃している)。イスラエルはまた、差し迫った攻撃を警告する電話通話も打ち切った。今や、集合住宅や近隣の何十もの家族が予告なしに殺されている」。

 「大量破壊の映像は、10月7日のハマス戦闘員による屈辱的な侵攻と、395人の兵士と59人の警察官を含む(※42)1200人のイスラエル人の殺害(※43)を受けて、イスラエル国内の復讐への渇望を煽っている」。

 「多くのイスラエル人がこの大量殺戮にサディスティックな(※44)喜びを表明しており(※45)、占領下のヨルダン川西岸地区やイスラエルの市民権を持つ人々を含むパレスチナ人の殺害や追放を求める声が渦巻いている」。

 「空爆や無差別攻撃の残忍さ、食料、水、医薬品の遮断、イスラエル政府の虐殺の修辞法(※46)によれば、この戦争は復讐だけを目的とした戦争だという。これはイスラエルにとってもパレスチナ人にとっても良いことではない。中東全域に火種を撒き散らすことになるだろう」。

 「イスラエルの攻撃は、過去の多くの入植者による植民地プロジェクトと同様に、愚かにも大量虐殺によって先住民族の抵抗を鎮圧できると考える、入植植民地プロジェクトの最後の苦肉の策だ。

 しかし、イスラエルをもってしても、この規模の殺害をやり遂げることはできないだろう。パレスチナ人の世代は、その多くが、家族全員ではないにせよ、家族のほとんどが殺され、家や近隣が破壊されるのを目の当たりにしており、正義と報復への渇望を生涯、その心の中に持ち続けるだろう。

 この戦争は終わっていない。まだ始まってもいないのだ」。

 ヘッジズ氏の最後の言葉の「この戦争」とは、イスラエル軍によるガザの完全虐殺・永久追放の暴力を指しているのではないでしょう。

 イスラエルの、ここまでの無差別な、悪魔か狂気に取り憑かれたとしか表現のしようのない殺人への偏執とその実行という戦争犯罪は、たとえガザからパレスチナ人を全員殺すか追い出したとしても、そこで、「この戦争」は終わらない、このイスラエルの暴力への報復は、途方もない報復を生むはずであり、だから今は「まだ始まっていもいない」ということになるのです!

訳注:本文中の(※番号)は、すべてへッジズ氏の原文にあるリンクです。

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