【特集】天下の愚策、消費税増税

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 「これは未来への投資だ」――。安倍晋三首相は10月1日に記者会見し、2014年4月から消費税率を現行の5%から8%に引き上げると発表した。同時に、増税にともなう景気の腰折れを防ぐため、企業に賃上げを促す法人税減税の検討を開始するとした経済対策パッケージを発表。「大胆な経済対策を果断に実行し、この景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることで、経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での結論だ」と説明した。

 しかし、消費税率を8%に引き上げた場合の増収分が社会保障の充実に使われるかは不透明だ。なぜなら、安倍政権は昨年末の発足以後、生活保護基準の引き下げや医療・介護費の大幅カットなど、社会保障費の削減を進めてきたからだ。今後も、「医療制度改革」の名のもとに、高齢者医療の窓口負担が倍増すると言われている。

 IWJは民主党政権の2010年から消費税増税問題の取材を敢行。経済アナリストの菊池英博氏とのトークイベントをはじめ、キーパーソンへのインタビューを行ってきた。消費税増税で本当に日本の財政は回復するのか。大企業だけが得をし、大多数の中小企業と個人の富は吸い上げられてしまうだけではないのか――。

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目次

  1. 岩上安身インタビュー
  2. 注目記事ピックアップ
  3. メルマガ「IWJ特報」&「IWJウィークリー」

岩上安身インタビュー

 ソ連の崩壊による冷戦終結以後、民主国家が資本主義体制を採用するということは、自明の前提となっている。その資本主義が、終焉を迎えつつある――。そう主張するのが、『資本主義の終焉と歴史の危機』(2014年3月、集英社新書)が昨年、ベストセラーとなった、元三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフエコノミストで、現在は日本大学国際関係学部教授を務める、水野和夫氏だ。

 水野氏は、先進資本主義諸国における利子率の異様な低下に、資本主義の終焉を読み取る。資本を投下し、利潤を得て資本を自己増殖させることが資本主義の基本的な性質である以上、利潤率が極端に低いということ、すなわち、資本が自己増殖しないということは、資本主義が資本主義として機能していないことを意味する、というわけである。

 「今年4月以降の個人消費の不振は、消費増税のせいだ」――。今回の衆院選、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の2年間の成否を問うメディアの議論で、ほぼ毎回聞かれるのがこのセリフだ。

 アベノミクス推進派のエコノミストらは、「あの増税さえなければ、アベノミクスはうまくいっていた」との主張を言い重ねるが、今年8月に『アベノミクスの終焉』(岩波新書)を上梓した服部茂幸氏(福井県立大学経済学部教授)は、消費増税だけでは、こんなに激しい個人消費の落ち込みを説明できない、と主張する。

 日刊ゲンダイで長年にわたり、経済コラム「日本経済一歩先の真相」を連載し、浜矩子氏との共著『2015年日本経済 景気大失速の年になる!』(東洋経済新報社、2014年10月)など多数の著作を持つエコノミストの高橋乗宣氏は、アベノミクスに対して、極めて厳しい診断をくだす。

 高橋氏は、多くのデータを参照し、「日本経済は、成長のためのエンジンがなくなった状態にある」と語る。アベノミクスによる「成長戦略」を行っているはずの日本で、成長の見通しが立たないとは、一体どういうことなのか。アベノミクスの真相について、岩上安身が話を聞いた。

 不公平な税制に異議を唱える富岡幸雄・中央大学名誉教授が書いた新書『税金を払わない巨大企業』(文春新書、2014年9月)が現在、注目を集めている。現在は日本租税理論学会理事をつとめる富岡氏に、12月1日(月)、岩上安身が総選挙前の緊急インタビューを行った。

 19歳で学徒動員され、戦地に赴いた富岡氏。戦後、大蔵官僚として活躍し、「お国のために」という思いを、よりよい税制のあり方へと結実させることに奔走した半生を語る。来年2015年には卒寿を迎えるとは思えぬほどの才気煥発ぶりを発揮し、安倍政権で歪められてきた税制を厳しく指摘した。

 11月25日に岩上安身のインタビューに応えた植草氏は、安倍政権がひた隠す「アベノミクスの失敗」の実態を、詳細なデータとともに解説。個人の消費支出は過去の2度の増税時(89年・97年)より下げ幅が大きく、落ちたまま回復していないという。さらに、家計実質実収入・消費支出の推移をみると、9月以降は前年同月比で「マイナス5」というのが実態であり、安倍政権が喧伝する「賃金アップ」はまやかしだと反論した。

 そして植草氏は、そもそも「アベノミクスの成功」と言われている昨年2013年5月までの株価上昇が「幸運」によるものだったことを指摘した。米国の長期金利上昇によってドル高・株高がもたらされ、「そこにたまたま安倍総理がいた」のだという。

増税をして長続きした政権はないといわれる。それをあえて目指そうとする安倍総理。2017年4月に1年半先送りした消費税率10%への引き上げについて国民に信を問うとし、21日に衆議院を解散させた。同日の会見で安倍総理はこれを「アベノミクス解散」と自ら命名。自身の経済政策の是非を総選挙で争う考えを強調した。

 安倍総理の行動は自信からくるものだろう。しかし、経済アナリストで日本金融財政研究所所長の菊池英博氏は、自民党の勝利はそうたやすいものではないと見る。とくに消費税に対する国民感情は「きついもの」だと菊池氏は話す。

 11月22日(土)、岩上安身のインタビューに応えた菊池氏は、「アベノミクス」の功罪を徹底検証。『そして、日本の富は略奪される』(ダイヤモンド社, 2014.1)などの著書で、新自由主義的経済政策の批判で知られる菊池氏。「異次元金融緩和」により、米国ヘッジファンドへ流出する大量のマネー。第三の矢「成長戦略」による日本社会への破壊的な影響など、「アベノミクス」の問題点を詳しく論じた。

 アベノミクスで本当に景気は良くなるのか。11月14日、その虚妄の一端が垣間見える数値が発表された。2013年7-9月期の実質GDP(国内総生産)が、前期比年率1.9%増となり、1-3月期、4-6月期に比べ落ち込んだ。

 11月15日、岩上安身のインタビューに応えた経済学者の植草一秀氏は、アベノミクスの先には「政策逆噴射」「財政の絶壁」とも言える大きな落とし穴があると語った。

 現在日本の株価は、米国の株高に支えられて上昇している。足下に良い流れがある日本経済だが、今後9兆円の負担といわれる消費税増税が待ち構えている。安倍政権は景気の腰折れを防ぐために、6兆円規模の経済対策を掲げているが、植草氏は「ここに落とし穴がある」と警鐘を鳴らす。

 安倍総理は10月1日に記者会見し、2014年4月から消費税率を現行の5%から8%に引き上げると発表した。同時に、景気の腰折れを防ぐためだとして、企業に賃上げと雇用拡大を促す5兆円規模の経済対策パッケージを発表。東日本大震災の復興財源に充てる特別法人税の1年前倒しでの廃止など、企業の負担軽減に力点を置いた内容となった。

 『日本を滅ぼす消費税増税』(講談社現代新書)などの著書がある経済アナリストの菊池英博氏は、消費税増税の前に、公共投資を中心とする積極財政で内需を拡大しない限り、日本の再生はない、と語る。

 森ゆうこ議員は4月7日、消費税増税法案の閣議決定を受けて文部科学副大臣を辞任。「政権交代で約束した民主党の本質を完全に否定している」と理由を述べた。消費増税については「勤労者の可処分所得が減っている中で消費税を上げれば景気は悪化する。デフレスパイラルが加速するのではないか」と懸念を示した。

 亀井亜紀子氏は、野田内閣が閣議決定した消費税増税法案をめぐり、分裂した国民新党の実情を説明。連立離脱について、賛成を示したのは、国民新党所属議員8名のうち、亀井静香代表を除き、亀井亜紀子氏のみ。29日夜、亀井静香代表が、連立離脱を野田首相に伝えに行っている最中、両亀井氏を除いだ下地幹郎幹事長ら6人が会合を開き、連立維持を決定。この会合を「重要案件については議員総会で決定するという『規約』に則った総会」であると主張。連立離脱、消費税増税法案反対のスタンスをとる亀井代表の意向に背き、自見金融大臣は、国民新党所属のまま閣議決定にサインした形となっている

 7月4日、経済アナリストの菊池英博さんをお招きして、「財源はいくらでもある!消費税増税は反対! 緊急国民財政会議」というトークイベントを開催しました。

 本来なら正確に文字起こしをしてからアップするところですが、財務省に「調教」された新聞・テレビなどの記者クラブメディアは「消費税増税やむなし」という翼賛報道、論評一色で埋めつくされ、菅政権も自民党と足並みをそろえて、「自民党の『消費税率10%』を参考に参院選後にも消費税増税論議を開始する」と言い出す始末。言論界には既に官僚ファシズム支配が浸透しつつあります。

注目記事ピックアップ

 「消費税を10%に上げる? ふざけんじゃないよ、廃止だよ。この国を、まともな国にしましょうよ。このままじゃ、あの世に行けないよ」──。

 税務会計学者の富岡幸雄氏(90)は、大企業が優遇される税制の実態を明かし、消費増税分は法人減税の穴埋めに使われるのだ、と怒りをあらわにした。

 2015年2月15日、東京都内で、公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会の主催による、「緊急市民シンポジウム 税金を払わない巨大企業 ~公正な税制で社会保障の充実を~」が開かれ、2014年9月に発売されて話題を呼んだ『税金を払わない巨大企業』(2014年9月、文藝春秋)の著者である中央大学名誉教授の富岡幸雄氏が、「公正な税制のあり方と社会保障の充実を考える」と題して基調講演を行った。

 先進諸国では格差が再び拡大していることを科学的に示し、ベストセラーとなっている『21世紀の資本』(2014年12月、みすず書房)その著者であるパリ経済大学教授のトマ・ピケティ氏が来日し、1月29日、東京都内でシンポジウムに出席した。

 世界中で売れている『21世紀の資本』は700ページ超のボリュームだが、ピケティ氏の主張は明快だ。「経済が成熟し、低成長期に入っている先進国では、放っておけば所得や資産が一部の富裕層に集中し、19世紀のような格差社会がよみがえってしてしまう。それを防ぐには、政府による富裕層への、所得のみならず純資産に対する累進課税の強化・導入が大事」というものだ。

 ピケティ氏は、この日の講演で、「金持ちの家に生まれないと有名大学に進みにくい」といった、日本にも見られる不平等さを指摘。貧困の連鎖を断ち切る有効な手立ては税制の中にある、と改めて強調した。

 政府を代表して登壇した安倍晋三内閣総理大臣。総理を出迎えたのは、歓迎の拍手ではなく、怒号だった―。

 4月26日、連合が主催する第85回メーデー中央大会が代々木公園で行われた。連合は日本共産党を除く全政党を招待し、自民党からは安倍総理大臣と田村憲久厚生労働大臣、公明党からは山口那津男代表が出席した。

 安倍総理の登壇と同時に、会場からは「残業代ゼロ絶対反対」、「帰れ」などの野次が飛んだ。安倍総理は、「経済を第一に、デフレ脱却のために『三本の矢』を前に進めてきた」と話し、「今、確実にデフレから脱却しつつある。デフレが脱却しなければ、賃金も上がっていかないし、日本が豊かになることができない」とアベノミクスの『三本の矢』が、デフレ脱却に貢献していることをアピールした。

 政府は、消費税増税をした場合に景気の腰折れを防ぐための経済対策の一つとして、復興特別法人税を1年前倒して来年春にも廃止する方針を打ち出している。26日、外国特派員協会で記者会見を行った根本匠復興大臣は「25兆円フレームは復興の大前提。財源はしっかりと確保する」と語り、復興特別法人税の廃止前倒しは被災地の復旧・復興に影響はないとの考えを示した。

 9月9日に公表された2013年4~6月期のGDP(国内総生産)速報において、成長率が上方修正されたことから、安倍内閣は10月上旬にも「消費税引き上げを決定するのではないか」との報道が新聞各紙の紙面を踊った。大手メディアは早くも「増税後」の議論をはじめている。

 しかし消費税増税について、本当に国民的議論を経たと言えるのだろうか。

 「『輸出還付金』は、輸出で稼ぐ大手企業が、下請けに対して消費税を支払っていることを前提にしたものだが、実際は、消費税分がディスカウントされる、下請けの中小企業が存在する」──。

 8月29日(木)10時から、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で開かれた、消費増税に反対する税理士団の記者会見での発言だ。消費税法が、輸出で稼ぐ大手メーカーなどに認めている「輸出戻し税」を巡る問題提起で、下請け企業が切った身銭を大手輸出企業が吸い上げる構図がある、と指摘している。発言した税理士は「還付金を得ている輸出企業は、いわば税務署を使った横領を実施していることになる」と懸念を表明した。

 消費税廃止各界連絡会は7日(水)、9月27日(金)に消費税大増税ストップ!!国民集会(仮称)を日比谷野外音楽堂で行うことを発表した。各界が連携して国民集会、デモなどを行い、国会や政府に要請行動をすると発表した。

 「消費税大増税中止を求める国民集会」の開始直前に、集会の内容などを説明する、記者会見が開かれた。「本日は、約4000人が全国から集合して消費税増税を止める為に集まりました。みなさんも運動に参加してください」と、人々に訴えた。

 2013年2月27日(水)11時30分から、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で、記者会見「『消費税増税中止』を求める国民集会の開催について」が開かれた。宇都宮健児氏、斉藤貴男氏、山根香織氏らが、増税による国民への影響と、国民集会開催に向けての意気込みを語った。ジャーナリストの斎藤氏は、日本新聞協会加盟社が新聞に軽減税率を適応させようとしていることを批判し、「これをやったらジャーナリズムは成立しない」と述べた。

■出席者 斉藤貴男氏(ジャーナリスト)、山根香織氏(主婦連合会長)、宇都宮健児氏(弁護士)

  15日、日本新聞協会は、新聞、書籍、雑誌、電子媒体に対して消費税の軽減税率適用を求める声明を発表した。声明は、新聞が「民主主義社会の健全な発展と国民生活の向上に大きく寄与している」と指摘。「欧州各国では、民主主義を支える公共財として一定の要件を備えた新聞、書籍、雑誌にゼロ税率や軽減税率を適用し」ていることを理由として挙げた。

 京都大学大学院工学科教授の藤井聡氏が講師として出席。

 藤井氏は「日本の閉塞感に必要なのは、増税、TPP、行政改革、構造改革ではない。むしろ、それらは事態を悪化させる。増税・TPPのイデオロギーの暴走を止め、『デフレ脱却』を目指すことこそが絶対必要だ」と語った。

 2012年7月3日(火)、衆議院第二議員会館で、消費税増税に反対票を投じた民主党議員の会合頭撮りと会合後のブリーフィングが行われた。今回の会合には、消費税増税に反対の意思を示した上で、離党せず党に残る民主党の衆院議員と、オブザーバーとして6名の参院議員が参加した。

 今回の会合を呼びかけた1人である熊田議員は、会合後のブリーフィングにおいて、この会の目的は「前向きな提言をして、原点としての民主党に戻していく」ことであるとした。

 消費税を考える国民会議(会長=清水信次氏)が消費増税法案採決に反対する集会を開き、民主党の小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相をはじめ与野党の国会議員117名が出席。法案採決に反対する決議文を採択した。

 鳩山元首相は「まずは景気を良くして、豊かになった後で増税という選択をすべき」と訴え、新党日本の田中康夫議員は「これまで増税で景気浮揚した国はない」と批判した。

メルマガ「IWJ特報」&「IWJウィークリー」

■目次
・消費税増税には、生活、社民、共産、みんな、みどりの風が反対の姿勢
・消費税増税は本当に必要なのか
・大企業の税負担はさらなる軽減へ
・日本の法人税率は本当に高いのか
・国民生活の豊かさにつながる成長戦略を

 野田政権は、発足当初から消費税増税に前のめりの政権としてスタートした。特に年明けからは一瀉千里。1月6日に「社会保障と税の一体改革」の素案がまとめられ、その素案の通り、一文一句変わらないまま、「社会保障と税の一体改革大綱」が2月17日に閣議決定された。2014年4月1日までに消費税率を5%から8%、2015年10月1日までに10%まで引き上げる案が盛り込まれた。引き上げられた税収分はすべて社会保障費に充てられるとされているものの、デフレ化での消費税引き上げは、さらなる景気悪化を招くことは必定である。

 2010年7月4日、経済アナリストの菊池英博氏を迎えて行われた「財源はいくらでもある!消費税増税は反対!緊急国民財政会議」の模様をお伝えする。

 当時も現在も、政府は「消費税率10%」を掲げ、国民の生活にとって危険性があることについてまったく触れようとせず、マスコミも「消費税増税は当然である」とでも言わんばかりの「大政翼賛報道」状態にある。

 第17号・18号に引き続き、経済アナリスト菊池英博氏へのインタビューをお送りする。

岩上「菅政権が成立して、非常に大きく経済財政政策が変わりそうです。鳩山政権はある程度、リーマン・ショック以降の危機的な状態を脱して、経済を安定させることに成功したのではないか、と先程から菊池さんと話していました。

私は、『増税が日本を破壊する』(ダイヤモンド社、2005年)、『消費税は0%に出来る-負担を減らして社会保障を充実させる経済学-』(ダイヤモンド社、2009年)などの著書がある、反増税論者のエコノミスト、菊池英博氏に、2010年2月10日、6月16日、7月4日と、3回にわたりインタビューを行った。

「デフレ不況下で行うべきは、まずは積極財政。その反対に緊縮財政を敷き、増税を行うことは、景気を腰折れさせ、不況の深刻化を招き、かえって税収が下がってしまう。絶対にやってはいけないこと」と、菊池氏は語った。