「大企業が正しく納税すれば、消費増税は必要ない」 ~注目の法人税本の著者・富岡幸雄氏が大手企業の納税姿勢を名指しで斬る! 2015.2.15

記事公開日:2015.2.24取材地: テキスト動画
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特集 消費税増税
※2月24日テキスト追加しました!

  「消費税を10%に上げる? ふざけんじゃないよ、廃止だよ。この国を、まともな国にしましょうよ。このままじゃ、あの世に行けないよ」──。

 税務会計学者の富岡幸雄氏(90)は、大企業が優遇される税制の実態を明かし、消費増税分は法人減税の穴埋めに使われるのだ、と怒りをあらわにした。

 2015年2月15日、東京都内で、公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会の主催による、「緊急市民シンポジウム 税金を払わない巨大企業 ~公正な税制で社会保障の充実を~」が開かれ、2014年9月に発売されて話題を呼んだ『税金を払わない巨大企業』(2014年9月、文藝春秋)の著者である中央大学名誉教授の富岡幸雄氏が、「公正な税制のあり方と社会保障の充実を考える」と題して基調講演を行った。

 富岡氏は「大企業が正しく納税すれば、消費増税は必要ない」と何度も強調し、著書には載っていない最新データを使って、大企業の傾向として見られる「税逃れ体質」を、怒気を含んだ口調で批判。話中には、三井住友フィナンシャルグループ、ソフトバンク、みずほフィナンシャルグループ、トヨタ、日産、JR東海、キャノン、武田薬品など、有名企業の名前が続々と登場した。

 主催者挨拶に立った弁護士の宇都宮健児氏は、深刻化する格差と貧困問題を解消するには、富裕層や大企業に対する課税を適正化させ、十分な社会保障を通じた所得の再分配が不可欠と述べ、「私たちは、税金の決め方や使われ方を監視してこなかった。税について学び、声を上げる国民にならなければいけない」として、公正な税制を求める市民連絡会立ち上げへの意気込みを示した。

■ハイライト

  • 基調講演 富岡幸雄氏(中央大学名誉教授)「公正な税制のあり方と社会保障の充実を考える」
  • ゲストスピーカー 竹信三恵子氏(ジャーナリスト・ピケティ入門 著者)/浦野広明氏(立正大学客員教授)/合田寛氏(公益財団法人政治経済研究所理事)/菅隆徳氏(税理士)/武田知弘氏(経済ジャーナリスト)ほか
  • 当事者報告 子育て、奨学金・ブラック企業、年金・介護、生活保護・住宅問題、給付を求める司法修習生など、各当事者からの訴え

深刻化する子どもの貧困と安倍政権の弱者切り捨て

 はじめに、公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会の呼びかけ人である宇都宮健児氏が、主催者を代表して登壇し、「格差問題」について論じた。

 昨年2014年7月に厚労省がまとめた国民生活基礎調査では、平均的所得の半分を下回る世帯に暮らす18歳未満の割合(子どもの貧困率)が16.3%で、過去最高を記録したことが判明した。

 日本で「子どもの貧困化」が進んでいることを憂慮する宇都宮氏は、「ことに深刻なのは、ひとり親世帯。2世帯に1世帯が貧困に陥っている」と強調。その背景には、社会保障制度の脆弱性と、非正規雇用の拡大があるとも述べ、後者について、「非正規労働者の数は2000万人を超えて、全労働者の38%を占めている」と指摘した。

 さらにまた、「貧困と格差の拡大は世界的現象」とし、世界でほんのひと握りの超金持ちが、全世界の資産の半分近く占有している現状の早期是正に向け、先進諸国が一致団結することが肝要だ、と訴えた。

 宇都宮氏からは、安倍政権は弱者救済に消極的との批判もあり、「2012年12月の衆院選で誕生した第2次安倍政権は、2013年から、生活保護基準を3年間で670億円削減するという、過去に例のない大幅な引き下げを決めた。さらに2015年度予算で、生活保護の家賃部分である住宅扶助と、暖房費部分の冬季加算を減らそうとしている」との指摘があった。

過去最高の利益を出したトヨタは「5年間法人税未納」

 そして、「政府は『財源がない』としているが、なぜ、消費税導入、増税のたびに、所得税や法人税が引き下げられるのか」と怒りをにじませた宇都宮氏は、このように続けた。

 「先日、過去最高の利益を出したトヨタ自動車は、豊田章男氏が社長に就任してから5年間、法人税をまったく払ってこなかった。その一方で、毎年、1500億円から2000億円の消費税還付金をもらっている」

 トヨタ自動車が、繰越欠損税制や連結納税制度などを生かし、「税逃れ」を図ってきたと見る宇都宮氏は、「格差の問題と、それに伴う貧困問題を解消するには、富裕層や大企業に対する課税を適正化させ、十分な社会保障を通じた所得の再分配が不可欠だ」と言い重ねると、先般の来日で耳目をさらった、世界中で注目されている経済学者のトマ・ピケティ氏が、同様の指摘をしていると付け加えた。

 宇都宮氏は「重要なのは税の決め方。税は、政府税調や自民党税調で決められるが、私たちは、その決定過程や使われ方を監視してこなかった。税について学び、声を上げる国民にならなければいけない。そのために『公正な税制を求める市民連絡会』の準備を、今、進めています」と力を込めた。

富岡氏の「怒り」に市民ら拍手

 司会者から、「70年近く税に携わり、税の表も裏も知り尽くした方」と紹介されて演壇に立った富岡幸雄氏は、開口一番、「巨大企業が正しく納税すれば、消費増税は必要ない。これが結論!」と声を張り上げた。

 富岡氏は、「大企業はあまり税金を払わない、中小企業の税負担は重い」などの一般論より、具体的に誰がいくら税金を納めているのかが問題だと言う。

 そして、2014年9月に上梓した自著『税金を払わない巨大企業』について、「誰がいくら儲けながら、これしか税金を払っていないと実名を挙げたものだから、すごいことになった。大企業の手先とおぼしき人たちから、さまざまな圧力がかかってきた」と明かし、同書の刊行理由を強い調子で次のように語った。

 「私は事実を本に書いただけだから、名誉棄損には当たらないだろうが、その企業のイメージダウンにはなったかもしれない。(誰もやらなかった)禁じ手を使ったわけだが、それほど(大企業優先の税制が)ひどいということ。そこまでしなければ、ダメなんだ、この国は!」  この発言に、客席から拍手が沸き上がった。

 富岡氏は、1. 大企業46社の実効負担税率の実態、2. 大企業の平均負担率が法定正味税率の半分以下であること、3. 法人税制の欠陥是正で見込まれる増収額、の3つを今日の講演で明示していくと宣言。

 大企業が正しく納税すれば、消費税は廃止できると明快に話す富岡氏は、「消費税を10%に上げる? ふざけんじゃないよ、廃止だよ。この国をまともな国にしましょうよ。僕は満90歳だけど、生きているうちに、この国を建て直したい。このままじゃ、あの世に行けないよ」と会場の笑いを誘いつつ、本題に入っていった。

「日本の法人税率は高い」に、だまされるな!

 富岡氏は、2013年3月期(2012年度)と2014年3月期(2013年度)の2年度分において、好業績であるにもかかわらず、実効税負担率(法人税の実際の負担割合)が著しく低い大企業46社を列挙した資料を使いながら解説。

 「1位の三井住友フィナンシャルグループは3370億円の利益を上げておきながら、2年間で法人税はたった600万円しか納めていない。つまり、実効税負担率は0.001%に過ぎない。法定正味税率(法が定める税率)が38.01%の時期に、である。2位のソフトバンクは同0.003%だ。3位のみずほフィナンシャルグループは0.0097%。いかに、ひどいか」

 そして、これらの企業は、いずれも持ち株会社であることを認めつつ、こう話した。

 「持ち株会社は、その下にぶら下がっている子会社が税金を納めているから、吸い上げた配当収入について、もう一度、税金を払わなくていいことになっている。その点を捕まえて、『そういう特殊な会社を取り上げるのは大人げない』といった批判的な言葉がインターネット上で目につくが、異論があるなら、直接、私に言ってきてほしい。とにかく、実効税負担率が著しく低いことは事実なのだ」

 富岡氏は、経済界やマスコミの「日本の法人税は高い」の大合唱にだまされてはいけない、と語気を強める。「議論の対象とすべきは、法定正味税率の高低ではなく、実効税負担率のそれであり、今見てきたように、そっちの中身はスカスカだ」とし、先の46社の実効税負担率は、いずれも法定正味税率の38.01%を大幅に下回っていると指摘した。46位のスズキでさえ、31.98%だという。

 富岡氏は、「新聞やテレビは、なぜ、実効税負担率で検証しないのか。おそらく、記者たちがそこまで勉強していないからだろう」と疑問を口にした。

法人税制の欠陥を正せば、5兆円以上の増収に

 さらに、「大企業の実際の税負担率は、法定正味税率の半分以下で、これは逆累進構造と言える」と話を進めると、富岡氏は、日本の産業界全体を対象とする、企業規模別での検証結果(2012年度分)にも言及した。

 判明するのは、資本金100億円超クラスの実効税負担率の平均値が極めて低いことで、外国税額を含めても17.20%である。

 富岡氏は、「法定正味税率が38.01%なのに、この結果だ。これは『ゼロ』に近い事例が多数含まれていることを物語っている。ちなみに、1億円超、5億円以下の中堅・中小企業クラスが37.92%、100億円超クラスの2倍を超えている。これ、おかしいと思わないか?」と問いかけた。

 先の46社は個別に拾い上げたものなので、例外的なものが集まったという見方もできるが、こちらの検証結果は、政府発表のデータを基に日本の産業界全体に網をかけたもの。富岡氏は、「ここで導き出された『大企業の実際の税負担率は、法定正味税率の半分以下』との結論は揺るぎないものだ」と胸を張る。

 では、日本の法人税制の欠陥部分を正したら(=大企業が法定正味税率で納税したら)、どれほどの「税収増」が見込めるのか。

 「その金額は、ずばり5兆3556億円」と明言した富岡氏は、これを、ぜひ社会保障に使ってほしいとし、「私は、世界一安い法人税、世界一安い所得税、世界一安い資産税の国を作りたい。みんなが稼げば稼ぐほど、税率が下がり豊かになる。これが国づくりの理想。みなさん、知恵を出し合ってがんばりましょう」と呼びかけた。

消費税は本当に「社会福祉」に回されてきたのか?

 日本の税制がちっとも良くならないことに話題がおよぶと、「(2015年)1月の臨時閣議で決まった税制改正大綱改革には、(法人税制の欠陥部分の是正で)ほんの少しだけ、私の意見が反映された。でも、とても合格とは言えない」と富岡氏は言う。

 法人税改革は、既得権益者の抵抗により、確たる増収効果にはつながらない水準に落ち着いてしまい、その上、法人税減税を実施したらダメージの方がはるかに大きくなる、との指摘である。

 安倍政権は法人税改革で、現在の法定正味税率34.62%を、数年度以内に20%台にまで引き下げる、という目標を置いている。「日本の財政赤字は現在約1000兆円ある。その中で法人税を下げると言う。代替財源は見つからないのに。穴埋めはどうするのか」と富岡氏は疑問を投げかけると、2015年度は2.51%ダウンで32.11%に、2016年度は外形標準課税拡充分をプラス材料に見立てて、さらに31.33%に下げるという予定に言及。憮然とした表情で、こう断じた。

 「2017年4月に行う消費税10%に伴う増税分を、法人減税の代替財源に使うんです。消費税が福祉に回るなんて嘘だよ」

(…会員ページにつづく)

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「「大企業が正しく納税すれば、消費増税は必要ない」 ~注目の法人税本の著者・富岡幸雄氏が大手企業の納税姿勢を名指しで斬る!」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「大企業が正しく納税すれば、消費増税は必要ない」 ~注目の法人税本の著者・富岡幸雄氏が大手企業の納税姿勢を名指しで斬る! http://iwj.co.jp/wj/open/archives/233008 … @iwakamiyasumi
    消費税増税の翌年1998年より自殺者が急増している。国を潰し国民を苦しめる悪税だ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/583962004160811009

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