【大義なき解散総選挙】「憲法を税制面で解釈改憲をしようとしている」――消費税増税の中止、5%に戻すことを求め税理士389名が警鐘 2014.12.5

記事公開日:2014.12.10取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

特集 総選挙2014|特集 天下の愚策 消費税増税

 消費税が8%に引き上げられる前から、引き上げ中止を訴えてきた税理士グループ「増税中止を求める税理士アピール」は12月5日(金)、東京都千代田区の海運クラブで緊急記者会見を行なった。同グループは、安倍政権が1年6ヶ月先送りにした消費税10%の引き上げ中止と、消費税を5%に戻すことを求めた。

 この「増税中止を求める税理士アピール」は、国民の反対の声を無視して4月から消費税増税を強行したことが、今日の消費不況を作り出したと主張。全国の税理士に至急、連絡を取り、389名の税理士がこのアピールに賛同したと報告した。

■ハイライト

  • 内容 「消費税増税は5%に戻し、増税先送りでなく中止を」のアピールを公表し、その理由を説明
  • 会見者 佐伯正隆氏(税理士、税経新人会前会長)/湖東京至(ことう・きょうじ)氏(税理士、静岡大学元教授)/浦野広明氏(税理士、立正大学客員教授)/永沢晃氏(税理士)/平石共子氏(税理士)ほか

「憲法を税制面で解釈改憲をしようとしている」

 一般的に法律は、本則と附則から成り立っており、消費税増税法は、本則で税率の変更を謳っている。立正大学客員教授で税理士の浦野広明氏は、同法附則の18条に、経済状況を見て増税の執行を停止する規定があるが、今回の増税は、このような附則を無視した経済状況を鑑みない増税だと語る。

 「憲法の法律なくして課税なし。法律なくして納税なしの原則を全く無視している。憲法を税制面で解釈改憲をしようとしている」

 浦野氏はこう述べ、儲けに応じた所得税・法人税の総合課税・累進課税化していく以外に、財政再建はできないと訴えた。加えて、社会保障費が削られている状況で消費税を増税するのではなく、まず第一に削るのは政党助成金だと指摘した。

軽減税率は高額所得者に恩恵が

 静岡大学元教授で税理士の湖東京至(ことう・きょうじ)氏は、軽減税率について、ドイツ連邦財政省学術顧問団のメンバーであるR・ベッフェコーフェン氏が「高所得者の方が軽減税率の効果を遥かに大きく受ける」と発言していることを紹介。軽減税率は、低所得者だけでなく高所得者にも適用され、高額所得者の方がより恩恵を受けると指摘した。ベッフェコーフェン氏は、ドイツにおいて軽減税率が「適用される事業者に対して特別な利益を与える仕組み」であるとし、軽減税率を廃止するよう提言したという。

 湖東氏も、軽減税率は納付税額を減らす事業者ができるだけで、消費者には全く関係と主張。飲食料品が8%に据え置かれる場合の例として、ペットボトルの飲料水を挙げて説明した。その場合、キャップ、容器、ラベル印刷、自販機の器具代、電気代、運送費は軽減税率の対象にはならないという。こうした状況の中で飲料水は8%の価格になるのだろうかと、湖東氏は疑問を呈した。さらに、価格は事業者が決めるため、「軽減税率で庶民の懐が痛まないわけではない」と付け加えた。

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