「トヨタ純利益、初の2兆円」!? 農業、保険などの産業を踏み潰してでも進めたいTPP、アベノミクスの正体 2014.11.7

記事公開日:2014.11.10取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

 「TPPの真の対立は国内にある」――。

 リレートーク「いま言いたい!TPP交渉」と題した集会が11月7日、永田町で開催された。慶応大学の大西広教授は、トヨタなど、一部の輸出産業の利益のために農業などが見捨てられようとしていることを指摘。「ある産業、階級の利益を守るために、別のある人々の利益を踏みにじってでも、TPPを推進しようとする人たちがいる。このことが問題だ」と批判した。

■ハイライト

  • 各界からのアピール
    医療関係から 住江憲勇氏(全国保険医団体連合会会長)/消費者から 河村真紀子氏(主婦連合会事務局長)/建設関係から 村松加代子氏(建設政策研究所専務理事)/研究者から 大西広氏(慶応義塾大学教授、大学教員の会よびかけ人)/農業関係者から 大木伝一郎氏(農民、千葉農民連委員長)/ほか
  • マスコミからの質疑
  • 超党派国会議員からのアピール
  • 日時 2014年11月7日(金)10:30~
  • 場所 参議院議員会館(東京千代田区)

米国から続く要求「新薬には高薬価を設定せよ」

 全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は、TPPを「植民地型経済覇権主義だ」と断じ、TPPと医療分野の関係について「TPPでは、薬の問題が交渉21分野の『制度的事項』の分野で交渉されている。保険薬の承認制度や薬価基準制度が問題だとして、透明性と手続き保障を盾に、各国の薬事行政に多国籍企業が手を突っ込もうとしている」と説明する。

 住江氏は、「さしあたり、米国の高薬価の薬を使わせるための圧力になる。これまでもすでに米国資本から『新薬には高薬価を設定せよ』などと要求が突きつけられ続けられている」と明かし、「TPPに入れば、日本の薬事行政が大きく撹乱させられ、薬は高薬価に設定させられ、医療費の高騰をさらに作り出すのではないか」と懸念を示した。

300兆円の国民の財産に手を付けようとする多国籍企業の思惑

 郵政産業労働者ユニオンで書記長を務めている須藤和広氏は、「今は年次改革要望書の代わりに米国の通商代表部(USTR)から『外国貿易障壁報告書』が出ている。これを見ると、米国が一方的に日本へ要求を出しているのが現状だとわかる」と指摘する。

▲米国の要求に付き従う政府を批判する須藤和広氏

▲米国の要求に付き従う政府を批判する須藤和広氏

 「TPPで出ている要求が、報告書では、ほとんど網羅されている。『米国による、米国のためのTPP』だということがわかる。『サービス障壁』ということで、日本郵政は名指しで指摘されている」

 USTRは報告書で、「日本政府が銀行、保険、急送便の市場において、日本郵政株式会社と民間セクターの間で公平な競争の機会が得られるようあらゆる必要な方策をとること」を求めている。

 また、須藤氏は、日本がTPP交渉に参加することを承認する条件として、米国は「郵政における新しい保険、貯金の商品を販売しないこと」を要求してきた、そして麻生太郎財務・金融大臣が、かんぽ生命から出る新しい商品(ガン保険など)をストップ、その間にアフラックが全面進出し、TPP交渉参加と同時に日本郵政と提携するという劇的な発表があった、と振り返る。

 須藤氏は、「すべて米国のためにやっている。ゆうちょ、かんぽ生命は、資金規模300兆とも言われている。これは国民の財産だ。しかし、大企業や外国資本は、これを崩して持っていくのが目的だろう」と警鐘を鳴らした。

「TPPによる真の利害の対立は日米間ではなく、日本国内にある」

 「TPP参加交渉から即時脱退を求める大学教員の会」の大西広・慶応大教授は、「TPPによる真の利害の対立は日米間ではなく、日本国内にある」と分析する。

▲パワポを用いて国内の利害対立の図を説明する大西広慶応大教授

▲パワポを用いて国内の利害対立の図を説明する大西広慶応大教授

 農業、保険、金融、医薬品などはTPPで「輸入増」にさらされる産業だが、TPPで利益を得る産業もある。自動車産業などがそうだと大西氏はいう。「ある日本国内の産業、階級の利益を守るためには、ある人々の利益を踏みにじってでもTPPを推進しよう、こう考える人たちがいることが問題だ」。

 大西氏は、「その点、TPPとアベノミクスには共通点がある。2013年は大きな貿易赤字になった。その一方で、輸出数量が減っているにも関わらず、輸出金額は増えている。それはなぜか。円安だからだ。我々は円安を考える必要がある」と展開する。

 「1ドル=80円」の場合、2万ドルの車が米国で売れれば、日本円で160万円の収入があった。「1ドル=100円」の場合では、2万ドルで売れる車が日本円で200万の収入になる。つまり、同じ台数の車を売っても、同じ2万ドルで売ればボロ儲けする。円が安くなれば、トヨタの日本円での収入がボロ儲けで増える。大西氏はそう説明する。

 「TPPもアベノミクスも、政策はあまりに特定の輸出産業の利益に偏りすぎている」

 2013年8月3日の日経新聞は、「トヨタは前年比74%増の利益」だと報じている。今年11月に入り、紙面では「トヨタ、営業益最高」との文字が踊り、11月5日には「トヨタ純利益、初の2兆円」と大々的に報じられた。

 「ここまで儲かっていても、さらに儲けがほしい、TPPで利益を得たい。そのために農家のダメージは構わない、というのが現在のTPP交渉。現在の真の利害対立は国内にある。推進勢力のあつかましさを、ここで指摘したい」

拙速に承認された「日豪EPA」

 集会で挨拶した日本共産党の紙智子参議院議員は、「米国の中間選挙では共和党が優勢だった。この影響で、TPPに関しても、ますます日本へ圧力がかかると考えざるを得ない」との見解を示す。

(…会員ページにつづく)

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「「トヨタ純利益、初の2兆円」!? 農業、保険などの産業を踏み潰してでも進めたいTPP、アベノミクスの正体」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    ※11月14日まで、会員以外の方にも動画全編公開中!
    「トヨタ純利益、初の2兆円」!? 農業、保険などの産業を踏み潰してでも進めたいTPP、アベノミクスの正体 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/204081 … @iwakamiyasumi
    TPPの問題とは外交以前の内政問題でもある。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/532099024455610368

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