今年4月から、消費税が8%に増税された。その一方で、安倍首相は法人税を減税することを検討している。こうした税制改革は、推進すべきか否か。東京大学教授で、税制調査会委員や経済財政諮問会議議員を務める伊藤元重氏と、富士通総研の上席主任研究員のマルティン・シュルツ氏が、5月12日、日本外国人特派員協会でパネル・ディスカッションを行った。
(取材:IWJ 石川優、記事:IWJ ゆさこうこ)
特集 天下の愚策消費税増税
今年4月から、消費税が8%に増税された。その一方で、安倍首相は法人税を減税することを検討している。こうした税制改革は、推進すべきか否か。東京大学教授で、税制調査会委員や経済財政諮問会議議員を務める伊藤元重氏と、富士通総研の上席主任研究員のマルティン・シュルツ氏が、5月12日、日本外国人特派員協会でパネル・ディスカッションを行った。
記事目次
■ハイライト
安倍政権は、経済改革の「三本の矢」として、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を掲げている。この三つ目の成長戦略について、伊藤氏は、誤解されていると述べた。成長戦略とは、基本的には、規制緩和や税制改革など、サプライサイドを中心としている。だが、伊藤氏は、「民間投資を促進するためには、デマンドサイドを強調しなければならない。どのようにして需要を刺激するかが重要だ」と言う。
民間セクターは、「失われた20年」と言われる不況の時代の間、内部留保を行ってきた。伊藤氏は、企業に資金がないのではないと強調する。「実際に資金はある。問題は、民間セクターがその資金を使おうという気持ちになっていないことだ」。いかに政府が民間セクターを刺激するかが重要だと論じる伊藤氏は、「税制改革は非常に重要。大きな心理的効果を生む」と主張した。
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