安倍総理は10月1日に記者会見し、2014年4月から消費税率を現行の5%から8%に引き上げると発表した。同時に、景気の腰折れを防ぐためだとして、企業に賃上げと雇用拡大を促す5兆円規模の経済対策パッケージを発表。東日本大震災の復興財源に充てる特別法人税の1年前倒しでの廃止など、企業の負担軽減に力点を置いた内容となった。
『日本を滅ぼす消費税増税』(講談社現代新書)などの著書がある経済アナリストの菊池英博氏は、消費税増税の前に、公共投資を中心とする積極財政で内需を拡大しない限り、日本の再生はない、と語る。
金融緩和でデフレは解消しない
菊池氏が批判するのが、「アベノミクス」の「第一の矢」である「異次元の金融緩和」である。安倍総理の肝いりで就任した日銀の黒田東彦総裁と岩田規久男副総裁は、日本銀行が供給する通貨量を表す「マネタリーベース」を増やせば、企業や家計など世の中に出回っている通貨供給量を表す「マネーサプライ」もそれに応じて増加し、デフレが解消するとしている。
しかし、菊池氏によれば、日本における「マネタリーベース」と「マネーサプライ」の連関性は断ち切られているという。
「そもそも、日本の『マネタリ―ベース』は、対GDP比で見ると米国やユーロ圏よりずっと高いのです。黒田総裁や岩田副総裁らマネタリストが言うように金融緩和をしても、日本国内の『マネーサプライ』が増えることはありません。財政主導で投資が喚起されて雇用が生まれない限り、金融緩和をしてもデフレは解消されないのです」。
ニューヨーク市場に流れる日本のマネー
そして菊池氏は「『異次元の金融緩和』によるマネーは、日本国内ではなく、ニューヨーク市場に流れています」と、驚きの指摘をする。その証拠として菊池氏があげたのが、実際に面識があるという、FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長の発言だった。
IWJアーカイブ:今の日本の状況で、消費税増税が失政だという状況がよくわかる記事はこちら →2013/10/22 内需拡大こそが日本を救う道 積極財政で「恐慌型デフレ」の脱却を ~岩上安身による経済アナリスト・菊池英博氏インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/107907 …