今日は3月2日。野田政権が成立した日(2011年9月2日)から数えてちょうど半年の節目にあたる。
野田政権は、発足当初から消費税増税に前のめりの政権としてスタートした。特に年明けからは一瀉千里。1月6日に「社会保障と税の一体改革」の素案がまとめられ、その素案の通り、一文一句変わらないまま、「社会保障と税の一体改革大綱」が2月17日に閣議決定された。2014年4月1日までに消費税率を5%から8%、2015年10月1日までに10%まで引き上げる案が盛り込まれた。引き上げられた税収分はすべて社会保障費に充てられるとされているものの、デフレ化での消費税引き上げは、さらなる景気悪化を招くことは必定である。
97年、橋本政権は消費税率を3%から5%へアップしたが、そのために景気を腰折れさせ、税収を逆に減らしてしまった。15年前のこの失敗から日本政府は何も学んでいない。
自民・公明両党は、7万円の最低保障年金制度の創設に反発し、与野党協議に応じなかった。にも関わらず、野田政権は、最低保障年金をも盛り込んだ大綱を閣議決定に持ち込んだ。1月13日の内閣改造では、岡田克也元幹事長が、副総理として入閣した。「消費税増税シフト」の一環である。その岡田克也副総理は定例の記者会見で「年金の問題を大綱から切り離すつもりはない」と言い切った。
しかし、対する野党第一党の自民党も、消費税増税への対案を出せているわけではない。それどころか、消費税増税というベクトルは野田政権と同様だという。谷垣総裁は「問題は消費税の上げ幅であり、それをめぐり解散総選挙を行うべきだ」との見解を示している。
経済が縮小する一方のデフレ不況下に、さらに消費を冷え込ませる消費税増税しか与党も野党も提示できない日本の不幸。5%の税率アップとは、約10兆円の増税である。10年間で100兆円である。それだけの金が国民一人一人の懐から召し上げられ、法人税減税などの減収分の穴埋めに充てられてゆく。なぜ、このような愚策ばかりが示されるのか。この状況をどう考えたらいいのか。
著書『日本の再生』や、ブログ「知られざる真実」で、野田政権の消費税増税路線を批判する経済学者、植草一秀氏に話を聞いた。
(続く)
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