「増税イデオロギーは、偏った意識で総合的判断を放棄」藤井聡京都大学教授 ~第7回消費税研究会 2012.7.13

記事公開日:2012.7.13取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

特集 天下の愚策 消費税増税

 藤井聡氏は「日本経済は成長できる。デフレは経済が冷えていること。だったら暖めてやればいいだけだ。そのためには、増税を止める。TPPを止める。行政仕分け改革も止める」と語った。

 2012年7月13日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で「第7回消費税研究会」が開かれた。消費税研究会は、鳩山由紀夫元首相など民主党内有志23人で発足。この日は藤井聡京都大学教授が招かれ、「破滅を導くイデオロギーの暴走を止めるために」と題したレクチャーを行なった。

■ハイライト

  • 日時 2012年7月13日(金)
  • 場所 衆議院第二議員会館

偏った意識に凝り固まった増税イデオロギー信者たち

 藤井聡氏は、まず、「消費税増税法案の第18条(景気付帯条項)には、増税の実施の可否を定める但し書きがあり、確定はしていない。だが、増税してやろうという人がトップになったら、いくらでも増税ができてしまう内容でもある」と述べた。そして、「増税イデオロギーのない公平な考えを持っていれば、この時期での増税はあり得ない」と話し、イデオロギーの暴走について解説を始めた。

 「これは、増税イデオロギーやTPP推進イデオロギーのことを指す。政治というのは、このイデオロギーと戦うためだけにある、と言っても過言ではない」と語る藤井氏は、「増税イデオロギーがあると、第18条にある『経済況等を総合的に勘案した上で』という文言をいくらでも拡大解釈する。同じように、8月にTPP参加を表明をする、というのも同根だ」とした。

 そして、藤井氏は「このイデオロギーとは何かというと、政治の敵だ。良き政治判断とは、議論を望み、状況を把握する。しかし、イデオロギーは偏った意識で議論をさえぎり、状況を無視し、総合的判断を放棄する」と指摘した。

TPPでデフレ悪化は必定

 「今年の年頭、野田首相は『毎年1兆円の社会保障費の増大がある。先送りできない。だから、消費税増税は不可避』という発言をしたが、論理が飛躍し過ぎだ。デフレ期の増税が景気後退、財政悪化を引き起こした過去の例は、アメリカの大恐慌、現在のイタリア、日本の橋本龍太郎内閣の時代など、たくさんある。橋本内閣の消費税増税はデフレ不況になり、謝罪までしている」。このように語った藤井氏は、「今は、橋本内閣時代よりもひどい状態。デフレは財政悪化になり、社会サービス低下、雇用減少につながる。この15年間のデフレ不況で15万人の自殺者が出た、とも言われている」と懸念を表明した。

 さらに、「不況は人の精神も破壊する。日本経済は復活しない、という失望感が充満し、内需が拡大しない恐怖から、TPPイデオロギーが生まれる。しかし、TPPは新自由主義。市場開放により、中小企業や地方の産業が疲弊する。また、輸出が増えないだけでは済まず、規制緩和により外資企業の進出が激増。国内企業は衰退する。ゆえに、TPPでデフレが悪化するのは必定だ」と警鐘を鳴らした。

イデオロギーは悪魔憑きと一緒

(…会員ページにつづく)

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