2024年8月26日、岩上安身は7月8日に行った、評論家で元日経新聞・朝日新聞記者の塩原俊彦氏へのインタビューの続編である、第2弾インタビューを行った。
ウクライナ問題の第一人者である塩原氏は、2024年6月17日に、最新刊『帝国主義アメリカの野望~リベラルデモクラシーの仮面を剥ぐ』(社会評論社)を上梓した。
インタビューは、「神に祝福されたかのようにふるまうヘゲモニー国家・アメリカの『超大国神話』と『悪』を真正面から暴く!」と題し、この著書の内容に沿って行われた。
2022年2月24日に始まったウクライナ戦争では、2014年のユーロマイダン・クーデター以降のウクライナ国内で、ロシア系住民が弾圧されていた問題を、西側諸国は見なかったことにして、ロシアがまったくいわれのないウクライナ侵略を、突如開始したとして、ロシアを非難している。
これは西側の多くの国で、政治家も大手メディアも、公式に主張していることである。これほどまでの、国家を超えたプロパガンダ報道は、かつてなかったのではないだろうか。
ウクライナの最大の支援国である米国は、「自由と民主主義と法の支配」という御旗を掲げさえすれば、どんな暴力も許されるかのようにふるまってきた。
しかし、現在のウクライナ政府や、同じく米国が最大の支援国である、シオニスト・イスラエル政府が、真っ当な人権意識を持った「自由と民主主義と法の支配」にもとづいた国家であるとは、とても言えない。米国の矛盾は、今、頂点に達している。
「日本における米国の報道のほとんどは、民主党系のマスメディアによって米国内で流されて情報を、翻訳して流しているだけ。
したがって、極めて民主党寄りの情報によって、操作されてしまっている」。
そう指摘した塩原氏は、前回2020年の米大統領選挙を、敗れたトランプ陣営が、「盗まれた選挙」だと主張したことについて、「日本では多くの人が、トランプ陣営側が『投票用紙の集計方法に不正があった』と言いがかりをつけて騒いでいると思っているかもしれませんが、米国の共和党有権者(支持者)は、まったく別の観点から、『盗まれた選挙』だと思っています」と指摘した。
塩原氏によると、2020年の大統領選挙を「盗まれた選挙」だと考えているのは、「共和党有権者の3分の2」であり、これは「米国人の10人に3人近く」にあたる。
「私も、『盗まれた選挙』であると思っています」と述べた塩原氏は、その理由を以下のように説明した。
「実はジョー・バイデンの次男のハンターがウクライナで行っていた『腐敗』事件について、2020年の11月の大統領選の直前の10月14日に、『ニューヨーク・ポスト』に大特ダネが掲載されたが、民主党はこれをつぶしにかかった。
FBIは、この記事とフェイスブックをリンクさせないよう、フェイスブック(現メタ)のCEOであるマーク・ザッカーバーグに圧力をかけた」。
※はじめに~バイデン大統領はブリズマを倒産から救った大きな「ブランド」だった! ハンター氏の会社への4000万ドル(約57億円)の投資と350万ドル(約5億円)のコンサルティング料で、ロシアのオリガルヒの制裁免除!? 米下院監視委員会のジェイムズ・カマー委員長がハンター・バイデン氏の元ビジネス・パートナーのデヴォン・アーチャー氏の証人喚問を踏まえて声明発表! 監視委員会はバイデン・ファミリーの疑惑を7点指摘!(日刊IWJガイド、2024年8月3日)
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※はじめに~バイデン大統領がウクライナを脅迫していた! 次男のハンター・バイデン氏が取締役を務めるウクライナの天然ガス会社ブリズマの汚職事件! 自ら捜査を指揮していたウクライナの検事総長、ヴィクトル・ショーキン氏を辞めさせなければ10億ドルの支援を撤回するとウクライナ政府を脅迫! 今後、米下院の弾劾調査の大きな焦点に! IWJは、ショーキン氏の2019年の宣誓供述書を入手し、仮翻訳!(日刊IWJガイド、2024年8月8日)
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「大統領選挙の直前であったので、この情報を米国の大メディアがきちんと報道していれば、確実に、バイデンは負けたであろうはずなのに、この事実について、『ロシアによる典型的な情報操作』『トランプ氏の個人弁護士であるジュリアーニ氏の提供した情報が本物かどうかわからない』などと、民主党及びFBIの幹部、民主党と結託している主要マスメディアまでが、この情報を広めないために、猛烈な圧力をかけてつぶしにかかった。
政府機関さえ、バイデンを応援していた。これはまさに、『盗まれた選挙』の証しではないか」。
塩原氏によると、「民主党系の米国の大手メディアは、一切この報道をしないので、日本に入ってこない」のだという。
続いて塩原氏は、「民主党は情報操作によって事実をねじ伏せていくというやり方を、ずっと取り続けている」と述べ、ウクライナからの移民が全米一多いと言われているイリノイ州シカゴを地盤にしているバラク・オバマ元大統領が、シカゴのユダヤ系財閥や地元の汚職政治家の支援によって、大統領にまで上り詰めた経緯を、詳しく解説した。
さらに塩原氏は、「今現在で言うと、猛烈に吹き荒れているのが、独裁への恐怖という形で、トランプを攻撃するという方法」だと指摘した。
トランプ氏が、前回の大統領選挙の結果を覆そうとした容疑について、今年7月1日、米最高裁は、大統領在任中の訴追を免れる権利を認めた。
これについて塩原氏は、「トランプが、もし大統領に返り咲くような事態になったら、とんでもないことをやってもどうせ訴追されないと思って、独裁者になるんじゃないかと、民主党系のマスメディアがガンガン煽っている」と述べた上で、「しかし、私は、もう既に、ジョー・バイデン大統領は独裁者であるということを、強調したい」と訴えた。
塩原氏は、バイデン大統領が今年8月1日に、ロシアで収監されていた、ジャーナリストや元海兵隊員、反体制活動家や、ノーベル賞受賞のロシア人人権活動家らと、ドイツに収監されていた終身刑の殺人犯を含む、西側各国に収監されていたロシアの情報機関関係者らとの受刑者交換を発表したことを取り上げ、次のように述べた。
「西側の国は、『法の支配』と言って、法が万人に等しく適用されるという最低限のルールを重要視しているにもかかわらず、一度ドイツが法の支配のもと、終身刑であると決めたものを釈放し、罪を問わなくするということを、平然とやってのけるというのは、どういうことなのか?(中略)
じゃあ、何でバイデンは、こんなことまでして、法の支配を破り、独裁的な行動に出たのかというと、それは明らかに選挙対策なんですね。
つまり、そういう連中を、アメリカに飛行機で返す時に、空港で、今回の場合にも、バイデンとハリスが二人で出迎える。それをテレビで放映させることによって、自分の手柄にすると。(中略)
でも、やっていることは、まさに独裁者じゃなきゃできないような、それぞれの国の国家主権というのがあるのに、そんなものはまったく無視して、その国家主権のもとで成り立っているであろう法の秩序さえ、まったく無視して、罪に服しているやつを釈放をさせて、自国に持ってくるっていうのは、これは、独裁者じゃなきゃ、できないでしょう」。
インタビューの後半では、7月13日のトランプ元大統領銃撃事件の直前に、バイデン大統領が演説で、「トランプを標的にするときだ」と発言していたことを取り上げ、塩原氏が「直接狙撃した犯人に明示したわけではありませんが、過激な発言をして、狙撃することが、さも必要であるかのようにうながすような発言を、バイデン大統領自身がしたのではないかという、強い疑いがある」と、指摘した。
さらに、バイデン氏に代わって民主党の大統領候補となったカマラ・ハリス副大統領が、20代だった1990年代半ばに、妻と別居していた当時60代のウイリー・ブラウン カリフォルニア州議会議長との「不倫」で「出世」したというスキャンダルや、ハリス氏に副大統領候補に指名されたティモシー・ウォルツ氏の軍役時代の「不名誉な」エピソードなどについて、話をうかがった。