【IWJ号外】元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏が、「NATOは戦争と消滅をもてあそんでいる」「NATOは、消滅の危機に瀕しているのではないだろうか?」と警鐘! 2024.6.8

記事公開日:2024.6.8 テキスト
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(文・IWJ編集部)

 IWJ代表の岩上安身です。

 5月の末から、バイデン米大統領、ブリンケン米国務長官、ストルテンベルグNATO事務総長らをはじめ、英国、フランス、ドイツなどのNATOの中核国やバルト3国などの首脳らが、一斉に、ウクライナに供与した西側の兵器を使って、ロシア領内を攻撃することを容認しはじめました。

 日本のマスメディアもこぞって、もう一度、ウクライナの「反転攻勢」が始まるぞ、と「イケイケドンドン」ムードの報道一色になっています。

 しかし、ウクライナ軍は、昨年2023年初めにバフムートの攻防で劣勢となり、5月には敗走し、6月にようやく遅れに遅れた「反転攻勢」をはじめましたが、結局、ほとんど何の成果も上げることができませんでした。

 米国のネオコン・シンクタンク「戦争研究所」が毎日出している戦況報告の地図を見ても、ロシアが2022年の秋から冬にかけて敷いた防衛線(スロビキンライン)を、ウクライナ軍がまったく越えられなかったことは明白です。

 昨年9月末、元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏は、テレ朝の『日曜スクープ』に出演し、ウクライナ軍の非常に優秀な82旅団が中心になってもたらした中部ロボティネからベルボベでの戦闘の成功を手放しで賞賛し、「10月いっぱいには、ウクライナ軍が(ロボティネからに進んで)トクマクを奪取するだろう」と述べていました。

 しかし、その後、ウクライナ軍でロボティネでさらに進軍することはできず、押し戻されてさえいます。渡部氏は、こうした自身の見通しの誤りについて、何も釈明していませんが、このような「無能さ」で、有事の際に現役の自衛隊幹部として、戦局を見誤りながら自衛隊を指揮していたら、陸上自衛隊はいったいどうなってしまっていたか、想像すると総毛立ちます。

※はじめに~元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏がテレ朝の『日曜スクープ』で、ウクライナ軍によるバフムト南部のふたつの集落奪還を「反攻作戦の成功を象徴するような戦果」だと手放しで礼讃!「押されている」ロシア軍は「非常に難しい状況」で、ウクライナ軍がロシアの3個大隊を「機能不全の状態に撃破した」と見てきたかのように「持論」を展開! しかし番組が「ロシア側の情報」と報じたのはロシア国防省の公式発表ではなく、戦争研究所のもので、ロシアに関するソースはなんと単なる軍事ブロガー達! 一方で、ロシア側の公式発表の戦果は日本のメディアは一切報じず!(日刊IWJガイド、2023年9月27日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230927#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52780#idx-1

※(続報)ウクライナ軍のセヴァストポリの黒海艦隊司令部攻撃! ロシア軍のビクトル・ソコロフ司令官黒海艦隊司令官は生きていた!? ウクライナ特殊作戦部隊の情報とウクライナ軍情報総局のキリール・ブダノフ局長の情報の矛盾から見えてくる「事実」!!(日刊IWJガイド、2023年9月28日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230928#idx-2
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52782#idx-2

 7月9日から11日かけて、ワシントンで開催される予定のNATO首脳会議で、ハンガリーやスロバキアを除く、ほとんどのNATO加盟国が「軍事シェンゲン」に参加するのではないかと見られています。

 軍隊や装備品の自由な移動を促進する「軍事シェンゲン」は、参加する加盟国の主権を犠牲にすることを意味しますが、米国が構想する「欧州要塞」の基盤が構築されることになります。

 プーチン大統領は、6月5日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)で、「西側諸国の参加によるロシア領土への攻撃は、ロシア国家との直接戦争を意味する」として、「ロシアが長距離兵器を世界の(同盟国)各地に運搬し、そこから機敏な攻撃を仕掛ける」と発言しました。

 このSPIEFには、元米海兵隊諜報部員であるスコット・リッター氏も招待されていましたが、直前で米国務省にパスポートを没収され、ロシアへの渡航を中止せざるをえませんでした。リッター氏は、7日SPIEFへオンライン参加することになった、と『スプートニク』が報じています。

 リッター氏は、「文明の利器のおかげで、私に反対する人たちによって私の声がかき消されることはないでしょう」と述べていますが、これは明白な言論弾圧です。

 しかし、NATOとロシアの直接対決、核戦争の危機についてあまりにも楽観的であるように見える西側諸国は、ロシア側の警告を真剣には受け止めていないのではないでしょうか。

 少数かもしれませんが、西側の軍事専門家にも、ロシア側の警告を真剣に受け止め、危機感を持つ人々がいます。その1人が、元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏です。

 これまでも日刊IWJガイドや号外でご紹介してきた、ブライエン氏が、「NATOは戦争と消滅をもてあそんでいる」、「NATOは、消滅の危機に瀕しているのではないだろうか?」と警鐘を鳴らしています。

 ブライエン氏は、ウクライナは崩壊の危機に瀕しており、NATO諸国によるロシア領内への攻撃の容認は、NATOに大きな損失をもたらし、崩壊の危機に瀕しているウクライナだけではなく、NATOの存続を危うくするのではないか、と述べています。

 ブライエン氏が、世界一のシェアを誇る中国のドローンメーカーが、ウクライナにドローンを提供し続けている、とも指摘しています。

 ブライエン氏は、中国はロシアの友好国であるにもかかわらず、なぜウクライナにドローンを提供するのか、ウクライナ紛争を終わらせるにはドローンの提供を止めることがポイントではないかと、疑問を投げかけています。


戦争と絶滅をもてあそぶNATO
スティーブン・ブライエン(2024年6月1日)

https://weapons.substack.com/p/nato-is-flirting-with-war-and-extinction

 NATOは、戦争と消滅をもてあそんでいる。フランスは現在、ウクライナに、「公式に」軍隊を派遣しており[※1](彼らは派遣され、しばらくそこにいた)、NATO諸国は、ロシアの奥地への攻撃を要求している。

 一方、米国は、秘密裏に「政策転換」を行っており[※2]、これはゼレンスキーが望んでいたものには若干及ばないものの、米国によって、ロシア領土への深部攻撃への扉が開かれている。

 アントニー・ブリンケン米国務長官は、米国による深部攻撃の承認は「誤報」であると述べたが、米国の方針転換を否定はしなかった[※3]。彼は、それはロシアの偽情報だと主張しているが、その報告は、ロシアからではなく、ワシントンからもたらされたものであった[※4]。

 何が起こっているのだろうか?

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