【IWJ号外】元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏「ウクライナ停戦は期待できない」!「ロシアには戦争を止める動機がない」「ロシアは戦争目的を領土獲得と緩衝地帯の構築へ移行する」と警鐘! 2024.2.27

記事公開日:2024.2.27 テキスト
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(文・IWJ編集部)

 IWJ代表の岩上安身です。

 2月16日から18日のミュンヘン安全保障会議の真最中、17日にロシア国防省が、ウクライナ東部地域の最後の要衝地であるアウディーイウカの陥落を発表し、もはや「ウクライナには勝ち目がない」ことが欧州人の目にも明らかになってきました。

 今年2024年6月に行われるEU議会選挙をにらんで、欧州外交問題評議会(ECFR)が1月末(アウディーイウカ陥落前)にEU12ヶ国に対して行った世論調査で、「ウクライナがロシアに勝利すると考えるEU市民はわずか10%」でした。

 同調査では、「ロシアが勝つ」と回答した人は平均20%にのぼり、「ウクライナが勝つ」の2倍になりました。

 ただし、12ヶ国すべてに共通していた傾向は、「ウクライナとロシアは妥協的和解に至る」を選んだ回答が37%と、最も多いことです。これは「ロシアが勝つ」の2倍近い数字です。

 別の言い方をすれば、今までは、米英の主導に従って、ウクライナ支援に全部振りきってきた欧州の姿勢を見直し、現時点での戦場におけるロシアの優勢が明白になったことで、ロシアとウクライナの両者の妥協的な和解を図ることが望ましい、と欧州の多くの市民が考えているということです。

 しかし、その一方で、ウクライナ紛争は、そんなに簡単に終わらないだろう、という見方もあります。

 IWJが『日刊IWJガイド』などでお伝えしたように、EUの超タカ派、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、ウクライナ紛争はロシアとウクライナだけの問題ではなく、「民主主義が世界的に勝つかどうかという問題であり、我々は我々の価値を守り抜くことができるかどうかという問題なのです。その答えはイエスでなければなりません」などと、今もまだ意気軒昂に吠えています。

・【第2弾! EUにおけるウクライナ支援の象徴的存在であるウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が、「ウクライナのEUへの加盟審議は、EU議会選挙後の6月以降になるだろう」と「手のひら返し」!】駐EUウクライナ大使やEU外交官らは「何を今さら?」と怒り! 欧州委員長選挙で再選を目指すフォン・デア・ライエン委員長、アウディイーウカ陥落、欧州世論調査を受けて後退? 再選されても右傾化が予測されるEU議会の運営には困難が待っている!?(『RT』、2024年2月22日ほか)
会員版:(日刊IWJガイド、2024.2.24号)
非会員版:(日刊IWJガイド、2024.2.24号)

 NATOの超タカ派、イェンス・ストルテンベルグ事務総長は22日、「ウクライナの自衛権には、ウクライナ国外にあるロシアの軍事目標への攻撃も含まれる」などと主張して、NATOによるロシアへの宣戦布告とも受けとれる発言をしています。

 ストルテンベルグ事務総長は、15日にも、ウクライナに100万機のドローンを提供すると約束しています。

・【第1弾! NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグ氏が「ウクライナの自衛権には、ウクライナ国外にあるロシアの軍事目標への攻撃も含まれる」とF-16戦闘機でロシア領を攻撃する可能性を示唆する爆弾発言!】ロシア国家安全保障会議副議長のドミトリー・メドベージェフ氏は、これに反応して核戦争リスクの高まりを示す! 元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏は、「これはNATOによる宣戦布告」「手遅れになる前にストルテンベルグを解任せよ」と訴える!(『ラジオ・リバティ』、2024年2月23日)
会員版:(日刊IWJガイド、2024.2.26号)
非会員版:(日刊IWJガイド、2024.2.26号)

・NATO国防相会合でストルテンベルグ事務総長は100万機のドローンの提供を約束! 有志国連合ならぬ無人機連合! しかし米・バイデン政権は、600億ドルのウクライナ支援法案を議会に反対され、オースティン米国防長官はNATO国防相会合とミュンヘン安全保障会議を病欠! 次期米大統領とも目されるトランプ前大統領は「金を出さないNATO諸国はロシアから守らない」と発言! 欧州と米国の間にも亀裂! しかもミュンヘン安保会議の真っ最中に、アウディーイウカ陥落が報じられ、ゼレンスキー大統領は「敗退の原因は武器不足」だと、西側諸国に責任転嫁して非難!
会員版:(日刊IWJガイド、2024.2.21号)
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 先行して1月に英国と結んだ二国間安全保障協定に続き、ゼレンスキー大統領は16日、ミュンヘン安全保障会議の合間を縫って、フランス、ドイツと2国間安全保障協定を取り付けました。

 24日・25日付『ユーラクティブ』によれば、24日デンマークが、そして25日イタリアとカナダが、ウクライナと二国間安全保障協定を結びました。これで、ウクライナと二国間安全保障協定を結んだ国は、6ヶ国になりました。これらの国々は、NATO全体の合意がなくても、ウクライナ防衛のために、対ロシア戦に参戦できることになります。NATO内部が分裂して、空洞化しても、対ロシア好戦派の諸国が、「有志国連合」として、ロシアと戦える準備をしている、ともいえます。

 フォン・デア・ライエン委員長も24日、ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相と共に、ウクライナと二国間安全保障協定を結ぶイタリアのジョルジア・メローニ首相、カナダのジャスティン・トルドー首相らのキエフ訪問に同行しました。

・はじめに~ウクライナは英独仏3ヶ国と2国間安全保障協定に署名! NATOの集団安全保障の原則が空洞化!!(日刊IWJガイド、2024.2.21号)
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 ウクライナ軍の、アウディーイウカでの決定的な敗北を前にしても、NAT0もEUも、まだまだ、ウクライナ紛争、さらには対ロシア戦争を継続する意思を剥き出しにしています。

 元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏は、24日、「ウクライナ停戦は期待できない――NATO、ワシントン、ロシアに潜む危険」を発表し、「ウクライナ停戦を期待してはいけない。理由は簡単で、ロシアには戦争を止める動機がないからだ」と釘を刺しました。

 たしかに、戦場で優勢にあるだけではなく、猛烈な対露制裁を受けても「欧州1」の経済成長を遂げているロシアには、NATOやEUのきわめて好戦的な姿勢を前にして、「戦争を止める動機」はありません。相手が妥協や、停戦を求めてきているならばともかく、そんな姿勢はまったく見られないからです。

 ブライエン氏は、現実をしっかりと見れば「NATOの最善の政策は、ロシアと対話をする方法を見つけること」だろうと述べつつ、ロシアが求める「緩衝地帯」が形成されるまで、ウクライナ紛争は停戦しないだろうと述べています。

 詳しくは、IWJによる以下の仮訳・粗訳をお読みください。

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ウクライナ停戦は期待できない――NATO、ワシントン、ロシアに潜む危険
スティーブン・ブライエン
2024年2月24日

 「今、欧州の主要都市やワシントンでウクライナでの停戦の話題がバズっている(※1)が、ウクライナ停戦を期待してはいけない。理由は簡単で、ロシアには戦争を止める動機がないからだ。

 ウラジーミル・プーチンが停戦を提案した(※2)のはまったくの事実だが、停戦には政治的解決が必要だとプーチンは考えている。

 米国でも、欧州(※3)でも、ウクライナがロシアとの戦争に勝つことはできない(※4)という認識が広がっている。『CNBC』のようなバイデン政権寄りの放送局でさえ、停戦について話している(※5)。これは、迅速かつ容易な答えのない『ジレンマ』を生み出している。

 『ジレンマ』とは、以下の通りである。もし、ウクライナがロシアとの戦争に勝てない場合、米国とNATOは次に何をすべきなのか?

 ひとつの選択肢は、停戦協定を結ぶようにもちかけて、ロシアと偽の交渉を行い、ウクライナがさらに別の軍隊を訓練して、再び攻勢に出られるようになったら、戦闘を再開するというものだ。

 しかし、ロシアはそのバケツに入ったラードを買わないだろう(※騙されないだろう)。

 西側の指導者達、特にアンゲラ・メルケル元ドイツ首相が、2014年と2015年のロシアとのノルマンディーグループ交渉(ミンスク1とミンスク2の合意につながった)は策略であり、NATOがウクライナ軍を訓練し、ロシアに対抗するために莫大な情報資産を投入し、ウクライナ軍に大規模な軍備を提供し、準備が整い次第、攻撃する準備を整えるための時間稼ぎが目的だったと公言している(※6)からである。

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