これまで『イスラエルの戦争犯罪を裁け』と言ってこなかった者たちに、『ハマスの戦争犯罪を裁け』なんて言う資格はあるのだろうか?~1.29浅野健一が選ぶ講師による「人権とメディア」連続講座~第3回 岡真理 早稲田大学文学学術院教授 2024.1.29

記事公開日:2024.1.31取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2024年1月29日、午後6時より、東京都千代田区のたんぽぽ舎にて、「浅野健一が選ぶ講師による『人権とメディア』連続講座 第3回『ナクバ、起源の暴力としての――起源の暴力の起源は何か』」が開催された。

 IWJはこの「人権とメディア」連続講座の第1回目「ガザ紛争の背景~台頭するイスラエル極右の世界観と米国のダブルスタンダード(講師・現代イスラム研究センター理事長 宮田律(おさむ)氏)」、そして、第2回目「イスラエル(ネタニヤフ政権)によるジェノサイドを許すな(講師・元日本赤軍 重信房子氏)」ともに取材している。興味のある方は、ぜひ、以下の記事を御覧いただきたい。

 講義のタイトルの中でも使われている言葉、「ナクバ」とは何か?岡氏は、自らの言葉で次のように説明した。

岡氏「起源の暴力としての『ナクバ』。『ナクバ』とは何か?
これはアラビア語で『大いなる破局』、『大災厄』を意味する言葉ですが、1948年に、パレスチナ人を襲った民族的悲劇を指します。で、じゃあ、1948年に何が起きたのか?

 歴史的パレスチナの78パーセントが占領され、パレスチナ人の4分の3、75万人以上が故郷を追われて難民になるという形で民族浄化されました。具体的には、強制追放、集団虐殺、そして、集団レイプもありました。

 ガザの現在の人口230万人のうちの7割が、このとき難民となってガザにやってきた者たちと、その子供たち、孫たち、ひ孫たちですね。こうして、住民が追われた500もの村々が破壊されます。そこに『キブツ』であるとか、イスラエル・ユダヤ人の町がつくられる。で、パレスチナはユダヤ国家になってしまい、そこにとどまったパレスチナ人は、自らのホームランド・祖国に居ながらにして、そこはある日、突然、ユダヤ人の祖国になって、で、自分達はその異邦人にされてしまった。

 これですね。『30+』というのは、パレスチナの各地で30以上もの集団虐殺が起こりました。そして、この『ナクバ』の時に、1947年11月末ぐらいから、48年の冬、49年初め1年数ヶ月の間に1万3000人を超える人々が殺され、そして、75万人が家を追われ、そのうちの73万人が西岸地区やガザ地区、そして、北のレバノンやシリアやヨルダンやエジプトに難民となっていった。

 で、そうした住民のいなくなった村530が破壊され、そしてパレスチナの、この歴史的パレスチナの78パーセントが占領されてしまう。これ(スライドの写真[当時])は、その当時の、その『ナクバ』で難民となって、故郷を追われる人たちですけれども、これ(スライドの写真[現在])が、本当に同じことが、凄いスケールアップして(起こっている)、だって76年前になりますが、『ナクバ』の時(の難民の数)は75万人です。今回、北部の人たちだけで100万人以上です。凄まじいことが起きているわけです」。

 岡氏は、また、イスラエルが苛烈なガザ攻撃の根拠としている「10月7日に起きた、大量の民間人を含むハマスの奇襲攻撃」について、次のように語った。

岡氏「結局ですね、イスラエルを批判するにしても、あの10月7日の攻撃直後、ハマスがやったのは残忍なテロである。この『テロはもちろん許せないが』というのを言わないと、次の言葉を聞いてもらえないというような状況がつくられてしまっていました。

 なので、その中で本気にそう思っていて、『ハマスが行ったのは、あれは残忍なテロである』というふうに確信して、そうおっしゃっている方もいるかもしれないですけれども、とりあえず、聞く耳を持ってもらうためにそのように言っている、言った人たち、というのもいるのではないかと思います。

 しかし、その結果として、そうした人たちが『10月7日に起きたのはハマスによるテロである。それは残忍なテロで、許し難いテロなんだ』という、イスラエル側の主張を裏書きする結果になってしまっているということ。これは、私はすごく問題だと思います。

 そして、今次々に明らかになって、イスラエルのハアレツ(Haaretz)紙も報道しましたが、イスラエル政府が直後に『ハマスが残忍なテロ』と言って報道したものの多くは、イスラエルの治安部隊やイスラエル軍自体によってなされたものであるということ。そして、それを正式に調査しろと、一体誰が誰によってどのように殺されたのかを調査しろということが言われているけれども、それをしない。『そこには非常に微妙で複雑な倫理的な問題があるから』とまで言っている。(中略)

 戦争犯罪は確かにあった。戦争犯罪は戦争犯罪として裁かれなければならないけれども、しかし、それは、私はそれ以前に、『イスラエルの戦争犯罪を裁け』ということをずっと言ってきたので、『ハマスの戦争犯罪も裁かれなければならない』と言う資格はあると思うんですね。

 でも、これまでそれを言ってこなかった者たちが、それを言わずにですね。『ハマスの戦争犯罪を裁け』なんて言う資格はあるのだろうか? それこそ二重基準じゃないかというふうに思います」。

 岡真理氏の講義内容の詳細については、全編動画をご確認ください。

■全編動画 前半

■全編動画 後半

  • 日時 2023年12月29日(月)18:00~
  • 場所 スペースたんぽぽ(東京都千代田区)
  • 告知 人民新聞.com サイト内告知
  • 主催 たんぽぽ舎

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