「ナクバ(大災厄)」から70年の日に、米国大使館のエルサレム移転式典をぶつけるトランプの非情! ガザのデモは、故郷に帰れない悲痛な思いをこめた「帰還の大行進」!!〜公開講演会「ナクバ70周年」 2018.5.19

記事公開日:2018.5.21取材地: テキスト動画
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(取材・文:松本聰)

特集 中東
※2018年5月21日、テキストを追加しました。

 「ガザでは、3月30日から5月15日の『ナクバ(大災厄)』記念日まで、『帰還の大行進』が1ヶ月半に渡って続いていた。これが日本のテレビ報道などを見ている限り、5月14日の米国大使館のエルサレム移転に対する抗議デモという形でしか報道されていない。彼らが故郷を奪われて難民となって70年、故郷に帰ることができないでいる」

 京都大学教授の岡真理氏は、「最初に最も重要なことを述べておきます」と前置きして、こう述べた。

 「なぜ自分たちは70年、故郷に帰ることができないのか。その気持ちをこめて、彼らは『帰還の大行進』と名づけ、ガザのイスラエルとの境界フェンスまでデモンストレーションをおこなっている。ガザは今年11年目に入った、完全封鎖下にも置かれている。その状況への抗議もある。そのことが一切、日本では語られていないんです」

 2018年5月19日、東京・春日の文京シビックセンター26階のスカイホールで、パレスチナ学生基金主催による公開講演会「ナクバ70周年」が開催された。100名ほどを収容できる会場は、予備椅子を出すほどの盛況だった。

▲パレスチナ学生基金理事長の長澤榮治氏

 第一部では主催者挨拶として、パレスチナ学生基金理事長の長澤榮治氏が、同基金の主要な活動である「ガザ難民奨学金プロジェクト」の支援により、大学卒業の夢を果たしたパレスチナ人学生2名から届いたビデオメッセージを紹介した。

 そして、日本女子大学教授の臼杵陽(うすき・あきら)氏が「ナクバ70周年を未来に向けて回顧する」と題して、京都大学教授の岡真理氏が「Becoming―パレスチナ人《であること》、パレスチナ人《になること》」をテーマに、それぞれ40分ほどの講演をおこなった。

記事目次

■ハイライト

  • 報告 臼杵陽氏(日本女子大学教授)「ナクバ70周年を未来に向けて回顧する」
  • 報告 岡真理氏(京都大学教授)「Becoming―パレスチナ人《であること》パレスチナ人《になること》」
  • (※この後行われた質疑応答は録画に含まれません)
  • タイトル 公開講演会「ナクバ70周年」第一部 ―講演者:臼杵陽氏(日本女子大学教授)、岡真理氏(京都大学教授)
  • 日時 2018年5月19日(土)14:30〜16:10
  • 場所 文京シビックセンター(東京都文京区)
  • 主催 パレスチナ学生基金/共催 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所中東イスラーム研究拠点(人間文化研究機構「現代中東地域研究」事業)パレスチナ/イスラエル研究会

「ユダヤ人でないシオニスト」と称されたトルーマンさえ、エルサレムに大使館を置くとは言わなかった

 臼杵陽(うすき・あきら)日本女子大学教授の講演「ナクバ70周年を未来に向けて回顧する」では、冒頭でハリー・S・トルーマンからバラク・オバマにいたる米国大統領の顔写真を示し、この間のすべての大統領が米国大使館をエルサレムに移すことを拒絶してきたことを改めて確認した。

「とくに最初のトルーマン大統領は『ユダヤ人でないシオニスト』と言われたほどイスラエル建国を強く支持した人。そのトルーマンでさえ、さすがにエルサレムに大使館を置くとは言わなかった」

 今回の大使館移転の契機となったのがビル・クリントン大統領時代の1995年10月、米国議会がエルサレムをイスラエルの首都とみなし、大使館をエルサレムに移転する「エルサレム大使館法」を可決したこと。しかし、クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、オバマの歴代大統領は、外交が大統領の専権事項とされているため、拒否権を発動し、移転を拒否してきた。

 2017年12月6日のドナルド・トランプ大統領の大使館移転宣言以降、移転が加速化するような事態が起こってくる。

満面の笑みを浮かべるネタニヤフ首相、イスラエルの外交的大勝利

 2018年1月にマイク・ペンス副大統領がイスラエル国会で2019年12月までに移転すると表明。翌2月には国務省のヘザー・ナウアート報道官が、イスラエルの独立宣言70周年にあたる5月14日に移転を前倒しすると発表した。

(…会員ページにつづく)

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