「トランプ大統領のエルサレム首都認定を弾劾する~パレスチナにおける公正な平和を求める市民社会から日本政府・企業等への要望」――市民団体の連名で発表された声明文を特別掲載! 2017.12.20

記事公開日:2017.12.20 テキスト
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(文:IWJ編集部)

※公共性と緊急性に鑑み、フルオープンで公開!

 米・トランプ大統領の身勝手な決定により、中東でかつてないほど緊張が高まりつつある。

 2017年12月6日、トランプ大統領は、イスラエルとパレスチナの間で領有権が争われているエルサレムについて、イスラエルの首都と認定し、現在テルアビブに置かれる米国大使館をエルサレムに移転することを宣言した。

▲エルサレムの旧市街(ウィキペディアより)

 米国議会は1995年に「エルサレム大使館法」(Jerusalem Embassy Act)を可決し、1999年までに米国大使館をテルアビブからエルサレムに移すことを決定したが、歴代大統領が法執行を延期してきたため、実際には大使館の移転は実現されずにきた。何世紀にもわたりイスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒が共生してきた街であるエルサレムについて、その共生を破壊した張本人である「ユダヤ人国家イスラエル」の首都であると、米国が一方的に認定することは、あまりにも乱暴である。

 しかし、親イスラエルを隠さないトランプ大統領は、2016年の大統領選挙期間中に公約として掲げてきた通りに、エルサレムをイスラエルの首都として認定する宣言に至ってしまった。

 すでにパレスチナ自治区をはじめ、イランやインドネシア、マレーシア、パキスタンなどのイスラム諸国では大規模な抗議行動が行われ、ヨルダン川西岸やガザ地区などでは、多数のパレスチナ人がイスラエル軍と衝突し負傷、死者も出ている。

 国連安全保障理事会は12月18日、トランプ大統領に決定の撤回を求める決議案を採択したが、常任理事国である米国が拒否権を発動し、廃案となった。決議案には、非常任理事国の日本を含む、米国以外の14カ国すべての国が賛成していた。

 日本でも、トランプ大統領の独断に対し、抗議の声があがりはじめている。

 12月15日、「パレスチナの平和を考える会」の役重善洋氏から、市民団体が連名で発表した声明文をIWJにご紹介いただいた。

 この声明文では、トランプ大統領の決定を強く批判しつつ、日本の政府や企業、市民に対しても、国際的なBDS(ボイコット・資本引揚げ・制裁)運動の一環として、10の要望を突きつけて、イスラエルによるパレスチナへの入植の支援になることをやめるべきであると呼びかけている。要望の中には、パレスチナ人に対する民族浄化・アパルトヘイト政策の強化につながる軍事的協力の中止や、パレスチナ領内のイスラエル入植地で生産された製品の輸入禁止などが含まれる。

 以下に、声明文の全文を掲載したので、ぜひ、ご一読の上、拡散し、多くの方々に広めていただきたい。

◆声明:トランプ大統領のエルサレム首都認定を弾劾する~パレスチナにおける公正な平和を求める市民社会から日本政府・企業等への要望

去る12月6日、トランプ米大統領は、エルサレムをイスラエルの首都と認定しました。これは、この地域における、大国による民族・宗派対立煽動の歴史に新たな1ページを付け加える愚行です。草の根の市民交流を通じ、公正な平和の実現に向けた努力を行ってきた市民団体として、決して看過できるものではありません。

一連の報道は、イスラエルが東エルサレムを含めたパレスチナ被占領地で行っている、民族浄化およびアパルトヘイト政策に、ほとんど触れていません。イスラエルは東エルサレムに暮らすパレスチナ人を他の西岸地区から分断し、その資源を奪い、人口を減らすために隔離壁と入植地の建設を継続し、居住権(東エルサレムID)剥奪、家屋破壊、強制移住等の人権侵害を続けています。

こうした長年にわたるパレスチナ人抹殺政策を、米国とそれに追随する日本をはじめとする国際社会が黙認してきたことが、パレスチナにおける公正な平和の可能性を潰し、現在の行き詰まり状況を招いていることをまず認識すべきです。トランプ大統領によるエルサレムの首都認定は、アメリカが主導してきた「和平プロセス」の破綻を隠蔽し、また決定づけるものです。

言うまでもなく、エルサレムは、歴史的パレスチナの一部であり、パレスチナ難民を含む、そこに暮らしてきた人びと――イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒――のものです。入植者に彼らの土地・財産を奪う権利はありません。難民の財産および帰還権は、1948年の国連総会決議によって保障されています。また、イスラエルの入植地と隔離壁が違法であり、撤去されなければならないことは、2004年の国際司法裁判所による勧告的意見等によりすでに明確にされています。

占領者であるイスラエルに占領地エルサレムを首都とする権限がないことは、国際法上明らかなことです。イスラエル建国時に占領している西エルサレムであれば(1967年に占領した東エルサレムとは異なり)、大使館の移動等は問題ないとする意見も当然誤りです。イスラエルが自身の建国の正統性の根拠とする1947年の国連パレスチナ分割決議でさえ、エルサレムは「国際管理」下に置くとしています。また、エルサレムを「統一されたイスラエルの首都」とした1980年のエルサレム法に対し、国連安全保障理事会は「無効であり、撤回されなければならない」と決議しています。

今、必要なことは、パレスチナ人に妥協を強いる「和平交渉」の継続ではなく、イスラエルの犯罪行為を止めるための具体的圧力です。私たちは、イスラエルが占領の終結、人種差別法・制度の撤廃、難民の帰還権承認という、国際法上の義務を果たすまで、日本の政府・企業・市民に対し、イスラエルに対するボイコット・資本引揚げ・制裁を行うことを、パレスチナの市民社会と共に要請します。それは、具体的には以下の諸点を含みます。

 1.日本政府は、トランプ大統領に対して、エルサレムの首都認定をただちに撤回するよう要求してください。

 2.日本政府は、パレスチナ人に対する民族浄化・アパルトヘイト政策の強化につながる、イスラエルとの軍事・セキュリティ分野での協力を一切中止してください。

 3.日本政府は、東エルサレムを含むパレスチナ領内のイスラエル入植地で生産された製品の輸入を禁止してください。また、10月から発効しているイスラエル投資協定の裨益対象に入植地関連ビジネスが入らないよう、具体的なガイドラインを策定してください。

 4.日本政府は、国連人権理事会が策定した入植地関連企業のデータベースが公開され、有効活用されるよう、国連事務総長等、関係機関に働きかけてください。

 5.日本貿易振興機構(ジェトロ)は、エルサレム訪問が予定されている「飛躍 Next Enterprise」事業の「イスラエル派遣コース」(2018年1月13日~20日)を中止してください。

 6.海外交通・都市開発事業支援機構は、イスラエルが進める鉄道網整備は、東エルサレムや入植地をつなぐ交通網と一体のものであることを重視し、イスラエルとのインフラ整備に関する協力覚書締結を中止してください。

 7.阪急交通公社、H.I.S.、近畿日本ツーリスト等、被占領エルサレムを含む「イスラエルツアー」を企画している旅行会社は、パレスチナ人の観光資源を搾取するツアーを中止してください。

 8.日立製作所は、ガザの電力危機に加担するイスラエル電力公社(子会社であるCyberGym社を含む)とのサイバー防衛演習関連サービスの独占販売契約を破棄してください。

 9.トヨタは、「トヨタAIベンチャーズ」のイスラエル訪問中止決定を継続し、イスラエルの人工知能(AI)やロボット技術に対する投資を止めてください。

 10.東京都や大阪府など、カジノ導入を検討している自治体は、米国によるエルサレム首都認定に向けた動きに関わった極右資本家シェルドン・アデルソンが経営するラスベガス・サンズに関わりを持たないでください。

2017年12月15日

ATTAC関西
アハリー・アラブ病院を支援する会
関西共同行動
占領に反対する芸術家たち/Artists Against Occupation
アル・ジスル-日本とパレスチナを結ぶ(略称JSR)
パレスチナと仙台を結ぶ会
パレスチナの平和を考える会
パレスチナ勉強会・大阪
フェミニズムとレズビアン・アートの会
広島中東ネットワーク有志
武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)
フツーのLGBTをクィアする
北海道パレスチナ医療奉仕団
京都YWCA平和・環境活動委員会(※12月18日に追加)

※この声明文は、以下より転載しています。

 なお、今回は東京大学名誉教授の板垣雄三氏が、役重氏にIWJをご紹介くださったことで、声明文の掲載に至った。

 岩上安身は、板垣氏に近々インタビューをして、パレスチナ問題について詳しくお訊きする予定である。また、イスラエルによるパレスチナでの民族浄化「ナクバ」の歴史について、東京経済大学准教授の早尾貴紀氏にインタビューすることも決まっている。ぜひ、ご視聴いただきたい。

 これに先立つ11月25日、愛知大学名古屋キャンパスで、同大学国際コミュニケーション学部比較文化学科専門科目 アジア協同体論講座による「アジア共同体の平和学・2017年度公開企画 レクチャー&ワークショップ(企画・総合司会担当 鈴木規夫教授) ¯第七回・第八回〈アジア〉における平和の諸条件」が開かれ、板垣教授が「世界戦争の予感」と題して講演を行った。ぜひこちらもあわせて御覧いただきたい。

 IWJは、「パレスチナの平和を考える会」主催で行われた「封鎖下ガザから考える中東情勢―徹底討論!藤原亮司×イヤス・サリム」も取材している。ぜひ、以下もあわせてご視聴いただきたい。

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