【IWJ号外】元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏が、ウクライナ紛争の天王山の戦いともいうべき、アウディーイウカの陥落というウクライナ軍の壊滅的敗走を受けて、ゼレンスキー政権の失脚を予測し、『ワシントンの政策の中心的要素のほとんどは、失敗した』と指摘! 2024.2.22

記事公開日:2024.2.22 テキスト
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(文・IWJ編集部)

 IWJ代表の岩上安身です。

 ウクライナ紛争における「天王山の戦い」ともいうべきアウディーイウカ攻防戦のロシア軍の勝利の報を受けて、元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏が、米政府が目指していたプーチン政権の転覆ではなく、ゼレンスキー政権の交代が訪れるであろうという予測を、2024年2月20日に、公開しました。

 ブライエン氏の論考は「政権交代が訪れる…キエフに」と題されています。

 ブライエン氏は、ウクライナ軍内部の怒りに注目し、軍は「おそらくザルジニーを選ぶ」だろうと予測しています(※IWJ注1)。

(※IWJ注1)実際には、シルスキーへの交代にあたって、ザルジニーとゼレンスキーは、笑顔で報道陣の前に姿を見せて、交代劇を円満に行い、ザルジニーは不満気な様子を見せなかった。
 ウクライナの指導部の中に分裂はないことを、世界中のメディアの前でショーアップして見せたので、このブライアンの論考は外れたように見える。
 しかし、短期的には円満に交代が行われたとしても、軍内のザルジニー支持者側が不満を募らせてはいない、という保証はない。
 この後、戒厳令を理由として大統領選が行われず、戦況が悪化の一途を辿ると、どこかの時点で、軍内部から、ザルジニーを担いで、クーデターを引き起こそうとする試みが出てくる可能性はゼロとは言えない。

 IWJも『日刊IWJガイド』21日号で、ミュンヘン安全保障会議の真っ只中にアウディーイウカが陥落したこと、ゼレンスキー大統領が英国に続いて、独仏との二国間安全保障条約を締結したことで、NATOの集団安全保障の原則が空洞化したことの意味などについて報じました。

 IWJは、アウディーイウカに増援部隊として派遣された第3独立強襲旅団の副司令官マクシム・ゾリン氏はマリウポリで戦っていたアゾフ大隊の幹部だと報告しましたが、ブライエン氏も第3独立強襲旅団が、アゾフ大隊を再編したものだと説明しています。

  • NATO国防相会合でストルテンベルグ事務総長は100万機のドローンの提供を約束! 有志国連合ならぬ無人機連合! しかし米・バイデン政権は、600億ドルのウクライナ支援法案を議会に反対され、オースティン米国防長官はNATO国防相会合とミュンヘン安全保障会議を病欠! 次期米大統領とも目されるトランプ前大統領は「金を出さないNATO諸国はロシアから守らない」と発言! 欧州と米国の間にも亀裂! しかもミュンヘン安保会議の真っ最中に、アウディーイウカ陥落が報じられ、ゼレンスキー大統領は「敗退の原因は武器不足」だと、西側諸国に責任転嫁して非難!(日刊IWJガイド、2024.2.21号)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240221#idx-2
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53231#idx-2

 ブライエン氏は、「ワシントンの政策の中心的要素のほとんどは、失敗した」と論じています。

 ウクライナ紛争の実相は、ウクライナを「代理戦争」の「道具」とした、米国による「ロシア弱体化」の戦略です。そのために、米国の中心であるワシントンが練り上げた謀略は、ことごとく失敗に終わった、と元米国防副次官であるスティーブ・ブライエン氏は言い切るのです。

 米政府で脈々と受け継がれてきた、「ロシアの弱体化」と「プーチン政権の転覆」を目指す戦略は、たしかにブライエン氏のいう通り、現時点では失敗に終わったように見えます。

 ロシア国民の多くが、ウクライナ紛争は西側から仕掛けてきた攻撃だと理解するようになり、プーチン政権を支持する国民が多数を占めるようになったこと、対露制裁によって、ロシア経済が弱体化するどころか、ルーブルが安定し、逆にGDPが成長したこと、BRICSを中心とする「グローバル・マジョリティ」との連帯の深まりなどを見る限り、やはり、ことごとく米国の仕掛けは失敗しているようにみえます。

 スティーブ・ブライアン氏のレポートは、日本のマスメディアを含めて、西側のマスメディアが、仔細を報じない、アウディーイウカ攻防戦での、ウクライナ軍の壊滅的敗走の詳細を伝えています。

 その敗走した部隊の中には、再編成されたネオナチのアゾフ大隊の面々も加わっていました。日本のマスメディアがこぞって、「アゾフはネオナチではない。愛国者だ」などと偽りのプロパガンダを流してきたことを思い出さないわけにはいきません。

 詳しくはどうぞ、IWJによる以下の仮訳・粗訳をお読みください。


政権交代が訪れる…キエフに
アウディーイウカのおかげで、ゼレンスキーはまもなく退陣を余儀なくされるかもしれない

 スティーブン・ブライエン
 2024年2月20日

 「ワシントンは、ロシアに政権交代をもたらす可能性を切望してきた。今や、政権交代が起こる可能性はさらに高まっているが、それはロシアではなく、キエフで、だ。

 キエフにおける政権交代のきっかけとなるのは、アウディーイウカをめぐる血なまぐさい、そして今は終わった戦いである。

 アウディーイウカは、ドンバス地方の首都ドネツク市に非常に近接している(※IWJ注2)。ドネツク市は、アゾフ海のマリウポリと北部のルハンスクのほぼ中間に位置する。ドネツク州もルハンスク州も、ウクライナ東部にある地域(オーブラスチ・地方行政区分の呼称)で、人口のほとんどがロシア語を話す住民である(※1)。ドネツク州もルハンスク州も、ヘルソン州、ザポリージャ州とともに、2022年9月にロシアに併合された(※IWJ注3)。

 アウディーイウカをめぐる最近の戦闘は、4ヶ月に及んだが、1月以降、ロシア軍は同市のウクライナ側守備隊を消耗させ始めた。ロシア軍の作戦には、北からの攻撃も含まれており、その一部は巨大なコークス製造工場に集中したものだった(※IWJ注4)。そして、南からは、都市の側面を何度も攻撃した。2月第1週の終わりまでに、ロシア軍は市街を2つに分断し、大砲とFAB爆弾で市街を攻撃しながら着実に前進した。FAB爆弾とは、FAB-500、FAB-1500といった、様々な大きさの高性能爆弾のことで、数字は爆弾の大きさをキログラム単位で表したものである。

 アウディーイウカは高度に要塞化されており、ロシア軍にとっては困難な目標であった。ロシア軍は、側面攻撃に重点を置き、最終的には武器や食料の補給を圧迫し、部隊のローテーションを困難にした。戦闘の最後の週までには、市街地を出入りする道路は、ロシアの火器管制下に置かれた。

 ゼレンスキーは、アウディーイウカに自分の名声を賭けており、どんな犠牲を払ってでも、ここを死守したいと考えていた。彼は、アウディーイウカを負け戦と見ていた総司令官ヴァレリー・ザルジニーを解任した。ザルジニーは、ウクライナ軍を既存の接触線から引き戻し、キエフや他の重要な都市を守るための防御可能な要塞に移動させることを望んでいた(※IWJ注5)。

 シルスキー(※IWJ注6)は、ザルジニーのもとで地上軍司令官を務め、現在はウクライナ全軍の指揮を執っている。シルスキーは、その戦術がバフムートの崩壊と多大な死傷者をもたらしたため、同市に『肉挽き器』の名を与えた人物、その人である。

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