2023年6月29日午後2時30分より、東京千代田区の衆議院第一議員会館にて、共同テーブルの主催で、「新しい戦前にさせない」連続シンポジウムの第4回が開催された。シンポジウムの副題は、「中国・朝鮮の脅威論を越えて~”東アジアの安全保障環境は厳しさを増した”は本当か~」というものである。
シンポジウムは二部構成。第一部では、元外務省国際情報局長の孫﨑享氏が、「脅威論の真相を剥ぎ、平和への道を探求する」と題した基調講演を行った。
第二部は、「中国・朝鮮の脅威論を越えて」と題したシンポジウムで、東京造形大学名誉教授・前田朗氏をコーディネーターとして、青山学院大学名誉教授・羽場久美子氏、上海大学教授・王祝氏、そして、朝鮮大学校教授・李柄輝氏がそれぞれ短い講演を行い、その後、意見交換・討論となった。
第一部の基調講演の冒頭、孫崎氏は次のように語った。
孫崎氏「今、日本の政治はもう大きく狂っています。この狂いは、『ウクライナ問題』からなんですね。だから、大変恐縮ですけれども、皆さんの予想と少し違って、最初、なぜ『ウクライナ問題がこんなに混乱しているのか、というところから始めていきたいと思います。(中略)
ご存じのように、最近、バイデン大統領はどんどんもうろくしてきています。昨日か一昨日は、『イラク戦争』でロシアは負けていると言っている。そのついでに、もうろくついでに、言っちゃいけないことまでしゃべり始めた。
6月20日の集会で、日本の防衛費増額をめぐり、『私は三度にわたり日本の指導者に会い、説得した。NATOは加盟国にGDP比2%の防衛費増加を求めている』。
そして、バイデンは日本も巻き込むことができると思っていた。ということで、防衛費増強というのは、それはアメリカに言われてやっていることなんですよ。潤沢な予算がある国であるならいい。しかし、私たちは今社会保障をどんどん削らなきゃいけない時期になってきている。
教育費も十分ではない。子ども手当も十分でない。そういうところに意味のない防衛費を増強する余裕なんかないんですよね。それを、アメリカに言われてやっている。
何でそんなことが起こっているかというと、ある意味、残念ながら、これはウクライナ問題と関係しています。(中略)
今、起こっている中国と朝鮮。これにどうするかという問題を考えるときにも、私たちは、きちんと、ウクライナ問題を整理しておかなければいけない、こう思っています。
で、たまたま、今日か昨日、アメリカのネットを見ていましたら、ロバート・ケネディ・ジュニアが今、アメリカの大統領選挙に参戦しています。
その中で、一つの論文を書いているんですけど、『バイデンの外交戦略は、戦争することだ』という論文を書いたんですね。たぶん、日本ではほとんど紹介されていません。
ここで、ウクライナ戦争というのは、戦争を継続するというアメリカのための代理戦争なんだ。だから、バイデン大統領は二つの謝罪をすべきだ。まず、最初に、偽りの口実で醜い代理戦争をするように誤解させた米国民に対して。第2に、米国の戦略的利益のためにこの戦争に誘導され、国が破壊されたウクライナ人にお詫びをすべきだと言ってるんです。(中略)
それで、ウクライナ問題について、日本の言論界、それがどのように扱ってきたかということを少し考えてみたいと思います。
私は、ツイッターであるとか、あるいは小さな集会で時々述べていますから、この中には何人かの方はご存じだと思うんですけれども、『次のセリフを述べた日本の政治家は誰か?』という質問します。ご存じの方は黙って手をあげてみてください。
2つ聞きます。まず一つ。去年の5月です。『ゼレンスキーが、ウクライナがNATOに加盟しないことを約束し、東部の2州に高度な自治権を与えるということができた。しかし、ゼレンスキーは断った。ゼレンスキーは本来、約束していれば戦争はなかったんだ』ということを述べた日本の政治家がいたんですけれども、誰かを知っている人は手をあげてください。
はい。5人ぐらいでしょうね。今日、何人おいでになるかわかりませんけど、ご存知でいる方は5人です。
もう一つ。これは2月27日、日本のテレビで述べられたセリフです。
『プーチンの意図はNATOの拡大。それが、ウクライナに拡大するということは絶対に許さない。東部2州の論理で言えば、かつてボスニアヘルツェゴビナやコソボが分離独立した際には、西側が擁護したではないか?
その西側の論理をプーチンが使おうとしているのではないかと思う。プーチンとしては領土的野心ということではなくて、ロシアの防衛・安全と安全の確保という観点から行動を起こしていると思います』。
去年の2月27日にテレビで述べたのです。これを述べた政治家は誰かご存知の方? これ、5人ぐらいですね。
私はこの政治家は支持していません。支持していないけれども、彼がそれは述べたことは間違いない。安倍さんです」。
基調講演、ならびに、シンポジウムの詳細については、ぜひ全編動画にてご確認ください。