<IWJ号外>岩上安身によるインタビュー「キリスト教シオニストの狂信的終末論──米国の福音派はイスラエルの利益のみを追求!」現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏 2026.3.22

記事公開日:2026.3.22 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(文・IWJ編集部)

特集 中東

 岩上安身は3月16日、イラン情勢をめぐり、現代イスラム研究センター理事長の宮田律(みやた おさむ)氏に、緊急インタビューを敢行しました。今回のインタビューは、「米・イスラエルによるイラン攻撃は国際法違反!『狂信』はどちらか!?」と題した3月11日インタビューの続編となります。

 インタビューは3分割し、3月17日にYouTubeで公開しました。

  • 260316 【1】岩上安身による宮田律氏(イスラム研究者・NPO法人 現代イスラム研究センター理事長)インタビュー「キリスト教シオニストの狂信的終末論──米国の福音派はイスラエルの利益のみを追求!」
    https://youtu.be/rV16sBMTKV4
  • 260316 【2】同「シーア派の中心教義とは? ──『神に隠されたイマーム』とマフディ思想」
    https://youtu.be/67DTTxCyPF4
  • 260316 【3】同「トランプ大統領は、ホルムズ海峡への自衛隊派遣を要請!──訪米する高市総理は米国の要求を受諾してしまうのか!?」
    https://youtu.be/ojuMD1eyhyk

 岩上安身による宮田律氏への連続インタビューは、続けて3月22日(日)にも予定されています。YouTubeなどで、23日(月)ごろにはお届けできると思いますので、どうぞご注目ください。チェンネル登録をしていただければ、新規動画が公開された時に、一覧できます。

 インタビュー冒頭、イラン産石油施設が集中する、イラン経済の生命線であるハーグ島(カーグ島とも表記される)への米国の攻撃が話題になりました。

 石油施設が集中している場所への攻撃は、紛争のエスカレーションと長期化の原因となります。

岩上安身(以下、岩上と略す)「この数日の間に、目まぐるしく、いろんなことがありましたね」

宮田律氏(以下、宮田氏と略す)「そうですね。トランプはもう、『ハーグ島は、完全に破壊した』と言いながら、『楽しみのために、あと数回は攻撃するかもしれない』と」

岩上「ですよね。『イランは完全に壊滅した』と言いながら、日本をはじめとした同盟国に『出てこい』と言ってるのは、矛盾していますね」

宮田氏「矛盾してます」

岩上「すぐに嘘とわかること、矛盾したことばかり言い続けるのは、トランプの特色だと、さすがに、わかっていましたけど」

宮田氏「うん」

岩上「今回のこのイラン戦争に関しては、それがもう甚だしいですね」

宮田氏「おそらく、アメリカ本国から遠く離れて攻撃してますから、やっぱり補給とか、兵站の面で、問題があるんでしょうね。

 昔、イラク戦争の時に『テロ特措法』を作って、インド洋で、石油の補給を自衛隊がしてましたけども。

 今、日本が石油がないという時に、どうするんですか? という感じですよね」

岩上「(石油の備蓄が)『8ヶ月分あるんだ』と、高市さんは言いましたけれども、実は『政府備蓄』は、4ヶ月分しかないわけです。

 その4ヶ月分を切り崩して、海上自衛隊の艦艇に積み込んで、さらには(米艦艇などに)補給をすると。タダで油を出していくと。そんなことは、日本の国民としては死活問題ですよ」

宮田氏「そうです」

岩上「それよりも何より、『お前が戦争をやめろ』と。『トランプよ、ネタニヤフよ』と」

宮田氏「うん」

岩上「我々は生きるか死ぬかになりかねないので、(戦争を)やめてもらうことが1番ですよね」

宮田氏「はい。だから高市さんは、19日に、トランプに、会いますけども、まず言うべきことは『戦争やめろ』というふうに言わないとだめですね」

 訪米した高市早苗総理は、トランプ大統領に会談で何を語ったのか。『日刊IWJガイド』3月20日号で取り上げました。

  • トランプ大統領暴言!「日本以上に奇襲に詳しい国があるか」!? 真珠湾攻撃を持ち出したトランプ大統領の侮辱的な突き放しにも関わらず、高市総理は取りすがる!「そのような状況(世界経済が『大きな打撃』を受ける)にあっても、世界に平和をもたらすことができるのは、あなた、ドナルド、あなただけだと私は固く信じています」!「DV男の袖にすがる共依存女性」という構図にしか見えないやり取りを全世界にさらけ出す! 高市総理は、原油の中東依存から米国のシェールオイル依存へとさらなる米国依存を明言してしまう! 世界から、日本は、米国の対イラン侵略戦争の主要な協力国家と認定される!(日刊IWJガイド、2026年3月20日)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260320#idx-3
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55504#idx-3

 今回のインタビューの最初のパート1は、「キリスト教シオニストの狂信的終末論──米国の福音派はイスラエルの利益のみを追求!」と題して、トランプ政権に大きな影響を与えているキリスト教福音派の問題を取り上げました。

 岩上安身は、トランプ政権によって設けられた「信仰局」と、そのトップであり、トランプ大統領の上級顧問を務めるポーラ・ホワイト牧師に焦点を当てました。

岩上「このポーラ・ホワイト上級顧問、この人は役人ではなくて、宗教関係者ということで、顧問になってるんですけど。

 3月5日、トランプ大統領と福音派関係者と共に(ホワイトハウス内で)祈りを捧げた。その時に『トランプにノーということは、神にノーというのと同じことだと』述べたというんですよ」

宮田氏「(苦笑)。イスラムでも、『預言者ムハンマド』っていうでしょう。ムハンマドは預言者なんですね。神じゃないんですよ。

 神は、預言者ムハンマドよりも、さらに上にいるんですけども、アメリカのホワイトハウスで、いきなりトランプが神になっちゃったんですよね。これは、おかしいですよね」

 岩上安身が、問いかけます。

岩上「これ(福音派)は、新興宗教のカルトじゃないですか?」

宮田氏「カルトですね。まったくね。

 こういうポーラ・ホワイトみたいな人は、一体どういう、宗教的な資格を持ってるんでしょうかと、問いただしたいですよね。

 キリスト教の本流の考えじゃないことはどうやら確かみたいなんですけども。なんでこういう人がホワイトハウスの中にいて、こういう祈りを捧げるのか、僕は不思議でしょうがないんですけど」

 宮田氏には、仏教のバックグラウンドがあります。父親が、日蓮宗の僧侶であり、さらにイスラム教を大学で学び、米国のUCLAに留学して、キリスト教文化圏も目の当たりにしてきました。

 その宮田氏の目には、現在の福音派は、どのように見えているのでしょうか?

宮田氏「そうですね。大体宗教って、人殺しを奨励するような宗教、ないですよね。宗教っていうのはやっぱり、人間の幸せを考えるわけじゃないですか。

 にもかかわらず、この人達は、『イラクをやっつけろ』『イランをやっつけろ』でしょう。で、『殺せ、殺せ、殺せ』なわけです。そんな宗教って世界どこを見渡してもないんじゃないかなと」

 ポーラ・ホワイト牧師は、トランプは神に任命された人物であり、トランプは「キリスト再臨の前触れ」だと主張しています。

岩上「福音派は、終末神学と、ディスペンセーショナリズム(聖書全体を7つの時代に区分し、終末にキリスト教徒が空中携挙され、その後に地上にイスラエルを中心にした千年王国が実現する)とか言われるものと重なりあうわけですけれども、イスラエル(の再建)と中東における最終戦争が(イエス・キリストの)再臨の前提条件だという風に言うわけですね。

 (前提条件として)イスラエルが再建されました。だから、中東で戦争が起こり、そして、再臨が起こると」

 ここで、宮田氏にご提供いただいたポーラ・ホワイト牧師の説教のビデオを視聴しました。

(ポーラ・ホワイト牧師)「撃て!、撃て!、撃て!、勝利をつかむまで!

 汝に敵対するすべての敵のために! 我々は、勝利のために地を打ち鳴らす!

 叫びと歌が聞こえる!

 豊かさと雨の音が聞こえる! 勝利の音が聞こえる!

 主は、それを成し遂げた!

 天界より、勝利の音が聞こえる!

 今まさに天使が遣わされている!

 今まさにアフリカから、アフリカから、アフリカから、天使達が派遣されている! 彼らはやってくる!

 彼らはイエスの名において、南米からやってくる! 彼らはやってくる!

 彼らは、アフリカから、南米からやってくる!

 天使の軍勢、天使の増援、天使の増援、天使の増援」

 ポーラ・ホワイト牧師は、別のところでは、旧統一教会の韓鶴子総裁の誕生日を祝福する演説も行っています。

 岩上安身は、CIAが統一教会とKCIAを利用したように、福音派の背景にも政治的な思惑が強く作用しているのではないかと指摘しました。

 米国の政治学者スティーブン・スペクター氏は、『福音派とイスラエル』(2008)で、「福音派は、聖書の終末預言の観点からイスラエル支持を強く推進している」と分析しています。

 その福音派を信じる人々は、米国の総人口約3億4千万人のうち、3割近い総1億人にものぼると言われ、保守的な白人層に多いとされています。

 宮田氏は、自分が米国留学していた1980年代頃のロサンゼルスには、こうした狂信的な宗教団体はいなかった、と振り返りました。

宮田氏「僕がいたのはロサンゼルスでしたけども、ロサンゼルスでこういう人に会うってのは滅多になかったですよね。

 日頃、私達日本人が接するアメリカ社会って、ロサンゼルスであったり、ニューヨークであったり、あるいはワシントンDCじゃないですか。

 こういう福音派の人達がいるアメリカって、滅多に日本では紹介されてないような気がするんですよね」

 福音派の信者が多くいると指摘されているのは、米国南部から中西部のいわゆる「バイブル・ベルト」地帯です。共和党の支持基盤と重なっています。

宮田氏「僕らがいたロサンゼルスは、非常に理性的な人が多くて。

 もちろん、民主党の牙城みたいな地域ですけども。

 僕はさっきご紹介あったように、UCLAにいましたけども、UCLAには『中東研究センター』があって、そこの先生達は、やはり皆さん、理性的で、真面目な研究者が多いんですよね。

 これ(福音派)を支持する人は皆無でしたね。まず、いないです。

 アメリカの中東学会では、イスラエルに対して『BDS』、つまり、ボイコット、投資撤退、それから制裁を加えろという方針を、8割の会員の賛成をもって可決してるわけです。

 ですから、イスラエルの研究者達は、アメリカの中東学会で発表することもできないですし、学術交流もできないように、今なっちゃっています。

 でもそっちの方が、普通の感覚なんですよね。こっち(福音派)は、やっぱり、異常というか」

 わずか、40年ほどの間に、米国社会が大きく変わってしまったことが伝わります。

 岩上安身は、「『今こそ終末だ』と言って、実際に戦争を実行し、キリストの再臨を加速させる」ことを願っているような狂信的な福音派が、米国の人口の4分の1から3分の1を占めるようになった現在を、「たった50年で(こんな状況に)なると、想像つきましたか?」と聞きました。

宮田氏「いや、想像つかないですね。

 私がいた頃は、非常に日本の経済が絶好調の頃で、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』とか言われてた頃だったんですけど。

 (同時に自動車や半導体の貿易問題もあり)いろいろジャパン・バッシングがあった頃なんですけども。

 やっぱり、アメリカが元気がなくなってるな、という感じはしましたよね。

 アメリカが元気がなくなったと同時に、こういう変な救済思想みたいなものが出てきたのかな、という印象です」

 今や、米国はイスラエル、正確に言えばシオニストに牛耳られるような状況になっています。

岩上「アメリカの中東政策は、イスラエルの利益を優先しているのではないかと。アメリカの福音派によるイスラエル支持ということですけれども。

 イスラエルを支持するキリスト教福音派の団体、CUFI(イスラエルのためのクリスチャン連合)は、会員1000万人以上いるというんですね」

 シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授と、スティーブン・ウォルト教授による『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』(邦訳2007)では、CUFIは、イスラエル・ロビーの代表的な団体のひとつとして、取り上げられています。

 ここで、「CUFI」の創設者であり、代表でもあるジョン・ハギー牧師が、2月28日、米国とイスラエルがイランに奇襲攻撃「壮大な怒り」作戦を実施した当日に行った演説の動画を視聴しました。

 ハギー牧師の後ろには、大書された「壮大な怒り」という赤い文字が、手回しよく、掲げられています。

 岩上は、福音派の聖書解釈によれば、ハルマゲドン(世界最終戦争)は、『旧約聖書』の「エゼキエル書」、『新約聖書』の「ヨハネ黙示録」をベースにしており、イラン戦争がそのハルマゲドンの始まりと位置付けられている、と説明しました。

 ハギー牧師の演説の骨子は、「北方の軍(ロシア、イラン、トルコ、イスラム教徒のグループ)がイスラエルに攻め込む時、大地震が起こり、敵は同志討ちをし、天から石が降り、敵は滅びる。その時、神が再臨し、敬虔なクリスチャン(福音派)は、生身で空中携挙(ラプチャー)されて救われる」というものです。

 宮田氏は、動画を見終わって、「それ(ハギー牧師の演説)に対して拍手をしている信者達が、多数いる」と嘆き、「宗教ってそういうものかもしれないですよね。だから、入り口で、自分のバリアを張らないと、こういうものにはまり込んでしまうということになりますね」と、「宗教のはらむ狂気」について述べました。

 岩上は、このようにハルマゲドンの実現を待望するキリスト教福音派の支持者達が、イスラエルの要請を後押しすることで、米国を「失敗する可能性の高い作戦」に追い込んでいった、あるいは「戦争の委託」を受けてしまったのではないかと分析しました。

 「戦争長官」を名乗るピート・ヘグセス国防長官は、十字軍のシンボルを自らの胸に刻み、「神がそれを望んでおられる」という言葉を腕に刺青しています。ヘグセス国防長官は、自ら、キリスト教シオニストであることを公言しています。

 また、イラン戦争に際して、米軍の高官が兵士達に向かって、ドナルド・トランプ大統領を『(キリストの)再臨の先触れ』と呼び、イラン戦争そのものをハルマゲドン(世界終末戦争)への『合図の火』であると説明したという情報もあります。

 さらに、米軍内に福音派ネットワークが形成され、福音派でないと出世できないようになっているとも言われています。

  • 【衝撃! 米軍は「正気」の軍隊なのか!? 米軍指揮官達が米軍兵士達に黙示録的説明! ドナルド・トランプ大統領の存在は「キリスト再臨の先触れ」! イランとの戦争はハルマゲドン(世界終末戦争)への「合図の火」!「トランプ大統領は、イエスによって任命され、イランで合図の火を灯して、ハルマゲドンを引き起こし、キリストの地上への再臨を告げるために選ばれた」!】(日刊IWJガイド、2026年3月6日)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260306#idx-4
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55482#idx-4

岩上「(これヘグセス長官の胸にある刺青)は十字軍のシンボルマークですよね。いつ、自分の身体につけたのかは、わからないですけども、相当いかれてますね」

宮田氏「はい。でも十字軍だったらエルサレムの回復を唱えたわけですから。

 本来ならばこの十字軍には、『イスラムからエルサレムを取り戻す』というミッションがあるはずなんですけど。実際には、行く先々でユダヤ人を殺してまわったそうです。

 それから、東方正教会のキリスト教徒も殺していったという、非常に無残な過去が十字軍にはあるわけですけど。

 今現在は、イスラエルが中東で覇権を担っている。もちろんアメリカからのお金と兵器がなければできないんですけれども。

 そして、『イランが邪魔だ』と。なぜイスラエルが、イランがそこに存在してることが邪魔で許せないのかと。『徹底的に解体してやる』と言って、イラン攻撃という国際法違反の行為をやってるわけですよね」

 宮田氏は、「(十字軍の歴史を踏まえて)ユダヤ人から見ればキリスト教徒は敵である。だから、唾をかけて追い出そうっていうのが、ユダヤ人の右派の考え方です」と指摘しました。

岩上「クリスチャン・シオニストと、イスラエルのシオニストと、最後の最後のところで、おかしなことになっていて。

 『神』というのは、あくまでイエスなんですね。イエス・キリストが(終末のハルマゲンドンの際に)再臨する。

 そして、『敬虔なクリスチャンだけ』が生身のまま空中に、空中携挙されて救われていくというわけですけど、ユダヤ教からキリスト教に改宗した者は救われる、と。ユダヤ教のままだったら救われないと

 最後の最後のところは、やっぱり反ユダヤ主義がちゃんと残ってるんですよ」

 宮田氏は、エルサレムでは、キリスト教の女性レポーターが、周りのユダヤ人から実際に唾を吐きかけられたりしている、と指摘しました。

宮田氏「福音派は、ユダヤ人はキリスト教に改宗するんだと。そして、ユダヤ人の強硬派は、お前らキリスト教は利用するだけするけれども、邪魔だから出ていけと」

 岩上は、「だから結局は相容れないんですよね、福音派とユダヤ人っていうのは」と、両者の矛盾を指摘しました。

 最後の最後ではお互いに敵対するかもしれない福音派のキリスト教シオニストと、イスラエルのシオニストが進めようとする対イラン戦争は、イスラエルがイランに対して核兵器を用いて、破滅的な核戦争へと突き進むかもしれません。

宮田氏「イランは、(殺害された)ハメネイ師のファトワー(宗教令)で、核は持たないと言ってたんですけど。

 (ハメネイ師を殺害することで)イランを、『核を持たざるを得ない』と決断させる方向へ、アメリカとイスラエルは追い詰めたんじゃないかと」

 詳しくは、動画で御覧ください。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です