【IWJ号外】岩上安身によるインタビュー第1215回 ゲスト 現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏(1)日本を襲う石油危機! 高市総理・茂木外務大臣に中東以外の緊急輸入先の代替案はなし! 2026.3.14

記事公開日:2026.3.14 テキスト
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(文・IWJ編集部)

特集 中東
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 岩上安身は3月11日、イラン情勢をめぐり、現代イスラム研究センター理事長の宮田律(みやた おさむ)氏に、緊急インタビューを敢行しました。宮田氏は、現代イスラム政治と、イラン政治史が専門です。

 インタビューは3分割し、1本目を昨日3月12日に撮りおろし初配信しました。

 米国とイスラエルによる爆撃で殺害された、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師も、後継者として選出された次男のモジタバ・ハメネイ師も、イラン北方で国境を接するアゼルバイジャンと同じ民族であるアゼリー人です。

 宮田氏は、多民族国家であるイランの特徴について、以下のように解説しました。

 「イランのアゼリー人は、ペルシャ語しゃべります。イランのアゼリー人は、北方のアゼルバイジャンに対する一体感よりも、イランの中央政府への忠誠心みたいなものが強いですね。だから、彼らアゼリー人は、分離独立の傾向がまったくない。

 アメリカとすれば、イランで、地上戦で、アメリカとともに戦ってくれる勢力が欲しかったと思うんですけれども、アゼリー人はまったく問題外で、こちら(北西部)にいるクルド人も、こちら(南東部)のバローチ人も、まったくアメリカのリクエストには、応じなかったですよね。

 アフガン戦争の時には、北部同盟というのがアメリカに協力しましたし、イラク戦争の時には、クルドが米軍に協力したわけですけども、そういう勢力は、イランにはいない、ということです」。

 さらに宮田氏は、現在紛争中のアフガニスタンとパキスタンが、「どちらもイランと良好な関係にある」と指摘した上で、「パキスタンは、経済的には、中国との結びつきが強い。ここ(パキスタン南西部)にグワーダルという港がありますけど、(中国から)そこまでパイプラインがつながっています」と述べ、以下のように語りました。

 「だから、武器も中国から、あるいはロシアから、陸路で(イランに)入ってくる可能性は、十分ある。

 ベトナム戦争の時に、中国とソ連が北ベトナムを支援しましたが、イランの方が、より容易だと思いますね」。

 インタビューの中で、岩上安身は、3月6日行われた茂木敏充外務大臣記者会見での、IWJ記者の質問と、茂木外相の回答の映像を流しました。

 「日本、韓国、台湾などが、共同で米国に働きかけ、戦闘を早期に終結し、石油危機を回避するように要請する外交が必要ではないか?」「石油危機を回避するために、ロシアへの経済制裁を解き、ロシアから石油・天然ガスを輸入する交渉をするという選択肢もあるのではないか?」というIWJ記者の質問に対し、茂木外相は、「米国への戦争終結の働きかけ」については何も答えず、「ロシアからの輸入」については、「私の考えとは異なっている」と答えました。

 その一方で、茂木外相がどのような「考え」を持っているかについては、何も明らかにしませんでした。

 さらに続けて、3月10日に行われた茂木敏充外務大臣記者会見での、IWJ記者の更問いの質問と、茂木外相の回答の映像を流しました。

 6日のIWJ記者の質問に、「私の考えとは異なっている」と答えたことについて、茂木外相は、「国際社会とも、G7とも協力をしながら、ウクライナ支援、対露制裁を続けていくという考えに変わりはないということ」だと述べました。

 岩上安身は、「結局、ウクライナ紛争について、『ロシアがけしからん』ということが、日本の国家存立危機事態よりも優先されるというのが、外務省の判断」「どこからでもいいから、石油をもってくるという代替案が、ひとつもない」と指摘しました。

 さらに岩上安身は、高市早苗総理が、3月2日の衆院予算委員会で、「日本の石油備蓄は、現在254日分(8ヶ月以上)ある」と答弁したことをあげ、「これは、国家備蓄(146日分)と、民間備蓄(101日分)、産油国共同備蓄(7日分、産油国に貯蔵)をあわせた総備蓄量で、肝心の国家備蓄は3~4ヶ月分ほどしかない。さらに、IAEA基準にもとづく純粋な国家備蓄は、123日(約4ヶ月)分しかない」と明らかにしました。

 岩上安身は、「円安で、中国や韓国、台湾と比較しても、バイイング・パワー(購買力)で負けている」と指摘し、陸路でイランやロシアから石油が輸入できる中国と違い、島国の日本は、「国民に『備蓄が3~4ヶ月分しかありませんよ』と伝えた上で、一生懸命、輸入代替先を探すか、でなければ、『すぐ、この戦争をやめてくれ』ということを、(米国に)言うしかないと思う」と訴えました。

 これに対して宮田氏は、「代替先を探すよりも、戦争をやめた方が、はるかに手っ取り早いですよ」と述べ、次のように語りました。

 「高市総理が今度(3月19日)、アメリカに行きますけれども、日本の事情を話した上で、(集団的自衛権による自衛隊の)護衛艦の派遣などではなくて、日本のエネルギー事情が急迫しているということを、強く訴えた方がいいと思います。

 イラク戦争の時みたいに、護衛艦を派遣して給油活動をやる。護衛艦の派遣というのは、恐らくそういうことになるんじゃないですか」。

 自衛隊が、米軍に給油活動を行うということは、ただでさえ逼迫している日本の石油備蓄を、米軍の戦争のために使うことを意味します。

 宮田氏は、「本当に、日本は、死活問題ですよ」と述べ、以下のように続けました。

 「だから、高市さんは、アメリカに行くのをやめた方がいいという意見も、今、出ていますよね。

 彼女が行けば、何もわからずに、トランプに安請け合いをするんじゃないか、ということですね」。

 さらに宮田氏は、「ロシアは、ペルシャ湾の代替先にはならない」と述べ、次のように訴えました。

 「日本が(制裁前に)ロシアから輸入していた石油は、具体的にちょっと覚えていないですけども、(輸入量の)10%も行かないんじゃないですか(※編集部注:2021年のロシアからの原油輸入量は、日本の輸入総量の約4%で、約3300万バレル)。

 その復活をするよりは、今のホルムズ海峡の封鎖を解いて、中東諸国から石油を買った方が、はるかに安定的な供給になるのではないかなと思います。

 どうして、それを求めないのか?

 馬鹿な話で、アメリカに追従することが、日本の国益になるという、そういう発想ですよね。

 それは、対中国向けに、そう考えているのであって、日本の国民の生活を考えて、アメリカに追従しているんじゃないんですよね。

 高市さんは、台湾問題発言で、中国との緊張を招いていますけれども、中国と対抗していく上で、アメリカの軍事力が必要だということで、アメリカの言いなりになっている、ということですよね。

 本当に、国民の生活のためじゃないんです。本当に、馬鹿なことをやってるなという感じがしますね」。

 詳しくは、ぜひ「岩上安身によるインタビュー 第1215回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏(1)」をご視聴ください。

 2本目と3本目も、続けて公開しました。どうぞあわせて御覧ください。

ハメネイ師殺害後も「イランの指導部はほぼ無傷、近い将来に崩壊する兆しはない」と、米情報機関が分析! イスラエルも、「イランの指導部の崩壊につながる保証はない」と認めていると明らかに! 期待していたクルド人勢力の蜂起も目論見が外れ、目標としていた「イランの体制転換」もこっそり軌道修正したトランプ大統領は、出口戦略のないまま「まもなく終結する」と豪語!

 米国とイスラエルによる攻撃で、最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害されたあとも、「イランの指導部は、ほぼ無傷のままで、近い将来に崩壊する兆しはない」と、米情報機関が、最新の報告書で分析していることがわかりました。

 3月12日付『ロイター』が、「事情に詳しい複数の情報筋が明らかにした」として報じました。

 この『ロイター』の記事によると、「多数のイラン情勢の報告が、『体制は崩壊の危機に瀕していない』と、一貫して分析している」とのことで、イラン指導部は「イラン国民を支配し続けている」とのことです。

 トランプ米大統領は、3月9日の記者会見で、記者から「戦闘は、今週終わるのか?」と聞かれ、「いや。しかし、まもなく終結する。イランは、指導部も含めて、あらゆるものを失ったからだ」と答えました。

 『ロイター』の報道が事実なら、トランプ大統領は、戦況の正確な情報を知らされていないか、米国民に対してまたしても虚偽の発表をしている、ということになります。

 また、そんな虚偽情報を、日本政府も、マスメディアも、SNSのインフルエンサーらも、真に受けていることにもなります。

 さらにこの『ロイター』の記事は、「イスラエルの高官も、イスラエル当局者らが、(攻撃が)イラン指導部の崩壊につながる保証はないことを、協議で認めていることを、明らかにした」と報じています。

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<IWJ取材報告>「ホルムズ海峡封鎖に対し、ロシアへの経済制裁を解き、石油・天然ガスを輸入するという選択肢は?」との前回の質問の続きに、茂木大臣は「ウクライナ支援と対露制裁を続けていく考えに変わりはない」と断言! しかし石油危機回避のための具体的な代替輸入ルートは示さず!!~3.10 茂木敏充 外務大臣 定例会見

 3月10日午後4時45分より、東京都千代田区の外務省にて、茂木敏充外務大臣の定例会見が行われました。

 会見冒頭、茂木大臣から、イラン情勢、特に、邦人の出国支援の進捗について、報告がありました。

 続いて、茂木大臣と各社記者との質疑応答となり、他社の記者からは、「日米首脳会談への期待と日米外相会談の可能性」「イラン情勢における紛争解決に向けた日本の役割」「イラン情勢の事態沈静化に向けた外交努力、イランの新指導者の選出」について、質問がありました。

 IWJ記者は、イラン情勢について、前回3月6日の会見に引き続き、茂木大臣が考える外交政策について、以下の通り、質問しました。

IWJ記者「イラン情勢についてうかがいます。

 日本は、これまで2度の石油危機を経験していますが、ホルムズ海峡が封鎖されたことはありませんでした。

 しかし、今回の戦争では、ホルムズ海峡は事実上封鎖されており、日本は、過去の石油危機以上の予測不能な危機のただ中にあると言えます。

 加えて、日本経済は、円、国債、株のトリプル安で、原油高騰と円安の組合せになれば、猛烈なインフレを巻き起こす恐れもあります。

 前回の会見で、石油危機回避のための外交上の選択肢について、例をあげてご質問差し上げ、大臣からは『私の考えは異なる』との答弁をいただきました。

 この危機を乗り切るための外交政策について、改めて大臣の考えをお聞かせいただけますでしょうか。おそらく市場も、それを期待していると思います」

茂木大臣「前回の質問、補足をさせてもらいますと、対露政策を変えるというお話がありました。

 今、ウクライナも、たいへん厳しい状況にある中で、日本として、国際社会とも、G7とも協力をしながら、ウクライナ支援、そして、対露制裁を続けていく。この考えに変わりはありませんので、そういった意味で、『意見が違う』という話を申し上げました。

 ホルムズ海峡の情勢については、今まで(他社から)質問は出たところでありますが、重大な関心をもって、フォローしておりまして、一連の会談につきましても、今もお話しましたし、既に(記者クラブへの)貼り出し等々も行っておりますけれど、ホルムズ海峡及び周辺海域の航行の安全、これに向けて、必要な働きかけ、また連携、こういったことをはかっているところであります。

 また、国内経済への影響、これも様々な見通しがあるところでありますし、今後、原油価格がどうなっていくかということについても、マーケットの状況等々も、よく見ていかなければならないと思っていますが、関係省庁とも連携をしながら、我が国経済への影響を最小限にできるように、適切に対応していきたいと思っております」

 会見の詳細については、全編動画を御覧ください。

(…会員ページにつづく)

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